【現役ママ医師監修】初めてで分からないことだらけ!新生児育児の悩みに答えます
【現役ママ医師監修】初めてで分からないことだらけ!新生児育児の悩みに答えます
公開日 2020/06/01
更新日 2020/06/01

【現役ママ医師監修】初めてで分からないことだらけ!新生児育児の悩みに答えます

待ち望んだ赤ちゃんと対面して、ママやパパは喜びにあふれることでしょう。しかし、そうした感動に浸れるのは、ごくわずかな時間かもしれません。出産を終えて自宅に戻ったら、何から何まで世話が必要な新生児との生活が待っています。初めて出産・育児を経験する人なら、分からないことばかりの生活に戸惑いやいらだちを感じることもあるでしょう。ここでは、よくある新生児育児の疑問に対して、筆者が現役ママ医師目線で回答していきます。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)

睡眠、授乳、皮膚トラブル……悩みは尽きない

  • 「新生児」とは、生後28日未満までの赤ちゃんのこと。1か月健診前の生まれたてほやほやの赤ちゃんを指します。首も腰も座っていないので、抱っこするにも細心の注意が必要。しかも昼夜を問わない授乳やおむつ替えに追われる新生児との生活は、想像していたよりはるかに身体的・精神的なつらさを感じることでしょう。

  • 右も左も分からない新生児育児の中で、「うちの子は周りの子と違う」「インターネットで調べた情報と違う」などと思い悩んでしまうママも多いはずです。筆者も初めて出産したときは、ひたすらスマホで先輩ママさんのブログを読みあさり、わが子と違う部分を見つけては落ち込んでいました。産後はただでさえゆっくりと休みたいのに、スマホが気になって寝不足なのに眠れない状態に陥ったことも……。そうした筆者の経験も踏まえて、新生児の睡眠・授乳・皮膚トラブルについて詳しくみていきましょう。

  • うちの子、全然寝ない!

    新生児は、まだ昼夜の区別が付いていません。昼も夜もなく、寝たり起きたりを1~4時間ほどの周期で繰り返すことが特徴です。さらに、新生児期は浅い眠りである「レム睡眠」が睡眠の半分を占めるとされています。ちょっと物音がしたり不快を感じたりしただけですぐに目を覚ましてしまうのは、このためなのです。新生児は「細切れ」の睡眠を繰り返しますが、それを合計すると1日の睡眠時間は15~20時間にもなります。「1日の大半を寝て過ごす」と考えておけばいいでしょう。

  • とはいえ、「赤ちゃんが全然寝てくれない!」と悩むママは多いでしょう。筆者も、上の子がなかなか寝付かない子だったので、新生児期は毎日寝不足でした。それなのに、育児書やインターネットでは「赤ちゃんの脳や身体は睡眠中に成長する」という情報をよく目にするため、不安になった記憶があります。

  • しかし、新生児の睡眠の長さや深さには大きな個人差があります。抱っこするとミルクを飲むのも忘れてぐっすりと眠る子もいれば、お腹がいっぱいになってもすぐに目を覚まして泣き続ける子もいます。新生児の睡眠に「正解」はありません。授乳もオムツも室温も完璧なのに赤ちゃんが全然寝ずに泣いてばかりいると、「どこか悪いのではないか?」「自分の育児方法が間違っているのではないか?」と思ってしまうかもしれません。しかし、順調に体重が増えてすくすくと育っているのであれば、寝ないで泣いてばかりいても何らかの異常を心配する必要はほとんどありません。眠らないこともわが子の個性だと考えましょう。

  • 生後3~4か月になれば赤ちゃんも昼夜の区別が付くようになり、少しずつまとまった時間眠るようになります。眠らない新生児との生活は身体的にも精神的にもつらいものですが、いずれはぐっすりと眠れる日が必ずやってきます。家族と協力してたまには休みながら、赤ちゃんのペースに合わせた生活に付き合ってあげてください。

  • おっぱいが出ない、飲んでくれない……ミルクを足してもいい?

    新生児を持つ母親がインターネット上の掲示板などに書き込んだ投稿約2,000件を分析した調査1)によれば、悩み相談として最も多かったのは授乳に関するものだったそうです。

  • 母乳には免疫の働きを担う成分や豊富な栄養素が含まれているため、できるだけ母乳で育てたいと考えるママは多いでしょう。また、母乳には乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防する効果があると考えられており、厚生労働省も母乳での育児を推奨しています。母乳育児をサポートするため、おっぱいマッサージなどを行う「母乳外来」が全国的に広まっているのも、そうした背景があるからでしょう。確かに、母乳は赤ちゃんにとっていいことづくめ。ママにとっても、授乳の時間には幸せを感じられるものです。

  • ただし、母乳の量や、赤ちゃんの吸い方にもやはり大きな個人差があります。一般的に、母乳は産後3~4日ごろから多く分泌されるようになりますが、分泌スピードが遅かったり、分泌量が少なかったりするママもいます。また、乳首を吸うことが苦手な赤ちゃんもいます。その場合はミルクを利用することになりますが、「母乳神話」が根強い日本では罪悪感を覚えるママも多いようです。

  • しかし、現代のミルクは母乳に負けないくらい栄養豊富です。母乳にはない栄養素(ビタミンKなど)も含まれているので、決して赤ちゃんに悪いものではありません。母乳にこだわるあまり授乳がストレスになってしまうようでは、ママにも赤ちゃんにもよくありません。母乳が足りないときや赤ちゃんがうまく母乳を吸えないときは、悩むことなくミルクを利用してください。

  • 湿疹にオムツかぶれ……どう対処すればいい?

    赤ちゃんの皮膚はとってもデリケート。特に新生児期は皮脂の分泌量が徐々に多くなっていくため、顔や頭皮などにべったりとした膜が張り付いたようになり、湿疹ができやすくなります。ひどい場合は皮膚に赤く炎症が生じ、痛みやかゆみで機嫌が悪くなる子も……。また、新生児は水っぽい便が頻繁に出るので、オムツかぶれが起こりやすくなります。

  • こうした皮膚トラブルへの対処に悩むことは少なくないはず。きれいに洗ったり、市販薬を塗布したり、肌に優しい衣類やオムツを使ったりとセルフケアしている人も多いでしょう。しかし、これらのセルフケアをしても症状が改善しない場合は、産科や小児科を受診して適切な治療を受ける必要があります。「ただの湿疹」「ただのオムツかぶれ」と軽く見ていると、赤ちゃんがつらい思いをするかもしれません。「新生児に薬は使いたくない!」と考える人もいますが、病院では赤ちゃんに使っても悪影響のない処方をしてもらえるので心配は無用です。

出産を乗り越えたママの身体もケアが必要!

  • 産後は頻繁な授乳にオムツ替え、沐浴、抱っこと、忙しくて目が回るようです。そうした生活に追われ、自分の身体のケアは後回しになってしまうママも少なくありません。しかし、産後のママの身体は大きなダメージを受けている状態。無理をすると後になって心身の不調が生じてしまうこともあります。特に産後すぐのママは、次のような症状に注意してください。

  • 気分の落ち込み

    産後はホルモンバランスが大きく変化するもの。特に産後3~5日ほどはわけもなく気分が落ち込んだり、涙が止まらなくなったりという「マタニティーブルー」が起こりやすくなります。多くは産後2~3週ごろまでには自然に改善していきますが、気分の不調が続くことも……。産後3週間が過ぎても改善しなければ、産後うつの可能性も考えられます。産後うつが悪化すると、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。気分の不調が続くときは、早めに産科や心療内科などを受診してください。

  • 悪露が止まらない

    悪露の正体は、出産によりダメージを受けた子宮や産道から排出される血液などが混じった分泌物です。出産直後の悪露は赤色で量も多いですが、時間がたてば量が減り、褐色から透明な色合いへと変化していきます。通常は1か月ほどで目立たなくなりますが、いつまでもだらだらと悪露が続くときは、産後の回復が遅れていると考えられます。

  • というのも、産後の子宮は収縮を繰り返すことで出血を止め、回復していきます。しかし、胎盤の一部が残っているなど何らかの原因で弱い子宮収縮しか起こらないと、回復が遅れてしまうのです。子宮内に血液の固まりなどが残っていると、細菌感染を起こして高熱や腹痛などの症状が現れることもあります。赤や褐色の悪露が産後1か月以降も続くようであれば、産科で診てもらうようにしましょう。

氾濫する「育児神話」に惑わされないで!

  • 新生児との生活の中で、ママやパパは多くの悩みを抱えるもの。特にわが子のことに関しては必要以上に神経質になりがちです。一方で、現代では様々な情報がインターネットなどで簡単に手に入るようになっています。「穏やかな新生児の寝顔を見ながら幸せに浸る」「母乳をゴクゴク飲む赤ちゃん」「透き通るように輝く肌の赤ちゃん」……。そうしたキラキラな育児生活の情報を目にすると、わが身の状況と比べて気分が落ち込んでしまうこともあるでしょう。

  • しかし、新生児育児に絶対の正解はありません。いたずらに「神話」に惑わされず、目の前にいるわが子との生活を楽しんでください。新生児の期間はあっという間に過ぎてしまうのですから……。

  • 成田亜希子

    執筆者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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