「就業不能保険」は、働くママの味方になる?傷病手当金との違いは?
「就業不能保険」は、働くママの味方になる?傷病手当金との違いは?
公開日 2020/02/26
更新日 2020/02/26

「就業不能保険」は、働くママの味方になる?傷病手当金との違いは?

病気やケガで働けなくなって収入が減ったらどうしよう……こんな不安は、働くママなら一度や二度、感じたことがあるのではないでしょうか。そんなとき生活の支えになる「就業不能保険」を知っていますか。そもそも就業不能保険って役に立つの?たとえばうつ病でももらえる?今入っている医療保険との違いは何?私には必要?という疑問から、働けないときに受けられる社会保障制度のことまで、FPがわかりやすくお伝えします。

執筆:佐藤彩菜(ファイナンシャルプランナー)

就業不能保険ってなに?

  • 働けないときの収入減少のリスクに備えるもの

    就業不能保険とは、病気やケガで働けない状態が長く続いたとき、収入が減るリスクに備える保険のことです。働けない日数が一定期間を超えたときから、働けない期間が続く間は毎月保険金を受け取れるため、お給料がもらえなくなった時に生活の支えとなります。保険金給付の条件は保険会社ごとに異なりますが、多くは入院または在宅療養をしている状態で、医師が働けないと判断することが必要です。

  • 【図1 就業不能保険のイメージ】

    就業不能保険
  • 医療保険や収入保障保険との違い

    私たちになじみがある保険のひとつである、医療保険に加入している人は多いでしょう。医療保険の多くは入院日数や手術の種類に応じて、保険金を受け取れます。一方で就業不能保険は病気やケガで入院したり、自宅療養したりする期間が一定期間を超えると保険金を受け取れます。入院だけでなく自宅療養中でも生活費を補ってくれるので、休職中のお金の不安を和らげてくれることでしょう。

  • 似た名前の保険に収入保障保険があります。収入保障保険は被保険者が亡くなったとき、遺された家族が保険金を受け取れる死亡タイプの保険です。収入保障保険の目的は被保険者の「死亡」保障に備えるもので、病気やケガで働けなくなったときの収入減少はカバーできません。

「働けない」の支えになる社会保障とは

  • 病気やケガで働けないとき、収入が一切途絶えてしまうかというと、そんなことはありません。会社の健康保険から給付される「傷病手当金」と公的年金から支給される「障害年金」があります。ただ、会社員や公務員の方とフリーランス(自営業)の方の場合では、受けられる給付内容が異なります。フリーランスの場合は給付が受けられるまでに1年6カ月以上の期間が必要となるので注意が必要です。

  • 傷病手当金

    会社員であれば、3日間連続して働けない場合に4日目から傷病手当金が出ます。金額は月給(標準報酬月額)の約3分の2で、受け取りを開始した日から最長で1年6カ月間、受け取ることができます。

  • 傷病手当金は、会社の健康保険組合によって独自の付加給付を設けていることもあります。たとえば給付額を月給の80%まで上乗せしてくれたり、給付期間を最長2年に延ばしたりしている場合もあるのです。付加給付については健康保険組合のホームページ等で確認することができるので、気になる人はぜひ確認してみてください。

  • 傷病手当金を受けるには、健康保険に加入していることが条件です。フリーランスの人が加入している国民健康保険では、受け取ることができないので注意してください。

  • 障害年金

    病気やケガによって生活や仕事などが制限される場合に、受け取ることができる年金です。初診日から1年6カ月を経過した日・または20歳に達した日に、障害状態にあるか、65歳に達する日の前日までに障害状態となった場合に給付が受けられます。年金額は初診日に加入していた公的年金の種類や障害の程度、配偶者、子どもの人数等によって異なります。

  • たとえばフリーランスのシングルマザーで子どもが1人いる人が障害等級2級に認定された場合、障害年金として受け取れる金額は1年あたり約100万円です。

  • 【図2 傷病手当金と障害年金のイメージ】

    就業不能保険 傷病手当金 障害年金

働けないときの収入減少をイメージしよう

  • 病気やケガで働けないときは一定の社会保障があると分かったところで、そうなったときの経済状態をイメージしてみましょう。生活費は傷病手当金があれば大丈夫という人も、忘れがちな以下の項目についてチェックしてみてください。

  • ボーナスがなくても生活できるか

    住宅ローンやその他ローンの返済は行えるか

    教育資金などの貯蓄計画が大きくずれることはないか

  • 傷病手当金は毎月一定額、賞与は対象外

    傷病手当金は月給(標準報酬月額)によって金額が決まるため、ボーナス月に金額が増えることはありません。月給に加えてボーナスを頼りに生活している場合は、就業不能保険に入る際にボーナスを考慮して受取額を決めると良いでしょう。

  • 貯金も大事!

    毎月の収入減少がイメージでき、傷病手当金だけでは足りないと思った人もいるかもしれません。ですが、必ずしも就業不能保険で備える必要はありません。これまで貯めてきた貯金も収入減少を助けてくれます。貯金で補えない部分があれば、就業不能保険へ入ることを検討しましょう。

  • 緊急時に役立つのは、すぐに引き出せる普通預金です。積立定期やつみたてNISA、などの投信積立、貯蓄性のある保険を貯金の代わりにしている人も多いですが、解約に手間がかかったり、タイミングによっては損することが想定されます。そのためある程度の普通預金を持っておくと安心でしょう。

就業不能保険に入るときに気をつけたいこと

  • 給付要件は案外厳しい

    保険金の給付要件は保険会社ごとに異なりますが、病気やケガで働けないからといって、すぐに保険金が受け取れるものはありません。要件を満たす期間(免責期間)が60日かそれ以上と定めているところが多いからです。数日から数週間で仕事に復帰できるような軽い病気やケガでは保険金が受け取れないことがほとんどです。また、うつ病のような精神疾患は、給付対象外であったり、入院しないともらえなかったり、給付回数が制限されているなどの保険もあります。

    給付要件は保険に入るときにしっかりと確認しましょう。

  • 保険ですべてカバーしようと思えば高くなる

    社会保障で補えない収入をすべて就業不能保険でカバーしようと思うと、当然のことながら保険料が上がります。万が一の事態に備えるあまり、日々の生活が苦しくなっては本末転倒です。保険料の負担が重いと感じられる場合は、「住宅ローンの返済額程度の保障額にする」、「子どもの教育費が貯まるまでの期間限定で加入する」……といったように保障額を小さくしたり、資金計画を踏まえて保険期間を設定したりするなど最低限の保障に留めておきましょう。

  • いかがでしたか?

    会社員・公務員の方が病気やケガで働けなくなった時、真っ先に受け取れる社会保障は傷病手当金です。まずは月給の約3分の2を受け取って生活できるかをイメージして、不足があれば就業不能保険に入ることを検討すると良いでしょう。

  • フリーランスの方が加入している国民健康保険には、傷病手当金がありません。病気やケガで働けなくなったときの影響は大きいといえます。就業不能保険に加えて、いざというときの貯金も大事。貯金と保険の両輪で、もしものときに備えましょう。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年2月17日時点のものです

  • 佐藤彩菜(さとうあやな)

    執筆者プロフィール 佐藤彩菜(さとうあやな)
    株式会社FPフローリスト
    CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種証券外務員 信用金庫勤務を経て、お金のことを気軽に相談できる窓口になりたいという想いでFPとして活動を始める。お客様の結婚や出産、住宅取得など人生の転機にお金の不安なく笑顔で過ごせるよう、家計の見直しやライフプラン、資産運用のアドバイスを行う。

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