住宅ローン繰り上げ返済はしないほうがいい!?控除期間終了後の注意点とは
住宅ローン繰り上げ返済はしないほうがいい!?控除期間終了後の注意点とは
公開日 2021/02/22
更新日 2021/02/22

住宅ローン繰り上げ返済はしないほうがいい!?控除期間終了後の注意点とは

住宅ローンを組んだ後に、まとまった額を返済する「繰り上げ返済」。
利息を軽減し、総支払額が少なくなるメリットがあります。
しかし、場合によっては繰り上げ返済しないほうがいいケースも。
意外に知られていない、繰り上げ返済のリスクについて解説します。

構成・文/長谷井涼子 監修/加倉井慎
  • そもそも繰り上げ返済のメリットは?

    例えばマイホームで3000万円のローンを組む(金利1%、35年返済)としたら、総支払額は3556万円。つまり500万円超は利息で取られるということ。特に最初のうちは毎月の支払はほとんど金利に充てられ、元金は減っていないのです。

  • しかし、繰り上げ返済は元金に充てられるので利息がダウン。総支払額がお得になります。

  • 繰り上げ返済は2種類あり、返済期間を短くする「期間短縮型」と毎月返済額が少なくなる「返済額軽減型」。お得効果が高いのは「期間短縮型」です。

  • 期間短縮型毎月の返済額等は変わらないが、返済期間が縮まるため、総支払額を減らす効果は高い。40代以上など定年前にローンを完済したい人にオススメ。
    返済額軽減型返済期間は変わらずに毎月の返済額を引き下げるタイプ。毎月の家計の収支を楽にしたいなら。自分やパートナーの退職で収入ダウンが想定される世帯にオススメ。

  • 「繰り上げ返済」を頑張りすぎるとどうなる?

    住宅ローンはいわば借金なので、「貯金が貯まったらすぐ繰り上げ返済!」と考えてしまう人もいるでしょうが、すべての預貯金を繰り上げ返済にまわすのはNGです。予期せぬ妊娠で専業主婦になる、失業・転職で年収がダウンする、自営業で売り上げが激減など、家計が大きく変化した場合、手元に現金がないのは危険。「繰り上げ貧乏」になるリスクがあります。ほかにも、マイホームの修繕費やリフォーム代が必要になります。

  • 繰り上げ返済せずに、手元に残すべき現金のどれくらい?

    では、いくら位を手元に残しておくかに関しては、正直に言うと、会社員か自営業か、共働きかどうか、子どもの年齢や有無、保険の加入状況によって違いますが、手元に残しておく貯蓄の目安は、生活費×6カ月+使用する可能性のある30万円以上の支出分(例えば、結婚式代、お車の買い替え費用、家の頭金等)が一般的です。

  • また、繰り上げ返済は、利息の割合が高い初期に返済するのが効果的。後半になると元金の割合が増え、軽減効果もさほどないので、繰り上げ返済を無理してやる必要はありません。子どもの年齢や受験の有無によっては、預貯金は子どもの教育費にそなえたほうがいいケースもあり、ファイナンシャルプランナーなどに相談してみるのも手です。

    ファイナンシャルプランナー 相談
  • 超低金利時代なら、投資にまわすほうがいい?

    実は、今は金利1%も満たない住宅ローンが主流で、急激に金利上昇することは考えにくい市況です。例えば、「家計的にそんなにローン返済は負担ではない」「定年までにはローンを返し終える予定」なら、金利1%以下の住宅ローンは無理して繰り上げ返済をする必要がないといえます。それよりも教育費や家の修繕費を優先させたほうが良いケースもあるからです。

  • 超低金利なので、預貯金を投資にまわすほうがいいという考え方もあり、実際、「住宅ローンは最大限借りて、住宅ローン控除の恩恵を受けつつ、預貯金は資金運用! 」という強者もいます。ただ、元本保証で住宅ローンの金利以上の利回りを得られる投資先はほぼなく、「リスクは取りたくない」慎重派には難しいのが実情でしょう。

  • また、超低金利で無理して繰り上げ返済する必要はありませんが、住宅ローンは最長35年と長期戦。金利が上がるリスクも無視できません。その場合は、毎月の支払額が変更になるまでの猶予期間に、繰り上げ返済をするための預貯金をすることをオススメします。

  • 住宅ローン控除VS繰り上げ返済。結局どっちを優先させたほうが得?

    また、繰り上げ返済を頑張りすぎると住宅ローン控除で損をするリスクもありえます。住宅ローン減税は、一定の要件を満たしていれば、ローンの支払い開始から10年間(現在は特例として13年間に延長予定)、年末の住宅ローン残高の1%が所得税・住民税から控除されるというもの。繰り上げ返済で住宅ローン残高が減れば、当然、戻ってくるお金も減ります。

  • では、住宅ローン控除の適用が終わった13年後に繰り上げ返済をしたほうが得?と考える人もいるでしょう。しかし、繰り上げ返済は、毎月の返済額がほぼ利息の早い段階で返すほうがお得なので一概にはいえません。

  • 結局、住宅ローン控除で戻っているお金と、繰り上げ返済でトクするお金のどっちが多いかについては、ケースバイケース。借りている金融機関に問い合わせてみましょう。超低金利で借りている、バリバリの共働きで夫婦ふたりとも住宅ローン控除を受けているケースなどは、住宅ローン控除の方を優先させたほうがお得かもしれません。

  • 【まとめ】無理はしない&FPに相談してライフプラン表の作成を!

    繰り上げ返済についてのリスクについて紹介しましたが、シンプルに得かどうかを考えると無駄な利息を支払わないでよくなる繰り上げ返済は、断然「お得」です。要は無理をしないということ。「収入はまあまあ高いけれど、つい無駄使いをしてしまう」と自覚している人は、繰り上げ返済をひとつの貯蓄の目標額にするのは効果的です。

  • そもそも、繰り上げ返済を前提とする資金計画は避けたほうがいいのが鉄則。例えばローンの借り手となる夫が40歳で最長の35年ローンを組むと、ローン完済時は75歳。“繰り上げ返済でなんとかする”考えは危険です。40代、50代は子どもの教育費のピークで思いのほか繰り上げ返済ができないもの。結局、住宅ローンを退職金で支払って、老後資金が貯まっていない最悪の事態になりうる可能性もあります。繰り上げ返済をせずとも返済可能な資金計画、無理しない予算設定を前提に考えることが一番大切です。そのためにも、ファイナンシャルプランナーにライフプラン表を作成してもらい、今後のお金の流れを確認したうえで、貯蓄をするのか・返済をするのか相談&判断をしましょう!

  • ファイナンシャルプランナー 加倉井 慎さん

    教えてくれたのはこの方 ファイナンシャルプランナー 加倉井 慎さん
    医療業界の営業を経て、フィナンシャルプランナーに転身。家計の見直し、保険相談、不動産売買のアドバイス、住宅ローンなどの相談を受け、担当世帯400世帯以上。大手金融機関社内で表彰される。2021年MDRT会員。お客様に寄り添うアドバイスで、「一家に一人、加倉井を」という存在を目指して活動中。https://ikkanihitori.com/profile/

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