子どもが産まれたら考えたい「子どもの医療保険」の必要性
子どもが産まれたら考えたい「子どもの医療保険」の必要性
公開日 2020/02/21
更新日 2020/02/21

子どもが産まれたら考えたい「子どもの医療保険」の必要性

意外と知られていないのが、医療保険は「通院にかかった親の交通費」や「個室に変えたときの差額ベッド代」などにも利用できること。一般的には「医療保険は必要ない」と言われますが、それは本当なのでしょうか?日本には国民皆保険制度があり、家庭での自己負担が少ないのも事実です。我が家ではどうするか?方針を決めておくことが大切です。

執筆:向藤原 寛(ファイナンシャルプランナー)

健康保険でカバーできる子どもの医療費

  • 日本に住む私たちは、家族の勤め先の健康保険や、国民健康保険の制度に加入しているため、小さな子どもであっても医療費の負担は軽減されます。大人でも、貯蓄があれば医療保険はいらないという考え方の人もいます。大人と比べ、子どもであれば自治体の助成を受けられるケースが多い分、さらに必要性は限られます。まずは、健康保険の制度では、どのくらいの負担が必要なのか確認しましょう。

  • 医療費の自己負担は、小学校入学前の乳幼児は2割、6歳以上は3割で大人と同じになります。そして、月額の負担の上限額として高額療養費制度の対象になります。同じ健康保険制度に加入している家族単位で、収入に応じて1か月に支払う医療費の上限がもうけられています。

  • 自治体などの助成が受けられない場合は、皆さんが病院に行って支払う金額とあまり変わらないイメージですね。では、自治体の助成とはどんな制度になっているか確認しておきましょう。

住むところと収入で大きく変わる自己負担

  • 医療費の助成については、住んでいる地域により大きく違いますので、皆さんの住んでいる市区町村のホームページで確認しましょう。「住んでいる市区町村名 乳幼児医療費助成」とか、「住んでいる市区町村名 こども医療費助成」などと検索してみてください。小学校入学前と、それ以降など助成金額が異なり、分けて書かれている場合もありますので注意してください。

    もし、引っ越しを検討する予定がある場合、事前に自治体の医療費助成制度だけでなく、中学校や高校などの授業料の助成(私立の学校への進学を希望する人は特に)などについても確認しておきたいものです。

  • 地域格差は大きく、所得制限のある地域も

    医療費の助成制度としては、都道府県で助成の制度をもっていますが、基本は、市区町村に対して補助する形ですので、それぞれ、住んでいる市区町村の制度を確認する必要があります。ポイントとして、通院での助成と入院での助成の内容、年齢制限、一部負担のあるなしを確認しておきましょう。

    北海道の南富良野町では、町内の0歳から満22歳到達後最初の3月31日までの乳幼児、児童生徒、学生の医療費の全額助成を行っています。青森県や、宮崎県などでは、小学校入学前までの助成制度となっており、小学生以上の助成制度がない地域も存在します。

    東京都で比較しても、千代田区は、通院、入院ともに18歳年度末まで所得制限なく、一部自己負担もありませんが、立川市では、通院、入院ともに15歳年度末までの制度で、小学生以上には所得制限があり、通院の場合は、一部自己負担もあります。

    このように、住んでいる地域や、子どもの年齢、所得水準により、医療費の助成は受けられたり受けられなかったりしますので、住んでいる地域の助成の内容をしっかり確認してください。

  • 助成を受けるためには

    あらかじめ市区町村に申請し、医療証などを発行してもらい、健康保険証とあわせて提示すると助成により支払いしなくてよかったり、一部負担で済んだりします。

    子どもが生まれたばかりや、引っ越しなどにより、医療証などがまだ手元にない段階では、新規の申請が必要になります。資格開始の日が届け出た日からなのか、さかのぼれるかなど注意が必要です。

    窓口に行く必要があるか、郵送でも受け付けできるかなども確認しておきましょう。申請者は主たる生計の中心者(父母の場合、所得の高い方)、必要な書類等については、住んでいる市区町村のホームページなどで確認してください。不足書類は後送でも可、というケースもありますので、まずは早めに申請して手続きをしておきましょう。

  • 医療費の助成に所得制限がある自治体もあります。対象となる子どもの年齢や、被扶養者の人数により、限度額が異なります。所得制限にかかる可能性については、自治体のホームページなどで確認しておきましょう。

  • 予防接種について

    予防接種について、定期予防接種といわれる予防接種法に定めるものについては行政負担ですが、時期を外して受ける場合や、インフルエンザなどは基本的に自己負担となります。

  • 注意点として

    基本的に、各種健康保険の適用とならないものは、助成の対象になりません。たとえば差額ベッド代や、健康診断、文書料などです。また学校管理下での傷病など、「独立行政法人日本スポーツ振興センター」の災害共済給付制度対象の場合や、他の医療助成制度の適用分(健康保険組合などから支給される高額療養費・付加給付に該当する医療費など)についても、助成の対象になりませんのでご注意ください。

子どもの入院する確率は低い

  • 医療費が多くかかる状況ですと、入院を伴うケースがほとんどです。ここでは、子どものうちに、入院する可能性が高いのか低いのかについて、確認しておきましょう。

    厚生労働省の統計によると、10万人当たり入院する人数は、全年齢で、年間1,036人。年齢別にみると65歳以上の確率は年齢が上がるごとにかなり高くなっていきますが、若年層はそれほど高くなく、例えば30歳~34歳の年齢層で年間291人です。

    0歳児は別にして、1歳~4歳は年間169人、5歳~9歳でみると年間86人とかなり少なくなります。20歳までの間は100人前後と、この時期に入院する確率がかなり低いことが分かります。

    確率が低いからといって、絶対に入院するような病気にならないと決まっているわけではありません。思わぬ病気になる確率はいくらかありますので、そういった場合に貯蓄だけで心配なのであれば民間の医療保険を検討することになります。

子どもの医療保険に入るとしたら

  • 健康保険や、自治体の助成では、「先進医療」、「差額ベッド代」は対象になりません。入院中の食事代も助成の対象にならない地域が多いです。また、お母さんが、子どもの通院の交通費がかかったり、子どもに付き添うために会社を休むことになったり、看病でご家庭の所得に影響がでるケースもあるでしょう。

  • 確率的には小さくても、やはり心配なので医療保険に加入しようということであれば、子どもだけを対象にした医療保険や共済、大人になってもそのまま加入し続けられる保険商品など選択肢があります。商品によっては、けがの通院で保険金が支払われる商品もあります。入院した場合に一定額支払われる保障ですと、差額ベッド代や、食事代、交通費などに充当することもできます。

  • 大人になってもそのまま加入し続ける前提での医療保険を考えるときに悩ましいのが、保険料を一定期間までに払い終えて、終身の保障を備えるか、終身払い込む予定で、保険料を抑えるかの選択です。大きな病気をすると、通常の医療保険に加入できなくなるなどのリスクを回避し、子どもの将来の為に小さいうちから備えてあげようと考えることもできます。ただし、今後インフレになっていくと、医療保険で給付を受ける金額が医療費等に対し見劣りしていく可能性もあり、注意が必要です。

  • 確率的に考えると、子どもの小さいうちは、医療保険に入るよりも貯蓄を優先して、様々なリスクや、イベントへの備えを優先したいと考えます。ただし、ご家庭の収支、貯蓄の状況や、住んでいる地域などにより医療保険の必要性も大きく異なります。まずは住んでいる市区町村の制度から確認してみていただき、あとで後悔したり、慌てたりしないよう、わが家の方針を固めていただくことをお勧めします。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年2月14日時点のものです

  • 向藤原 寛(むこうふじわら ひろし)

    執筆者プロフィール 向藤原 寛(むこうふじわら ひろし)
    1986年証券会社に入社。2社にて25年間にわたり主に証券営業を経験。立川FP事務所代表、株式会社住まいと保険と資産管理所属FPとして活動。資産の形成、管理、承継に強いFPとして、ライフプランを中心に有料にて相談を受ける。FP相談ねっと認定FP、相続アドバイザー協議会上級アドバイザー、資産形成・承継研究会代表。

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