【FP解説】奨学金の金利はどのくらい?奨学金以外の大学資金の準備方法も
【FP解説】奨学金の金利はどのくらい?奨学金以外の大学資金の準備方法も
公開日 2020/03/18
更新日 2020/03/18

【FP解説】奨学金の金利はどのくらい?奨学金以外の大学資金の準備方法も

子どもの大学進学にあたり、教育費が足りない時に活用したいのが、奨学金や教育ローンなどの制度。一口に奨学金や教育ローンといっても、国の公的機関のものから民間の金融機関のものまで多岐にわたり、条件や金利なども様々です。とても頼りになる制度ですが、いざ使おうとした時に、希望通りに借りられなかったり、借りた後の返済に困ってしまったりすることも。
制度の違いや、利用にあたっての注意点を予め理解しておきましょう。

執筆:山本美紀(ファイナンシャルプランナー)

奨学金と教育ローン、その違いは?

  • 奨学金の概要

    奨学金は、民間団体や大学、地方自治体でも実施していますが、一番多くの方が利用されるのが独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。

  • 奨学金の種類としては、給付型と貸与型(無利息の第一種、利息ありの第二種)があります。それぞれ学力と家計の選考基準があり、一番多くの方が利用するのが、貸与型の第二種の奨学金です。(図表1参照)

  • 第二種の奨学金は、利息がつきますが、在学中は無利息です。利率は、<利率固定方式>あるいは5年ごとに利率の見直しがある、<利率見直し方式>のいずれかを申し込み時に選択します。

    (2020年1月現在、利率固定方式:0.077% 利率見直し方式:0.0025%)

  • ※最新の利率については、

    独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)ホームページの<利息付き奨学金の貸与利率>

    https://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/riritsu/riritsu_19ikou.html#r01

    をご参照ください。

  • 奨学金は、学生本人が申し込みをし、入学後に毎月設定した一定額が本人の口座に振り込まれます。月々の貸与額は2万円から12万円の間で1万円刻みで設定することができます。(※私大医・歯系学部の場合は4万円、私大薬・獣医系学部の場合は2万円増額可)

  • 返済(奨学金の場合、<返還>と呼ばれます)のタイミングは、最終貸与月の7カ月後からです。

  • 図1:奨学金(JASSO)と教育ローン(日本政策金融公庫)の比較表

    奨学金(JASSO) 第二種奨学金(利息付)教育ローン(日本政策金融公庫)
    契約者
    (返済者)
    学生本人保護者
    条件学力基準および家計基準あり所得制限あり
    借りられる金額月額2~12万円から1万円単位 ※1子ども1人あたり350万円 ※2
    振込み方法毎月定額を本人口座へ振り込み保護者口座へ一括で振り込み
    貸与開始進学後申込・審査完了後
    返済開始貸与終了の翌月より7ヶ月目から借りた翌月から(在学中の元金据え置き制度あり)
    利率利率固定方式と利率見直し方式(5年ごと)のいずれかより選択 固定利率
    2020年1月現在の利率利率固定方式:0.077%
    利率見直し方式:0.002%
    1.66%
    ※1 私大医・歯学の場合は4万円、私大薬・獣医学の場合は2万円増額可※2 海外留学資金(条件あり)の場合は最高450万円

    図表:筆者作成

    参照元:独立行政法人 日本学生機構ホームページ

               日本政策金融公庫ホームページ

  • 教育ローンの概要

    一方、教育ローンにおいても、国の教育ローン(日本政策金融公庫・教育一般貸付)と、民間金融機関の教育ローンがあります。

  • いずれも使う目的が教育関連に絞ったものという点では同じですが、「教育関連費」をどこまでとするか、また利率やその他の条件などは、金融機関によってさまざまです。

  • 国の教育ローンは、扶養している子どもの人数に応じた所得制限が設けられており、子ども1人あたり、原則350万円まで借りられます。今後1年間に必要となる費用が融資の対象で、返済期間は最長15年(低所得・交通遺児家庭・母子または父子家庭などは18年)、利率は固定金利のみとなります(2020年1月時点 1.66%)。詳細は先にまとめた図表1をご参照ください。

  • いずれの教育ローンも奨学金と違い、申込者は保護者です。また、返済開始は貸与の翌月からとなります。子どもが在学中の期間は、元金を据え置くことができますが、利息の返済は必要となりますので注意が必要です。

  • 尚、奨学金と教育ローンは、併用も可能です。

金利では奨学金が大きく有利

  • お金を借りるにあたって、まずは気になる金利。長期間で返済することを考えると、金利の少しの違いが返済額に大きく影響しますので、なるべく金利は抑えたいところですね。

  • 現時点では奨学金の方に利息軽減メリットは大きいといえます。

  • 例えば、奨学金を月に8万円、4年間借りると、8万円×4年(48カ月)で384万円の貸与になります。

    この奨学金を仮に固定利率0.08%、20年間で返還すると、返還総額はおよそ387万円となります。(月の返還額は約1万6,000円)

  • 一方、教育ローンで、子ども1人あたり上限額の350万円を借りて、1.66%の固定利率、15年間で返済すると、返済総額はおよそ395万円となります。(月の返済額は約2万2,000円)

  • 奨学金の方が借りた金額が多いのに、総返済額は少なくなっていますね。金利の差によってこういうことも起こり得るわけです。

  • ですから、後々返済する負担を考えると、金利の低い奨学金の魅力は大きいのです。

  • 奨学金は、入学前には使えない!

    金利の面で大きなメリットがあるJASSOの奨学金ではありますが、気をつけていただきたいことがあります。

  • それは、「支給時期が入学後のため、受験費用や合格後すぐに必要になる入学金等の納付金などに使えない」ということ。

  • したがって、入学前の必要費用を借りたい場合には、国の教育ローン等の教育ローンを利用するか、JASSOの通常奨学金に加えて「入学時特別増額貸与奨学金」+労働金庫の入学時必要資金融資(つなぎ融資)」を受ける必要がでてきます。

  • JASSOの「入学時特別増額貸与奨学金」とは入学月のみ上乗せする奨学金のことです。10万円、20万円、30万円、40万円、50万円のいずれかを選べます。大学の学費は入学前に入学金と前期の授業料等を支払わなければいけません。そこで、つなぎ融資として進学前に労働金庫より、「入学時必要資金融資」を受けられるようになっているのです※。

  • ※ご利用にあたっては、諸条件がありますので、詳細につきましては、

    独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)ホームページおよび労働金庫ホームページを

    ご参照ください。

  • 教育ローンを利用するにあたっては、申し込むタイミングに気をつけましょう。

  • 受験シーズンは当然ながら申し込みが殺到するため、審査に時間がかかることがあります。資金が必要な時期に間に合うように、借りる予定がある場合は、早めに申し込みの手続きをとることがポイントとなります。

借りる前の実際の返済(返還)シミュレーションはマスト!

  • 在学中は、金銭面でとても頼りになる奨学金や教育ローンではありますが、当然ですが、最終的には返済(返還)する必要があります。

  • 奨学金の場合は、学生本人が長期にわたって返済していくことになるため、卒業後の子どもの生活に大きく影響します。

  • 教育ローンに関しては、親の今後の生活費や老後資金計画、きょうだいがいる場合は、そのきょうだいの教育費に影響していくため、実際に資金を借りる前には、必ず返済シミュレーションを行いましょう。

  • 日本学生支援機構(JASSO)のホームページや、日本政策金融公庫ホームページにて、借りる金額や、返済期間などを設定して、実際の返済(返還)シミュレーションをすることができます。

  • 例えば、入学前および大学1年分の資金(受験料および学校納付金など)を教育ローンで200万円借り、大学2年次から4年次まで、月に8万円の奨学金を3年間貸与した場合を仮定して、返済額をシミュレーションしてみます。(図2参照)

  • 図2:返済シミュレーション例

  • 教育ローン:借入額200万円

    返済期間:15年 固定利率1.66%の場合

    借りた時期:2020年3月

    元金+利息返済開始時期返済終了時期支払い回数
    返済額1万2,700円/月額2020年4月2035年3月180回
    在学中元金据え置きの場合
    在学期間4年間 2,800円/月額2020年4月2024年3月48回
    卒業後11年間 1万6,600円/月額2024年4月2035年3月132回

  • 第二種奨学金(JASSO):貸与額月額8万円×3年間(36ヶ月)=288万円

    返済期間:16年 固定利率:0.10%の場合

    借りた時期:2021年4月~2024年3月

    元金+利息返済開始時期返済終了時期支払い回数
    返済額1万5,127円2024年10月2036年9月192回
    ※最終回のみ1万5,277円

    教育ローンについては、翌月から返済を開始するパターンと、在学中は元本据え置き措置を利用して、利息のみの返済をするパターンの両方でシミュレーションしています。このように、具体的に返済額と返済開始時期、返済終了時期を明確にしておくことで、今後のライフプランや資金計画について、具体的な対策を考えることができます。

  • 場合によっては、借りる金額を再検討するなど、今後の生活に無理のない範囲での借り入れ・貸与を検討することもできます。

  • 奨学金による子どもの負担を減らしたい、親ができるサポートは?

    奨学金は、金利も低いうえに、在学中は利息が発生せず、返還も卒業後からということで、時間的にも猶予があり、活用したい制度ではありますが、親である皆さんの中には、自身が奨学金の返還で苦労し、子どもには同じ苦労をさせたくないという気持ちから、奨学金を借りたくないなと考える方もいらっしゃることでしょう。

  • 確かに、奨学金の借主は学生本人であり、学生本人が返還していくものでありますが、返還時期に、親に金銭的に余裕がある場合、子どもをサポートすることもできます。

  • 具体的には、返還分を親が贈与する形で負担するという方法です。気になる贈与税に関しては、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった金額が110万円以下であればかかりませんので、この範囲内での援助により、子ども自身の返還の負担を軽減してあげられます。

  • まずは、必要額の計算と条件チェック

    ここまで見てきたように、公的な機関による支援制度であっても、奨学金と教育ローンでは、多くの点で制度の違いがあり、実際利用するにあたっては、資金が必要になるタイミングや金額などが、対応できるかどうかの確認が必要となります。

  • また、必要な大学資金が、ここで紹介したJASSOの奨学金や、国の教育ローンで借りられる上限額を超える場合は、民間の金融機関によるローンも検討する必要がでてきます。民間のローンにおいては、さらに条件や利率は多種多様です。

  • まずはどのくらい資金を借りる必要がありそうなのかの試算からはじめ、条件に合う制度を調べるところからはじめましょう。

  • その中でなるべく金利負担が低いものを選ぶこと、無理のない返済プランを立てることで、賢く奨学金・教育ローンを活用して大学資金の準備をしていきましょう。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年3月13日時点のものです

  • 山本美紀(ファイナンシャルプランナー<CFP®>、家計整理アドバイザー認定トレーナー)

    執筆者プロフィール 山本美紀(ファイナンシャルプランナー<CFP®>、家計整理アドバイザー認定トレーナー)
    家計相談やライフプランシミュレーションの作成を中心とした個人相談や、家計整理アドバイザー講座の講師、女性向けマネーセミナー、執筆活動を行っている。ご相談者の大半が30代~40代の子育て世代であり、同じ母親として気軽に相談できるママFPとして活動中。

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