【税理士・FP監修】「住民税非課税世帯」わかりやすく!説明します
【税理士・FP監修】「住民税非課税世帯」わかりやすく!説明します
公開日 2019/01/30
更新日 2019/11/25

【税理士・FP監修】「住民税非課税世帯」わかりやすく!説明します

0~2歳児の幼児教育無償化、高等教育(大学)無償化など、さまざまな公的支援制度で給付要件の1つになっている「住民税非課税世帯」。どのような条件に当てはまれば、住民税非課税世帯となるのでしょうか。住民税が非課税になる要件や、住民税非課税世帯向けの優遇制度、注意点について、税理士でFPの著者がわかりやすく解説します。

大矢亜希子(税理士・ファイナンシャルプランナー)

住民税非課税世帯だと、どのような給付があるのか

  • 住民税非課税世帯を対象とした制度や給付において、代表的なものはこちらです。

  • <社会保険関係>

    ・国民健康保険料の保険料が減額になる(減額幅は所得に応じて、7割減・5割減・2割減)

    ・高額療養費制度の自己負担限度額が月35,400円までに軽減される

    ・入院時の食事代(1食460円)が(210円・160円・100円)になる

    ・高額介護サービス費の自己負担額(月44,000円)が軽減される(月24,600円または月15,000円)

  • <子育て・教育関係>

    ・0歳から2歳の幼児に対する「幼児教育無償化制度」の対象となる

    ・「高等教育無償化」(大学等の授業料減免及び給付型奨学金)の対象となる(2020年4月より)

  • 子育て中はもちろん、病気やケガで入院したり、介護が必要になったりしたときは、お金がかかるものです。これらの制度は、家計の負担を軽減するためにあります。では、どういった要件を満たすと、住民税非課税世帯に該当するのでしょうか。

住民税非課税世帯の3つの要件

  • 住民税非課税世帯となるのは、その年の1月1日時点で次のいずれかにあてはまる場合です。

  • <1>生活保護を受けている

    その年の1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている場合は住民税非課税です。

  • <2>障がい者、未成年者、寡婦(夫)で前年の合計所得金額が125万円以下

    会社員や契約社員、パート、アルバイトなど、給料をもらっている人(給与所得者)なら、年収から給与所得控除を差し引いた金額(源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」)が前年の合計所得となります。フリーランス(自営業者)で事業収入のみの場合は「売上 ― 経費 ― 青色申告特別控除」(所得税青色決算書の損益計算書「所得金額」)が合計所得金額です。

  • <3>均等割及び所得割ともに前年の合計所得金額が非課税基準額の範囲内だった場合

    詳細は次の章で説明します。

ポイントは「均等割」が非課税かどうか!

  • 住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得をもとに計算し、翌年度に納税するのが基本です。たとえば、2019年の所得をもとに計算した住民税は、2020年度の住民税として2020年の6月、8月、10月、1月の納付期限までに納税します(普通徴収の場合)。給与所得者は特別徴収として、翌年の6月(このケースでは2020年6月)の給与から毎月天引きされます。

  • 住民税の計算は「均等割額+所得割額」で算出します。住民税非課税世帯とは、世帯全員が均等割と所得割、いずれも非課税である世帯のこと。夫婦二人暮らしの場合、夫も妻も住民税(所得割及び均等割)が非課税でなければ、住民税非課税世帯にはなりません。

  • それぞれの非課税基準額を算出する計算式は、次の表の通りです。

  • ポイントは均等割が非課税になるかどうか。下記の図の通り、所得割より均等割の方が、非課税基準額は低くなります。したがってあなたの前年の合計所得金額が均等割の非課税基準額より低かった場合、住民税は非課税となります。均等割の場合、お住まいの地域(1級地、2級地、3級地)によって非課税となる所得の上限額が異なります。あなたの住居地が何級地なのかは、厚生労働省ホームページ 生活保護制度「お住まいの地域の級地を確認」で必ず確認しましょう。

  • <住民税の非課税基準>

    均等割所得割
    内容一定以上の所得の人に均等に課税される所得に応じて課税される
    非課税基準額<扶養家族がいない人>
    前年の合計所得金額が35万円※1以下
    <扶養家族がいる人>
    前年の合計所得金額が「35万円※1×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+21万円※2」以下
    <扶養家族のない人>
    前年の総所得金額等が35万円以下
    <扶養家族がいる人>
    前年の総所得金額等が「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+32万円」以下

    ※1:1級地の場合(2級地は31万5000円、3級地は28万円)

    ※2:1級地の場合(2級地は18万9000円、3級地は16万8000円)

  • あなたが1級地である東京都23区にお住まいだとしましょう。

    納税者であるあなたに配偶者やお子様等の扶養家族がいない場合、前年の合計所得金額が35万円以下であれば、住民税非課税世帯となります。会社員や非正規社員、アルバイトなど給与所得者であれば、年収100万円以下であれば非課税です。フリーランスなど事業を営まれている人は「1年間に得た収入(年収) ― 経費 ― 青色申告特別控除」が35万円以下であれば、非課税となります。

  • 結婚をして、妻と子ども2人がいる4人家族の場合は、本人の前年の合計所得額が161万円(=35万円×4人+21万円)以下であれば非課税です。給与所得者なら年収255万円以下が対象となります。

  • <1級地にお住まいの給与所得者の住民税非課税目安>

    ■世帯人数1人(一人暮らし)

    →年収100万円以下(2級地は96.5万円以下/3級地は93万円以下)

    ■世帯人数2人(本人+配偶者/本人+子/本人+老親など)

    →年収156万円以下(2級地は146.9万円以下/3級地は137.8万円以下)

    ■世帯人数3人(本人+配偶者+子/本人+配偶者+老親など)

    →年収205万円以下(2級地は187.9万円以下/3級地は168.3万円以下下)

    ■世帯人数4人(本人+配偶者+子2人など)

    →年収255万以下(2級地は232.7万円以下/3級地は209.9万円以下)

  • 2級地、3級地にお住まいの場合は、基準となる非課税所得の上限額が低くなっています。各地域における生活様式や物価水準に基づき、最低生活保障をおこなう生活保護基準に応じて、地域ごとに非課税限度額を設定されているので、あなたのお住まいが何級地に該当するのか、必ず確認してくださいね。

  • ■厚生労働省ホームページ 生活保護制度「お住まいの地域の級地を確認」

住民税非課税世帯に該当する場合の注意点

  • フリーランス(自営業)の方は、住民税の確定申告を忘れずに

  • 自治体は、住民税非課税世帯の該当・非該当を、確定申告の内容を基に判断しています。会社員や契約社員、アルバイト、パート勤務などの給与所得者の場合は、会社が市区町村に「給与支払報告書」を提出し年間収入金額を報告しているので、給与以外に一定以上の収入がある場合などを除き、住民税の確定申告は基本的には不要です。

    世帯主がフリーランス(自営業)の場合、年間収入が所得税の非課税範囲内であるときは、所得税の確定申告を行わない方もいらっしゃるかもしれません。その場合でも、住民税の確定申告は行いましょう。確定申告を行い、住民税非課税世帯と判定されることで、社会保険料の優遇制度が適用されます。また子育て・教育関係の優遇制度を受けるために必要な「住民税非課税証明書」が発行されたりするからです。

    住民税の申告はお住まいの自治体で行います。書類を取り寄せて、郵送で申告することが可能です。

  • 住宅ローンを組む際には注意が必要

  • 住民税非課税世帯に該当する場合、希望する住宅ローンの申込が難しい、という状況が発生する場合があります。

    住宅ローンの申込をする際は、年収確認資料として市区町村が発行する「課税証明書」を求められることが多いです。「課税証明書」には、住民税の課税額が記載されているのですが、住民税非課税世帯の場合は、住民税は非課税のため「課税証明書」ではなく、「非課税証明書」が発行されることになります。

    「非課税証明書」は、年収が住民税非課税となる範囲の収入であることを証明するものでもあります。金融機関によっては、年収がローン審査で不利にはたらき、金利が高いローンを組むことになったり、申込自体が難しくなることもあるので、注意が必要です。

まとめ 2021年の住民税基礎控除改正にむけて

  • ちなみに、2021年1月1日からは、住民税非課税世帯の3つの要件のうち、「障がい者、未成年者、寡婦(夫)で前年の合計所得金額が125万円以下」の要件について対象者の追加と合計所得金額の引上げが行われます。

  • ■2021年1月1日~

    障がい者、未成年者、寡婦(夫)または単身児童扶養者で前年の合計所得金額が135万円以下

  • 単身児童扶養者とは、児童扶養手当の支給を受けている子供と一緒に生活をしているシングルマザー(シングルファザー)のことです。また、住民税の基礎控除額が33万円から43万円へと10万円上がるのに伴い、均等割及び所得割の非課税基準額もそれぞれ10万円上がることになっています。

  • 制度の改正のもと、2021年に新たに住民税非課税に該当することになる世帯もあるでしょう。ご自分の世帯が当てはまるかは、計算式を使って確認してみましょう。

  • ※本ページに記載されている情報は2019年11月16日時点のものです

  • 大矢亜希子(税理士・ファイナンシャルプランナー)

    執筆者プロフィール 大矢亜希子(税理士・ファイナンシャルプランナー)
    税理士としての知識や経験を生かしながら、ファイナンシャルプランナーとして個人のお客様に対する家計管理や資産運用のアドバイスを行っている。海外での生活体験から海外駐在前後のご家族に関係する税務・ファイナンシャルサポートを得意としている。株式会社FPフローリスト 所属ファイナンシャルプランナー・オーキッドFP税理士事務所 代表

    監修:株式会社FPフローリスト

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