

【FP解説】理想のエンゲル係数とは?日本の平均や食費を節約するコツ
「子ども達が育ち盛りで、最近食べる量がどんどん増えている」「夫婦共に仕事が忙しく、帰宅後すぐに食べられるお惣菜やお弁当に頼りがち」あなたの家計、食費が膨れ上がっていませんか?エンゲル係数も高くなっているはず!?そんな時でも節約の方法はあります。簡単に実践できて効果ある食費節約のコツや、食費以外の節約で食費の上昇をカバーするコツなどをお伝えします。
執筆者名:高野由佳(ファイナンシャルプランナー)【エンゲル係数】とは?
エンゲル係数とは、家計支出に占める食費の比率。食費に使ったお金が家計全体の何%だったかという数値です。一般的に「エンゲル係数が高い家計は生活水準が低く、エンゲル係数が低い家計は生活水準が高い」と言われています。この法則は「収入が多くなるにつれて、家計支出に占める食費の比率は低くなる」ということを論文で発表したドイツの社会統計学者エンゲルの名前にちなんで【エンゲルの法則】と呼ばれています。
しかし最近では、この法則が必ずしも当てはまるとは限りません。収入が多く生活水準が高い高齢者や共働き夫婦、独身者の中には、エンゲル係数が高くなることを承知の上で、食のアウトソーシング化(自炊せず、外食やお弁当、お惣菜、テイクアウト等を利用すること)が増えつつあるからです。
「収入別」「地方別」食費の平均値と理想のエンゲル係数
*収入別エンゲル係数(二人以上世帯)
0~212万円 31.4% ~300万円 29.9% ~355万円 28.6% ~418万円 27.2% ~491万円 26.0% ~573万円 25.8% ~665万円 25.4% ~777万円 25.0% ~937万円 23.2% ~1,449万円 21.7%
*地方別エンゲル係数(二人以上世帯)
北海道 24.8% 東北 25.3% 北陸 24.7% 関東 25.9% 東海 25.0% 近畿 27.0% 中国 24.3% 四国 24.6% 九州 24.9% 沖縄 27.8%
出典:「2019年家計調査結果」(総務省統計局)
これらの調査から、エンゲル係数の平均値は約26%のようです。例えば、手取り収入が30万円の場合、食費に毎月約8万円使っている計算になります。
エンゲル係数の理想値は、家庭環境はもちろん、お金をどのような項目に使いたいと考えているかなどにも違いがあるため、一概には言えませんが、毎月が赤字家計であるなら、まずは平均値である約26%、毎月黒字家計で貯金額を増やしたいのであれば、平均値以下の約20~25%を理想値の目安にしてみてください。
食費を節約するコツ
食費を節約することで、家計支出を節約するコツやエンゲル係数を低く抑えるコツをご紹介します。
【なるべく自炊をする】
特に子どもがいる家庭であれば、自炊が食費の節約になることはみなさん百も承知ですよね。しかし、仕事や子育てで時間もなく疲れている時、自炊するのが面倒なのも分かります。そんな時のために「焼くだけ」「混ぜるだけ」といった時短で簡単な自炊メニューを準備しておくと、お弁当を買いに行くより楽かも。育ち盛りの子どもや家族にとって、時間や手間をかけたメニューだけが「美味しい料理」とは限りませんのでおススメです。
【食材を使い切る】
食材を使い切ることで食費はかなり減らせます。そのためには「よく使う食材」や「家族が好きな食材」だけを定番化することをおススメします。日ごろ使わない食材は、その日に使い切れる自信がある時だけ買うようにしましょう。食材を定番化することで、新しいレシピを検索するのも時間がかかりませんし、一度に切っておく、一度に茹でておくといった作業もでき便利ですよ。
【安く買うより、行く回数を減らす】
食費を減らす買い物のコツは、行く回数を減らすこと。買い物に行き特売品を見ると「今買っておいた方がお得かも」と思います。行く回数を減らせば、それもありません。節約上手な人は、週1~2回、特売品かどうかに関係なく、買い物リストの品だけを買うと決めているようです。買い物の回数を減らせば、他のことに使える時間も増え、生活に余裕が生まれます。
【嗜好品の量を整える】
嗜好品とは、お酒・ジュース・コーヒー・お茶・お菓子等のこと。これらも食費ですが、体を健康に保つために必ず摂取すべき飲食物とは少々違います。心の健康に必要なのかもしれません。嗜好品を全てなくしましょうとは言いませんが、日々の生活を見直すことで、嗜好品以外で心の健康を維持できるものがあるのなら、摂取量を整えることで食費の節約になる場合もあります。
【外食は食費?交際費?それとも娯楽費?】
外食を食費と判断するか、交際費や娯楽費と判断するかは迷うところです。いろんな人との交流を目的に会食するのは交際費ですし、美味しい物を食べ歩くことが家族の休日の楽しみであれば娯楽費です。外食を全て食費と判断するのではなく、他の支出項目と判断して管理することも食費節約のコツです。
食費以外で家計を節約するコツ
「食費は、娯楽費でもあり交際費でもあるので、食費節約やエンゲル係数を気にせずお金を使いたい」そんな人向けに食費以外で家計節約するコツをご紹介します。
【住宅費】
今より古く狭い物件だけど近くに美味しいお店が集まる場所に引っ越して家賃を節約する。自炊をほとんどしないので、調理家電や調理グッズ、食器類は買い足さず必要最小限で暮らす。家具やインテリアにお金をかけない。など、自分に合ったライフスタイルでお金の使い方にメリハリをつけましょう。
【美容・服飾費】
日常のお手入れは自宅で、特別な時にだけ専門家に頼む。洋服やバッグ、靴などは、バーゲンセールのたびに買うのではなく、自分が欲しいタイミングで欲しい物だけを厳選して買う。クローゼットで眠っている物はフリマアプリに出品する。など、家にある物が減ると、お金も時間も空間も節約できます。
【交際費】
「誘われたからなんとなく」「みんな行くから私も」そんな理由で参加している食事会やパーティーはありませんか?参加するかどうかは勇気を持って自分の意思で決めましょう。自分が決めて参加した食事会なら、良い出会いもきっとあるはず。
【趣味・娯楽費】
あなたは趣味が多いですか?多趣味な人は、道具を揃えるだけでもお金がかかります。この先、長く深く楽しめそうな趣味に絞るのも節約になります。休日のレジャーなども「今日は美味しい物を食べよう」「今回はドライブ自体を楽しもう」といったように、目的を絞ると節約できます。
番外編【収入を増やす】
今までは節約のコツをお伝えしましたが「収入を増やす」ことも家計改善の近道です。しかし、収入が増える生活に変わることで、支出が増えることも考えられます。収入以上に支出が増えるようでは本末転倒です。収入と支出をシミュレーションして、職場や働き方を選択しましょう。
エンゲル係数と幸せの関係
エンゲル係数の平均値や理想値、そして食費やそれ以外の節約のコツをお伝えしましたが、いかがでしたか?エンゲル係数も高いよりは低いほうが良いですし、節約する金額も小さいよりは大きいに越したことはありません。しかし、日々の楽しみや幸せを奪ってまで頑張る必要もありません。あなたやあなたの家族にとって、日々の楽しみや幸せとは何でしょう?美味しい物を食べること?家族で旅行に出かけること?お家でゆっくり過ごすこと?楽しみや幸せのためにお金を使えるよう“使いどころ”と“節約どころ”を整えることこそが大切です。
※ 本ページに記載されている情報は2020年4月6日時点のものです
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執筆者プロフィール 髙野由佳(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
“あなたは、あなたのままでいい”
「今」を丁寧に穏やかに、自由で幸せな日々を実感できる女性たちを応援しています。女性たちの【お悩み総合窓口】で在りたい思いから、おしゃべりカフェやミニセミナー、個人セッション等で活動中の独立系FPです。