産休・育休中にもらえる手当はいくら?いつもらえるの?計算方法などを一覧で解説!
産休・育休中にもらえる手当はいくら?いつもらえるの?計算方法などを一覧で解説!
公開日 2020/09/18
更新日 2020/09/18

産休・育休中にもらえる手当はいくら?いつもらえるの?計算方法などを一覧で解説!

産休(産前産後休業)や育休(育児休業)中にもらえる諸手当にはどんなものがあるのでしょう?妊娠から出産にかけての時期はかかる費用だけでなく、収入面での影響も気になるもの。手当金が受給できる条件や金額の計算方法、いついくら程度もらえるのか?など、わかりやすく解説します!

執筆:續 恵美子(ファイナンシャルプランナー)

産休・育休中の手当はどんなものがあるの?

  • 産前産後休業・育児休業(以下、産休・育休)を取ると給料が払われない会社も多く、お金の心配をする人も多いと思います。そもそも妊娠・出産はお金がかかり、家計的には収入面と支出面の両方で負担がかかってしまいます。

  • そこで、出産する人の経済的負担を軽減するために設けられている様々な制度があります。

  • 加入している社会保険の種類によって給付される手当の種類が異なりますので、自分が何を、いくらもらえるのかをきちんと把握しておくことが大切です。

産休・育休中の手当についての計算方法や手続き一覧

  • (1)出産手当金

    産休中の生活を支援するための制度です。

    対象者・会社員など、勤務先の健康保険に加入している人。
    ・パートなど非正規雇用でも健康保険に加入している人。
    ・出産のために出産前後に仕事を休み、給料が支払われない場合に支給。

    計算方法「出産手当金の1日あたりの金額(※)」×産休日数
    (※)1日あたりの金額は次の計算式で算出
    「支給開始以前の継続した12ヵ月の各月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3

    支給期間「出産予定日前42日(※)」+「出産予定日から遅れた出産日までの日数(あれば)」+「産後56日」
    (※)双子などの多胎妊娠の場合は98日
    上記期間のうち、給与の支払いがなかった期間(ただし、給与の支払いがある場合でも、その給与が上記式で計算した出産手当金の額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額が支給される)

    申請方法必要書類:所定の申請書、健康保険証および母子手帳のコピーなど。
    提出先:加入している健康保険(協会けんぽや会社の健康保険組合など)

    退職の場合
    (注意点)
    産休中に退職する場合、退職後も引き続き、出産手当金の支給を受けるためには次の2点を満たすことが必要。
    1.「退職日」までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
    2.資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。ただし、退職日に出勤(勤務)した場合、退職日翌日以降の出産手当金は支給されない。

    出典:協会けんぽ「出産手当金について」を基に筆者作表

  • (2)出産育児一時金

    出産費用を支援する制度です。

    対象者・健康保険(被扶養被保険者を含む)、国民健康保険に加入している人。

    支給額一児につき42万円。
    ただし、産科医療補償制度(※)に加入していない分娩機関での出産や、胎児週数が22週未満での出産は40万4,000円。
    (※)生まれてきた赤ちゃんが重度の脳性まひになってしまった場合の補償制度。現在では、ほとんどの分娩機関が産科医療補償制度に加入している。

    支給方法次の2つの方法から選択。
    1.直接支払制度(受取代理制度)
    協会けんぽ等から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う。出産費用が42万円未満の場合、差額は本人に支給。
    医療機関が直接支払制度を導入していない場合、妊婦が出産育児一時金の申請の際に一時金の受取りを分娩する医療機関に委任すれば、協会けんぽ等から医療機関等に直接支払われる(受取代理制度)
    2.本人へ支給
    出産費用を医療機関の全額窓口で支払い、出産後に被保険者に直接支払われる。

    申請方法支給方法の選択により、申請書類が異なる。
    必要書類:所定の申請書、本人が直接受け取る場合には、出産費用の領収書のほか、医療機関と代理契約を締結しない旨の文書なども必要。
    提出先:加入している健康保険(協会けんぽや会社の健康保険組合、自治体窓口など)

    退職の場合
    (注意点)
    出産で退職する場合、次の条件を満たすことで退職前に加入していた健康保険から出産育児一時金が支給される。
    ・資格喪失の日の前日(退職日)まで被保険者期間が継続して1年以上。
    ・資格喪失日(退職日翌日)から6ヵ月以内に出産。
    退職後に加入している社会保険(配偶者の扶養被保険者、国民健康保険)とは重複で支給はされず、どちらかの申請先を選択することが必要。

    出典:協会けんぽ「出産育児一時金について」を基に筆者作表

  • (3)育児休業給付金

    育休中の生活を支援する制度です。

    対象者・雇用保険加入者で次の要件を満たす人。
    1.雇用保険料を支払っている。
    2.育児休業に入る前の2年間に11日以上働いた月が12カ月以上ある。
    3.育児休業中の給与が通常の80%未満である。
    4.育児休業後、退職予定がない。

    計算方法1支給単位期間(原則30日)ごとの給付額は、次の計算式で算出。
    「休業開始時賃金日額(※1)×支給日数(原則30日)×給付率(※2)
    (※1)「育児休業に入る前6カ月間の賃金」÷180
    (※2)最初の6カ月間は67%、以後は50%
    なお、育児休業給付金を計算するための賃金月額には上限(45万4,200円)と下限(7万5,000円)が設けられている。

    支給期間子どもの1歳の誕生日の前日までの範囲で、職場復帰日の前日まで。ただし、一定の要件を満たし、1歳6ヵ月または2歳まで育児休業延長する場合には、最大1歳6ヵ月または2歳となる日の前日まで。

    申請方法会社経由でハローワークに申請。
    申請期限:初回は休業開始日の初日から起算して4カ月を経過する日の属する月末まで。以後は2ヵ月ごと。
    必要書類:賃金月額証明書など会社が用意する書類もあるが、本人が用意するものとしてマイナンバー、母子手帳のコピーなどが必要。

    注意点初回支給は申請後に支給決定を受けてから約1週間後に入金されるが、初回申請期間として約4ヵ月あるためすぐに手当をもらえない可能性も。以後も2ヵ月ごとの支給となることに注意。

    出典:厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」を参考に筆者作表

  • (4)社会保険料免除

    産休・育休中に健康保険や公的年金の保険料が免除される制度です。

    対象者会社員自営業・フリーランスなど
    免除となる
    保険料

    ・健康保険料
    ・厚生年金保険料

    ・国民年金保険料
    免除期間産休・育休ともに、各休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月まで。ただし、休業終了日が月末日の場合は産前産後休業終了月まで。
    例1)産休終了日が9月10日の場合、8月分の保険料まで。
    例2)産休終了日が9月30日の場合、9月分の保険料まで。

    出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヵ月間。
    (多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヵ月前から6ヵ月間)
    例)出産予定日が9月10日の場合、8月~11月分の保険料まで。

    申請方法本人から会社に申し出ることにより、事業主が手続き。
    産休中の免除:産前産後休業中。
    育休中の免除:育児休業中の手続きとなるが、育休を延長する場合、延長の度に手続きが必要。

    住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口で本人が手続き。
    申請は出産予定日の6ヵ月前から可能。

    出典:日本年金機構「産前産後休業保険料免除制度」、「育児休業保険料免除制度」および「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」を基に筆者作表

  • (5)児童手当

    子どもの養育費を支援する制度です。

    対象者・中学校卒業までの子どもを養育している保護者。

    支給額子どもの年齢により、子ども1人当たり月額が異なる。
    ・3歳未満:1万5,000円
    ・3歳以上~小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5,000円)
    ・中学生:1万円
    所得制限限度額以上の場合、子どもの年齢にかかわらず:一律5,000円

    所得制限
    限度額

    税法上の扶養親族等の数により、次の通り。括弧内の金額は、給与所得者の場合の年収の目安。
    ・0人:622万円(833万3,000円)
    ・1人:660万円(875万6,000円)
    ・2人:698万円(917万8,000円)
    ・3人:736万円(960万円)
    ・4人:774万円(1,002万1,000円)

    支給方法認定請求をした月の翌月分から年3回(2月、6月、10月)口座振込みにて支給。

    申請方法認定請求(初めての請求)に加え、翌年以降は現況届が必要。
    1.認定請求
    必要書類:認定請求書、印鑑、申請者のマイナンバー確認書類、請求者および配偶者の課税所得証明書など。
    提出先:居住地の市区町村(郵送も可能)
    提出期限:期限はないが、出生日や転入日の翌日から15日以内に申請すれば翌月分から支給(遡って支給されない)
    2.現況届
    必要書類:市区町村から送られる現況届。
    提出期限:6月中。

    出典:内閣府「児童手当制度のご案内」を基に筆者作表

  • (6)乳幼児の医療費助成

    乳幼児への医療費負担を支援する制度です。

    対象者・乳幼児を養育している保護者。
    (対象となる子どもの年齢は自治体により異なる)
    例)
    東京都内の各市区町村の場合:6歳まで。
    (小・中学生は義務教育就学児医療費助成制度)
    大阪市の場合:18歳まで。

    助成範囲自治体により異なるが、多くの場合は公的医療保険の対象となる医療費、薬剤費の自己負担額を補助。

    所得制限
    限度額

    自治体により、所得制限の有無や限度額が異なる。
    例)大阪市の場合:
    ・小学校修了前までは所得制限なし。
    ・中学校就学からは対象となる子どもの親(所得の高い方)に所得制限あり。
    ・所得制限額は扶養親族等の数により異なる。

    助成方法・自治体より発行された医療証(自治体により名称が異なる)を医療機関窓口で提示することで、自己負担額から補助分が差し引かれて請求される。
    ・医療証を発行した自治体外で受信した場合は、後日自治体に請求することで還付される。

    申請方法申請先:居住地の市区町村窓口。
    必要書類:健康保険証、印鑑、本人確認書類など。
    ※必要書類は自治体により異なるため、必ず確認のこと。

    出典:東京都福祉保健局「乳幼児医療費助成制度」および大阪市「こどもの医療費を助成します」を基に筆者作表

  • (7)高額療養費

    妊娠、出産、産後の入院などで医療費が高額になった場合に利用できる制度です。

    対象者ひと月あたりの医療費支払額が自己負担限度額を超えた人

    支給額自己負担限度額を超えた分が還付される

    自己負担
    限度額

    年齢および所得額に応じて決まる
    例)69歳以下の場合:
    ・年収約370万円まで:5万7,600円
    ・年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%
    ・年収約770万円~約1,160万円:16万7,400円+(医療費-55万8,000円)×1%

    支給方法次のいずれかを選択
    1.後日還付
    申請後、還付額が申請者の口座に振込まれる
    2.限度額適用認定証
    限度額適用認定証を医療機関窓口で提示することで、自己負担限度額を超える分は支払いの必要がなくなる

    申請方法申請先:加入している健康保険(協会けんぽや会社の健康保険組合、自治体窓口など)
    必要書類:
    1.後日還付の場合:高額療養費支給申請書
    2.限度額適用認定証の場合:限度額適用認定証申請書

    出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作表

  • (8)基本手当(失業給付)

    妊娠や出産を機に退職し、産後再就職の意思がある場合に利用できます。

    対象者次の要件を満たす人
    1.離職前1年間に6ヵ月以上雇用保険に加入していた(自己都合の場合は2年間で12ヵ月以上)
    2.失業状態にある
    3.ハローワークで求職の申込みをしている

    受給有効
    期間
    退職の翌日から1年以内。
    ただし、妊娠、出産、育児などで離職後すぐに働けない場合、最長3年間の延長可能。

    計算方法

    支給額は次の計算式で算出。
    (離職日前6ヵ月の賃金合計額/180)×給付率(※1)×失業日数(※2)
    (※1)給付率は離職時の賃金により50~80%(60歳未満の場合)
    (※2)離職理由、雇用保険加入期間、年齢等により最大90日

    ただし、基本手当日額には、年齢により6,850円~8,370円の上限あり(2020年8月1日現在)

    失業給付
    申請方法

    ハローワークに申請
    申請期限:初回は離職後。以後は原則として4週に1回
    必要書類:会社から交付された離職票、マイナンバー、印鑑、証明写真など

    受給期間
    延長申請方法
    ハローワークに申請
    申請期限:退職の翌日から30日経過後
    必要書類:会社から交付された離職票、受給期間延長申請書、延長の理由を証明する書類など

    出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」を基に筆者作表

まとめ

  • 加入している社会保険の種類によって受けられる手当や免除制度が異なりますが、出産前後の経済的な支援制度は数々あります。とはいえ、これらのすべては自らの申請により受けられるもので、自動的に支給されるものではありません。

  • 妊娠すると身体や精神的な変化が起こり、普段に比べて不安やストレスを感じてしまう女性も少なくありません。胎児の健やかな発育のためには、母親がストレスを感じず妊娠ライフを楽しむことが大切だと言われています。

  • お金の心配をしなくていいように、今回紹介した計算式に自分の給料を当てはめて、もらえる手当金額の目安やいつもらえるかを確認しておくといいですね。

  • ※本ページに記載されている情報は2020年8月4日時点のものです

  • 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)

    執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)
    生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
    エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/

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