【現役ママの医師監修】「抱き癖」っていつから?ついてもいいの?
【現役ママの医師監修】「抱き癖」っていつから?ついてもいいの?
公開日 2018/12/28
更新日 2019/09/26

【現役ママの医師監修】「抱き癖」っていつから?ついてもいいの?

抱っこをやめた途端に赤ちゃんが泣き出してしまう、そんな悩みを抱えているママも多いのではないでしょうか。
赤ちゃんを泣きやませるために抱っこの時間が長くなってしまい、そんな状態が続くと抱き癖がついてしまうのではないかと心配になってしまいますよね。
抱っこに頼ってばかりいると抱き癖がついてしまうというのは本当なのでしょうか。
また、抱き癖がつくとどんな影響が生じるのでしょうか。

先輩ママの体験談も交えながら、抱き癖にまつわる疑問の数々をまとめます。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)

そもそも抱き癖とは?

  • 抱き癖とは、ママが赤ちゃんを頻繁に抱っこしてあげることで、だんだんと癖がついてきてしまい、抱っこしていないと赤ちゃんがなかなか泣き止まなくなってしまうことを指します。抱き癖がつくと良くないというイメージがあるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。まずは抱き癖の特徴をチェックしてみましょう。

  • 産後、どれくらいから抱き癖がついてしまうのか?

    一般に抱き癖がつくのは、生後2カ月ぐらいからといわれています。生まれたばかりの赤ちゃんの目はぼんやりとしか物を見ることはできませんが、徐々に視力が発達してき、生後2カ月ごろには近くにいる人の目を見てニコニコと笑うようになります。両親の表情や態度を敏感に感じ取って、甘えたり泣いたりといった反応を見せ、抱っこするとご機嫌になるように。その時期から赤ちゃんは両親の抱っこを欲して泣いたり、抱っこすると泣きやんだりする「抱き癖」がつき始めるのです。

  • 抱き癖はいつ終わるの

    赤ちゃんは、生後9カ月ぐらいになるとハイハイを始めて一人遊びができるようになります。個人差はありますが、この頃になると、抱っこを要求する頻度も徐々に低下していきます。抱き癖がついたとしても、この頃から3歳頃までにおのずと癖はとれてくるものです。

抱き癖についての一昔前の意見

  • 一昔前は、赤ちゃんを抱っこしてばかりいると抱き癖がつくからよくないという意見があったようです。

  • ・甘やかしすぎるという意見

    赤ちゃんが泣いたりぐずったりするたびに、すぐに抱っこばかりすることは、甘やかしだという意見があります。赤ちゃんが、大きな声で泣けば自分の要求が通るのだと勘違いして、欲求を満たすために泣いて抱っこをせがむという状態になってしまうというわけです。

  • ・厳しく育てるべきという意見

    これまでは、赤ちゃんが泣くたびに抱っこしてあげたり気にかけたりすると、わがままな子どもに育ってしまうのではないかと危惧する意見がありました。子どもをきちんとしつけるためにも、思い通りにならないこともあるということを赤ちゃんのうちから教えて、厳しく育てるべきだという考え方が一般的でした。

抱き癖は心配不要!

  • たしかに、赤ちゃんが泣くたびに抱っこしてあげていたら甘やかしになってしまうという意見は気になりますよね。しかし、心配は要りません。現在はたくさん抱っこしてあげることが推奨されているんです。

  • 抱き癖は社会性を育む第一歩

    じつは、赤ちゃんが望んだときに抱っこして希望をかなえてあげることは、赤ちゃんの成長にとても大切なこと。抱っこはお互いのぬくもりや心音を感じ、安らぎを与えてくれる最高のスキンシップになります。このため、赤ちゃんはちょっと不快なことや不安なことがあるとママやパパの抱っこを泣いて要求するのです。

  • しかし、赤ちゃんにとって抱っこは単なるスキンシップにとどまらず、両親と良好な関係を築き、社会性を育むための重要な手段でもあります。赤ちゃんは言葉で気持ちを伝えることができないため、抱っこしてほしいときには泣くしかありません。そして、その要求に両親がこたえてあげることで、赤ちゃんは「この人は自分の気持ちを分かってくれる」「この人は自分を守ってくれる」といった信頼が芽生えるようになります。このような信頼を「愛着形成」と呼び、子どもが社会性を育む第一歩と考えられています。両親との安定した愛着形成があることで、子どもは周囲の人への思いやりや愛情を持ち、円滑な人間関係を築く社会性を身に付けることができるのです。

  • 愛着形成は一朝一夕に完成するものではなく、自分の要求を両親がかなえてくれるという毎日の積み重ねによって作られるもの。赤ちゃん時代に両親との間で十分な愛着形成ができないと、情緒が安定せず、他者に対しての思いやりや関心が欠けてしまうことが危惧されています。このように、愛着形成の基本ともいえる抱き癖は決して悪いことではなく、赤ちゃんが社会性を身に付けていくために必要なことなのです。

抱き癖にまつわる先輩ママの体験談

  • 「赤ちゃんが抱っこを要求してきたらできるかぎり応えてあげる」のが、今の常識となりつつありますが、なかなか理解されていないのが現状です。抱き癖にまつわる先輩ママたちの体験談を参考にしてみましょう。

  • 生後1カ月の赤ちゃんのママの体験談をまずご紹介します。

  • 赤ちゃんが泣いたので抱き上げたら、すぐに泣き止んだのですが、それを見た義父母に「ほーらもう抱き癖がついた」と言われました。ほかにも、スーパーでも抱っこで買い物していたときに、見知らぬ方から「抱き癖がつくんじゃない?」と言われたことも。出産した病院では抱っこをすることを推奨されたんですが、抱き癖というのは悪い癖なのかと、心配しています。

  • このように、一般にはまだまだ抱き癖は良くないことだという認識が浸透しているようです。しかし、明治国際医療大学が行った乳児を持つ母親173人を対象にしたアンケートでは、赤ちゃんが泣き続けたときの対処法として90%以上のママが「満足するまで抱いてあげる」と回答しています。1)また、90%以上のママが、赤ちゃんが泣く理由を「抱っこしてほしくて呼んでいる」と認識しており、抱っこすることで赤ちゃんに安心感を与え、泣きやんでくれると考えているママが多いことがうかがえます。

  • 以前は子どもがたくさんいる家庭が多く、ママが忙しいために手をかけて育てることができないので、抱き癖をつけないようにあまり抱っこはするなと言われていたのではないかという意見も。つまり、抱き癖がつかないようにするべきというのは、大人の事情だったということです。

  • 一人めのときはすぐに抱っこしてあげたけれど、二人めのときは忙しくなってすぐには抱っこしてあげられないことが多いという方のお話だと、しばらく放置していると赤ちゃんは仕方なくあきらめてしまうそう。泣くことでなんらかの反応が欲しいと思っている赤ちゃんの期待を、その都度裏切ってしまうことになります。お互いの信頼感を築くための絶好のチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

  • 「泣き叫ぶ赤ちゃんをわざと放置するなんておかしい」「わざと抱っこしないのは無視ですよね」「抱き癖がつくという周りの意見は気にせずスルーするのが一番」、多くのママがこのような考えを持っているようです。

  • また、「どんなに長くても抱っこして欲しい」という時期は3〜4歳ごろまでなので、それまではたくさん抱っこしてあげるべきという意見が多くみられました。

  • このように、抱き癖をつけない育児のメリットが見つからないという意見が多数でした。

  • 抱き癖がつくとよくない、すぐ抱っこするのは甘やかしだ、子どもがわがままになるという話には根拠がなく、ひと昔前の考え。大人の都合を優先するために言われていたのかもしれません。現在、産婦人科医をはじめとする専門家は、「赤ちゃんが抱っこを求めてきたらできるだけ応えてあげるべき」、「抱き癖がついても構わない」という考えのほうが多いです。赤ちゃんは、抱っこしてもらうことで安心感や満足感を覚え、両親との信頼関係を築き、社会性を育んでいきます。いつかは抱っこを嫌がる時期がきますので、今のうちにどんどん抱っこしてあげましょう。

  • 成田亜希子

    監修者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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