【医師監修】どうする?妊娠中の「管理入院」準備や注意すること
【医師監修】どうする?妊娠中の「管理入院」準備や注意すること
公開日 2018/11/30
更新日 2019/10/30

【医師監修】どうする?妊娠中の「管理入院」準備や注意すること

自宅出産を選択しない限り、出産のためには入院をしなければなりません。ドラマや映画などで、産気づいた妊婦さんが病院に運ばれていくのをみたことがあるかもしれませんが、通常は出産数日前から当日の間に入院をします。ですが、場合によってはそれよりも早期に管理入院が必要となるケースも。

どんなケースの場合に管理入院が必要になるのか、実際に管理入院となってしまったときに気をつけておくべき注意点や対処法について、筆者の体験談も交えご説明します。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)

早期入院が必要となる管理入院とは?

  • 普通、出産のための入院期間は、平均すると出産当日からおよそ1週間程度。もちろん、出産後にママや赤ちゃんに何らかの異常があった場合は入院日数が増えることもありますが、正常分娩の場合は出産当日か前日ぐらいに入院して、5日から7日で退院するというのが一般的です。

  • ところが、イレギュラーなケースとして、出産予定日を迎えるかなり前から早期入院しなければならない場合があります。これは「管理入院」と呼ばれ、出産を目前にした母体の健康状態を管理するために、計画的に入院するものです。担当医から管理入院が必要だと言われたら、お腹の赤ちゃんのためにも応じる必要があります。

管理入院が必要となる主なケース5つ

  • 管理入院が必要となるのは、どんな場合でしょうか。また、どの程度の期間、入院しなければならないのでしょうか。ここでは、よくある5つのケースを取りあげます。

  • 1. 切迫早産

    切迫早産とは、妊娠22~36週に子宮が収縮したり子宮口が開いたりして、今にも赤ちゃんが出てきそうな状態。つまり、「早産しかけている状態」のことです。切迫早産と診断された場合は、早産を防ぐため安静にしなければならず、子宮収縮を抑制する薬などを用いた治療が行われます。早産のリスクがより高い場合には管理入院する必要があり、多くは診断されてから37週の正産期を迎えるまでの入院が必要になります。

  • 2. 切迫流産

    妊娠22週未満に出血やお腹の痛みがあり、流産しかかっている状態のことです。胎児は子宮内にとどまっているため、治療によって妊娠を継続させることも可能です。入院までの期間は重症度によって異なります。軽度な出血や腹痛のみの場合は1~2週間前後の入院で済みますが、流産や早産のリスクが避けられない場合は37週の正産期に入るまで入院が必要になることも少なくありません。

  • 3. 多胎妊娠

    双子や三つ子など多胎妊娠の場合は、早産リスクが高まるだけでなく、妊娠高血圧症候群に代表されるような合併症になることもまれではありません。多胎妊娠の多くは帝王切開での分娩になりますが、妊娠8カ月ぐらいで管理入院を勧められることがあり、母子に何らかの異常がみられた場合は速やかに治療を行えるような体制が整えられます。

  • 4. 妊娠高血圧症候群

    妊娠20週以降に高血圧を発症するものを「妊娠高血圧症候群」と呼んでいます。妊娠高血圧症候群は、急激な血圧上昇や肝臓・腎臓の機能障害を引き起こし、血液が固まりにくくなるなど様々な症状が現れます。重症な場合には脳出血を引き起こすケースもあり、常位早期胎盤剥離や胎児機能不全などの恐ろしい合併症も起こりやすくなるとされています。母子ともに様々な危険があるため、妊娠高血圧症候群と診断された場合は、基本的に管理入院が必要となります。

  • 治療は、安静とけいれん予防などの薬物療法が主体となりますが、妊娠高血圧症候群を根本的に治す方法はありません。入院期間は発症した時期によってケースバイケース。妊娠20週以降の早い段階で発症した場合は3カ月ほどに及ぶ場合もありますし、母子に危険があると判断された場合は、正産期でなくても入院してすぐに帝王切開になるということもあります。

  • 5. 子宮内胎児発育不全

    子宮内での胎児発育が遅れ、妊娠週数に適した体重に満たないものが子宮内胎児発育不全です。胎児機能不全や死産のリスクが高くなることも知られており、低体重での出生を回避するためにも管理入院が必要となることがあります。入院期間は、病院の判断や症状によってさまざまですので一概には明言できませんが、妊娠後期に入る8カ月頃に何らかの判断がなされるケースが多いです。

どうする?管理入院となった場合の対処法

  • それでは、管理入院となった場合はどのように対処したらよいでしょうか。ポイントは、以下の4点です。

  • まず、家族の生活のことを考えましょう。ママがいないことで不都合が生じることは避けられませんが、それをいかにフォローするのか家族みんなで話し合っておくことが大切です。食事の支度や洗濯といった基本的な家事や、幼稚園のお迎えなど、考えておくべきことをリストアップして整理するといいでしょう。

  • 2つめのポイントは、職場への報告と対応です。産前休業は通常だと妊娠34週からとなっていますが、それ以前に管理入院が必要となった場合は、医師に診断書を発行してもらい、病気休暇を取得する必要があります。

  • 3つめのポイントは、安静を指示されることが多い管理入院中に暇つぶしできる本や雑誌、ゲームなどを用意することです。これらが禁止される場合もありますが、そうでない場合は好きなものを持ち込みましょう。産後はゆっくり読書する時間もないので、「最後の機会」と考えて楽しめるものがよいですね。

  • 4つめのポイントは、清潔を保つための物品をそろえておくことです。管理入院中は入浴が禁止されるケースも少なくありません。汗のニオイなどが気になるようになるので、拭き取りシートなどを用意しておくと便利です。特に内診がある場合は、入浴していない状態で検査を受けるのに抵抗がある妊婦さんも多いでしょう。トイレに流せる赤ちゃん用のおしりふきも重宝しますよ。

  • 妊娠中、予期せぬ時期に入院が必要となるケースは、誰の身にも起こり得ることです。だからこそ、管理入院が必要となったときのために、きちんと準備しておきたいもの。まずは、家族に相談して協力を得ることと、職場へきちんと事情を報告して休業期間などの相談をすることが必要です。

筆者(現役ママで医師)の切迫早産体験談

  • 筆者も2人目の妊娠中、切迫早産になり、2カ月間ほど管理入院を経験しました。24時間点滴を受けながら、ベッドで寝たきりの入院生活。無事に出産できるのだろうか……と不安になったものです。しかも、出産までは上の子と思う存分遊んであげようと思っていたので、それができなくなってしまったことが受け入れられず一人泣いたことも……。子どもと離れるのは初めての経験だったので、やはりストレスがたまりました。

  • 出産前に長く入院するのは、不安もつきまとうもの。しかし、管理入院は母体と赤ちゃんの健康のために行うものです。つらい時期を家族と助け合って過ごせば、もうすぐかわいい赤ちゃんと対面できます。産後はゆっくり休むことはできなくなるので、「今のうちにゆっくり休んでおこう!」と考えるのも一つの方法です。胎動を感じながら、お腹の赤ちゃんとの貴重な時間をのんびり過ごしてください。

  • 成田亜希子

    監修者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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