【FP解説】教育ローンって現実的?国と民間の違いも
【FP解説】教育ローンって現実的?国と民間の違いも
公開日 2020/02/05
更新日 2020/02/05

【FP解説】教育ローンって現実的?国と民間の違いも

中学・高校・大学とすべて国公立に進学しても子ども1人に1,000万円、私立なら2,000万円近くかかると聞くことがある教育費。子どもが大きくなるまでにしっかり貯めようとは思うけど、いざとなれば教育ローンを利用すべきか考える保護者も多いかもしれません。しかし教育への考え方や経済状況は個々の家庭によって異なりますから、教育ローンを利用すべきかどうかに正解はありません。しかし、利用するなら教育ローンの種類や仕組み、内容などをきちんと知っておくことが必要です。

そこで、日本政策金融金庫の国の教育ローンや民間の教育ローンなどについて見ていきましょう。

續 恵美子(ファイナンシャルプランナー)

教育ローンの基礎知識

  • 教育ローンとは、ローンのなかでも使い道が入学金や授業料などの教育関連費用に限定されているものです。子どもの教育のためとはいえ、他のローン同様に、借入れすれば利息をつけて返済していかなければなりません。

  • 国(日本政策金融金庫)や銀行、信用金庫、信販会社などさまざまな民間金融機関が教育ローンを取り扱いしていますが、金利や返済方法、利用条件などはそれぞれに異なります。国の教育ローンと民間の教育ローンの2つに大別し、それぞれの特徴を表にまとめてみましたので参考にしてください。

  • 国の教育ローン民間の教育ローン
    金利低め金融機関・借入金額による
    金利方式固定金利変動金利・固定金利など
    年収制限年収が高いと借りられない場合がある(所得上限あり)年収が低いと借りられない場合がある
    借入限度額350万円金融機関によるが国よりも多め
    審査に要する期間10日前後(申し込みが多い1月~3月は時間がかかる場合も)即日審査できる金融機関もあり

  • 日本政策金融金庫が取り扱いをしている国の教育ローンは、借入れ時に設定された金利が返済完了までずっと変わらない固定金利です。そのため返済計画が立てやすいメリットがあります。

  • 国の教育ローン、わが家は審査に通る?

  • 対して民間の教育ローンは、金融機関や商品によって内容がさまざまです。また、同じ金融機関でも、金利や借入可能額、返済期間などは借入れ人の状況に応じて幅広く設定されています。

  • どちらの教育ローンも利用するにはまず審査に通過しなければなりません。審査基準はどの金融機関も公表しておらず、独自の基準を設定している金融機関もあるようですが、一般的には借入れ申請者の勤務先、雇用形態、所得、他の借入れの有無、家族状況などさまざまな要素を総合的に見て判断されます。貸す側、借りる側の両者にとって、問題なく返済していけるかどうかが大切なポイントです。

  • ということは、所得が多いほど審査に通過しやすいと考えられそうですが、国の教育ローンの場合、融資条件のひとつとして所得の上限があるため高所得者は借入れできない場合もあります。ただし、扶養する子どもの数や家族の状況によっては例外もあります。

奨学金と教育ローンの違いは?

  • 子育て世代の保護者のなかには、自分たちが学生時代に利用していた奨学金を現在返済中という人もいるかもしれません。教育資金対策として奨学金はひとつの選択肢となりますが、奨学金と教育ローンでは大きな違いがいくつかありますから、きちんと知っておきましょう。

  • 実際に奨学金を返済した(している)経験がある人はご存じだと思いますが、奨学金は給付型のものでない限り、大学卒業後など奨学金の利用が終了した後に子ども自身が返済していくものです。

  • 対して教育ローンは保護者が借りて、保護者が返済するのが通常です。また、原則としてローン契約をした翌月(あるいは翌々月)から返済(元金+利息)が始まります。在学中は教材や通学費用、仕送り金などさまざまな費用が必要になりますから、ローン返済と生活費、他にかかる教育費用などのバランスを考えながら計画的に利用を検討しなければなりません。

  • もうひとつの大きな違いは借入金の受け取り方です。奨学金は子どもの入学後に、分割して一定額が月々貸与されますが、教育ローンは借入れした金額が一括して借入れ人(保護者)に融資される仕組みです。前者は在学中の費用や下宿にかかる生活費などとして利用しやすい方法ですが、後者の教育ローンは入学金や授業料などまとまって必要となる支払いに適していると言えるでしょう。

入学費用はどれぐらいかかる?

  • 教育費は幼稚園から大学までの各進学のタイミングで、授業料や入学金、塾代等々さまざまな費用がかかりますが、ピークとなるのが大学進学時。国の教育ローンの場合では、国内外の高校、大学、大学院、専修・各種学校などへの進学で必要となる資金を最高350万円の一時金を借入れできることになっていますが、大学進学資金がいくらぐらい必要なのか、目安を知っておきましょう。

  • 国公立・私立別にみた入学費用と在学費用を表にまとめましたので参考にしてください。

  • 私立短大国公立大学私立大学文系私立大学理系
    学校納付金29.2万円29.5万円43.1万円39.9万円
    受験費用35.8万円37.9万円37.7万円37.6万円
    入学しなかった学校への納付金8.7万円12.8万円9.6万円8.0万円
    入学費用合計73.6万円80.1万円90.4万円85.5万円
    在学費用(年当り)136.7万円105.1万円149.6万円179.6万円
    大学進学費用合計210.3万円185.2万円240万円265.1万円

    出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査(2019年3月20日発表)」

  • これを見ると受験費用や入学しなかった学校への納付金に対する費用が多くあることがわかります。すべり止めとして複数の大学を受験する子どもは多いですが、受験する大学数が増えるほど受験費用は膨らみます。最終的に志望校へ進学できるとしても、複数の大学を受験して合格すれば、入学しなくても納付金が発生することがあります。

  • 複数校を受験することの是非を問うわけではないですが、大学進学資金準備をする際は、このことを忘れないようにしてください。

教育費の準備方法はたくさん!教育ローンより先に考えよう

  • 教育ローンを利用すると利息をつけて返済しなければならないことは前述したとおりですが、返済していくことによる家計への負担も考えておきましょう。

  • 仮に国の教育ローンで250万円借入れするとして、2つのケースでシミュレーションすると返済額は次のようになりました。金利は固定金利、年1.66%(2019年12月現在)とします。

  • 返済期間5年10年
    返済月額44,200円22,800円
    返済総額2,605,100円2,713,100円
    うち利息額105,100円213,100円
    保証料総額58,532円116,032円

    参考:日本政策金融金庫「教育ローン用返済シミュレーション」

  • 返済期間を短くすると1カ月当たりの返済額が大きくなるため家計への負担が大きくなる可能性があります。

  • 逆に返済期間を長くすれば1カ月当たりの返済額は少なめになりますが、利息総額が増えるうえ、完了時の保護者の年齢によっては自分たちの老後資金づくりなどに影響する可能性があります。一般的に子どもが18歳になる頃に利用するのが教育ローンです。出産年齢が伸びている昨今では、完済時年齢とリタイア年齢がほぼ同じということもあり得る話です。つまり、年金からのローン捻出の可能性もゼロではないのです。

    教育ローンの利用は最後の手段と考えて、まずは他の方法で教育費準備をすることを検討してみましょう。

  • 学資保険

    教育資金づくりの定番とも言えるのが、生命保険会社が提供している学資保険です。大学進学に合わせて満期を設定することで、満期保険金を大学資金に充てることができます。契約者である親に万が一のことがあると保険料の払込みが免除となるうえ、契約どおりに満期時には保険金を受け取ることができます。

  • 財形貯蓄

    保護者が勤める会社に財形貯蓄制度があれば、ぜひ利用しましょう。給与天引きなので確実に貯まっていきます。

  • ジュニアNISA

    先の2つは確実に貯まってはいきますが、低金利の昨今では利息を期待することはできません。そこで運用効率を高める方法として検討したいのがジュニアNISAの活用です。

  • ジュニアNISAは少額投資非課税制度(NISA)の子ども版で、0歳~19歳の子ども名義で口座を開設し、親権者が代理で運用管理をします。通常、投資信託や株式への投資で得た収益には20.315%の税金がかかりますが、ジュニアNISAの口座を利用すれば年間80万円までの枠内で、最長5年間非課税となる特典があります。原則子どもが18歳になるまで払い出しできないため、大学進学資金として使い道を限定しやすくなります。

  • ただし、ジュニアNISAに投資できる期間は2023年12月末までと決められています。ジュニアNISAをまだ利用していない人はいまのうちに投資しておくといいですね。その後はジュニアNISAの口座内にある資産は、一定の金額までは子どもが18歳になるまで非課税で保有可能です。

  • どの方法にしても、子どもが小さいうちから計画的に貯めていけば準備しやすいのが教育資金です。たとえば児童手当は貯蓄に回すと決めておくのもいいでしょう。最近では幼児教育の無償化が始まり、家計の負担が少し抑えられる時期もできるようになりました。その分、習い事などの支出を増やすのではなく、将来の進学資金に向けて貯蓄に回していくようにしたいですね。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2019年12月22日時点のものです

  • 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP®〉)

    執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP®〉)
    生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
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