【FP解説】国の教育ローン、わが家は審査に通る?!
【FP解説】国の教育ローン、わが家は審査に通る?!
公開日 2020/02/04
更新日 2020/02/04

【FP解説】国の教育ローン、わが家は審査に通る?!

教育ローンを利用するなら「国の教育ローン」がいいと聞くけど、利用に際して条件が合うか不安……という人は少なくありません。民間の金融機関に比べて有利な面もある国の教育ローンですが、申し込みに際しては条件が厳しめです。どのローンにも言えることですが、申し込みするだけではなく、審査に通らないと利用できません。

そこで今回は、日本政策金融金庫が提供している国の教育ローンについて、申し込みの基準などを見ていきましょう。

續 恵美子(ファイナンシャルプランナー)

国の教育ローンとは?

  • 国の教育ローンは、政府系金融機関のひとつである日本政策金融公庫が行う公的な教育ローンです。もともとは1979年に「国の進学ローン」として取扱いが開始され、1991年にはそれまでの入学費用の融資に加えて在学中の費用も融資の対象となりました。この時から「国の教育ローン」と改名されました。

  • 政府の広報サイトによると、これまでの融資件数は延べ550万件超に上り、2017年度だけでも新規の融資実績は約12万件、計1,749億円とのことです。

  • 国の教育ローンの特徴

    教育ローンは国の教育ローン以外にも、銀行、信用金庫、信販会社など多くの民間金融機関が提供していますが、国の教育ローンのほうが有利な面が多いと言われることがあります。まずは国の教育ローンの特徴を知っておきましょう。

  • 1. 融資金額

    国の教育ローンで借りられる金額は、進学・在学する子ども1人当たり350万円以内。月々貸与される奨学金とは異なり、一括で借入れできるため、入学費や学費などの学校納付金の支払いにも対応できます。外国の短大・大学・大学院に6ヵ月以上在籍する海外留学資金の場合は450万円以内となっています。

  • 2. 使い道

    入学費用の融資に加えて在学中の費用も融資の対象となる旨前述しましたが、在学費用としては教科書代やパソコン購入費、通学費用、自宅から通わない人の住居費用(敷金、家賃など)などに利用することも可能です。

  • 3. 固定金利

    借入れ時に設定された金利が返済完了するまで、ずっと変わらない固定金利です。そのため返済計画が立てやすいメリットがあります。参考までに、2019年12月現在の金利は年1.66%。対して民間の教育ローンでは、申込み時に提示される金利は金融機関により、たとえば「1.700% ~17.800%」や「2.000% ~5.610%」というように幅広く提示されます。しかし実際には借り入れ金額や審査結果などによって決まりますから、審査が終わるまで確定しません。その点、国の教育ローンは申し込み時点から金利が確定していますから、返済計画を立てやすいメリットがあります。

  • 4. 返済が最長15年と長期

    返済期間は最長15年までと比較的長いため、月々の返済負担を抑えることができます。ただし、返済期間が長くなるほど支払う利息総額が大きくなってしまいます。一般的に教育ローンは子どもの大学進学時に利用するケースがほとんどですが、その頃の保護者の年齢はリタイア年齢が近づいていることも考えられます。返済期間が長ければ、ケースによっては年金から捻出せざるを得なくなる可能性には注意が必要です。

  • 5. 家庭の状況に応じた優遇制度がある

    母子・父子家庭、交通遺児家庭の人など、家庭の状況によって金利や返済期間、保証料が優遇される特例が用意されています。たとえば、2019年12月現在の金利は年1.66%ですが、優遇金利は0.4%低い1.26%です。返済期間は最長18年と3年間延長され、保証料も通常の2/3に低減されます。子どもの大学進学までに両親のどちらかに万が一のことがないとも限らないことを考えると、こういう優遇制度があるのは心強いことでしょう。

申し込みの条件は?

  • 金利も低めで使い勝手が良い国の教育ローン。冒頭でも述べたように多くの人が利用しているようですが、実は申し込みの条件はきつめです。

  • 年収条件

    国の教育ローンは、進学に関する家庭の経済的負担の軽減と、教育の機会均等を図ることを目的として作られた制度です。そのため年収条件が定められており、会社員など給与所得者の場合は世帯年収、事業主の場合は世帯所得が、子どもの数ごとに定められた次の範囲内に収まらなければなりません。

  • なお、世帯年収(所得)ということに気をつけましょう。共働きの場合はローン申請者だけでなく、配偶者等の収入(所得)も含まれます。

  • 子どもの人数世帯年収(所得)の上限額
    1人790万円(590万円)
    2人890万円(680万円)
    3人990万円(770万円)
    4人1,090万円(870万円)
    5人1,190万円(970万円)

  • たとえば、夫婦共働きで子どもが一人の場合、夫婦合わせた年収が790万円以下でなくてはなりません。仮に父親が500万円、母親が300万円だとしても世帯で見ると800万円ですから年収の上限額を超えてしまいます。共働きが多い昨今では、融資対象とならない世帯は増えてくるかもしれませんね。

  • 年収緩和条件

    子どもが1人および2人の世帯に限られますが、上で示した年収(所得)上限額を越えていても、990万円(770万円)までならOKと緩和してもらえる場合があります。しかし緩和条件が適用されるためには次の条件のうちのどれか1つに当てはまっていなければいけません。

    1.勤続(営業)年数3年未満であること

    2.居住年数1年未満であること

    3.世帯のいずれかの人が自宅外通学(予定)者であること

    4.借入申込人またはその配偶者が単身赴任であること

    5.今回の借入れが海外留学資金目的であること

    6.借入申込人の年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%超であること

    7.親族などに「要介護(要支援)認定」を受けている人がおり、その介護に関する費用を負担していること

    8.大規模な災害により被災した人

  • 上の例で見た共働き夫婦の場合、これらの条件のどれかに該当していれば教育ローンの申し込みが可能になります。借入れ時の年齢等を考えると、勤続3年未満や居住年数1年未満という条件を満たすのは難しかもしれませんが、たとえば子どもが自宅外通学を予定するケースなどは多そうですね。

  • 審査基準

    実際に国の教育ローンを利用するには審査に通過しなければなりません。審査は勤務先、雇用形態、所得、他の借入れ有無、家族状況などさまざまな要素を総合的に見て判断されます。

  • 実は緩和条件を満たすための8つの項目は、民間金融機関ならローン審査に通りにくくなるものがほとんど。たとえば返済中の住宅ローンやマイカーローンなどがあり、年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%を越えてしまえば収入と返済額のバランスが崩れ、安定的に返済するのが難しいと判断されてしまいます。

  • それが国の教育ローンならOKとなる可能性がありますが、だからといって、他の借入れを増やしたり、返済が難しくなるような収入に見合わない金額を借入れするのはおすすめできません。安易に利用を考えるのではなく、あくまでも収入に見合った利用を考えたり、そもそも教育費を抑える方法も考えておきましょう。

教育費を抑えるための対策

  • 幼稚園に通う子どもを持つ保護者など、2019年10月から始まった幼児教育・保育の無償化の恩恵を受けている人もいると思います。

  • 実は教育の無償化は、幼児教育以外にも高校でも実施されています。また、2020年4月からは大学でも実施が予定されています。幼稚園への通園にかかるすべての費用が無償になるわけではないように、高校や大学進学にかかるすべての費用が無償になるわけではないですが、一部でも保護者の負担が抑えられるのは助かります。

  • たとえば高校の無償化は、授業料に充てるための「高等学校等就学支援金」が給付される制度です。支援金を受けるには、保護者の年収基準があり、目安は約910万円未満となっています。

  • また大学では住民税非課税世帯かそれに準ずる世帯であることとされ、多くの家庭に当てはまるわけではなさそうです。実際にはひとり親かふたり親か、世帯の子どもの人数などの家族構成によって年収目安が変わります。

  • これらの無償化制度とは別に、大学独自の授業料等の減免制度を利用するのもいいでしょう。これは経済状況にかかわらず、意欲と能力ある学生が修学の機会を持てるようにすることが目的で、大学ごとに基準を設け、申請者の経済状況、単位取得状況、成績などを審査して全額または半額免除などが決定されるものです。すべての国公立大学のほか、私立大学でも実施しているところがあります。大学のHPなどでチェックしてみてください。

  • このように教育費を抑えることができれば、無理して教育ローンを利用する必要がなくなるかもしれません。子どもが小さい頃から進路について親子で話し合い、親としては進学や成績向上の意欲を育むような取り組みをしてあげられるといいですね。

  • たくさんの制度を利用しても、教育費負担がゼロになるわけではありません。子どもが小さいうちから計画的に準備していけるよう、親の方も収入アップを目指したり、資産形成に努めていきたいですね。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2019年12月22日時点のものです

  • 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP®〉)

    執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP®〉)
    生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
    エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金のmanaVIVA(学び場)」を無料開講中!

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事