【FP解説】「養育費」金額はどう計算する?もらえない時は?
【FP解説】「養育費」金額はどう計算する?もらえない時は?
公開日 2020/03/06
更新日 2020/03/06

【FP解説】「養育費」金額はどう計算する?もらえない時は?

離婚後の収入源は大きな問題。
特に欠かせないのは元配偶者からの養育費です。
養育費はいつまでもらえるの?養育費の計算方法は?

今回は、現役FPの筆者が、コンサルティングの現場での体験を元にお伝えします。

執筆:寺門 美和子(ファイナンシャルプランナー)

養育費の支払い状況、支払われない理由は?

  • 平成28年度(2016年度)厚生労働省の「全国ひとり親世帯調査報告」によると、母子世帯の養育費の受給状況は24.3%でした。少ない原因は様々ですが、「離婚時に取り決めをしていなかった」という人が54.2%を占めています。

    夫婦問題カウンセリングにて、筆者が実際に相談者と話をしていると「別れられれば何もいらない」「住む場所だけあれば良い」という方もいます。しかし、お子さんが高校生ぐらいになると、シングルマザーで家計を支えるのが困難になる方が多くいるのも、また現実です。

  • 養育費は、民法によって定められた基準によって請求が可能です。なぜ、この様な支払い状況なのでしょうか。

    当事者のお話を伺っていると、ひとつの傾向が。「元夫が再婚してから支払われなくなった」または「彼女ができてから支払われなくなった」というものです。

    相談者(妻)側は、「私の事は嫌いでも、子どもの事は大切にしていたから、まさか養育費を支払わなくなるとは思わなかった」と言います。夫側の意見は、「自分にも人生がある、養育費を支払い続けていたら再婚もできない」というものです。

    新しい人と人生を歩むとき、養育費を払い続ける経済的な余裕がなくなる、という現実があるようです。長引く不況が影響しているのかもしれません。

養育費の取り決め効果

  • それでも、平成28年度(2016年)と平成23年度(2011年度)の調査を比較すると、受給状況は約5ポイント改善されています。

    また養育費について「取り決めをしている」という人の約6割は「公正証書」等の公的証書を交わしています。公正証書があると、裁判を起こさずとも元配偶者の財産差し押さえを行うことができます。

  • 「養育費保証制度」というサービスもあります。この「養育費保証制度」とは、養育費の保険のようなものです。民間の保証会社がサービスを提供しており、未払いの養育費の立替や取り立てを行ってくれます。

    大阪市や明石市等、ひとり親世帯への助成としてこのサービスを提供する自治体もあります。また、ついに東京都でも支援が始まることが2020年1月に発表されました。

養育費の金額はどのように決まるのか

  • 本来、養育費の金額はどのように決まるのでしょう?養育費は、別居親が同居親に支払う費用で、生活に必要な費用・教育費・医療費等をまとめたものですが、法律で金額の決まりはありません。

    家庭裁判所には、養育費算定基準となる「養育費・婚姻費算定表」というものがあります。2019年12月末、裁判所の算定表が16年ぶりに見直されました。算定表は、子どもの年齢・人数・配偶者2名それぞれの年収をベースに制作され、その交わるところを基準金額としています。そこへ、居住地や、子どもの通っている学校が私立・公立か等の個別要件が加味されます。

  • また、支払われる期間は、子の年齢が18歳まで・20歳まで・22歳まで等、ケースバイケースで、話し合いによって決められます。話し合いがまとまらない場合、調停や裁判となります。

  • 今回の改定で、養育費が若干増加したケースが多いといわれていますが、実際には、主に都市部で高騰する教育費に見合わない、という声がまだ多く聞こえます。今の時代「学校教育の無償化」は進んでいますが、習い事にお金を費やす家庭も多く、ひとり親世帯でそれらを捻出するのは困難が伴います。

    弁護士連合会の「算定表」というものもあり、こちらは家庭裁判所より高い水準になっているため、こちらを採用する家庭もあります。

それでも払ってもらえない時は

  • 「離婚前に話合いをする」「交渉手段を準備する」と言っても、「元配偶者が支払わないと言っている」というケースは多々あります。また、元配偶者が自営業の場合、「公正証書」を交わしていても、給与所得者の給与差し押さえの様に進められません。その様な場合はどうしたら良いのでしょうか。2つのケースをご紹介します。

  • 1. 元義父母を頼る

    元夫が無職のため、養育費を受け取れないというAさん。弁護士へ相談しても「ないところからは取れない」という結論に。そんなAさんには、(元)義父母へ援助要請をすることをオススメしました。

    義父母にとって、孫を大切に育ててくれる元義娘には感謝の気持ちがあるものです。実際に、元義父母と良好な関係を保ち、元配偶者の代わりに養育費を支払ってもらうケースもあります。

  • 2. 共同養育をする

    離婚後、元配偶者との面会交流を頑なに拒否していたBさん。お気持ちはわかりますが、元配偶者と共同養育をする事で、経済的に安定するケースもあるのです。別居している親の立場からすると「子どもと面会もさせてくれないのにお金ばかり要求する」という気持ちになってしまうもの。

    別れても、二人が父と母である事には変わりはないのです。ならば、多少の時間はかかっても良好な関係を築き、面会交流をしてみては?と、Bさんにはご提案しました。面会時に、子どもと直接進路について話し合ってもらったりする事で、自然と経済援助の必要性の話になることも。

    子どもとの間に問題を抱えた時、定期的に交流している元配偶者が、関係をほぐしてくれる、といったこともあるようです。

  • 子どもを育てていく、という大きな責任から考えると、養育費は「受け取れて当然」とも言えるものです。安易にあきらめずに、専門家に相談するなどして、前向きに考えてみてくださいね。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年2月18日時点のものです

  • 寺門 美和子

    執筆者プロフィール 寺門 美和子
    『お金と暮らしと夫婦問題の専門家』として、ファイナンシャルプランナーと夫婦問題コンサルタントの二刀流で活動中。AFP/公的年金アドバイザー/相続診断士/終活カウンセラー/FP相談ねっと認定FP/岡野あつ子師事®上級夫婦問題カウンセラー
    個人に寄り添う事をモットーとし、老後のお金の問題から終活・相続まで、ワンストップで対応。特に夫婦問題や複雑な相続などの案件が得意。日々コンサルティング業務を行っている。

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