陣痛から出産まで何時間かかる?長引くのはどんなとき?
陣痛から出産まで何時間かかる?長引くのはどんなとき?
公開日 2018/11/30
更新日 2019/10/04

陣痛から出産まで何時間かかる?長引くのはどんなとき?

「早くお腹の赤ちゃんに会いたいけれど、その前にどれくらい陣痛に耐えなければならないの?」……こうした不安を抱えるママも多いことでしょう。陣痛は赤ちゃんを産み出すために避けられない痛みだと分かっていても、できれば短い時間で済ませたいものです。

ここでは、妊婦さんの不安の種である「陣痛が続く時間」について、分娩の段階を追いながら解説していきます。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)

お産が進むにつれて、陣痛はどう変化する?

  • 陣痛といえば「鼻からスイカを出す痛み」とたとえられるほど、非常に強い痛みを伴うものというイメージがあると思います。しかし、陣痛はごく軽い痛みから始まり、お産が進んでいくにしたがって徐々に強くなっていくのが一般的です。いきなりマックスの痛みが襲ってくるわけではありません。では、お産はどのように進んでいくのでしょうか。陣痛の変化を追いながら詳しくみていきましょう。

  • 陣痛は、出産時に子宮が規則的に収縮する際に生じる痛みのことです。子宮は筋肉でできており、赤ちゃんを産み出すためには子宮の筋肉が規則的に収縮する必要があります。出産前に不規則で弱い子宮収縮が生じることもありますが、これは「前駆陣痛」と呼ばれるもので陣痛とは異なります。しかし、前駆陣痛はお産が近付いているサインでもあるため、前駆陣痛が生じるようになったらお産に向けて心の準備をしておきましょう。

  • 分娩第1期:陣痛が始まって子宮口が全開になるまでの段階

    「陣痛が始まっても分からないかもしれない」と心配するママもいますが、お産につながる陣痛はそれまでの前駆陣痛とは異なり、下腹部や腰の鈍い痛みが徐々に強く、規則的になっていくので、分からないということはまずありません。ゆっくり休んでいても定期的な痛みが襲ってくるようになったら、お産が始まったと考えましょう。

  • 陣痛の痛みの程度や間隔、長さなどには個人差があるものの、医学的には「陣痛間隔が10分以内、あるいは1時間に6回以上の陣痛が生じる」場合に分娩が開始したものと考えます。陣痛が始まったばかりのころは、10~20秒間ほどの軽い痛みがやってきます。しかし、徐々に子宮収縮が強くなって陣痛の間隔も短くなってくると、子宮口が開いていくのと同時に強い痛みを感じるようになります。そして、子宮口が8cm以上になるころには陣痛は2~5分間隔となり、耐えがたい痛みを伴いながら急速に子宮口が開いていきます。

  • 分娩第1期の長さは、初産であれば10~12時間、経産であれば4~6時間が平均とされています。しかし、この間、ずっと強い痛みに耐えなければならないわけではありません。個人差はあるものの、痛みが強くなってから子宮口が全開大になるまでの時間は平均すると約2時間だからです。ただ、痛みと同時に「いきみたい!」という感覚が生じながら、まだいきむことができないため、筆者の経験からはこの約2時間が最もつらく感じました。

  • 分娩第2期:子宮口が全開大して赤ちゃんが生まれるまでの段階

    子宮口が全開大になれば、我慢していたいきみができるようになります。このとき、陣痛間隔は1~2分ほどになっており強い痛みを伴いますが、「いきむことに必死であまり痛みを感じなかった」というママもいるようです。この段階に至れば、初産であれば1~2時間、経産であれば1時間以内に赤ちゃんと対面できるでしょう。

  • 分娩第3期:胎盤が出るまでの段階

    待望の赤ちゃんとの対面を果たした後もお産は続きます。約10か月もの間、赤ちゃんに酸素と栄養を送ってきた胎盤を排出するために軽い陣痛が生じますが、ほとんど痛みを感じないことも珍しくありません。

陣痛開始から出産までの時間を左右する要因は?

  • 繰り返しになりますが、陣痛が始まってから出産までにかかる時間には個人差があります。

    1961~2003年までに2か所の助産院で自然分娩した2742人を対象とした研究では、陣痛から出産までの平均時間は、初産婦で14時間38分、経産婦で7時間59分(1985~2003年の該当者におけるデータ)だったと報告されています1)

  • 出産までの平均時間

  • 初産婦  14時間38分

    経産婦   7時間59分

  • この結果から、一般的には初めての出産には時間がかかり、2人目以降では半分程度の時間となることが分かります。これは、初めての出産のほうが子宮口の開くスピードがゆっくりで、会陰部の皮膚も伸びにくいことが大きな要因だと考えられます。ただし、それ以外にも陣痛開始から出産までの時間を左右する要因があります。以下にみていきましょう。

  • 不安や緊張による微弱陣痛

    お産が進むにつれて陣痛は強くなりますが、これは赤ちゃんが無事に生まれるために避けては通れないもの。しかし、お産の最中に陣痛が弱くなったり、間隔が長くなったりすることもあります。このような陣痛を「微弱陣痛」と呼び、出産までの時間を長引かせる要因になります。微弱陣痛は、出産に対する強い不安や緊張などで交感神経が過度に興奮することが原因で引き起こされることがあります。また、睡眠不足や疲れが重なった状態でお産に突入すると微弱陣痛になりやすいとの報告もあります。

  • 赤ちゃんの大きさ

    赤ちゃんの大きさも分娩時間に大きく影響します。特に出生体重が4000g以上の巨大児では分娩第2期に時間がかかり、陣痛開始から出産までの時間が長くなる傾向にあります。また、出産時にトラブルの可能性が高く、帝王切開の対象となることも少なくありません。妊娠糖尿病や過度の体重増加などは赤ちゃんが大きくなりすぎるリスクとなるので、妊娠中は生活習慣を整えることが大切です。

  • ママの体重増加

    妊娠中の理想的な体重増加は8~12kgとされています。しかし、元から肥満気味だったママや妊娠中に体重が増えすぎたママは、赤ちゃんのサイズが大きくなりやすいだけでなく、産道に多くの脂肪が付くため、分娩第2期にかかる時間が長くなることがあります。

  • ママの年齢

    お産が順調に進行するためには、子宮口がしっかりと開き、産道や会陰部も十分に伸展しなければなりません。一般的には、年齢が上がるほど身体の組織や皮膚は弾力性を失って硬くなるので、子宮口の開大や産道の伸展に時間を要して出産までの時間が長くなる傾向にあります。

  • コラム

    妊娠中に身体を動かすとお産が早くなるの?

    「安定期を過ぎたらよく身体を動かして安産を目指す!」という話を聞いたことがあるしょう。この通説の真偽はいかがなものでしょうか。


    自然分娩により出産した103人のママ(初産婦48人、経産婦55人)を対象にした研究では、初産婦では臨月での運動量と分娩時間に相関はみられないものの、経産婦では臨月に運動をしていたママはしていないママに比べて有意に分娩時間が短かったと報告されています2)。特に分娩第2期が短くなることが分かっており、これは運動を続けることで筋力が鍛えられ、分娩第2期でのいきむ力が強くなったためと考えられます。一方で、分娩第1期での子宮口の開大に筋力などは関係なく、第1期が長い初産婦は全体として運動習慣が分娩時間に与える影響は小さいと考えられます。


    とはいえ、ママの体重増加はお産を長引かせる原因にもなるため、切迫早産の徴候がない場合は、安定期を迎えたら適度な運動を習慣付けましょう。

  • 陣痛開始から出産までの時間には個人差があり、一般的には初めてのお産のほうが長い時間がかかります。しかし、つらい痛みに耐えなければならないのは限られた時間だけです。陣痛への不安や緊張が強いと陣痛が遠のいてお産が長引くこともあるので、できるだけリラックスした状態で臨めるようにしたいものです。

  • 成田亜希子

    監修者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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