帝王切開の出産費用の目安とは?自然分娩との違いを説明
帝王切開の出産費用の目安とは?自然分娩との違いを説明
公開日 2018/06/15
更新日 2019/09/26

帝王切開の出産費用の目安とは?自然分娩との違いを説明

妊婦健診で「分娩は帝王切開になるかも」と言われて、びっくりしてしまったママもいるかもしれません。
帝王切開は高額なイメージがあり、お金がかかるのではないかと心配な人もいることでしょう。
自然分娩を予定している妊婦さんも、分娩中に帝王切開へ切り替わる場合があります。
そこで、出産前に、帝王切開の費用や分娩の流れについて確認しておきましょう。

本文監修:株式会社プラチナ・コンシェルジュ
医療監修:成城松村クリニック院長 松村圭子

帝王切開とは?適用される2つのパターン

  • 帝王切開とは、子宮を切開して赤ちゃんを取り出す方法です。何らかの理由で自然分娩が難しいと判断されたママは、帝王切開に切り替わることがあります。高齢出産も増えている関係で、その割合は年々増えており、年間の分娩件数のうち約25%は帝王切開です(厚生労働省「医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況 2017年」より)。

    帝王切開による分娩には、次の2つのパターンがあります。

  • ・予定(選択的)帝王切開

    一般的には、36週までの妊婦健診の結果から「自然分娩が難しい」とお医者さんが判断したとき、あらかじめ計画して行う帝王切開のこと。妊娠38週前後に、赤ちゃんの健康状態等を考慮したうえで分娩日を決定します。赤ちゃんが双子以上の多胎妊娠、逆子、前回のお産で帝王切開だった場合は、このパターンです。

  • ・緊急帝王切開

    ママあるいは赤ちゃんの健康状態が危険な状態になった場合、緊急処置として帝王切開を行う場合があります。妊娠週数に関わらず、ママと赤ちゃんの健康状態を優先して行います。自然分娩中でも、医師の判断で緊急帝王切開に切り替わることもあります。

  • 緊急帝王切開まで含めれば、全てのママに可能性があるということになります。帝王切開について理解し、心の準備をしておきましょう。

帝王切開の費用の目安

  • 自然分娩の平均的な入院日数は6日、出産費用は約50万円(国民健康保険中央会 「正常分娩分の平均的な出産費用について 2017年度」より)ですが、出産は病気(医療行為)ではないため、健康保険は使えず、「出産育児一時金」(後述)を超える部分は全額自己負担になります(10万円程度)。

    一方で、帝王切開の費用は分娩施設・治療内容によってケースバイケースですが、自然分娩よりは高くなります。ただし、帝王切開は異常分娩の一種なので、手術や薬、処置、検査代には健康保険が使えます。つまり、患者の負担は3割だけでよいのです。また、1か月分の医療費が一定の限度額を超えた場合には「高額療養費制度」(後述)の対象になりさらに自己負担額が抑えられる可能性があります。

    しかしながら、帝王切開介助料や処置料、各種検査料、分娩セット(産褥ショーツ、骨盤ベルト等)、赤ちゃんのオムツ代、入院中の食費や個室に希望して入った場合の差額ベッド代などは、健康保険は使えず全て自費になります。

  • ・帝王切開の費用は幅がある

    帝王切開の手術自体の費用(手技料)は、予定帝王切開の場合は20万1,400円、緊急帝王切開の場合は22万2,000円(2019年 診療点数より)。そのうち3割が自己負担になります。これは、全国、どの病院でも共通です。帝王切開時の平均的な入院日数は10日ほどですが、特に緊急帝王切開の場合は、医学的な処置の内容や術後の状態などによって、入院の期間が長くなる場合もありますし、費用も増える場合がおおくなります。

    赤ちゃんやお母さんに緊急事態があり、深夜に帝王切開を行った場合には、さらに上乗せされます。具体的な例を見てみましょう。

  • <ケース1> 一般的な予定帝王切開の例(入院日数10日)

  • 内 訳医療費 ※1自己負担(10割)
    保険適用外帝王切開介助料140,000140,000
    分娩処置料、各種検査料15,80015,800
    新生児介助料 ※272,00072,000
    分娩セット、オムツ代等、食事代22,30022,300
    小 計(A)250,100円250,100円
    内 訳医療費 ※1自己負担(3割)
    保険適用手術料(手技料+薬剤等)267,33080,199
    処置料、薬剤料、麻酔料、検診料 等70,71021,213
    入院料(10日)261,78078,534
    小 計(B)599,820円179,946円
    自己負担 (A+B)430,046円

    ※1 保険適用になるものも適用前の金額

    ※2 赤ちゃんが入院すると、本人の健康保険の適用になり、2割負担となる場合もある

  • <ケース2> 深夜の緊急帝王切開の例(入院日数12日)

    自然分娩の予定であったが、入院3日目に緊急帝王切開となり、深夜に手術を受けた場合(個室利用)

    内 訳医療費 ※1自己負担(10割)
    保険適用外帝王切開介助料140,000140,000
    分娩処置料、各種検査料15,80015,800
    入院料(自然分娩経過中 2日)32,34032,340
    個室 差額ベッド代(12日分)120,000120,000
    新生児介助料 ※272,00072,000
    分娩セット、オムツ代等、食事代22,30022,300
    小 計(C)402,440円402,440円
    内 訳医療費 ※1自己負担(3割)
    保険適用手術料(手技料*+薬剤等)643,130192,939
    処置料、薬剤料、麻酔料、検診料 等102,51030,753
    入院料(10日)261,78078,534
    小 計(D)1,007,420円302,226円
    自己負担 (C+D)704,666円

    *深夜による割増含む

    ※1、※2は<ケース1>と同様

  • 特に緊急帝王切開は、ケースによって深夜の割増料や薬剤料、検査料が追加になることがありますし、実際にかかる費用にはばらつきがあります。保険適用外のものは病院による金額の差も小さくありません。予定帝王切開なら、自分の入院する病院にどのくらいの費用がかかるか事前に問い合わせておくと安心です。

負担を軽減してくれる制度

  • さきほどご紹介した帝王切開にかかる費用全てを、自分で負担しなければならないわけではありません。負担が軽くなる公的な制度を確認しておきましょう。

  • ・出産育児一時金

    妊娠4カ月以上の人が出産すると、子ども1人につき42万円(産科医療補償制度の対象外の病院の場合は40.4万円)をもらえる制度です。双子なら2人分で82万円になります。国民健康保険や組合健康保険などの公的医療保険に加入していれば誰でももらうことができます。手続きに関しては、病院で相談しましょう。

  • ・高額療養費制度

    帝王切開にかかる医療費のうち、健康保険が使える部分(3割負担の部分)は、高額療養費制度により、さらに負担が抑えられます。高額療養費制度では、収入や年齢に応じて1か月(1日から月末まで)に払うべき医療費の上限が決まります。高額療養費の申請手続きには2通りあり、病院の窓口で支払いを済ませた後に申請する方法と、支払いをする前に申請する方法があります。支払い後の場合には、健康保険組合など加入している保険者に申請すると上限を超えた分が払い戻されます。事前に申請し、「限度額適用認定証」をもらっていれば、病院の窓口でそれを提示することにより、自己負担限度額までの支払いで済みます。そのため帝王切開をすることが決まっている場合には、入院前に余裕をもって限度額適用認定証の申請をしておくとよいでしょう。

  • 上の例では、(B)と(D)の部分が高額療養費の対象となり、いずれも同じ月内に入院したことが前提となりますが、<ケース1>の自己負担(A+B)の約43万円はこの制度を利用すると約33万円に、<ケース2>は(C+D)約70万円が約49万円とずいぶん負担が軽くなります(標準報酬月額28万~50万円の場合)。出産育児一時金の42万円がありますから、いずれのケースも実際に負担するのは「1~7万円程度」です。

  • さらに、年間(1~12月)の家族全体の医療費が10万円(所得200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合は、確定申告をすることによって医療費控除が受けられ、所得税や住民税など税金を安くすることもできます。ここでいう医療費は、高額療養費や出産育児一金、民間の医療保険から受け取った保険金を引いた残りの金額で、妊娠中の定期健診や検査にかかった費用、通院や入院のためのタクシー代や入院中の食事代を含めることはができますが、差額ベッド代は含まれません。

    ちなみに自然分娩では、高額療養費制度は利用できませんが、医療費控除は使えます。

民間の医療保険

  • 妊娠前から民間の医療保険に加入している場合でも、自然分娩は保障されませんが、帝王切開なら手術・入院に対して給付金をもらえるのが一般的です。金額は加入している保険商品やプランによって異なりますので、保険証券などで確認しましょう。公的な制度を利用してもなお、自己負担が気になる人や、個室を希望する人にとっては、民間の医療保険は心強いでしょう。

  • 妊娠中であっても、妊娠週間や健康状態によっては、新たに医療保険に加入できます。しかし、妊娠中に加入すると、一般的な医療保険では、その時の出産で帝王切開になったとしても給付金をもらうことはできません。それなら、「出産後に医療保険に入ればいい」と考えがちですが、帝王切開は手術ですから手術歴があると保険に入りにくかったり、次の妊娠・出産も保障されなくなる可能性があります。今回はダメでも、その後の妊娠・出産にしっかり備えたいと考えるなら、妊娠中でも医療保険を検討してみるとよいでしょう。

帝王切開の分娩の進み方

  • 最後に、帝王切開になった場合、どのように分娩が進むのかを大まかにでも理解しておくと安心です。

    まず、陣痛や破水を機に分娩がはじまる自然分娩に対して、帝王切開は麻酔をかけた後にお腹と子宮を切って胎児を取り出します。

    具体的には次のような手順で行われます。

    (1)事前処置

    ママの血圧を計ったり、下着を脱いで専用の衣服に着替えます。

    (2)麻酔

    背中から麻酔薬を入れます。局所麻酔なので意識はある状態です。(状況によって全身麻酔になることもあります。)

    (3)開腹

    お腹の下の方を切って、子宮が見えたら切開します。

    (4)赤ちゃんを取り出す

    誕生の瞬間です。子宮から赤ちゃんを取り出します。赤ちゃんの後に胎盤も取り出したら、お産は終了になります。

    (5)閉腹

    切開した子宮とお腹の部分を縫合します。

    (6)術後ケア

    帝王切開の後は安静に過ごします。血圧や子宮の収縮、出血量などが定期的に確認されます。手術の後には傷の痛みや子宮が収縮する痛みがありますが、背中から挿入されているチューブから痛みどめを適宜入れてもらうことができます。他にも座薬や内服薬の痛みどめを使用できるので、痛い場合にはがまんせず相談するようにしましょう。

  • お産が迫ってくるといろいろなことが心配になり、気持ちが落ち着かないかもしれません。特に帝王切開となると、初めて経験するママは緊張してしまいますよね。

    帝王切開の場合、出産費用は自然分娩よりやや高額になりますが、大きな価格差があるわけではなく、高額療養費制度によって支払いの上限額もあります。費用に関して心配な点がある場合は、ぜひかかりつけの分娩施設に確認してくださいね。お金と心の準備を万全に、リラックスしてお産にのぞみましょう!

  • 監修 本文監修 株式会社プラチナ・コンシェルジュ
    確かな知識とホスピタリティを備えたファイナンシャル・プランナーやキャリアコンサルタントを全国にネットワークしています。”Life Architect~自分の人生は自分で創る”というコンセプトのもと、セミナー・相談・執筆・ツール提供などを通じて、生涯設計のお手伝いを行っています。http://pt-con.jp/

    医療監修 成城松村クリニック院長 松村圭子 https://www.seijo-keikoclub.com/

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