共働き夫婦が知っておきたい「扶養」の基礎知識。子どもの扶養はどうする?
共働き夫婦が知っておきたい「扶養」の基礎知識。子どもの扶養はどうする?
公開日 2019/05/30
更新日 2019/05/30

共働き夫婦が知っておきたい「扶養」の基礎知識。子どもの扶養はどうする?

結婚してある一定の条件を満たすと共働きでも配偶者の扶養に入れます。扶養に入ると健康保険の給付が受けられ、国民年金を支払わなくていいなどのメリットがありますが、扶養の範囲には線引きがあるので注意が必要です。

今回は、そもそも扶養とは何か、扶養に入るメリット、扶養の範囲などについて説明します。結婚後は共働きをしようと考えている人はぜひ参考にしてください。

そもそも扶養とは?

  • 「扶養家族」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょうが、そもそも「扶養」とはどういう意味なのでしょう。

    扶養とは、自分の力では生活できない家族などに生活上の援助をすること。結婚をして妻が夫の扶養に入ると、妻は「扶養家族」となります。子どもが扶養に入る場合も、同じように子どもは「扶養家族」になるのです。

  • 扶養には、大きく分けて「税金上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類がありますが、「税金上の扶養」は税金面で扶養を受けること、「健康保険上の扶養」は健康保険等で扶養を受けることです。

  • 妻や子どもは税金や保険のためのお金を稼ぐのが難しいので、それを援助する制度として扶養があります。しかし家族なら誰でも扶養に入れるわけではなく、それぞれ決められた範囲があるので注意しましょう。扶養の範囲についてはのちほど詳しく説明します。

配偶者の扶養に入るメリットは?

  • 扶養に入ることで、税金や保険の負担が軽くなります。また、扶養に入るその他のメリットも併せて説明していきます。

  • 配偶者控除が受けられる

    配偶者控除とは、扶養に入っている人は一定の条件を満たせば所得税の控除が受けられるというものです。

    配偶者控除が受けられる人の条件は下記のとおり。

  • (1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)

    (2) 納税者と生計を一にしていること

    (3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

    (4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

  • この4つの条件を全て満たす人のみ、配偶者控除が受けられます。また、条件をすべて満たしている場合も2018年分より、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられないので注意してください。近年、婚姻届を提出せず夫婦のように生活をする「事実婚」を選択する人がいますが、この場合の妻は「内縁の妻」となるので配偶者控除の対象にはなりません。配偶者控除を受けたいのなら婚姻届を提出する必要があります。

  • また、「納税者と生計を一にしていること」「青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと」とあるので、妻が個人事業主である場合も条件を満たせません。

  • そして納税者や配偶者の所得や収入によっても線引きがあります。そもそも扶養は自分で支払うべき所得税を支払えない人が入るものなので、共働きで多く収入を得ている人は配偶者控除を受けられません。

  • 収入が少ない夫婦にとってはメリットのある配偶者控除ですが、控除を受けるには条件があるのを忘れないようにしましょう。

  • 健康保険の給付が受けられる

    夫の扶養に入っていないと、妻は自分で健康保険の保険料を支払わないといけません。しかし扶養に入り、被扶養者と認定されれば健康保険の給付が受けられるので、夫1人分の保険料を支払うだけで済みます。ちなみに夫1人に対して妻と子どもの2人が被扶養者になっても、健康保険料は変わりません。子どもの数が増えても同じです。

  • ただし、配偶者控除の条件と健康保険の給付を受ける条件とは内容が異なるので注意しましょう。健康保険の給付において、被扶養者となる条件は被保険者により主として生計を維持されていること、及び次のいずれにも該当した場合です。

  • (1)収入要件

    年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ

    同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満 ※一部例外があります。

    別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

    (2)同一世帯の条件

    配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹以外の3親等内の親族は同一世帯でなければなりません。

  • こちらも配偶者控除と同じく、扶養を受ける人の収入は制限されます。養われなくても生活できるくらいの収入がある人は健康保険の給付が受けられません。

  • 国民年金の支払いを免除してもらえる

    定年後も安定した生活を送るために必要な国民年金の支払いですが、扶養に入り、届け出をすれば第3号被保険者として国民年金の支払いも免除されます。将来年金がもらえないのではと心配する人もいるかもしれませんが、「支払いを免除する」という意味で、年金がもらえなくなるということはありません。

  • ただしこちらも、

    ・年収が130万円未満であること

    ・配偶者の年収の半分以下であること

    ・20歳以上60歳未満であること

    などの条件があります。扶養に入っていれば誰でも免除されるわけではないので注意しましょう。

  • 会社の福利厚生によっては扶養手当が受けられる

    扶養に入っていると配偶者の働く会社の福利厚生によって、「扶養手当」を受けられる場合もあります。「家族手当」と呼ばれることもありますが意味は同じです。「扶養手当」は配偶者や子どもを養うための援助のようなもので、基本給とは別で支給されます。

  • ただしこちらも他のメリットと同じように、扶養手当をもらうための条件があります。条件や支給される金額は会社によって違い、そもそも扶養手当がない会社もあるため注意が必要です。

気をつけよう!「扶養の範囲」の線引き

  • 配偶者の扶養に入るにあたってのメリットをご紹介しましたが、扶養には収入の線引きがあることがお分かりいただけたでしょう。収入と言っても計算方法はさまざまなので、「扶養の範囲」の線引きについてもう少し詳しく説明していきます。

  • 税金面の範囲は103万円がライン

    税金面で扶養(配偶者控除)を受ける場合、収入上限は103万円です。このラインは「103万円の壁」と言われることもあり、103万円を1円でも超えると扶養から外れてしまいます。税金面で扶養を受ける場合は計算しながら働かなければなりません。

  • そして一つ注意が必要なのは、103万円の計算方法です。よく手取り金額で103万円と考えている人もいますが、配偶者控除で基準となるのは控除などがされる前の金額になります。給与や交通費などを足したもので計算して103万円が上限となるので注意しましょう。

  • しかし103万円を超えてしまっても、「配偶者特別控除」という制度が適用され、その控除額の上限は変わりません。つまり103万円ではなく150万円を超えなければ税金面で扶養を受けられるということ。とはいえ、線引きがあることには変わりないので、150万円を超えないよう調整しながら働いていく必要があります。

  • 社会保険は130万円がライン

    社会保険で扶養を受けるには130万円がラインとなります。こちらは税金面とは異なり、上限は130万円未満のため、年間収入が130万円に達してしまうと扶養を受けられません。控除を受けたい場合は130万円未満になるように働く必要があります。

  • 社会保険に自分で加入するとなると、健康保険と厚生年金を毎月自分で支払うことになるので、扶養に入っていたときより負担が大きくなります。収入が130万円を大幅に超えていれば支払えるかもしれませんが、130万円前後の収入の場合は生活が厳しくなる可能性があります。

  • そのため、こちらも控除を受けたい場合は働き方を考えていかないといけません。ちなみにこちらも手取りではなく、控除される前の総収入金額の上限が130万円未満なので注意してください。

  • 社外保険は年収106万円を超えると扶養から外れてしまう?

    社会保険では130万円がラインですが、下記の条件にすべて当てはまる人は年収106万円を超えると扶養から外れてしまいます。

  • (1)労働時間が週20時間以上

    (2)賃金の月額が8.8万円以上(=年収106万円を超える額)

    (3)勤務期間が1年以上見込まれる

    (4)学生ではない

    (5)従業員501人以上の企業

  • つまり、「従業員が501人以上の企業に1年以上勤める見込みがあって、週の労働時間が20時間以上かつ月額賃金が8.8万円以上」の妻は扶養から外れる可能性があるということです。この中でポイントは月額8.8万円以上という点になります。

  • 例えば、

    Aさん.1月8.5万円 2月8.5万円

    Bさん.1月9万円 2月8万円

    だったとすると、AさんとBさんの1月2月の収入を足すとどちらも合計17万円です。しかしBさんは1月が8.8万円を超えているので、扶養から外れる可能性があります。

  • 計算が面倒に感じるかもしれませんが、配偶者の扶養に入ったまま生活したいなら、毎月の月収をきちんと確認しておく必要があります。

扶養内で働くことは「お得」なの?

  • 配偶者の扶養に入ると税金面や社会保険の負担が軽くなりますが、収入に決まりがあるのでたくさん稼ぐことはできません。一体、扶養に入るのと入らないのと、どちらが「お得」なのでしょうか?

  • これは扶養から外れた場合、どれくらい稼げるかによって答えが変わってきます。例えば年収130〜150万円だったら、所得税や社会保険を支払うと手元に残るお金が扶養に入っていたときより少なくなる可能性が高いです。そう考えると、103万円か130万円に抑えた方が、働く時間も短いうえ、さまざまな控除を受けられるのでお得と言えるでしょう。

  • では、年収160万円以上だったらどうでしょう。単純に計算するとだいたい月13万円以上は稼げるので、所得税などを差し引いてもある程度の金額が手元に残ります。扶養に入っているときより手元に残る金額が多くなる可能性の方が高いので、この場合は扶養から外れたほうがお得でしょう。

  • このように、扶養内で働いた方がお得かどうかは人によって異なります。まずはひと月にいくらぐらい稼げるのかを計算し、そこから扶養に入った場合と入らない場合で手元に残る金額を出して比較してみましょう。

扶養から外れても損しない、妻の年収はいくら?

  • 扶養から外れても損をしない妻の年収は、先ほど説明した通りだいたい160万円以上です。ここからはもう少し詳しく説明していきます。

  • 1.130万円に抑えた場合の手元に残る金額

    月収約10万円 健康保険 0円 厚生年金 0円 手元に残る金額 約10万円

  • 2.160万円稼いだ場合の手元に残る金額(※)

    月収約13万円 健康保険 約5,000円 厚生年金 約1万円 手元に残る金額 約11万5,000円

  • ※保険料の金額は目安です。実際は異なる場合があります。

  • このように、160万円稼ぐ場合のほうが手元に残る金額は多くなります。もちろん他にも控除があるので一概には言えませんが、だいたい160万円を目安にすると扶養から外れても損をしにくいので参考にしてみてください。

子どもはどっちの扶養に入れたらいいの?気にするポイントは?

  • 子どもを扶養に入れる場合は、夫か妻のどちらかを選べます。「どちらを選べばお得になるの?」と疑問に思っている人は多いでしょうが、気にするポイントは下記のとおりです。

  • ・家族手当の内容

    ・補助制度の内容

  • 「収入が多い方の扶養に入った方がいい」という話をよく聞きますが、一概にそうとは言えません。なぜなら、家族手当や補助制度の内容は会社や組合ごとに異なるためです。

  • 家族手当の内容は会社ごとで違うので、まず夫と妻の会社の家族手当の内容を確認してみましょう。そしてもう一つは補助制度の内容です。健康保険組合には補助制度があり、ワクチンなどの補助が受けられる場合があります。そのため、家族手当と補助制度の内容を一度書き出してみて、どちらがお得になるかを考えて決めるのが良いでしょう。ちなみに税金面では扶養控除がないので、夫か妻のどちらでも損得はありません。

  • 扶養に関するルールは複雑なので、入るか入らないかを決めるのが難しいと感じる人もいるでしょう。しかしどんな控除を受けたいのか、妻の月収はいくらぐらいが最大なのかを考えることで、どちらがお得になるのかを判断してください。

  • また、子どもの扶養に関しても悩む人が多いもの。少し前までは収入が多い方の扶養に入るのが一般的でしたが、近ごろは手当の内容や保証制度も変わりつつあるので、一概にそうとは言えなくなっています。どんな手当や補助があるのかを整理し、話し合って決めましょう。

  • 扶養制度を上手く利用すれば、控除によって支払いの負担が軽くなります。その分のお金の使い道の幅が広がるので、正しい知識を身につけて賢く利用していきましょう。

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