妊娠・出産費用はいくら?平均・内訳金額から健康保険や出産育児一時金までFPが解説
妊娠・出産費用はいくら?平均・内訳金額から健康保険や出産育児一時金までFPが解説
公開日 2018/06/18
更新日 2021/01/07

妊娠・出産費用はいくら?平均・内訳金額から健康保険や出産育児一時金までFPが解説

妊娠・出産費用にいくらかかるのかを知って、計画的にお金の準備をしておきたいもの。健康保険に加入していればもらえる「出産育児一時金」や一定額以上の医療費がかかった時にもらえる「高額療養費」など、補助制度をFPが解説。さらに、妊娠から出産までにかかる費用を抑えるコツもお伝えします。

執筆:鈴木 さや子(ファイナンシャルプランナー)

妊娠から出産までにかかる費用

  • 妊娠から出産までの費用は、いくら準備しておけばよいのか一例をみてみましょう。

  • 妊娠から出産までにかかる費用ともらえるお金の一例

    妊娠・出産のトラブルで医療費がかかるケースを想定

    項目かかる費用
    妊婦健診妊婦健診受診票を使い自己負担が1回8,000円とした場合、8,000円×14回=11万2,000円
    トラブルがあった場合の医療費
    ※長期入院し、健康保険適用前の医療費が月60万円かかったと仮定
    支払った医療費(3割):18万円
    出産準備一部レンタルなどを活用した場合:10万円
    出産分娩・出産費用:51万円
    内祝い半返しをした場合
    1万円×50%×5名=2万5,000円
    かかる費用の合計92万7,000円

  • 項目もらえるお金
    高額療養費(一般所得者として試算)9万6,570円
    出産育児一時金42万円
    もらえるお金の合計51万6,570円

  • 実際にかかる費用92万7,000円‐51万6,570円=41万430円

  • 働いているママであれば、このほかに休業中の手当として、出産手当金や育児休業給付ももらえます。

  • 出産費用は事前に貯金をする必要はある?

    上記の例では合計で41万430円かかるとしましたが、妊娠中にかかる健診費用は、1回あたり数千円と毎月の収入から出せる範囲であり、事前に貯金しておく必要はありません。

  • 貯金しておきたい金額は、41万430円から妊婦検診費用の11万2,000円を引いた29万8,430円となります。最低でも約30万円あれば、トラブルによる医療費や出産準備等にかかるお金に備えられるでしょう。さらに里帰りの予定がある場合は、その交通費も準備が必要です。

妊娠中にかかる費用ともらえるお金

  • 妊婦健診にかかる費用

    病院にて妊娠が判明したあと、出産までの約9カ月間で14回程度の妊婦健診を受けることになります。

    この妊婦健診は、健康保険が適用されず実費の支払となってしまうので、かなり高額になります。たとえば、1回あたり1万円の健診費用がかかる病院であれば、全部で14万円かかる見込みになります。

  • 妊婦健診でもらえるお金

    自治体には「妊婦健診助成制度」があり、健診受診票を14回分もらうことができます。ただし助成上限額が設定されていますので、病院によっては自己負担が発生することも。それでも多くの場合で、妊婦健診1回にかかる費用を0~8,000円程度に抑えられるでしょう。病院を選ぶ際は、健診費用を必ずチェックしましょう。

  • また初診では補助は利用できません。初診後、妊娠の届け出をして母子健康手帳を受け取る際に、妊婦健診受診票を受け取る手続きを忘れないようにしましょう。ほかにも検査を希望する場合は、その分の費用はかかりますので注意してください。

  • 一定額以上医療費がかかるなら「高額療養費」がもらえる

    妊娠中には、思わぬ体調不良が生じ、長期入院を余儀なくされることもあり得ます。健診と異なり健康保険が適用される治療ではあるものの、医療費はかかります。もし一定額以上医療費がかかった場合は、「高額療養費」をもらえるので覚えておきましょう。

  • もらえるお金は、「同じ月にかかった医療費のうち、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分」となり、自己負担限度額は一般的な所得の会社員なら約8~9万円(年齢と所得によって異なります)。申請先は、加入している健康保険(夫の扶養に入っている場合は、夫が加入する健康保険)です。

  • ※限度額の算出方法については、厚生労働省の下記「年収約370万円~約770万円の場合」グラフをご覧ください

    https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html

  • また、事前に申請をして「限度額適用認定証」を入手しておけば、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。妊娠中に入院が決まるなど医療費が高くなりそうなときは、事前に健康保険に申請して手に入れると良いでしょう。

出産にかかる費用ともらえるお金

  • 出産にかかる費用

    出産時には分娩費と入院費がかかり、両方を合わせた正常分娩の全国平均金額は約51万円です(※1)。もし無痛分娩を希望すると、病院によって異なりますが、プラス5万円~10万円などさらにお金がかかります。自然分娩では健康保険は適用されず全額負担となります。

    帝王切開の場合、手術や薬、処置、検査代は健康保険の対象で3割負担となりますが、入院日数が長引くため、出産費用の総額は自然分娩よりやや高額になります。

  • ただし帝王切開は保険が適用されるので、「高額療養費制度」の対象になりますし、民間の医療保険に加入していれば給付金も受け取れます。

  • 帝王切開の出産費用の目安とは?

  • 出産でもらえるお金「出産育児一時金」

    働いている妊婦さんも配偶者の扶養に入っている妊婦さんも、健康保険・国民健康保険から、「出産育児一時金」として1児当たり42万円(※)がもらえます。

  • そのため、実際にかかる費用は分娩・入院等費用と出産育児一時金との差額分になり、人によっては、出産育児一時金で全額まかなえる場合もあるんです。

    (※1)出典「出産費用の全国平均値、中央値」(平成28年度)/公益社団法人 国民健康保険中央会

    (※2)産科医療保障制度加入の産院の場合

  • 出産育児一時金には、立て替えの必要がなく、直接健保から産院に42万円支払われる「直接支払制度」があります。この制度を利用できる産院を選べば、大きな支払をしなくて済むので便利ですね。

  • 産院を選ぶ時は、直接支払制度が対象かチェックを。もし対象の産院が近くにない場合でも、事前申請をすれば直接産院に支払ってもらえる受取代理制度も使えます。

  • 産休中にもらえるお金「出産手当金」

    会社員や公務員などで勤め先の健康保険や共済組合に加入している場合、「出産手当金」が支払われます。出産手当金は、出産にあたり会社を休むことになる期間について、休業補償として支払われるものです。

    ちなみに会社員の夫に扶養されている場合はもらうことはできません。あくまで本人が会社員など勤めている場合にかぎり、支払われます。

  • 出産手当金の支払は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの98日間で、給与の支払いを受けていない日が対象です。

  • 一般的には産前産後休業を取っている期間が対象となる場合が多いでしょう。金額は人によって異なり、次の計算式で算出される金額がもらえます。

  • 支給開始した以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した金額÷30日×2/3

  • たとえば、平均した標準報酬月額が30万円の場合、出産手当金の1日分は、30万円÷30日×2/3≒6,667円となり、98日間分で約65万円もらえます。

  • 支給は、1回でもらっても複数回に分けてもらうことも可能ですが、休んだ分についてあとからお金をもらうことになるため、産休中に受け取ることはできません。必要に応じてその間にかかる生活費等の費用は準備しておきましょう。

  • 育休中にもらえるお金「育児休業給付」

    出産後の育休中は、会社員や公務員等雇用保険の被保険者であれば、「育児休業給付」をもらえます。出産する本人しかもらえない出産手当金とは異なり、育児休業給付は、育休をとる配偶者ももらうことができます。

  • 育児休業給付の支払は、産休から引き続いて育休を取得した場合は、出産日から起算して58日目から、原則として子どもが1歳の誕生日の前々日までもらえます(配偶者の場合は出産日当日から対象)。もらえる金額は次の計算式で算出されます。

  • 「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業の開始から6ヵ月経過後は50%)」

  • たとえば、休業開始時賃金日額(育休開始前半年の総支給額(ボーナスを除く)を180で割った金額)が8,000円とした場合、育休開始後6ヵ月間(※)でもらえるお金は96万4,800円。

  • その後の6ヶ月間でもらえるお金は72万円となります。出産手当金と同様に、実際にもらえるのは、育休開始数ヵ月後となることに注意が必要です。なお、保育園が見つからないといった場合は、最大2歳の誕生日の前々日まで支給の対象となります。

    (※)180日間として計算

出産準備や出産後にかかる費用

  • 里帰り出産にかかる費用

    里帰り出産をする人は、往復の交通費などがかかります。配偶者が行き来する交通費もかかりますので、多めに見積もって準備しておきましょう。

  • また、自治体からもらう妊婦健診の受診票は、住んでいる自治体と異なる里帰り先では使えないことが多いですが、あとから、未使用の受診票と領収書を自治体に持参して助成を受けられる場合も。里帰り前に自治体に相談しておくといいでしょう。

  • 内祝いにかかる費用

    お祝いを下さった方には内祝いとして、いただいたお祝いの3割から半額(半返し)に相当する品をお返しするのが一般的です。もし1万円のお祝いを5人からいただいた場合、1万5,000円から2万5,000円の費用がかかる計算となります。

  • お返しなのでなかなか節約は難しいものですが、まとめ買い割ができる内祝いショップや、ポイントが貯まる通販を使うなど、費用を抑える工夫はあるので妊娠中にチェックしておきましょう。

妊娠中におすすめの節約方法

  • もし出産費用の準備にあたって貯金が心もとない場合は、旅行を今年は控えてみる、自炊を増やしてみる、など妊娠中に節約をしてみては。

  • 妊娠中と産後しばらく活躍するマタニティウエアやベビー用品にかかる出産準備費用は、工夫次第で抑えられます。マタニティウエアは、妊娠前に着ていたワンピースや大き目のシャツ、チュニックなどで代用がききますし、友達と貸し借りしてもよいですね。

  • またベビー用品は、雑誌などに載っているグッズをすべて買うと、結果的に使わないモノや使い切れないモノも多く無駄遣いになる可能性が高いため、最低限準備しておき、必要に応じて買い足していくのが良いでしょう。

  • その他、レンタルできるベビーグッズは、お試ししてから買うのがおすすめ。筆者の子どもはベビーベッドでは寝てくれず、借りてすぐに返却、親と添い寝となりました。新生児服も友達のお下がりなどを積極的に活用しましょう。

  • 出産でかかる費用ともらえるお金について理解を深め、しっかりと準備を整えて赤ちゃんを迎えたいですね。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年1月14日時点のものです

  • 鈴木 さや子(ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント)

    執筆者プロフィール 鈴木 さや子(ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント)
    家族が笑顔になれるための生活に役立つお金の知識を、セミナーやコラム記事などを通じて情報発信。専門は教育費・保険・マネー&キャリア教育、確定拠出年金。企業講演・研修の他、学校や地域コミュニティなどでの講演やワークショップなど、保護者や親子向けイベントも行う。
    監修:株式会社プラチナ・コンシェルジュ

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