ワーキングマザーに求められるキャリアアップの意識とリーダーシップ
ワーキングマザーに求められるキャリアアップの意識とリーダーシップ

ワーキングマザーに求められるキャリアアップの意識とリーダーシップ

子育てに忙しくても、ワーキングマザーにはスキルを磨き、キャリアを高めていく意識を忘れないでほしい、とリクルートワークス研究所で女性管理職やダイバーシティの研究を行う石原さんは語ります。いまの時代に求められるワーキングマザーのあり方、そして人生におけるリーダーシップについて伺いました。

出典 妊娠/出産から職場復帰まで応援するアプリ“カムバ!”
2016年1月取材

子育てに忙しい期間は意外と短い

  • 出産・子育ては人生の一大事業。特に子どもが生まれたばかりの頃は、あまりの忙しさに「仕事を辞めて子育てに専念したい!」 と考えるワーキングマザーも多いようです。しかし、そんなときにこそ少し立ち止まって考えてみてほしいのです。 慣れない子育てで目の前のことにいっぱいいっぱいの状態は、ずっと続くわけではありません。 子育てで本当に手がかかるのはせいぜい10年。意外と短いと思いませんか。

    子育てから徐々に手が離れていく中で、自分が心から面白いと思えるプロジェクトに出会えるかもしれない。 その時、チャンスを掴むため、ビジネスにおける基礎体力や基礎筋力を鍛え続けておく必要があります。 だからこそ、ワーキングマザーには、安易に会社を辞めるのでなく、いかに仕事を続けていけるかを考えてほしいのです。

    ある一定期間子育てに専念して、ブランクの時期を持って社会復帰しようと思うと、なかなか難しいのが今の日本社会。 また、子どもを私立の学校に通わせたいと思った時に、パートナーの収入だけに頼るのではなく、 自分も稼げる人であるということは重要になると思います。 そして何よりも、女性は育児にパワーを費やすだけで終わるほどひ弱ではありません。 自分のため、社会のため、そして家族のためにぜひ力を発揮してもらいたいと思います。

忘れてはいけない「キャリアアップの意識」

  • 忘れてはいけない「キャリアアップの意識」

    仕事を続ける上で忘れたくないのが、キャリアを広げていく意識です。 このご時世、同じ内容の仕事ばかりしていると、次第に賃金は下がっていきます。 どんなに習熟しても、仕事の領域を広げることができなければ社内での評価は下がってしまう。 自身の価値を高めるには、限られた範囲の仕事に留まるのでなく、新たな領域の仕事に挑戦しなければならないのです。

    管理職として、部下のマネジメントに挑戦するのも、自身の価値を高める一つの方法です。 しかし、ワーキングマザーの中には、企業から「管理職」への登用を打診されても尻込みしてしまう方が多いようです。 もちろん、出世だけが人生ではありませんが、ここで注意しておきたいのが、管理職としての働きを期待してもらえる 期間は限られているということ。40代後半で、マネジメントの実績もなく、時短で働いているという方には、 企業も管理職の仕事をお願いしようとは考えません。

    だからこそ、管理職のオファーをいただいたら、家族に協力してもらってでも、なんとか受けることができないか、 前向きにチャンスを活かせるように考えてほしいのです。年齢や経験の蓄積に応じて、周囲の人を導いたり、 独力ではなし得ないような大きな仕事にチームで向き合うことも、きっと楽しいと思うのです。

保育園の手厚いサポートがあるうちに仕事で背伸びを

  • 保育園の手厚いサポートがあるうちに仕事で背伸びを

    もちろん、子育てが忙しく、一時的にどうしても仕事をペースダウンしなくてはならない時期もあると思います。 そんなときに助けてくれるのは、あなたがこれまで築いてきた「信用」です。 「この人は、今は子育てで大変でも、子育てが一段落すれば、また会社に貢献してくれる」 という会社や同僚からの信用があるから周囲は助けてくれるのです。

    しかし、自分勝手な働き方をしていいとは、会社も考えてはくれません。 子育てが忙しい時期に、「信用」という名の貯金が目減りしていくのは仕方のないことですが、 その時期を乗り越えたら、また、貯金は増やしていかなくてはなりません。

    例えば、子どもが保育園に通っている間に、一度フルタイムに戻ってみるのもオススメですよ。 保育園によっては夜の7時すぎまで預かってくれるところや、土曜日の預かり保育を実施している園もあります。 子どもが小学校に進学してしまうと、学童に預けても一人で家に帰れなかったり、給食が出ない日があったりと意外と大変。 保育園の手厚いサポートがあるうちに一度、仕事で背伸びしてみることで、 「この人は仕事を頑張りたいんだ」と周囲に自分の姿勢を理解してもらうこともできます。

半年スパンで仕事と育児の比重を変化させるのもオススメ

  • 私の場合、1年間を上半期と下半期に分けて仕事と子育ての比重を変化させていました。 小学校1年生になったばかりの頃は、保育園と環境が変わり、子どもの精神面も少々不安定になりがち。 うちの息子も学童から一人で帰宅することもできず、ビービー泣いていました。 それが、夏休みも過ぎると、次第に一人の時間を楽しめるようになります。 「今日はママ遅くなるから一人でお家に帰ってね」とお願いすると、「わかった!」と元気に返事をして、 家でおやつを食べて好きなように過ごしていることも。

    このように、一年のうち上半期は子育てに時間を多く割いたとしても、後半は仕事を頑張れる環境が整ってくくるのです。 余裕が生まれるタイミングで、「今日は残業できます!」「今週は土曜日も大丈夫です!」と仕事を頑張っておくことで、 「信用」の貯金を増やすことができますよ。

子育てで得た「新たな視点」は仕事にも生きるはず

  • 子育てで得た「新たな視点」は仕事にも生きるはず

    子どもができると驚くほど社会との関わり方が変化します。子育てをする前と、 実際に子育てをしている時とでは、福祉や医療、社会貢献や教育への意識や興味も変化するでしょう。 そうした感覚、経験の全てが経験値となり、糧になると思います。

    ママ友ができ、ご近所さんとの会話も増え、地域のコミュニティとも密接につながっていく。 きっと、子育てをする中でできた縁を通して、たくさんの価値観と視点に出会えるはずです。 一口にワーキングマザーと言っても、どれだけ仕事に重きを置いているかは人それぞれ。 ママ友の中には専業主婦の方もいるでしょう。もしかしたら主夫もいるかもしれない。 そこで出会った方が何を大切にして、何に価値を感じているのかを知ることで、あなたの視野はぐんと広がり、 そこで得た「新たな視点」は必ず仕事に活かせるはずです。

パートナーに一番のサポーターになってもらうために

  • パートナーに一番のサポーターになってもらうために

    昇進や新プロジェクトへの参加など、働いていると、ここぞ!という勝負どきが誰にでもやってきます。 でも実際には、「何でそこまでやるの?と周囲から理解が得られない」「パートナーに子育ては頼めない」と悩むワーキングマザーは多いようです。子どもが生まれてもパートナーは働き方を変えず、毎日、深夜残業......。 助けを求められず、結果としてワーキングマザーが子育ての負担を一人で抱え込んでしまうというケースもよく見られます。

    パートナーのキャリアを邪魔したくないという気持ちもあるかもしれませんが、 週に1、2回、男性が子どものお迎えのために早退するだけで出世が遅れるような会社はもうほとんどないと思います。 子育てを頑張ってほしいことは、きちんと話しておいたほうがいい。

    ただし、「あなただって子育て頑張ってよ!」と声を荒げるのではなく「私も仕事を頑張りたい」と言えなくてはならない。 「家庭も大切だけど、私の人生には仕事も大切なの。だから味方になってほしい」と仕事に本気だという想いを伝えなければ、 「ゆるゆる仕事しているお前のために何故、俺が早く帰らなくちゃいけないの?」となってしまうでしょう。 パートナーにあなたの一番の理解者でサポーターになってもらうためにも、早くから話し合い、お互いに理解しあうことが大切です。

大切なのは「人生におけるリーダーシップ」

  • 仕事も子育ても一人で背負いこまないよう、ワーキングマザーには「人生におけるリーダーシップ」を意識してほしいと思います。 リーダーシップとは突き詰めれば、「自分がやりたいことのために周囲を巻き込む力」のこと。

    ワーキングマザーは、「仕事と子育ての両立」という目標を達成するため、パートナー、自分の親、 義理の親...と多くの人の力を借りなければなりません。それは仕事でも同様です。 多くの人の力を借り、自分一人の能力でできること以上の大きな仕事ができるから、仕事は面白くなるのだと思います。 自分の目的を達成するため、他の人が喜んで協力したくなるように、自分からは何を差し出せるのかを常に考えようとする意識が必要だと思うのです。

    長い人生の中で「子育て」に注力できる期間は短いもの。 だからこそ、長期的な視野を持って、自身のキャリアを発展させる意識を忘れないようにしてください。 そして、「自分にとって仕事がどうして大切なのか」、「これから先どうありたいのか」、と考えてみてほしいと思います。

  • リクルートワークス研究所 石原直子

    リクルートワークス研究所 石原直子人と組織に関する研究機関・リクルートワークス研究所発行の機関誌「Works」編集長。 慶應義塾大学卒業後、都市銀行、コンサルティング会社を経て2001年7月よりリクルートワークス研究所勤務。 これまでに「人材ポートフォリオ」、「ダイバーシティ」、「リーダー」について研究。 2003年から2007年までリクルート人事部を兼任し、理論と実践の融合に取り組んだ。

    近年ではタレントマネジメントの視点から、女性管理職、事業創造人材、高度外国人材なども研究。 企業におけるコア人材、次世代リーダーとなる人々を、日本企業がどのように獲得し、活用すればよいのか解明したいと考える。

    主な著書に『女性が活躍する会社』(共著、日本経済新聞出版社、2014年)、『人事経済学と成果主義』(共著、日本評論社、2006年)

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