【FP解説】就学支援金ってどんな制度?子どものために知っておこう
【FP解説】就学支援金ってどんな制度?子どものために知っておこう
公開日 2020/02/07
更新日 2020/02/07

【FP解説】就学支援金ってどんな制度?子どものために知っておこう

子どもがいる家庭にとって、教育費は、家計を悩ませる大きな問題のひとつですね。中学・高校と、子どもが成長してくるにつれて、教育費もますますかかるようになるので、今後の教育費のやりくりに、不安を感じている人もいるかもしれません。
そこで、みなさんは、子どもの高校進学において、お金の負担を減らすことができる「就学支援金制度」をご存知でしょうか。
一定の条件を満たせば、高校の授業料を支援してくれる国の制度です。

今回は、「就学支援金制度」とはどんな制度なのか、制度を利用するには、どんな手続きが必要なのかなど、詳しくチェックしていきましょう。

執筆:下中英恵(ファイナンシャルプランナー)

就学支援金制度の概要をチェックしよう

  • 自分の子どもには、ぜひ本人の希望の学校に進学してもらいたいと願う親は多いのではないでしょうか。経済的な理由で、子どもに進学を諦めさせてしまうのは、親にとっても大変心苦しいものです。そんな時に知っておきたいのが、「高等学校等就学支援金制度」です。

  • これは、高等学校等に通う子どもがいる世帯において、一定の条件を満たすと、就学するための支援金が支給される国の制度です。現在のところ、全国の約80%の生徒が利用しています(*1)。

  • 高校は、国立・公立・私立を問わず、定時制や通信制の学校も対象となります。この制度を上手に活用すれば、親の所得が少ないからと、私立などの高校をあきらめていた子どもたちも、希望の高校に通えるかもしれません。ぜひ、制度のポイントを確認しておきましょう。

知っておきたいポイント 就学支援金制度Q&A

  • では、就学支援金制度の気になるポイントをQ&A形式でチェックしていきましょう。さらに詳しい情報が知りたい人は、文部科学省のホームページ(*2)を確認しておきましょう。

  • Q1. 就学支援金制度の対象者はどんな人?

    高校等に在学する、日本国内に住所がある人が対象です。具体的には、以下の学校に在籍する生徒です。

    ・国公私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)

    ・中等教育学校後期課程

    ・特別支援学校の高等部

    ・高等専門学校(1~3学年)

    ・専修学校(高等課程)

    ・専修学校の一般課程や各種学校のうち国家資格者養成課程に指定されている学校

    ・各種学校のうち一定の要件を満たす外国人学校

  • ただし、以下の人は対象とはなりません。

    ・高校等を既に卒業した生徒や3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒

    ・専攻科、別科の生徒や、科目履修生、聴講生

    ・一定の基準を超える収入がある世帯の生徒

  • Q2. 所得制限はあるの?

    所得制限があります。年収約910万円未満の世帯が対象です。

  • Q3. 支給額はどのくらい?

    国公立高校の場合、年間の授業料相当額である11万8,800円が支給され、家庭における授業料の負担は、実質0円となります。また、私立高校の場合、所得に応じて、支給額が変わる仕組みとなっており、最高で約30万円まで支給されます。学校の授業料と、就学支援金の差額については、親が負担することになります。

  • Q4. 支給額は返済する必要があるの?

    返済の必要はありません。

  • Q5. 就学支援金は、在学していればいつまでも支給されるの?

    支援金が支給されるのは、高等学校の標準的な修業年限とされている36ヵ月までです。ただし、定時制・通信制の課程については原則48ヵ月まで支給されます。

  • Q6. 支援金の利用にはどんな手続きが必要なの?

    就学支援金制度を利用するには、学校に申し込む必要があります。入学した4月などに、学校から案内があるはずなので、先生や学校の事務室などに確認してみましょう。そして手続きには、親権者全員のマイナンバーや、所得を確認するための課税証明書を提出しなければならないケースがあります。早めに必要書類を揃えておくと安心です。

  • Q7. 就学支援金は誰が受け取るの?

    都道府県や学校法人など、学校の設置者が、生徒本人に代わって支援金を受け取り、授業料に充てます。そのため、生徒本人や保護者が、直接支援金を受け取ることはありません。学校の授業料と、就学支援金の差額については、生徒や親が支払わなければなりません。

就学支援金制度が変わる?2020年の変更点

  • 今まで紹介してきた就学支援金制度ですが、実は2020年の4月から、内容が変更になる予定です。大きな変更点は、年収が約590万円未満の世帯において、私立高校等に通う生徒の就学支援金の上限額が、大幅に引き上げられる点です。

  • 現在のところ、私立高校の場合、支援金額は、最高で年約30万円となっています。しかし、2020年の4月以降は、この支給額が、私立高校の授業料を勘案した水準までアップするため、家庭における授業料の実質的な負担額は、0円となります。これによって、年収が約590万円未満の世帯では、「私立高等学校授業料の実質無償化」が実現する予定です。

  • この、「私立高等学校授業料の実質無償化」は、現在すでに私立高校に通っている学生にも適用されます。2020年以降、家庭における私立高校の授業料の負担は、大幅に軽減されるでしょう。

  • 今まで、経済的な問題を理由に、私立高校への進学を諦めていた人もいるかもしれませんが、これからは、子どもたちが自分の行きたい私立高校を選択できるようになります。これから学校を選択する場合は、2020年以降の変更点についても、しっかりと確認しておくようにしましょう。

就学支援金だけじゃない 覚えておきたい制度

  • 就学支援金は、高校の授業料を補うことができますが、学校で必要となる教科書費用や教材費などには充てることができないため、別途お金がかかります。特に、所得が低いご家庭では、このような教材費は、負担になってしまうかもしれません。

  • そこで覚えておきたいのが、就学支援金とは別に、低所得世帯をサポートしてくれる「高校生等奨学給付金」という制度です。こちらは、平成26年からスタートしている制度で、教科書費用や教材費などに充てることができる給付金が支給されます。また、返済の必要はありません。

  • ただし、就学支援金と同様に、この「奨学給付金」を受給できる条件として、所得制限が設けられています。主に、生活保護を受けている家庭などが対象となるので、注意が必要です。また、「奨学給付金」を受け取るためには、先ほど紹介した「就学支援金」とは別に、申し込み手続きを行う必要があります。問い合わせ窓口は、各都道府県で設けられているため、自分で問い合わせをしてみると良いでしょう。

  • 具体的にはどのような人が対象となるのか、支給額がいくらくらいなのかなど、詳しい内容について気になる人は、文部科学省のホームページ(*3)もチェックしてみて下さいね。

  • いかがだったでしょうか。子どもの教育費は、親にとって大変悩ましい問題ですが、今後は、私立高校の場合でも、授業の負担が大幅に軽減される予定です。「高等学校等就学支援金制度」について正しく理解し、活用することで、子どもたちが、自分の希望する学校に通うことができるようになります。これから子どもの進学先を検討する場合は、ぜひ、今回紹介した内容を参考にしてみて下さいね。

  • 本ページに記載されている情報は2019年12月18日時点のものです

  • 下中英恵(1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者)

    執筆者プロフィール 下中英恵(1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者)
    東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。 富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています。

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