【産婦人科医監修】妊娠中の風邪でしんどいときに薬の服用はOK?赤ちゃんへの影響は?
【産婦人科医監修】妊娠中の風邪でしんどいときに薬の服用はOK?赤ちゃんへの影響は?
公開日 2017/07/26
更新日 2021/04/27

【産婦人科医監修】妊娠中の風邪でしんどいときに薬の服用はOK?赤ちゃんへの影響は?

妊娠中に身体がしんどいと感じたり、食欲がなくなったり、咳や熱が出たり……と、風邪の症状がみられたとき、薬を服用すべきかどうか迷うこともあるでしょう。
妊娠中の風邪薬の服用は、赤ちゃんに影響を及ぼすのでしょうか。

妊娠中に服用を避けるべき薬の成分や、風邪症状別の対処法、予防法、風邪と間違えやすい妊娠中の症状についても解説します。

監修:小川クリニック院長 小川隆吉先生
執筆:友永由紀(ライター)

妊娠中の風邪……赤ちゃんへの影響は?

  • 10ヶ月という長い妊娠期間には「温かい服装をしていたつもりなのに、風邪を引いてしまった」「なんだか喉が痛い」など体調が悪化することは珍しくありません。重症化しないうちに薬を飲んで治してしまうか、薬に頼らずに自然治癒をめざすのか悩んでしまう人も多いでしょう。

  • 実際には、風邪自体が胎児に影響を及ぼすことはほとんどありません。母体が高熱を発したり、重篤な脱水症状などに陥ったりしなければ、大きな心配はありません。

似た症状でも風邪ではないこともあるので注意

  • 妊娠初期は以下のような風邪に似た症状が出ることがあります。

    ・身体がだるい

    ・微熱がある

    ・吐き気がある

    ・食欲がない

  • 妊娠の可能性がある場合は、市販の風邪薬を飲む前に医療機関を受診することをおすすめします。その際、

    ・月経の有無

    ・高熱の有無(関節痛)

    なども判断材料になります。

  • 月経が止まっていれば、妊娠の可能性があります。妊娠検査薬で確認します。また、妊娠したことによって関節痛が出るほどの高熱が続くことはありません。

妊娠中に風邪を引いても薬の服用は避けるべき?

  • 妊娠のごく初期であれば、市販の風邪薬を飲んでもほとんど影響がないといわれています。しかし、すでに妊娠がわかっている場合には、薬を飲む前に通院している産科の主治医に相談しましょう。

  • 特に気をつけたいのは4〜15週の頃です。この期間は胎児の中枢神経をはじめ、多くの重要な器官ができる時期です。胎児が薬の影響を受けやすいため、不用意な薬の服用は避けましょう。

  • ただし、全ての薬が胎児に影響するわけではなく、形態異常を起こす可能性のある成分を避ければ、過度に心配することはありません。

  • 風邪薬など、身体の諸症状を改善する薬を服用する場合は、通院している産婦人科で処方してもらうか、診療時に妊娠していることを告げるとよいでしょう。

  • 薬を飲まなかったために母体の状態が悪化したり、胎児の発育が悪くなったり、先天的な疾患にかかる場合もあります。自己判断せず、必ず通院している産科の主治医に相談するとよいでしょう。

  • 一般的な市販薬・病院で処方される薬の成分など

    風邪薬市販の風邪薬に配合されている成分は少量だが、服用する場合は医師や薬剤師に相談し、必ず用法・用量を確認する。カフェイン配合の薬は避ける
    鎮痛薬・解熱薬病院では、つらい症状でやむを得ない場合に一時的にアセトアミノフェンを主成分とする鎮痛薬が処方されることもある
    市販薬は医師や薬剤師に相談する。イブプロフェンやロキソプロフェン、インドメタシンは、妊娠後期には服用を避ける
    胃腸薬つわりを胃腸障害だと勘違いして服用するケースが多いため、薬を服用する前に医師に相談する。病院では、ムコスタ、セルベックス などが処方される
    ビタミン剤ビタミンAは胎児の神経系に影響を及ぼすため、薬としての摂取は避ける。ビタミンDは体外に排出されず、体内に蓄積されるので、過剰摂取を避ける。葉酸は妊娠初期に推奨されている
    漢方薬身体にやさしいといわれる漢方だが、副作用や体質に合わない場合があるので、漢方医や漢方を処方してくれる産婦人科医に相談する

    ※出典:小川隆吉監修『はじめてBOOKS いちばんためになるはじめての妊娠・出産―妊娠から出産までの赤ちゃんとママの完全バイブル』(成美堂出版)

症状ごとの対処法

  • 薬に頼らず風邪の諸症状を和らげる方法には、さまざまなものがあります。しかし、自己判断せずに主治医に相談してから行いましょう。

  • 熱があるとき

    動くと体力が奪われるので、栄養のある食事をとり、身体を休ませましょう。

  • 止まらない咳、喉の痛み

    部屋を加湿し、喉の乾燥を防ぐためのマスクを着用しましょう。ハチミツ大根や生姜湯などを飲むのもおすすめです。

  • 鼻水・鼻づまり

    加湿・加温、マスク、お茶などの蒸気を吸って鼻を温めましょう。鼻の両わきにある迎香(げいこう)のツボを軽く押すことで楽になることもあります。

風邪のときにとりたい栄養素とおすすめの食事

  • 妊娠中の風邪は、なるべく薬に頼らないで治したいものです。まずは消化がよく栄養たっぷりの食事をとります。また、積極的にビタミンを摂取して免疫力を高めましょう。

    ・おかゆや雑炊

    ・たっぷりの具材を柔らかく煮込んだ味噌汁やスープ

    ・煮込みうどん

    などがおすすめです。

  • カフェインが含まれている栄養ドリンクは控えましょう。

  • 風邪のときにとりたい栄養素

    ビタミン類を中心にしっかり栄養補給をしましょう。

  • 風邪のときにしっかりとりたい栄養素

    栄養素効能含まれる食材
    ビタミンC身体の免疫力を向上させるいちご、ミカン、ブロッコリー、ほうれん草
    ビタミンE抗酸化作用をもつ。ビタミンCと相乗効果があるカボチャ、アーモンド、ブロッコリー
    ビタミンB1身体の疲労やだるさを軽減する豚肉、うなぎ、チーズ
    タンパク質新陳代謝を高める肉類・魚介類、卵、大豆製品

    ※筆者作表

風邪の早期回復のためにできること

  • 一般的に言われるように、風邪の早期回復の大原則は「保温」「睡眠」「栄養」です。身体を温めて水分を十分にとり、たくさん眠ることが早期回復の近道です。身体にエネルギーと栄養を貯えれば、免疫力も回復します。

妊娠中は風邪を引きやすい?事前の予防も大切!

  • 妊娠中は身体の調子やホルモンバランスなどが妊娠前とは大きく異なるので、免疫力が低下して体調を崩しやすくなります。まずは風邪などの感染症にかからないために、十分な予防をして、毎日を過ごしましょう。

  • 妊娠中は風邪をはじめとする感染症だけでなく、インフルエンザも重症化しやすくなります。幸いにもワクチンや抗インフルエンザ薬は、妊婦に推奨されています。なるべく予防接種を受け、罹患したら早期に医療機関を受診しましょう。

  • 新型コロナウイルス感染症のワクチンは、2021年3月25日現在、中・長期的な影響や出生児への安全性は確立していないため、一部を除き、妊婦には推奨されていません1)。手洗いやマスクの着用、換気、3密を避けるなどの対策をしっかり行うことが大切です。機会があれば、パートナーにはワクチンを接種してもらったほうがよいでしょう。

  • 風邪にかからないためにできること

    風邪にかからないために、特別なことをする必要はありません。基本的な生活習慣を心がけるのが一番です。

  • <心がけたい生活習慣>

    ・運動:適度な運動

    ・栄養:バランスのとれた食事

    ・休養:質の良い十分な睡眠

    ・衛生:こまめな手洗いやうがい、3密(密閉空間、密集場所、密接場面)を避ける、マスクの着用

    ・環境:室内を加湿して喉の乾燥を防ぐ

  • 極力ストレスを避け、規則正しい生活を心がけましょう。

  • ※本ページに記載されている情報は2021年3月31日時点のものです。

  • 小川隆吉先生(小川クリニック 院長)

    執筆者プロフィール 小川隆吉先生(小川クリニック 院長)
    医学博士、日本産婦人科学会専門医。1975年日本医科大学を卒業後、医局を経て1995年4月まで都立築地産院産婦人科医長として勤務。元日本医科大学産婦人科講師、日本産科麻酔科学会会員、日本胎児心臓病学会員、日本不妊学会会員。『HAPPY妊娠・出産ガイドBOOK』(ベネッセコーポレーション)の総監修を務めるほか、著書に『いちばんためになる はじめての妊娠・出産』(成美堂出版)などがある。
    https://www.ogawaclinic.or.jp

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