

【FP監修】国立大学は学費が安い?授業料と入学金の推移と賢い教育費の貯め方
2019年現在の国立大学4年間の学費は、入学金も含めると約240万円程度必要となります。私立大学に比べて安いイメージがありますが、実は上がり続けていることを知っていますか?
国立大学だからと油断していると後でビックリすることも!?
子どもが進学する時になって慌てないためにも、新しい制度など最新の情報を知って、今から賢く準備をしていきましょう。
国立大学と公立大学の違い
子どもが生まれると、必ず必要になるのが教育資金です。
生まれたばかりでは、子どもがどのような大学に進学するのか想像もつかないでしょう。でも、いざ進学となった時に、教育資金が準備できていないからという理由で、その大学を諦めさせなければならないのは困りますね。
大学進学なんてまだまだ先のこと……と、後回しにしないで、早いうちから計画的に教育資金を準備していきたいですね。
日本の大学は、大きく分けると「国立大学」「公立大学」「私立大学」の3つに分けることができます。
よく「国公立大学に行ってくれると学費が安いから助かる」と聞きますが、そもそも「国立大学」と「公立大学」はどのような違いがあるのでしょうか。
・国立大学とは
国立大学は、国立大学法人が設置している大学のことをいいます。簡単に言うと、国がお金を出して運営している大学です。国立大学は「学費が安い」というイメージがありますが、これは国の税金で運営されているからなのですね。
国立大学は、各都道府県に最低1つの大学が存在しています。
国立大学の学費は、どこの大学のどの学部でも基本的に同じです。ただし、医学部や薬学部など6年制の学部の場合は、4年制の学部に比べると2年間の学費が上乗せされることと、実習などの費用が多くかかることに注意が必要です。
・公立大学とは
公立大学は、公立大学法人が設置している大学のことをいいます。つまり、都道府県や市町村など地方公共団体がお金を出して運営している大学です。
そのため、公立大学は大学所在地に住んでいる人に対して、入学金が安く設定されている場合があります。
公立大学の学費は、基本的には国立大学に準じた金額になっていて、どの学部でも同じ学費です。ただし、国立大学と同じく医学部や薬学部は費用が多くかかる傾向にあります。
一般的に私立大学の理系は文系に比べると学費が高くなりますが、国公立大学なら理系を希望する学生にとっては安い学費で学ぶことができるというわけですね。
国立大学の授業料や入学金にかかる学費
このように、国立大学は全国どこの大学の学部で学んでも、学費が安いことがわかりました。
でも、実は皆さんが大学生だった頃に比べると、国立大学の学費は上がり続けていた時期がありました。
皆さんの子どもが大学に進学をする頃には、今の学費より高くなっている可能性があるということも視野に入れておきたいですね。
国立大学学費の推移
では、国立大学の学費はどのくらい上がり続けていたのでしょうか。
1990年からの推移をみていきましょう。
国立大学の授業料等の推移
授業料(円) 入学料(円) 1990年 339,600 206,000 1991年 375,600 206,000 1992年 375,600 230,000 1993年 411,600 230,000 1994年 411,600 260,000 1995年 447,600 260,000 1996年 447,600 270,000 1997年 469,200 270,000 1998年 469,200 275,000 1999年 478,800 275,000 2000年 478,800 277,000 2001年 496,800 277,000 2002年 496,800 282,000 2003年 520,800 282,000 2004年 520,800 282,000 2005年 535,800 282,000 出典:文部科学省『国立大学と私立大学の授業料等の推移』
2005年からは据え置かれていますが、今後も据え置かれるという保証はありません。子どもの成長とともに、学費についてもチェックしておきたいですね。
国立大学4年間の学費は?
ここまで見てきたように、2019年現在の国立大学4年間の学費は、入学金も含めると約240万円程度必要となります。もし、下宿するとなると、仕送りの費用などが加算されることになります。
知っておきたい授業料等減免と給付型奨学金
2020年4月から、住民税非課税世帯を対象に高等教育の就学支援新制度が始まります。
授業料等減免の制度と給付型奨学金の制度があります。
国立大学の場合、授業料等減免の制度を利用すると入学金は約28万円、授業料は1年間約54万円を上限に減免されます。
また、給付型奨学金は、日本学生支援機構が各学生に支給します。気になる支給額は国立大学の場合、自宅生は約35万円、自宅外生は約80万円です。
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生に対しては、年収の目安が約300万円未満の場合は住民税非課税世帯の学生の3分の2、年収の目安が約380万円未満の場合は住民税非課税世帯の学生の3分の1の支援が行われます。
この制度によって、経済的に地元の国立大学でないとムリだと思っていた学生も選択肢が広がる場合がありますね。
学費の賢い準備方法…児童手当を全額貯金
国立大学の学費がだいたい予想できたら、早いうちからコツコツ準備していきましょう。
・児童手当を全額貯金
子どもが生まれてから中学生までの間、児童手当が支給されます。児童手当(所得制限限度内)の1人当たりの金額は、0歳~3歳未満が1万5,000円、3歳以上~小学校6年生までの第1子、第2子は1万円、中学生は1万円です。これらのお金を全額貯めると、中学を卒業する時に約200万円貯まります。この200万円で、先ほど見てきた国立大学の4年間の学費の大部分を補うことができます。
まずは、児童手当をコツコツと200万円貯めることから始めましょう。
・下宿や医学部進学に備えるなら
もし、子どもが他府県の国立大学や医学部を希望した場合に備えて、毎月1万円を積み立てしていきたいですね。そうすると、子どもが大学に行く18歳にはさらに216万円が貯まっている計算になります。
積み立ての方法は、学資保険やつみたてNISAなどがあります。
学資保険は、親が契約者となって保険料を積み立てていき、子どもが18歳などあらかじめ設定した満期の年齢になったら満期保険金を受け取ることができます。保険金に加えてお祝い金を受け取ることができるものもあります。
学資保険は保険商品なので、万が一契約者が亡くなった場合以降の保険料の払い込みが免除になったり、育英年金がもらえたりする商品もあります。
ただし、保障が多いほど保険料が高くなったり、満期時に受け取る金額が払い込んだ金額より下回ったりする場合があります。本当に必要な保障は何か、加入する前にしっかり確認しておきたいですね。
また、つみたてNISAは、投資信託を利用して年間40万円まで、最大20年間非課税で積み立てしていくことができます。つみたてNISAでは金融庁が定めた手数料が安いなどの一定の基準をクリアした商品が用意されていますが、元本保証ではないため、必要な時に元本を下回っている場合があることに注意してくださいね。
国立大学の学費の現状についてお伝えしてきました。
子どもの教育資金は、子どもが生まれた時からコツコツ準備していくことが基本です。
そして、子どもが18歳になるまでの間に、いろいろな新しい制度が始まる場合があるかもしれません。常に最新の制度を知って、賢く教育資金を準備していってくださいね。
※ 本ページに記載されている情報は2019年12月7日時点のものです
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執筆者プロフィール 安部 智香(ファイナンシャルプランナー)
女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表、
ファイナンシャル・プランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)、一種外務員資格
短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用のアドバイスを担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書は『幸せなお金持ちになるマネーレッスン♪』 (パブラボ)
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