社会保険料は扶養家族の人数によって変わるの? 扶養範囲・外れる条件について
社会保険料は扶養家族の人数によって変わるの? 扶養範囲・外れる条件について

2018/12/28

社会保険料は扶養家族の人数によって変わるの? 扶養範囲・外れる条件について

社会保険料と扶養の関係性について正しく理解できていますか?
扶養家族の範囲や、人数の増減によってどのような影響があるかなど、正直よくわかっていないのではないでしょうか。
そもそも社会保険に何が含まれるかさえはっきりとわからない方も珍しくないはずです。
しかし社会保険料の仕組みについて知っておかないと、損をしてしまう可能性もあります。

そこで今回は社会保険料と扶養に関する基礎的なことをご説明します。
今後家族の扶養に入る、もしくは外れるかもしれない方はぜひチェックしておいてください。

監修:あるみまっく FP1級 (CFP) 所持

社会保険とは

  • そもそも社会保険とは、怪我・病気・失業・老齢・死亡などによって国民の生活に影響が生じた際、その生活を保障するために設けられた公的な制度の総称です。具体的には健康保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険の5つを指しています。この中で扶養と関係するのは2つ、健康保険と年金保険です。雇用保険は失業した際に手当てを受給できる制度で、労働者災害補償保険は業務災害や通勤災害に遭った労働者又はその遺族に給付を行う制度。どちらも扶養の概念はありません。ここでは扶養と関係する2つの社会保険について、詳しい仕組みをご紹介します。

  • ・健康保険

    健康保険は労働者やその家族が病気や怪我、出産などで病院にかかったときや、亡くなったときなど、必要な医療給付や手当の支給によって生活を安定させることを目的にしています。加入すると保険証が発行され、医療費は3割負担で医療機関を受診することが可能です。また、出産育児一時金や傷病手当といった手当の支給もあります。健康保険は会社によって異なり、全国健康保険協会が運営する“協会けんぽ”の他、企業グループなどで独自に設けた組合管掌健康保険などさまざまな運営母体が存在します。運営者によって保険料率が若干異なりますが、どの健康保険であっても雇用主と労働者の双方で折半して負担する点は同じです。被保険者が今受け取っている給与をベースに保険料が算出され、対象親族の所得が規定範囲内であれば親族を扶養に入れて同様の給付を受けさせることができます。ただし傷病手当については被保険者のみに支給され、被扶養者は支給対象外です。

  • ・年金保険

    年金保険は、労働者が高齢となって働けなくなったり、病気や怪我で身体に障がいが残ったり、大黒柱を亡くしてしまい遺族が困窮してしまう事態に際して保険給付が行われる制度です。老齢基礎年金が受給できるようになったとき、現在は65歳から老齢年金(会社で働いている場合は国民年金と厚生年金)が受給できます。また、被保険者が死亡した場合(被保険者期間中の傷病が原因で初診の日から5年以内に死亡した場合も含む)や、老齢年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した場合、その者に生計を維持されていた遺族に対して遺族年金が支給されます。年金保険は日本年金機構が運営していて、保険料率は一律です。また、健康保険同様に雇用主と労働者で保険料を折半して負担します。厚生年金保険に加入すると国民年金の2号被保険者となり、厚生年金保険料を納めることで老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できる仕組みです。厚生年金保険では条件を満たす配偶者のみ扶養することができ、国民年金の3号被保険者とみなされます。なお、3号被保険者が受け取れるのは基本的に基礎年金のみです。

扶養家族とは

  • 社会保険の健康保険と年金保険にはそれぞれ扶養家族と認定されるための条件が存在します。

  • ・健康保険の扶養範囲

    健康保険の被扶養者は三親等内親族とされていて、さらに同居でなくてもいい人と同居が条件の人が存在します。配偶者(内縁を含む)・子・孫・兄弟姉妹・父母などの直系尊属は被保険者との同居・別居に関わらず被扶養者となることが可能です。それ以外の三親等内の親族(義父母など)や、被保険者の内縁の配偶者の父母・連れ子については、同居を条件に被扶養者として認定されます。(ただし病気で入院している、施設などに入所している、転任のため新任地における住宅事情で一時的に別居しているといった場合は同居とみなされます。)同居の定義は被保険者と同じ家の中に住んでいること。同じ敷地内でも住所表示が異なっていたり、お互いに独立した生活で食費や生活費が別々だったりすると、同居として認められません。さらに被扶養者となるためには年収の条件もクリアしなければなりません。また、年齢の制限もあり75歳未満の者に限られます。なお、被扶養者が外国人の場合は内縁関係は適用されないほか、日本国内に居住していることが原則です。配偶者・子以外の場合、在留期間が1年以上なければ認定されません。

  • ・年金保険の扶養範囲

    前項でも述べましたが年金保険の場合に扶養家族として認定される範囲は配偶者のみです。また、健康保険と同様に年収制限も存在します。配偶者以外の親族は収入の有無に関わらず扶養範囲となりません。

  • 扶養されている人の社会保険料はどのように定められて誰が負担しているかご存知ですか?実は扶養されている人は社会保険料がかかりません。つまり扶養する人が納める保険料も、被扶養者の人数によって変動することはないのです。人数が増えようと減ろうと、社会保険料は被保険者1人の年齢や収入によって算出されます。扶養範囲から外れてしまえば当然自身の年齢や収入によって算出された保険料を自身で納めることになるため、パート労働者などが収入を扶養範囲内に抑え被扶養者でいるほうが得だと言われるのはこの点です。

社会保険の扶養範囲内の年収とは?

  • 前項では被保険者との関係性における扶養範囲を説明しました。ここでは年収の条件を詳しく見ていきましょう。年収条件については健康保険、厚生年金保険共に同じ条件です。社会保険における被扶養者の年収は、税金等の控除がされる前の総収入を指します。ただし、結婚手当や賞与といった臨時に支払われる賃金や1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外労働及び深夜労働に対して支払われる賃金、最低賃金法で算入しないことを定めている賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当など)は収入から除くことができます。算出基準が所得税のものとは異なるため注意が必要です。

    また、社会保険の年収条件は月収を素にした見込み年収で判断されます。1年間でどれだけの収入があったかではなく、今の月収のペースで1年間働いた場合にいくらの年収が見込めるかが判断基準なのです。例えば年間で6カ月働いて月収が10万円だった場合、実際に受け取った年収は60万だったとしても、見込み年収は12カ月働いた場合の120万として計算されるので気を付けましょう。

  • ・106万円未満となるケース

    以下の条件に1つでも当てはまらない場合は見込み年収が106万円未満(月収8.8万円以下/交通費込)で被扶養者として認定されます。

    ・勤務時間が週20時間未満

    ・雇用期間が1年未満となる見込み

    ・勤務先が従業員500人以下の企業

    ・学生

    勤務時間が短くて週20時間に満たなかったり、勤務先が従業員数の少ない企業だったり、1つでも当てはまらない条件があれば、年収が106万円以上であっても被扶養者となれる可能性があります。

  • ・130万円未満となるケース

    106万円未満で上げた条件に当てはまらない場合、扶養範囲の年収上限は130万円(月収108,334円未満/交通費込)となります。また、1週間あたりの勤務時間が正社員の4分の3未満かつ、1カ月あたりの勤務日数が正社員の4分の3未満である必要も。

  • ・130万円以上となるケース

    見込み年収が130万円を超えたら扶養から外れるため自分で社会保険に加入しなければなりません。しかし必ずしも勤務先の社会保険に加入できるとは限らず、国民健康保険や国民年金に加入しなければいけない可能性もあります。これらは全額自己負担となるため、保険料が高額になる場合も。月収が108,334円を超えそうであれば、勤務先に社会保険の加入について尋ねておくと良いでしょう。

  • このように年収(月収)によっては被扶養者でいられなくなり、自身で社会保険料を納める必要が出てきます。そうなれば当然手取りは減りますが、被保険者のみが支給対象となる傷病手当の受給が可能になったり、将来的に受給できる年金額が上がったりといったメリットもあります。また、所得税上の年収の算出方法はこれらの条件と異なるため、社会保険の扶養範囲外となっても所得税は扶養範囲内のままということも。どのラインが1番お得になるかはケースバイケースなので、自分の家庭の状況や今後どのように働きたいかなどを踏まえて判断すると良いでしょう。

  • 社会保険と扶養について理解できましたか?国民の安定した生活を保障するための制度、社会保険。さまざまな制度がありますが、扶養と関係するのは健康保険と年金保険の2つです。被扶養者認定を受けるための条件は複雑だと感じるかもしれませんが、一度理解すればそう難しくありません。知らずに損してしまうことのないよう、扶養範囲内に入るために必要なことは知っておきましょう。特に年収条件については所得税の扶養範囲内とは算出の基準が異なるため、社会保険における条件をしっかり把握しておいてくださいね。月収をベースにした見込み年収で計算される点は見落としがちなので注意して!扶養に入ることでお得になるかどうかは、それぞれの家庭の状況や今後のプランによっても異なります。よく考えて判断しましょう。

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