【女性医師監修】産後ママの身体に起こる変化を知ろう
【女性医師監修】産後ママの身体に起こる変化を知ろう
公開日 2018/05/22
更新日 2019/10/16

【女性医師監修】産後ママの身体に起こる変化を知ろう

産後は、長いマタニティー生活や出産による体調不良が十分に癒えぬまま育児がスタートします。しかも、出産を終えたからといって身体がすぐに元の状態に戻るわけではありません。産後のママの身体には、どのような体質変化が起こり、どのように回復していくのでしょうか。

育児中は自分のことが後回しになってしまいがちですが、身体の変化を正しく知り、しっかりケアしていきましょう。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)
  • 妊娠中は女性ホルモンの分泌量が急激に増え、妊娠週数を重ねるごとにお腹もどんどん大きくなっていきます。それに伴って、つわり、イライラ、腰痛、股関節痛など数多くのトラブルがママを襲います。こうした妊娠中の変化は、産後すぐに元の状態に戻るわけではありません。半年ほどかけて少しずつ妊娠前の状態に戻っていくのです。出産直後から産後半年の間に生じるママの身体の変化について、順を追ってみていきましょう。

産後1~2か月に起こる変化:後陣痛・悪露・乳腺炎など

  • 産後6~8週ごろまでは「産褥期」と呼ばれ、妊娠中と同じく目まぐるしい身体の変化が生じる時期とされています。この時期には次のような身体の変化がみられ、それにうまく対処できず「体がボロボロに…!」と戸惑うママも少なくありません。

  • ホルモンバランスの変化によるマタニティーブルー

    妊娠中は女性ホルモンの分泌量が急増し、ママの心身に大きな影響を与えます。例えば、妊娠初期に多くの妊婦さんが悩まされるつわりも、ホルモンバランスの変化が原因と考えられています。妊娠中の女性ホルモン急増は、妊娠を維持するために必要な現象です。そのため、出産を終えればホルモンバランスは速やかに元に戻ると考えるかもしれません。

  • しかし、産後は女性ホルモン分泌が急激に減少し、半年ほどかけて徐々に妊娠前のホルモンバランスへ戻っていきます。これまで急増していた女性ホルモンが出産を機に激減することで、ママは気分が揺れ動きやすくなったり涙もろくなったりする「マタニティーブルー」を発症することも……。産後、マタニティーブルーに陥るママは4人に1人程度だといわれています。決して他人事ではありません。しかし、ホルモンバランスの急激な変化に身体が慣れることにより、産後2週ごろまでには徐々に改善していくのが一般的です。それ以降も気分の落ち込みが続くときは、「産後うつ病」の可能性があります。

  • 子宮の収縮による後陣痛

    出産すると子宮はすぐに小さくなるかと思いきや、元のサイズに戻るまでには約1か月かかります。特に最初の10日間の変化は大きく、出産直後はおへそより下の位置にあった子宮底は、産後1日でおへそ付近まで大きくなります。そして、5日ほどかけて出産直後の大きさとなり、さらに5日ほどでほぼ元の大きさに戻ります。

  • 10か月間ものマタニティー生活の中で子宮はどんどん大きくなり、最終的には1000倍以上もの容積になるとされています。その子宮がたった10日間ほどで元の状態へ戻ろうと変化するため、産後は「後陣痛」と呼ばれる比較的強い子宮収縮が起こります。痛みの程度は人によって異なりますが、一般的には経産婦のほうが強い痛みを感じるといわれています。「薬を飲まなければ我慢できない」と言うママも少なくありません。また、授乳すると子宮収縮が促されるようになるため、母乳で育てるほうが後陣痛は強くなる一方、子宮の回復は早いとされています。

  • 子宮内腔の回復過程でみられる悪露

    悪露とは、出産によりダメージを受けた子宮内腔が回復していく際に、生じる分泌液のこと。はがれ落ちた子宮内膜、卵膜などの残存物、子宮壁からの出血などが、膣分泌液などと混ざって排出されるものです。初めて出産したママは、悪露を見るとびっくりするかもしれません。しかし、悪露は子宮が元の状態に戻ろうとしているサインです。

  • 悪露は産後1か月ほど続きます。また、色や量が変化することも特徴で、産後すぐのころは赤色の粘液が大量に分泌されます。それが1週間ほどたつと茶色になり、さらに2~3週間たつと黄色から白色へ変化していきます。そして、産後1か月を過ぎたころには、悪露はほとんどみられなくなります。なお、この時期は子宮内の傷が癒えていないので、膣から入り込んだ細菌が子宮内に感染してしまうことも……。悪露が出ている間は産褥パッドやナプキンなどを使用しますが、こまめに取り換えて清潔な状態を保ちましょう。

  • 乳管の詰まりによる乳腺炎

    産後の楽しみとして「授乳」を挙げるママは多いはず。しかし、この時期は乳腺炎が最も起こりやすいので注意が必要です。出産を終えると、母乳を噴出させる作用を持つオキシトシンと呼ばれるホルモンが分泌されるようになります。また、母乳の分泌を抑える働きのある女性ホルモンが激減するため、母乳の分泌はいよいよ盛んに。多くのママは産後1週間以内に母乳が出るようになります。

  • しかし、この時期はママの乳管は細い状態で、赤ちゃんもうまく母乳を吸うことができないため、母乳が乳管に詰まってしまうことも少なくありません。これが乳腺炎の始まりです。放っておくと高熱、悪寒、倦怠感などの症状を引き起こすので、張りや痛みを伴う胸のしこりがあるときは注意しましょう。こまめに授乳する、張りが強くなったときは搾乳するなどの対策がお勧めです。

産後3~4か月に起こる変化:抜け毛・尿漏れなど

  • 育児に少しずつ慣れて出産の傷も癒えつつあるこの時期は、体型や体重を妊娠前の状態に戻すのに適した時期です。しかし、必死に育児に明け暮れているとちょっとした不調に気づかず、悪化させてしまうこともあるので注意してください。

  • エストロゲンの減少による抜け毛

    女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、髪の毛を健康的な状態に維持し、成長を促す作用があります。産後はエストロゲンの分泌が激減するため、髪の毛が成長せず、抜け毛が増えることも……。特に産後3~4か月のころは、産後の急激なエストロゲンの減少により、成長できなくなった髪の毛がいっせいに抜け始める時期。さらに、太くコシのある髪の毛が生えてこないため、頭頂部を中心に髪のボリュームがなくなったように見えてしまいます。このような産後特有の抜け毛は、ホルモンバランスが元に戻っていく産後半年~1年半ほどで自然に改善していくと考えられています。

  • 骨盤底筋の緩みによる尿漏れ

    妊娠中は、大きくなった子宮を支えるため、骨盤底筋が緩んだ状態となります。そのため、産後1か月を過ぎたころから骨盤底筋を鍛えるための体操が推奨されていますが、「育児に追われて体操なんてできない!」というママも多いはず。しかし、骨盤底筋を緩んだままの状態にしておくと、お腹に力を入れたり、重い物を持ったりするときに少量の尿漏れを引き起こすことがあります。特にこの時期は赤ちゃんの体重が増えるため、それを抱っこするお母さんのお腹には負担がかかります。また、お母さんも動き回りながら育児をするようになるので、思わぬ瞬間に尿漏れが起こりやすくなるのです。放っておくと緩みが改善しにくくなるため、やはり骨盤底筋体操はやっておくべきです。

産後5~6か月に起こる変化:生理の再開など

  • 「ずりばい」も上手になって赤ちゃんの活動範囲が広がり始める産後5~6か月ごろは、赤ちゃんから目を離すことができず、ママの疲れはピークに達するタイミングかもしれません。その上、離乳食や夜泣きが始まって育児はますます大変になっていきます。

  • この時期のママの身体はホルモンバランスなどが正常化しつつあり、少しずつ妊娠前の状態に戻ろうとしています。産後の生理が再開する時期には個人差があるものの、早ければ産後6か月ほどで再開します。授乳すると分泌されるプロラクチンは女性ホルモンの分泌を抑えるため、一般的には母乳育児をしているママのほうが生理の再開は早いとされています。生理が再開すれば、再び妊娠の可能性があるということ。すぐの妊娠を望まないのであれば、避妊をお忘れなく。

  • 成田亜希子

    監修者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事