育休後、どう働く?「自分らしいキャリア」の考え方
育休後、どう働く?「自分らしいキャリア」の考え方

2019/02/22

育休後、どう働く?「自分らしいキャリア」の考え方

「仕事と子育て、うまく両立したい」。これからワーママになる人なら、誰もがそう願うはず。そのためにまず大切なことは、復職前に「これからどう働くか?」のキャリアを考えておくこと。まずなにから整理すればよいかを指南します。

取材・文:伊藤律子(京田クリエーション)

育休中は、自分を見つめ直す絶好の機会!

  • 子どもを産んで、育休から仕事に復帰するということは、女性にとってものすごい転機です。そして明らかに今までの行動パターンを変えなきゃいけないという、差し迫っている状態。でも、ご自身もワーママであり、女性のためのキャリアの学校「はぴきゃりアカデミー」の代表を務める金沢悦子さんは「そういうときこそ『自分らしく生きるとは?』をじっくり考えるチャンスです!」と言います。

  • 「育休中こそ、自分を見つめ直す絶好の機会。女性って、子どもを産んでみると自分の本質が出てくるからです。私自身、出産前まではとにかく仕事ばかりだったのに、産んだ瞬間『子どもとの時間をとにかくたくさん取りたい!』と、いきなり子どもシフトになったことに、自分が一番驚きました。産んでみたあと、子どもとともに歩むこれからの人生をどのように作っていきたいのか、一度じっくり考えてみては」(金沢さん・以下同)

「キャリア」とは、仕事だけではなく「人生そのもの」を表す言葉

  • 「『キャリア』というと仕事だけを思い描きがちですが、『人生そのもの』と捉え、俯瞰してみることで、『これからどう働いていくのがベストか?』が見えてきます。今回は、人生の役割の中で今、自分が何をどのくらい大切にしたいかを知り、『自分らしいキャリア』を明確にする「 “8つの私”から理想のキャリアを見つけるワーク」をご紹介します」

  • 【 “8つの私”から理想のキャリアを見つけるワーク 】

    私たちにはさまざまな役割があり、それらが影響し合いながら生きています。ここでは役割を次の8つに分けて考えます。

  • ・「娘としての私(実父母・義父母との関係)」

    ・「学ぶ私」

    ・「仕事をする私」

    ・「妻としての私」

    ・「家事をする私」

    ・「親としての私」

    ・「余暇を楽しむ私」

    ・「社会の一員としての私」

  • (1)まずは子どもを産む前、8つの役割はそれぞれどのくらい担っていたのか、合計が100%になるように割り振ります(該当しないものは0%と書く)

  • (2)実際に子どもを産んでみたあとの「理想の状態」を、同じく100%になるように割り振ります(該当しないものは0%と書く)

  • (3)産む前と、産んだあとの理想を比べて、優先順位を見つけます

  • 8つの役割シート(記入例)

       

       

       

    項目出産前の状態割合出産後の理想の状態割合
    娘としての私普段はあまり会わないが、何かあったら、いつでも出動3%両方の両親に、定期的に子どもを会わせる10%
    学ぶ私英会話の教室に通っている5%英会話は一旦お休み0%
    仕事をする私自分指名で来る仕事が増えており、また、チームリーダーとして後進の教育も行う60%時短勤務をしつつ、チームリーダーは続ける。指名の仕事は、メンバーと業務分担できる状態にする40%
    妻としての私二人で楽しめる時間を共有する10%空いた時間で、二人で楽しめる時間を共有する2%
    家事をする私時間があるときに、夫の好きな料理を作る。掃除などは休日に夫と手分けする10%子どもが小さいうちは、アウトソーシングと文明の利器に頼り、必要最低限にする5%
    親としての私0%朝と保育園のお迎え後は、なるべく子どもとの時間やスキンシップを大切にする30%
    余暇を楽しむ私夫と食べ歩きをしたり、友達と旅行へ行く10%子どもと旅行に行く10%
    社会の一員としての私たまに地域の活動に参加2%地域のママ友と会う3%

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優先順位が決まると、何をすべきか?が見える

  • 「当然、『産む前の状態』と『産んだあとの理想』を比べると、ギャップが生まれるはず。それらを比較することで、『自分が今後、何に力を入れて、何に力を入れなくてよいか』が見えてきます。真面目な女性はとくに、『完璧な母、完璧な妻にならなきゃ!』と思いがちですが、全体のバランスを見て『ここにはこのパーセンテージしか割けない!』とわり切ることで、折り合いがつけられるようになる。つまり、『捨てなきゃいけないもの』がわかるのが、このワークのポイントです」

  • 「ワークをしてみて例えば、『やっぱり私、仕事が大事!』ということが見えたら、他からパーセンテージを持ってきて、仕事の時間を確保しなきゃいけない。『家事をする私』を減らすため、時短につながる家電に切り替えたり、夫と話し合って分担したり、家事代行サービスを使ったり。育休中にそれがわかると、先手で体制を整えられるのはもちろん、メンタルをいい状態に保てます。仕事のウエイトが大きいのに、冷食を使わないとか、手作りのごはんがいいなど『いいお母さん』まで目指して、それができない自分を責めてしまう…これが一番よくない」

  • 「逆に、今までは仕事が7割だったけれど、産んだあとは7割も割けないため時短勤務にする。当然、出産前のような仕事の成果が上がらない。でも、今は『親としての私』の優先順位が高いことを自覚していれば、仕事をセーブすることによる焦りが減り、私にとって今の状態がベストと気がつけるはず。このワークを行うことで優先順位が明確になり、『あれもこれもやらなきゃ』と焦ったり、落ち込むことが減ります」

  • 「さらに、このワークは、定期的にやるのがベスト。子どもが未就学児の時代、小学校に進学してからなど。乳児はいつまでも乳児ではなく、子どもは確実に自分自身でできることが増えていきます。子どもの成長に合わせてこのワークを行うことで、その都度、なにを優先に努力していったらいいかが見えてきます」

仕事と子育て、両立がうまくいくコツQ&A

  • ここからは、実際、ワーママになったときに直面しうる問題に対して、金沢さんに答えていただき、うまく両立するコツを探ります。

  • Q:子どもの不測の事態で早退や欠勤が多くなると、評価が下がるのではと不安です

  • A:「全方位で評価される自分」から卒業しましょう!

  • 「女性は仕事に限らず、相手からちゃんと評価されて安心したい。求められると答えなきゃとがんばってしまう。でも、子どもが生まれて、仕事と両立しようとしたとき、全方位で評価され続けることは、かなりしんどくなるはずです。子育てとは不測の事態の連続ですから、自分全開では生きられない。だから、自分のなかで『ここはぜったい評価されたい』という点に集中しましょう。あとは極論、『評価されなくていい!』と割り切る。どうせなら、自分がやりたい仕事、将来なりたい自分につながるところで、評価を重ねていきましょう。そうすると必然的に仕事も絞られてきて、スムーズにまわりやすくなります。いらぬ評価に、もう振り回される必要はありません!」

  • Q:マミートラック(子育てのためにキャリアアップをあきらめざるを得ない働き方)に、はまるのでは…と心配です

  • A:「短距離ランナー」から「長距離ランナー」になる

  • 「女性は、目の前の課題に一生懸命向かう『短距離ランナー』と言われることがあります。でも、これを機に、人生を長い目で見て行動してみては。子育てと仕事の両立は、これから先も続く。つまり、短距離ランナーみたいに長距離を走ってはいけないんです。飛ばしすぎたら、息切れしちゃいます。メンタルもフィジカルも、無理をせずペース配分を考えて、長距離をずっと走れるようにすることが大事。時短になった→マミートラックかも…ではなく、『今はちょっとアイドリング』と思って。私の息子は小学校3年になりますが、随分と手がかからなくなってきました。子どもに手をかけなきゃいけない時期って、本当に限られている。ある日突然、「あれ、ラク!?」という瞬間がきます。だから、乳幼児の大変な時期は、アイドリングしておけばいい。アクセルを踏める時代は、すぐ来ますから。せっかくペースを落とせる間は、いろいろ考える時間が持てるともいえます。なので、前述のワークなどで、育休中に自分の人生を考えておくとすごくいい。数年後、どんな仕事をしていきたいか?どのジャンルの業務を伸ばしていきたいか?などをじっくり考える。数年後には大分、自分の時間が戻ってきます。そのときに、アクセルが踏める状態にしておくのが大事です」

  • Q:もっと仕事がしたいのに、子どもができてペースダウンを余儀なくされ、収入が下がることにモヤモヤしてしまう…

  • A:働いている時間の長さで稼がない!

  • 「そんなときは、年収よりも時給を上げることに集中してみてください。年収500万円で1日8時間・年間250日働く人と、年収300万円で1日5時間・年間200日働く人では、時給換算すると年収300万円の人のほうが、時給が高いのです。つまり、長く働くことからの脱出、働いた時間で稼がないということ。早く帰っても、これだけの仕事ができる、という状態にすることです。『時短だから、ここまででいいや』と思ってしまうと、自分の市場価値は下がっていきます。『時短の中で効率化して、質を担保しつつ仕事量をこなそう』という意志で動くと、時給が高い人になります。時給をあげることで、動き方が変わり、自分の力がついてくる。時間管理術に加え、危機管理能力も上がるので、のちのキャリアアップにもつながっていくはずです」

  • 考え方のエッセンスをたくさんいただいたところで、最後に、これからワーママになる人へメッセージをお願いしました。

  • 「これはワーママに限らず、全てのお母さんにお伝えしたいことですが、『目を外に向けすぎない』ことが大切。人からみて『いいお母さん』『いい妻』『いい嫁』『ちゃんとしているね』と言われなくていいんです。自分と子どもと家族が、笑っていられるように過ごすことが一番。外野ほど、無責任なものはありませんから(笑)、目を外に向けすぎず、自分らしく笑顔でいられる環境を作ってください!」

  • 金沢悦子(かなざわ・えつこ)

    お話を伺ったのはこの方 金沢悦子(かなざわ・えつこ)
    女性のためのキャリアの学校「はぴきゃりアカデミー」代表。リクルートを経てベンチャー企業の創業メンバーに。20代後半、仕事との距離感がつかめず心身を壊したことをきっかけに、日本初の総合職女性のためのキャリア情報誌『ワーキングウーマンタイプ(現ウーマンタイプ)』を創刊、編集長に就任。35歳で株式会社はぴきゃりを設立。統計心理学を使ったオリジナルメソッドで、働く女性たちを「ココロとサイフが満たされる仕事発見」へと導いている。

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