

幼稚園と保育園の違いと選ぶポイントは?「認定こども園」の概要も解説!
幼稚園と保育園の違いが良くわからないという人もいるのではないでしょうか。子どもが3歳になったときにどちらに入園させるか判断しやすくなるよう、保育料や時間などの違いや特徴、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。また、選択肢のひとつとして認定こども園についても説明します。
執筆:續 恵美子(ファイナンシャルプランナー)幼稚園と保育園の違い
幼稚園と保育園の大きな違いは、教育と保育のどちらの役割を持っているかです。それぞれの仕組みの違いを表にまとめてみましたので参考にしてください。
幼稚園と保育園の違い
幼稚園 保育園 管轄 文部科学省 厚生労働省 対象年齢 3歳~小学校入学前 0歳~小学校入学前 保育者 幼稚園教諭 保育士 保育料 無償化上限(27,500円)まで利用料無料 保護者の課税状況に応じて市町村長が決定
(3歳以上は利用料無料)運営日 年間39週以上
(土日休み/夏・冬・春に長期休みあり規定なし
(日祝祭日休みなどは施設による)時間 標準4時間 標準11時間 給食 任意 あり 入園日 通常4月初め 施設により異なる 入園までの
スケジュール・入園前年度の6月頃から見学会開始
・入園前年度の9月頃から願書配布開始
・入園前年度の10月頃から願書提出、
書類選考や面接の実施、選考結果発表
・4月入園入園希望月の3カ月~5カ月前より
申込み開始とする自治体が多い出典:内閣府「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」および全国保育協議会「『保育園』を知ってください」を元に筆者編集・作表(2020年12月時点)
幼稚園はどんな施設?
幼稚園は義務教育ではないものの、文部科学省の管轄であり、「教育施設」としての役割を持つ施設です。
子どもたちは「幼稚園教育要領」に基づく教育を受けますが、教科書を使わず、子どもの創造性を豊かにするような「遊び」中心の活動を行います。バザー、夏祭り、運動会などの園行事を通し、集団行動や規律を学べます。
保育園はどんな施設?
保育園は厚生労働省の管轄で、児童福祉法に位置付けられた「児童福祉施設」です。保護者の就業、介護、病気などの理由により、家庭で保護者が保育できない場合に、保護者に代わって保育します。食事や睡眠の時間も確保できるよう原則1日11時間開いています。
保育園で過ごす時間、子どもたちは遊びやお絵かき、絵本の読み聞かせなどをしてもらいます。登園・下園時のあいさつや、おやつやお昼ごはんを食べたあとの後片付けなどを通し、社会や生活での基本的なルールを学ぶこともできます。
幼稚園と保育園を比較した時のメリット・デメリット
子どもが3歳になると、幼稚園と保育園のどちらも選べるようになります。子どもと保護者にとってどちらにも満足いく方を選べるよう、それぞれのメリット・デメリットを知っておきましょう。
ここでは幼稚園と保育園の比較をするために、3歳以上の子どもの場合で説明します。
幼稚園 保育園 施設の役割 〈メリット〉
・国が指定する教育要領にもとづいた教育をしてくれる
・(園によるが)英語や体操などの時間もある
〈デメリット〉
・(園によるが)教育的カリキュラムがある分、のびのび遊ばせる時間が少なくなる〈メリット〉
・教育的カリキュラムがない分、子どもをのびのび遊ばせてもらえる
・園で過ごす時間が長く、基本的な生活習慣を教えてもらえる
〈デメリット〉
・保育が目的であるため、英語や体操などの教育的カリキュラムがない費用面 〈メリット〉
・保護者の所得に関係なく、利用料が無償
〈デメリット〉
・無償化制度の対象とならない幼稚園(私立の一部幼稚園)の場合、月額2万5,700円を越える部分は保護者負担〈メリット〉
・保護者の所得に関係なく、利用料が無償
〈デメリット〉
・認可外保育所の場合、月額3万7,000円を越える部分は保護者負担預ける期間 〈メリット〉
特になし
〈デメリット〉
・春休み・夏休み・冬休みの長期休暇があるため、保護者が働いている場合は自身の休暇申請をしたり、別途預け先を探すことが必要〈メリット〉
・夏休み、春休みなどの長期休暇がないため、別途預け先を探す必要がない
〈デメリット〉
特になし時間 〈メリット〉
特になし
〈デメリット〉
・預かり時間が短く、園が預かり保育を実施していない場合、働く保護者は別の預け先を探すことが必要〈メリット〉
・預かり時間が長いため、フルタイムで働く保護者にとっては安心
〈デメリット〉
特になし筆者作成
2006年にできた「認定こども園」とは
幼稚園と保育園の選択に迷う場合には、認定こども園という選択肢もあります。
認定こども園は、0歳~小学校就学前まで、保護者の就労状況にかかわらず利用可能で、子どもは保育、教育ともに受けることができます。
たとえば、3歳~5歳の子どもの場合、昼過ぎごろまでは教育時間、保育を必要とする場合は夕方までの保育を実施してもらえます。園によっては延長保育も実施しています。
認定こども園でも幼稚園や保育園と同様、3歳~5歳の子どもについては無償化の対象です。
実際には認定こども園には4つの種類があり、種類によって保育者や預かり時間などが異なります。次の部分で見ていきましょう。
認定こども園の種類
1.幼保連携型
幼稚園的機能と保育所的機能の両方の機能をあわせ持つ単一の施設。
・保育者:保育教諭(幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有)
・預かり時間:原則11時間
2.幼稚園型
既存の認可幼稚園がこども園に転換したタイプ。本来の幼稚園では行っていない、教育終了後の保育も行っています。
・保育者:3歳児以上クラスは幼稚園教諭(保育士資格取得者が望ましい)
・預かり時間:標準4時間、最長11時間(地域の実情に応じる)
3.保育所型
既存の認可保育所がこども園に転換したタイプ。保育園では預かることのない、保育が必要でない子ども(保護者が共働きではないなど)も受け入れます。幼稚園で行われるような教育も受けることができます。
・保育者:保育士(幼稚園教諭資格取得者が望ましい)
・預かり時間:原則11時間
4.地方裁量型
認可外の保育施設が都道府県の認定を受けることで、教育・保育を実施しているタイプ。
・保育者:幼稚園教諭と保育士資格の併用が望ましいが、いずれかでも可
・預かり時間:地域の実情に応じて裁定
認定子ども園のメリット・デメリットは?
認定子ども園には次のようなメリット・デメリットがあります。
〈メリット〉
・保護者の就業状況などにかかわらず、広く子どもを受入れてくれる
・教育と保育の両方を受けられる
〈デメリット〉
・まだ新しい制度のため、施設数が少なく定員が埋まりやすい
・家から近くになければ送り迎えが大変
子どもをどこに通わせるか?選ぶときのポイント
幼稚園、保育園、認定こども園のどれがいいか、迷ったときには次のようなポイントを比較検討してみましょう。
預かり時間を比較する
働く保護者にとって何時から何時まで預かってくれるのかは大切ですが、働いていない保護者にとっても親子のスケジュールのために大切なポイントです。夏・冬・春休みなどの長期休暇の有無なども含めて検討しましょう。
費用を比較する
2019年10月からスタートした幼児教育・保育の無償化により、どの施設でも3歳~5歳までの子どもに対して利用料は無料です。入園料や送迎費、制服など、利用料以外の費用負担を比較してみましょう。
運営方針を比較する
どの施設もそれぞれに定められた基準に従い教育・保育を行いますが、園によって野外活動に力を入れたり、英語教育に熱心だったりと運営・指導方針は異なります。保護者の希望に合うかどうか見学会などでしっかり確認してみましょう。
幼稚園、保育園、認定こども園の特徴や選択ポイントについて解説してきました。今回説明したポイント以外にも、親子ともに相性の良い施設であることも大切です。園開放日や見学会などで、先生達の子どもへの接し方、子ども達の笑顔なども確認しながら納得のいく施設を選べると良いですね。
※本ページに記載されている情報は2020年12月7日時点のものです
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執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/)