出産手当金とは?国保でもらえるの?支給条件や手続きを解説
出産手当金とは?国保でもらえるの?支給条件や手続きを解説
公開日 2018/04/27
更新日 2019/10/09

出産手当金とは?国保でもらえるの?支給条件や手続きを解説

「出産手当金」は出産に関わる公的な補助の1つですが、受け取るためにはいくつかの条件があります。
そこで今回は、「出産手当金を受け取るための条件は何?」、「国民健康保険(国保)でももらえるの?」など、ありがちな疑問についてお答えしていきます。 正しい手続きの方法なども合わせて理解し、出産手当金がもらえるように準備しておきましょう。そうすることで、出産後の生活もよりスムーズにスタートさせることができます。

執筆: 國場 弥生(ファイナンシャル・プランナー)

出産手当金をもらうための条件や金額は?

  • そもそも出産手当金とは、会社などに雇用されて働く「被用者」を対象とした健康保険に加入している人が、出産のために仕事を休み、その期間のお給料がもらえない場合に支給される手当です。出産のために働くことができず、収入が途絶えてしまう期間中も生活に困ることがないように生活費の一部を補てんする、という意味合いを持っています。そのため、

  • ・ 出産する女性自身が企業などで働いており、勤務先の健康保険等に入っている(正社員に限らず、パートや契約社員でもOK)

  • ・ 産休中に給料が支払われていない、または支払われている額が出産手当金の額を上回らない

  • ということが、出産手当金をもらうための条件として挙げられます。

    出産手当金は、出産日(予定日の後に生まれた場合は出産予定日)を基準として、それ以前の42日(多胎妊娠*1なら98日)~出産翌日以降56日目までの期間が対象です。出産が予定日より遅くなった場合は、遅れた期間も手当が支給されます。1日あたりの金額は、(1日あたりの)賃金の3分の2程度です。

  • もう少し詳しく説明すると、

    支給開始日より前の12か月間の標準報酬月額*2を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

  • と計算します。標準報酬月額が12~11か月前は26万円、10~1か月前は30万円だったとして、具体例もみてみましょう。

  • (26万円+26万円+30万円+30万円+30万円+30万円+30万円+30万円+30万円+30万円+30万円+30万円)÷ 12か月 ÷ 30日 × 2/3 = 6,520円

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)サイト内「出産で会社を休んだとき」より

  • *1 ふたご以上の妊娠

    *2 毎月の給料や交通費、残業代などの報酬を区切りのよい幅で区分したもので、給料から差引かれる保険料や出産手当金などの給付の基準

必要な手続きは?

  • 出産前後は身体的にも気持ちの上でも余裕をなくしがちです。出産手当金を受け取るために必要な手続きはあらかじめ確認し、早めに準備しておく方が安心です。

  • 多くの場合、出産手当金の申請は勤務先を通じて行います。産前産後の休業などの相談と併せて、出産手当金を申請したい旨を担当部署へ伝えましょう。もし本人が手続きを行う場合は、加入している健康保険の窓口へ連絡すると書類や申請手順についての情報が手に入ります。

    なお、勤務先によっては、休業中にもお給料が一部支払われたり、出産祝い金などの制度が導入されていることもありますので、先輩に教えてもらったり規定を確認したりするとよいでしょう。

  • 勤務先によって異なることがありますが、基本的には以下のような書類を準備します。

  • ・ 出産手当金支給申請書

  • 出産手当金を受け取る本人の氏名や住所、生年月日などを記入する欄があります。出産手当金は振込のため、振込先として指定する銀行口座の情報も記入します。本人のほかに医師や助産師に記入してもらう欄や事業主(勤務先の担当部署)に記入してもらう欄もあります。出産日が近づくと入院セットを準備することになりますが、その中に申請書も入れておくとスムーズです。

  • ・ その他添付書類

  • 必要に応じて、本人確認書類のコピーなども添付書類として準備します。

  • 申請は、一度で済ませたいなら出産翌日以降56日目までの範囲で対象期間が終了してから行うことになります。ただし、申請してから出産手当金が振り込まれるまでに1か月程度かかるため、早くお金を受け取るための手段として、出産前の期間分、出産後の期間分など複数回に分けて申請できることも覚えておきましょう*。前述の通り、多くの場合は勤務先を通じて手続きを行うため、申請タイミングについて希望があるなら、あらかじめ希望を伝えておいた方がよいでしょう。

  • *この場合、申請書の事業主の証明欄は毎回証明が必要。医師または助産師の証明欄は1回目の申請が出産後であり、証明によって出産日等が確認できたときは、2回目以降の申請書への証明は省略可能

出産手当金をもらう際の注意点は?

  • ここまで見てきたように、出産手当金を受け取るためにはいくつかの条件があります。とくに下記のような場合には、金額が少なくなったり、受け取れなくなってしまったりする可能性があるので注意しましょう。

  • ・ 出産手当金の対象期間も会社から給与が出る場合

    出産手当金の対象期間も会社からの給与が出るときは、給与分を差し引いた金額を出産手当金として受け取ることになります。出産手当金全額+給与ではないので、注意しましょう。

  • ・ 出産を機に退職する場合

    妊娠~出産のタイミングで退職する場合もあるでしょう。退職するまでに被保険者期間が1年以上加入あり、すでに出産手当金を受け取っているか受け取る条件を満たしていなければ退職後に出産手当金を受け取ることができません。そのため、退職を検討している方は、加入している健康保険の窓口などに退職しても出産手当金を受け取ることができる条件を満たしているかどうかを事前に確認しましょう。また、退職日に出勤していないことも支給を受ける条件に含まれています。「間違って出勤してしまい、手当が受けられない・・・」なんてことにならないためにも注意が必要です。

国民健康保険に加入している場合は出産手当金がもらえるの?

  • 先にもご説明した通り、出産手当金をもらうためには勤務先で社会保険に入っている必要があります。そのため、残念ながら自営業やフリーランスなどとして働いていたとしても国民健康保険(国保)に加入している場合は出産手当金の支給が受けられません。なお、出産に関わる公的な補助として出産手当金とは別に「出産育児一時金」という制度もあります。出産育児一時金は、国保に加入している場合も出産した子ども1人あたり42万円を受け取ることができます*(勤務先の健康保険に加入している場合も受け取ることができます)。多胎児であれば、その人数分の支給を受けられます。

  • 出産には、通常の生活費に加えて入院準備用品や出産費用など、さまざまな費用が必要になります。そのため、出産手当金や出産育児一時金は、家庭の経済的負担を抑えてくれるありがたい制度だといえます。現在、少子化対策として妊娠、出産、子育て期の家計をサポートする国の方策は増えつつあります。ありがたいことですが、制度が変更されたり、新設されることも多いので「知らなかった」「うっかりしていた」ということが無いように、支給を受けるための条件や、申請に必要な書類、そして注意点などを事前にしっかりと確認してください。必要な知識を身につけて、スムーズに手続きを進められるようにしたいものですね。

    なお、国のサポートがあるとはいえ、経済的な自助努力も必要です。いざというときのための貯蓄や、重いつわりや帝王切開など妊娠~出産期の医療費に備える民間の保険への加入といった対策にも目を向けるようにしましょう。

  • *産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合などは40.4万円

  • 國場 弥生

    執筆者プロフィール 國場 弥生
    ファイナンシャル・プランナー
    (株)プラチナ・コンシェルジュ取締役。証券会社勤務後にFPとして独立し、個人相談や雑誌・Web執筆を行っている。All Aboutマネーガイドも務めており、著書に「誰も教えてくれない一生お金に困らないための本 」(エクスナレッジムック)などがある。

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