「妊娠初期の便秘」解消法は?薬は飲んで良い?
「妊娠初期の便秘」解消法は?薬は飲んで良い?
公開日 2019/08/08
更新日 2019/08/08

「妊娠初期の便秘」解消法は?薬は飲んで良い?

妊娠すると、身体の中で様々な変化が起こります。
妊娠初期の症状はつわりだけではありません。
「便がかたい」や「ガスによるお腹の張り」といった便秘の症状に悩まされる人も多いです。
便秘は慢性化してしまうと切れ痔やイボ痔を引き起こしてしまうことも。
また、いきんで流産してしまうのが怖い、あまりに便通を我慢して、余計に症状がひどくなるという悪循環を起こすケースもあります。

そこで今回は、妊娠初期の便秘の原因と解消法、妊娠中でも服用できる薬について解説していきます。
食事、生活において気をつけるべきポイントを押さえて、便秘知らずの健やかな体調で出産に臨んでください。

監修:成城松村クリニック院長 松村圭子

妊娠初期に便秘になる理由

  • これまで快便だった人でも妊娠をきっかけに便秘になってしまったり、もともと便秘体質の人がさらに悪化し辛い症状に悩まされることもあります。

  • まず、「便秘」とはどのような状態なのかを正しく理解しておきましょう。

    便秘とは、便を十分にかつ快適に出し切れない状態を指します。一般には3日以上にわたって排便がない状態のことを言いますが、便通には個人差があるのでその点に注意しましょう。例えば2~3日排便がなくても、お腹に痛みや張りなどの不快感がなければ便秘ではありません。反対に毎日排便がある場合でも排便量が少ないなどすっきりしない状態なら便秘の可能性があります。

  • つまり便秘とは正確には、ガスが溜まったり、腹痛や不快感などがあったりして日常生活に支障をきたし、さらに排便時に強いいきみと苦痛を要する状態のことを言います。

  • 妊娠していなくても、もともと女性は便秘気味である場合が少なくありませんが、妊娠初期の場合、便秘やお腹の張りに悩む人が頻発します。妊娠初期はなぜ便秘になりやすいのでしょうか?それには妊娠による体内環境の変化や生活リズムの乱れなどいくつかの理由があります。

    妊娠中の便秘にはどのような原因があるのか、具体的に見ていきましょう。

  • ホルモンバランス

    妊娠初期の症状である便秘は、妊娠中に分泌される「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の働きが原因のひとつであると言われています。プロゲステロンは妊娠状態を維持するために必要不可欠なホルモンです。ですが同時に、消化器平滑筋を弛緩させる作用があります。そのため、胃や腸の運動を鈍化させ便秘を引き起こすのです。さらにプロゲステロンには体内に水分を貯め込もうとする作用もあり、それに伴って腸内の水分が吸収されることから便が硬くなり、排便しにくくなるのも便秘の一因です。

  • つわりで栄養バランスが崩れている

    妊娠初期はつわりがあり、食生活が偏りがちな時期です。つわりの症状が重いと、食べ物が全く喉を通らないことも。そのため、お通じを良くしてくれる食物繊維を充分に摂取できないなど、栄養バランスが崩れることが少なくありません。食物繊維不足の状態が続けば便がかたくなってしまい、便秘につながります。

  • 水分不足

    ホルモンの変化で減ってしまった便の水分量を補う必要があるため、妊娠初期の水分補給は重要です。水分を十分に摂ることで便が柔らかくなり、排便をスムーズにしやすくなります。

  • 運動不足

    妊娠すると日常の運動量が不足しがちになります。運動不足は腸のぜん動運動を低下させるだけでなく、ストレスや自律神経の乱調を引き起こすことも。

    *妊娠初期の便秘に効く運動方法は後ほど詳しくご紹介します。

  • 子宮・姿勢の変化

    胎児が成長するにつれて、どんどんお腹が大きくなります。すると、腸管が子宮に圧迫されるため、腸の働きが悪くなり便秘になる場合があります。

  • いきむのが怖い

    妊娠中に強くいきむと「流産してしまうのでは?」と心配になり、排便を我慢してしまう人も少なからずいます。ですが排便を我慢すると、余計に便秘が悪化する可能性が高いです。便意がある場合での多少のいきみでは流産やお腹の赤ちゃんに影響は及びませんので、安心してください。

便秘解消法【食べ物編】

  • 症状の度合いに違いはあれど、妊娠初期につわりはつきものです。特に吐きづわりでは、特定のものしか身体が受け付けなくなり食生活が偏ってしまう傾向にあります。重度のつわりの場合、食べ物が全く喉を通らない人も。そのため毎食、栄養バランスを考えた食事を摂ることは難しいでしょう。

  • とはいえ、食事は便秘解消のために大切です。どのような食事を意識すれば便秘の症状を軽減させることができるのでしょうか?具体的な妊娠初期の便秘解消法をご紹介しますので、無理せずできることから取り入れてみてください。

  • 水分補給(白湯やハーブティーなど温かいものがおすすめ)

    妊娠初期はつわりによって水分不足になりがちですが、スムーズな排便には充分な水分補給が欠かせません。水やカフェインレスのお茶などをこまめに飲むよう心がけましょう。ただし、冷たすぎる飲み物は体を冷やしてしまうので、避けた方がよいでしょう。

  • 妊娠初期の便秘解消で一番おすすめの方法は、朝起きたらまずコップ1杯の白湯を飲むことです。寝ている間に汗として排出された分を補うことができるだけでなく、胃腸を刺激して排便を促す効果も期待できるからです。

  • また、妊娠中の便秘解消にはハーブティーもおすすめです。ルイボス、カモミール、ローズヒップ、ハイビスカス、ジンジャーやたんぽぽコーヒーなど、妊婦さんでも安心なノンカフェインのハーブティーはたくさんあります。ハーブティーには便秘解消の効果だけでなく、気分を落ち着かせてくれる鎮静効果がある種類も。是非試してみてくださいね。

    ただしハーブティーの中でも、ラズベリーリーフのように、子宮収縮作用があるものには注意が必要です。

  • こまめに水分補給ができるように、外に行くときに水筒を持ち歩くなど工夫して見てはいかがでしょうか。

  • 食物繊維の摂取(根菜・きのこ・海藻 など)

    妊娠初期の便秘を解消する食べ物の代表として、食物繊維を多く含む食品が挙げられます。食物繊維には排便を促し、腸にたまった有害なものを取り除く作用があります。食物繊維が多く含まれる食材を意識して摂るようにしましょう。

  • 食物繊維には役割の異なる「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類ありますが、便秘改善のポイントは2種類の食物繊維をバランス良く摂ることです。

  • 「不溶性食物繊維」を多く含む食材 

    いも類、根菜類

    いんげん、えんどう、あずきなどの豆類

    トウモロコシ、玄米、ライ麦などの穀類

    きのこ類

  • 「水溶性食物繊維」を多く含む食材  

    昆布などの海藻類

    納豆、大豆などの豆類

    りんごやドライプルーンなどのフルーツ類

  • 「不溶性食物繊維」は、腸の中で水分を吸収し大きくふくらむことで腸の動きを活発にし、「水溶性食物繊維」はかたくなった便を柔らかくしてくれます。2種類の食物繊維をバランス良く摂取することで、腸内環境が改善され、便秘解消の効果が高まります。

  • 特におすすめの食材は納豆。大豆に含まれる不溶性食物繊維の特性に加え、発酵によるネバネバ成分の水溶性食物繊維の特性も加わるので、水溶性、不溶性の食物繊維が一度に摂取できるからです。

    つわりで食欲がないときはフルーツや酢昆布、寒天などであれば口にしやすいでしょう。また、きのこやイモなどをふんだんに盛り込んだ味噌汁やスープは、水分摂取も同時にできるので一石二鳥です。

  • 乳酸菌の摂取 (ヨーグルト・味噌・醤油 など)

    妊娠中はストレスや食生活の変化から悪玉菌が増殖し、腸内環境が乱れていることが多く、便秘を引き起こす原因となりがちです。健康的な腸内環境を取り戻すためには、善玉菌である乳酸菌を積極的に取り入れることが必要。乳酸菌はサプリのほか、ヨーグルト、味噌、醤油などの発酵食品などからとることができます。

  • 未精製の食材 (玄米・ライ麦パン・雑穀パンなど)

    妊娠初期につわりの症状がひどいと、味覚の変化で好物が食べられなくなったり、匂いだけでも吐き気を催したりと、食事の内容や量にも変化が起きます。決して無理をする必要はありませんが、主食を玄米や発芽米、ライ麦パンや雑穀パンといった未精製の食材に変えると便秘解消に役立ちます。未精製の食材には、むくみを予防してくれるカリウムや、便の水分量を増加させる働きがあるマグネシウムなど、ミネラルがたくさん含まれているからです。また精製された穀物(白米、白パンなど)と比較して未精製の穀物には排便をスムーズにする食物繊維も豊富に含まれています。

  • 眠っているあいだ休んでいた胃や腸は、朝食を食べることでだんだん活発に働くようになります。胃や腸を刺激して活性化させスムーズな排便を促すためにも、朝食はしっかりと食べるようにしましょう。

  • オリーブオイル

    妊娠中の便秘対策としてオリーブオイルの摂取もおすすめです。オリーブオイルには腸内の滑りをよくし、排便を促す作用があります。オリーブの果実を搾ってろ過しただけの、化学的処理を一切行っていないエクストラバージンオリーブオイル(EXV)なら、サラダのドレッシングやカルパッチョに利用するなど生のまま摂取するのがベスト。大さじ1杯(約110kcal)をお味噌汁などに入れて飲んでもOKですよ。サラダにオリーブオイルを使用すると、食物繊維も同時に摂取できて便秘解消にさらに近づけます。

便秘解消法【生活編】

  • 便秘を解消するには規則正しい生活と適度な運動も欠かせません。軽めのウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど軽く身体を動かすと気分転換にもなりますね。

  • また、胎児が成長してお腹が大きくなってくると、正しい姿勢を保ちにくくなります。姿勢が悪くなると腸の動きも悪くなり、便秘の原因になることも。妊娠初期のうちから立つ・歩く・座るなどの、それぞれの姿勢が正しく取れているか注意し、慢性的な便秘を防ぐようにしましょう。

  • そこで、妊娠初期の妊婦さんでも簡単にできる便秘解消法を解説します。ただし妊娠初期はつわりなど体調の変化が大きいので、決して無理はしないでください。医師のアドバイスも参考にしながら、できることから実践してみてくださいね。

  • 質の良い睡眠を取る

    規則正しい生活を送ることで腸の動きが正常化し、便秘を解消することができます。「朝早く起きる・夜は早めに寝る」ことを心がけましょう。腸の働きを良くする副交感神経は、夕方から夜中にかけて最も活発になりますので、夜更かしをせず、質の良い睡眠をたっぷりと取るようにしましょう。

  • ストレッチやヨガで血の巡りを良くする

    妊娠初期の便秘解消にはストレッチやマタニティヨガも有効です。ストレッチやヨガなどの軽い運動は、血の巡りを良くし腸の働きを活発化させるので便秘解消に効果があります。なかでも、「腹筋」を意識したストレッチを定期的に取り入れるのがおすすめ。腹筋に軽く力を入れながら、腰を揺らしたり伸ばしたりして血行を促進させましょう。

  • 心身ともに余裕があれば、気分転換を兼ねてヨガスタジオに通うのも良いでしょう。もちろん、DVDなどを使用して自宅で実践できるストレッチやヨガもたくさんありますよ。ひとりで行う場合は無理をせず、お腹の張りを感じたら中止しましょう。また、切迫流産や前置胎盤と診断されている場合は、必ず医師に相談してから実行するようにしてください。

  • マッサージ・ツボ押し

    便秘解消にはマッサージ・ツボ押しも効果的です。

    まずは、ひとりでも実践できるお腹と腰のマッサージをご紹介します。

  • お腹のマッサージ法

    ・仰向けになり、リラックスします

    ・お腹を温めるイメージで、両手の手のひらでお腹を包みます

    ・手のひら全体で優しく撫でるようにマッサージします(30秒ほど)

  • 腰のマッサージ法

    ・椅子に深く腰を掛けます

    ・腰を温めるイメージで、両手の手のひらを腰に当てます

    ・ゆっくりと上下に移動させます(30秒ほど)

  • どちらのマッサージも力加減に注意して、強く押さないようにしましょう。お腹や腰がポカポカしてきたらOKです。

  • 次は、便秘に効果的なツボ押しの方法をご紹介します。

    便秘のツボは多数存在しますが、簡単にできるのは、手のツボです。

  • 支溝(しこう)

    手の甲側にあります。手首の中心から肩側に指幅4本分、ひじ寄りのところ。

    親指の腹でグッと力を入れて、強く真下に向けて押します。

  • 間使(かんし)

    手のひら側にあります。ちょうど支溝(しこう)の裏側のあたり。

    親指をツボに当てて、ゆっくり押します。

  • 合谷(ごうこく)

    手の甲側で、親指と人指し指の延長線が交わった部分。

    刺激するとへこんでいる、コリコリしている、鈍い痛みがある箇所に親指を当てて、ゆっくり押します。

  • マッサージやツボを押して排便を促す際は、入浴中やお風呂上りが特に効果的でおすすめ。ゆっくりと息を吐きながら行うと良いでしょう。マッサージやツボ押しが大変な場合は、カイロなどでツボを温めるだけでもOK。

  • 身体を冷やさず温める

    身体の冷えは、妊婦にとって大敵です。便秘だけではなく、むくみや腰痛などの原因にもなります。妊娠中は妊娠を継続させるためプロゲステロンの分泌が活発になり、体温が平常時より高温に。そのため身体が火照っているように感じることもありますが、気にするあまり空調で身体を冷やしすぎないようにすることが大事です。

    温かい飲み物を飲んだり、服装の調節に常に気を配るようにしましょう。半身浴や足湯で身体を温めるのも良い方法です。

便秘と下痢が交互に起こる場合

  • 妊娠すると、便秘と下痢が交互に起こるという厄介な症状に悩まされることがあります。便秘と下痢は両極端な症状ですが、どちらも腸内環境の悪化、ホルモンバランスや自律神経の乱れが原因で起こり得ることで、あまり心配する必要はありません。

便秘薬は飲んでも良いの?

  • 長引く便秘は肌荒れや頭痛などを引き起こすこともあるため、なるべく早く解消したいものですね。食事、生活に気をつけていても改善しないしつこい便秘は、医師に相談し妊娠中でも服用できる薬の処方をお願いしましょう。

    くれぐれも自己判断での市販の便秘薬の使用は控えましょう。安易な薬の服用は母体だけでなくお腹の赤ちゃんにも影響を与えかねません。

  • 便秘解消には栄養バランスの取れた食事・良い睡眠・早寝早起きや軽い運動など規則正しい生活が大切です。そうはいっても妊娠初期はつわりが辛くて食事が取れなかったり、なかなか寝付けないこともあるかもしれません。そんな時は無理はしないで、つわりを乗り越えることを最優先してください。

    水分補給と食生活の見直しで、まずは薬に頼らない快便生活を目指しましょう。

  • 成城松村クリニック院長 松村圭子

    監修者プロフィール 成城松村クリニック院長 松村圭子
    専門分野は婦人科。日本産科婦人科学会専門医。2010年、成城松村クリニックを開院。婦人科疾患のみならず、女性のトータルケアをサポートする。月経トラブル、性感染症、更年期障害など女性のあらゆる不調に対応するために、西洋医学だけでなく漢方薬やサプリメント、オゾン療法、高濃度ビタミンC点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。また女性の美と健康に関する知見を活かし、さまざまなメディアで活躍。著書に『「女性ホルモン力」を高める簡単ごはん』(芸文社)、『女性ホルモンがつくる、キレイの秘密』(永岡書店)、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『40歳からの女性の不調にやさしく効く漢方の本』(日東書院)など。

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