

育児休業給付金の受給資格や期間など申請方法を解説
最近では、出産をしても仕事に復帰する人が増えてきました。
出産前後に取得できるのが産前産後休業ですが、産前産後休業の期間が終わるとそのまま育児休業を利用する人も多いかと思います。安心して育児休業を取れるよう、育児休業給付金制度と申請の仕方を詳しくお伝えします。
育児休業給付金とは?
会社員は子どもが1歳になるまでは育児休業を取ることができます。
出産前6週間と出産後8週間は、産前産後休業として労働基準法に定められていますが、それに加えて育児介護休業法によって、産前産後休業後に育児休業を取ることが認められています。
しかし、育児休業中は会社からの給料は発生しないため、収入が途絶えてしまいます。それを補うために給付されるのが「育児休業給付金」です。
会社員は毎月給与から社会保険料が差し引かれています。そして、社会保険の中の1つに雇用保険があります。雇用保険に1年以上加入していることで、原則産後休業期間が終了した次の日から、子どもが1歳になるまで休暇を取った場合に育児休業給付金が支給されます。
また最近では、父親が育児休業をとる家庭も増えつつありますが、同じように父親も会社で1年以上雇用保険に加入している場合、育児休業給付金が支給されます。
父母共に育児休業を取得する「パパママ育休プラス制度」を利用した場合は、子どもが1歳2カ月になるまで支給されます。
ところで、最近問題になっているのが、仕事に復帰したくてもなかなか保育園が見つからないということです。
そのため、2017年10月1日より制度が改正され、仕事に復帰する予定なのに保育園が見つからない場合、子どもが2歳になるまで育児休業給付金の支給が延長されるようになりました。
この制度を利用するには、子どもが1歳から1歳6カ月までの間に育児休業給付金の延長申請をしておく必要があります。
待機児童が多い地域に住んでいて、保育園が見つからないことが予想される場合は、早めに手続きをしておくと安心です。
育児休業給付金の受給条件
育児休業給付金をもらうための条件は、その他にも以下のようなものがあります。
・育児休業中に、休業開始前の給料の8割以上の賃金を支払われていない
・育児休業前の2年間のうち11日以上働いた月が12カ月以上ある
・就業している日数が各支給単位期間で10日以下である
育児休業給付金、いくらもらえる?
育児休業給付金の気になる支給額ですが、最初の180日は1日当たり給料日額の67%、181日以降は育児休業が終了するまで1日当たり給料日額の50%が支給されます。
なお、育児休業給付金を受給している間は、健康保険や厚生年金保険において被保険者のままですが、保険料は免除されます。
では、実際に育児休業給付金がいくらもらえるのか、例をあげて計算してみましょう。
ここでは、計算がわかりやすいように休業開始直前の6カ月で180万円(1日1万円)の給与を得ていたとしてみていきます。
育児休業給付金計算例 育児休業開始日から180日 育児休業開始日から181日以降 支給額の計算式 休業開始時賃金日額×30日×67% 休業開始時賃金日額×30日×50% 日額1万円の場合 1万円×30×0.67 1万円×30×0.5 支給額 20万1,000円 15万円 出典:厚生労働省 「第11章育児休業給付について」より筆者計算
育児休業給付金の申請方法と注意点
育児休業給付金の申請手続きは、原則として会社を通じて行います。
産前産後休業前に、会社から「育児休業給付申請書」と「育児休業給付受給資格確認票」をもらっておきましょう。育児休業に入る1カ月前に会社に申請することで、会社の方からハローワークへ手続きをしてもらえることが多いです。
申請書に記入する時にはマイナンバーが必要になります。また、受給の手続きは2カ月ごとに追加の申請が必要です。
注意しておきたいこととしては、育児休業給付金には上限があります。
まず、賃金月額の上限額は45万4,200円、下限額は7万5,000円です。そして、支給上限額は育児休業を開始してから180日までは30万4,314円、181日以降は22万7,100円です(2019年8月1日以降)。
また、政府が今後育児休業給付金の水準を、最大で賃金の67%から80%に引き上げる方向で検討しているとの報道も入ってきています。出産はもう少し先、という人は最新の情報をチェックしておくといいでしょう。
子どもが生まれると思った以上に出費がかさみます。利用できる制度を知っておくことで、安心して育児休業を過ごすことができますね。ぜひ、夫婦で話し合って上手に育児休業を利用してくださいね。
※本ページに記載されている情報は2020年7月13日時点のものです
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執筆者プロフィール 安部 智香(ファイナンシャルプランナー)
女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表、
ファイナンシャル・プランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)、一種外務員資格
短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用のアドバイスを担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書は『幸せなお金持ちになるマネーレッスン♪』 (パブラボ)
エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/)
監修:株式会社プラチナ・コンシェルジュ