理論派&頼るのが苦手な女性は気をつけて!産後うつにならないために
理論派&頼るのが苦手な女性は気をつけて!産後うつにならないために

2017/12/07

理論派&頼るのが苦手な女性は気をつけて!産後うつにならないために

マンガやドラマなどで取り上げられたこともあり、注目が集まっている「産後うつ」。
今まさに育児に奮闘中のママはもちろん、将来ママになるかもしれない人にも役立つ産後うつに関する知識を、産後の女性のメンタルケアに取り組む海老根真由美先生にお伺いしました。

取材・文:吉田渓、監修:海老根真由美(白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長)

出産も育児も未経験だからこそ不安になる

  • 目の前の赤ちゃんが泣いているのに頭も身体もうまく働かない、世の中に置いていかれた気分になって落ち込む、不安で死にたくなってしまう……。そんな気持ちになったママは、実は少なくないのではないでしょうか。産後、こうしたうつのような気分や状態になることを総称して「産後うつ」と言います。

    「いわゆる『うつ』は、脳の中でセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質が欠乏することで起こるとされています。しかし、産後にうつっぽい気分になった方が全員『うつ』なのかというと、そうとは限りません。出産や育児といった状況にストレスを感じることで、不安感が強くなったり、憂うつな気分になる『適応障害』と考えられる方もいます。また、産前産後は女性ホルモンのバランスが変化することも関係していると考えられていますが、まだ完全には解明されていません。そもそも多くの女性にとって妊娠や出産、育児は未知の世界のこと。経験のないことを不安に感じるのは当たり前なのです」(海老根真由美先生、以下同)

  • 核家族化が進む現代では、赤ちゃんと接した経験がほとんどないまま妊娠・出産に至る女性も少なくありません。そんな中で家事と育児を両立し、加えて仕事を抱えることになるわけです。

    「最近は、電車などで赤ちゃんが泣いたらすぐに黙らせなければ、という空気にストレスを感じるママたちがたくさんいます。けれど、赤ちゃんは泣いて当たり前。けれど、それを知らないまま出産をすれば、泣き続ける赤ちゃんを不安に感じたり、ママである自分が責められている気になってしまうのも仕方ありません」

誰かに頼ることができれば産後うつは防げる

  • こうした産後うつへの対処法は二つあるといいます。

    「一つは、『辛い』『不安だ』という素直な気持ちを誰かに聞いてもらうこと。もう一つは家事や育児を手伝ってもらうなど、具体的なサポートを受けることです。実際、家族や親族、友人に話を聞いてもらったり、具体的なサポートを受けている方は、産後うつになるリスクが低いのです。頼れる人が近くにいない場合は、ぜひ公的機関を頼りましょう。赤ちゃんの定期検診や、保健師による新生児訪問の時などに、『育児が辛い』『死にたいと思ってしまう』などと、遠慮なくSOSを出していいのです。まずは誰かに話を聞いてもらうことで、頭の中の整理をしましょう。また、各自治体の母子健康手帳を交付している部署では、育児支援や家事補助などのサービスを安価で提供していますので、ぜひ活用してください」

  • しかし、「助けて」と言えない女性、辛くても頑張りすぎてしまう女性も少なくないそうです。「辛い時に辛いと言えるよう、妊娠中から自分の感情に目を向け、素直に口に出すようにしましょう。また、慣れない育児に一生懸命なあまり、栄養や睡眠が不足している方もいます。産後に限らず、栄養や睡眠が不足すれば、気分が落ち込んだり、憂うつになるのは当然のこと。赤ちゃんのためにも、心身ともに休息を取りましょう」

高学歴・高収入の女性が産後うつになりやすい理由

  • 考え方や物事のとらえ方を変えることも、産後うつ対策になるそうです。

    「今は社会で活躍する女性も多く、それ自体は決して悪いことではありません。けれど、仕事の場と違って赤ちゃんは理論が通用しない相手。それまで理論的な思考を重視していた女性は、感情のままに生きる赤ちゃんのペースにうまくスイッチできないケースも見られます。実際、日本で産後うつになった人は高学歴・高収入の女性が多いというデータもあります。妊娠・出産はとても動物的なことですし、育児では子供が興味を持ったことに何時間も付き合うこともあります。だからこそ、おおらかにものごとを受け止める柔軟性と臨機応変さが必要ですし、それこそが現実を生きる力になるのです。働く女性は妊娠すると『休んでしまって会社に申し訳ない』『早く復帰しなければ』と考えてしまう方も多いのですが、まずは自分の心と身体を優先しましょう。また、産後うつになっても、決してご自分を責めないでください。ママなりに一生懸命頑張っているわけですから」

  • また、「産後の辛さはずっと続くわけではない」と知っておくことも大切だと言います。

    「赤ちゃんは成長するにつれて少しずつ手がかからなくなっていきます。子供が2~3歳になると、今度はイヤイヤ期が始まって悩むママも多いのですが、産後うつは1年で終わると言われています。気分の落ち込みや不安感、死んでしまいたいといった気持ちが強い方や、気分の落ち込みや不安感が産後1年過ぎても続く方は、精神科や心療内科で専門医の診察を受けることをおすすめします。女性にとって妊娠や出産、育児は大きなライフイベント。現在妊娠中の方や妊娠を希望している方は、今のうちに赤ちゃんのいる家庭にお邪魔して、赤ちゃんと長い時間を過ごしてみるといいですよ。赤ちゃんの生活ペースや赤ちゃんがどれほど泣くものか、体感としてわかるはず。妊娠や出産、育児について、事前に知ることで不安を軽くしておきましょう」

  • 白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長 海老根真由美先生

    お話を伺ったのはこの方 白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長 海老根真由美先生
    埼玉医科大学卒業。埼玉医科大学総合医療センター総合周産期医療センターの講師及び病棟医長を経て、2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開業。埼玉医科大学非常勤講師、順天堂大学非常勤講師、周産期メンタルヘルス研究会理事
    http://ebine-womens-clinic.com

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