

認定こども園とは?保育料は高いの?年収による違いや徴収方法を解説!
子どもの保育施設探しは保護者にとっての大仕事。保育園以外にも「認定こども園」という施設もあることを知っていますか?
今回は、「認定こども園」の概要や保育所等の違い、保育料は年収でどう変わるのか、幼児教育の無償化の対象になるかどうかなどについて見ていきましょう。
認定こども園とは?各保育施設の違いや種類について
従来の保育所や幼稚園と認定こども園の違いを見てみましょう。
・保育所
保育所は厚生労働省の管轄で、「福祉施設」としての役割を担っています。就業、介護、病気などの事情があり、保護者が保育できない状態の場合に、保護者に代わって保育を行う場とされています。
子どもが0歳~小学校就学前まで利用できます。
・幼稚園
幼稚園は文部科学省の管轄で「教育施設」としての役割があります。義務教育ではないものの、学校教育法に基づく施設で、「教育要領」に基づく教育の場です。
利用できるのは一般的に3歳~小学校就学前までの子ども。保育所の保育時間が1日最大11時間程度であるのに対し、幼稚園は4時間程度が一般的です。
・認定こども園
認定こども園は、ひとことで言うと、保育園と幼稚園の機能を一体化した施設です。子どもは保育、教育ともに受けることができます。
子どもが0歳~小学校就学前まで、保護者の就労状況にかかわらず利用可能です。保育時間も保育所と同様です。
2006年に「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」に基づいて発足した施設であるため、まだ知らない人も多いのではないでしょうか。
どの施設を利用するにしろ、まずは市区町村から利用のための認定を受けなければなりません。認定は子どもの年齢や保育の必要性に応じて3つの区分に分かれています。
1号認定 2号認定 3号認定 満3歳以上 3歳未満 教育を受けることを希望 保育が必要となる事由にあたり、保育を受けることを希望 幼稚園、認定こども園 保育所、認定こども園 保育所、認定こども園など 出典:内閣府「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」をもとに筆者作表
また、2号、3号は保育を必要とする理由や就労時間等に応じて「保育標準時間(11時間保育)」と「保育短時間(8時間保育)」の2区分に分かれます。
保育所/認定こども園の保育料の計算方法について
保育料は認定区分ごとに国が定めている月額上限の範囲内で、次の条件をもとに市区町村が決定します。
・支給認定区分(1号~3号)
・保育時間認定区分(標準か短時間)
・保護者の世帯の住民税(市区町村民税)の所得割課税額
・施設を使用している兄弟姉妹の人数
つまり、認定区分も他の条件も同じであれば、どちらを選んでも利用料は同じです。
ただし、実際にはスクールバス、教材費等、またより質の高い教育・保育を受けるための費用負担(上乗せ徴収・特定負担額等)などが必要となる場合があります。この費用は施設ごとに異なります。
保育料算定に必要な条件は同じでも、実は利用料は大きな地域差があります。各市区町村は所得割課税額に応じた料金階層を地域事情等に応じて設定しており、たとえば東京都世田谷区では33階層に分かれていますが、山梨県南アルプス市では全部で11階層となっています。
具体的な金額でいうと、たとえば3歳未満(標準保育時間・兄弟なし)の月額利用料は次のような状況です(2020年8月現在)。
東京都世田谷区:0円~7万9,000円
山梨県南アルプス市:0円~4万7,000円
自分の自治体の利用料金がどうなのか確認してみましょう。
保育所/認定こども園の保育料の徴収方法について
保育所、認定こども園ともに市区町村が利用料を決定しますが、保育料の支払い先は通う施設によって異なります。
保育所(公立・私立):施設のある市区町村
認定こども園:利用する施設
認可外保育所などに通う場合には、直接施設に支払います。また、後述しますが幼稚園では利用料は無償です。しかし、保護者負担が必要な費用もあり、これは幼稚園に直接支払います。
なお、施設(自治体)によって指定される徴収方法が異なります。一般的には次の方法があります。
・口座振替
・振込(金融機関窓口、コンビニなど)
保育料の無償化について
2019年10月から「幼児教育無償化」がスタートしています。無償化となる条件を知っておきましょう。
3歳~5歳まで:幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料
・保護者の収入条件なし
・私立幼稚園のうち私学助成を受けている私立幼稚園、国立大学附属幼稚園など、無償化制度の対象とならない幼稚園の場合、月額約2万5,700円まで無償の対象
・通園送迎費、食材料費、行事費などは無償の対象外
0歳~2歳まで:保育所、認定こども園などの利用料
・住民税非課税世帯の子であること
詳しくは、市区町村の窓口で確認してください。
住民税非課税世帯についての記事はこちら
まとめ
2015年度から始まった「子ども・子育て支援制度」で認定こども園の普及が図られています。
保育施設の選択肢が増えているのは、保護者には喜ばしいことでしょう。年齢などの条件が同じなら、保育所と認定こども園で利用料金が変わることがないのも助かります。
地域の認定こども園や保育所の情報は自治体のホームページでも確認できます。子どもが喜んで通えるよう、しっかりチェックすることで、希望する施設が見つかるといいですね。
※本ページに記載されている情報は2020年8月5日時点のものです
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執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
エフピーウーマン(http://www.fpwoman.co.jp/ )