女性医師が解説「出産までの流れは?」「いつ病院へ行くべき?」
女性医師が解説「出産までの流れは?」「いつ病院へ行くべき?」
公開日 2017/07/26
更新日 2019/10/16

女性医師が解説「出産までの流れは?」「いつ病院へ行くべき?」

長かったマタニティーライフもそろそろ終わりを告げようとする臨月。待望の赤ちゃんとの対面を待ち望みつつも、陣痛や出産そのものに不安を感じるママも多いはず。お産にかかる時間は個人差が大きく、「一昼夜かかった」「病院へ行ったら1時間以内に生まれた」など様々です。人それぞれだからこそ、ママたちは不安を覚えるのかもしれません。ここでは、お産の始まりから赤ちゃんと対面するまでの基本的な流れと、トラブルの可能性を示唆するサインについて解説します。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)

お産はいつ始まる?出産予定日はズレてもいい?

  • 出産予定日は妊娠40週0日に設定されますが、あくまでも「予定」であり、一つの目安にすぎません。医学的には妊娠37週0日から妊娠41週6日までを「正産期」と呼び、この期間内に生まれれば問題ないとされています。ただし、出産予定日を過ぎると胎盤の機能は徐々に低下していくため、お産の徴候がない場合は妊娠41週中に分娩誘発剤などを用いてお産に導くのが一般的です。

  • なお、東京都と神奈川県の分娩施設で530人の先輩ママさんを対象とした調査(いずれも正産期での分娩)によれば、予定日前に赤ちゃんが生まれた人は58.9%、予定日を過ぎたママは41.1%でした1)。予定日ぴったりに出産を迎えなくても、直ちに問題はないということが分かりますね。

お産が始まるサインを知っておこう

  • お産はいつ始まるか分からないとはいえ、強い陣痛が突然にやって来るわけではありません。多くの場合、お産が近付いてくると次のようなサインが現れます。これらが現れたらお産が近いことを自覚して、病院から指示された入院準備などを整えておきましょう。

  • おしるし

    おしるしの正式名称は「産徴」。その名の通り、お産の徴候のことです。赤ちゃんを包む卵膜が子宮の壁からはがれた際に生じる血液がおりものと混ざったもので、薄いピンク色~やや褐色をしています。おしるしは赤ちゃんが下がってきたサインで、1週間以内にお産が始まることが多いとされています。しかし、おしるしがまったくなかったというママや、おしるしが10日間くらい続いたというママもいるので、あくまで一つの目安と考えましょう。

  • 前駆陣痛

    妊娠32週ごろになると、お産に向けて軽い子宮収縮が生じるようになります。軽いお腹の張りを感じるママが増えてくるでしょう。そして、お産が近付くにつれて前駆陣痛の回数は増え、子宮収縮も強くなります。お腹の張りだけでなく、生理痛のような下腹部の痛みを感じることも少なくありません。

  • この前駆陣痛を本格的な陣痛と勘違いし、慌てて病院へ行ったというママもいるでしょう。しかし、本格的な陣痛は規則的に痛みが襲ってきて次第に間隔が短くなるのに対し、前駆陣痛は痛みの間隔が不規則で次第に間隔が広がって消えていくのが特徴です。正産期を迎えてお腹の痛みや張りを感じたら、まずは横になって間隔時間を測ってみるとよいでしょう。

いざ、お産スタート!ゴールまでどう進んでいく?

  • 医学的には「陣痛間隔が10分以内、あるいは1時間に6回以上の陣痛が生じる」ようになるとお産の開始と判断します。では、お産が始まってから赤ちゃんと対面するまでの流れをみていきましょう。

  • 分娩第1期

    10分間隔の陣痛が生じてから子宮口が全開大(10cm)になるまでの段階です。最も時間を要する段階で、初産婦では10~12時間、経産婦では5~6時間ほどかかるのが平均的とされています。子宮口全開大に向かって、陣痛はどんどん強くなり、間隔も短くなっていきます。そして、子宮口が4cmくらいまで開くと急激に陣痛が本格的になり、強い痛みを感じるように……。さらに8cmほどまで開くと陣痛があるたびに「いきみたい!」という感覚に襲われるようになります。しかし、まだ我慢。子宮口が全開大になるまではいきむことができません。

  • 分娩第2期

    子宮口が全開大になったら、赤ちゃんとの対面までもう少し。ママが陣痛に合わせていきんで、赤ちゃんを産み出すまでの第2期に突入です。平均所要時間は初産婦で2~3時間、経産婦で30分~1時間とされています。陣痛間隔は1~2分置きとなり、強い痛みが60秒間ほど続くようになります。しかし、陣痛に合わせて力いっぱいいきむのに必死で、痛みを忘れてしまうかもしれません。筆者も第1期後半での「いきみのがし」のほうがつらかったと記憶しています。また、この時期には会陰切開をしたり、お腹を押したりして、赤ちゃんが出やすいような処置をするケースもあります。すべて医師や助産師が最善の判断の下で行うので、安心して委ねてください。

  • 分娩第3期

    待望の赤ちゃんとの対面を果たしたらお産は終わり……と思いきや、胎盤が出てくるまでがお産です。平均所要時間は5分ほどで、赤ちゃんが生まれて治まっていた陣痛が再び始まり、子宮からはがれ落ちた胎盤が出てきます。しかし、赤ちゃんが出てくるときのような強い陣痛ではなく、ごく軽度な子宮収縮なので、痛みは感じないママが多いでしょう。なお、会陰切開をしたママは、胎盤が無事に出てくるのを確認してから縫合が行われます。多くは局所麻酔を使うので痛みは少ないですが、産後の会陰部は麻酔が効きにくいことも少なくありません。お産の流れの中で「会陰切開の縫合が一番痛かった」と言うママもいます。

いつ病院へ行けばいい?注意すべきサインとは?

  • 陣痛が始まると、お産に向けて病院へ行くことになります。どのタイミングでの来院を指示するかは医療機関により異なりますが、初産婦は陣痛間隔が10分以内になってから、経産婦は15分以内になってからというのが一般的です。定期的なお腹の痛みや張りが生じたら、陣痛アプリや時計で間隔時間を測るようにしましょう。ただし、次のようなサインがみられたら思わぬトラブルの可能性があるので、陣痛が訪れていなくてもできるだけ早く病院を受診してください。場合によっては救急車の要請が必要なこともあります。

  • 性器出血

    お産の前にはおしるしとして少量の性器出血が生じます。そのため、お産前や陣痛が始まってから出血があっても「単なるおしるし」と軽く考えてしまうかもしれません。しかし、真っ赤な鮮血や生理2日目くらいの大量の出血があったときは、常位胎盤早期剥離など非常に危険なトラブルが生じている可能性があります。速やかに病院を受診してください。強い腹痛がある、めまいや動悸が激しい、意識がもうろうとするなどの症状を伴うときは、救急車を要請しましょう。

  • 破水

    破水とは、子宮口が全開大になる前に卵膜が破れて羊水が流出してしまうことです。陣痛が始まっていない段階での破水を「前期破水」、子宮口が全開大になる前の破水を「早期破水」と呼びます。破水が起こると、破れた卵膜から細菌が入り込んで赤ちゃんに感染してしまうことがあります。そのような事態を防ぐためにも、破水した場合は分娩中に抗菌薬を点滴し、24時間以内に分娩に至らない場合は帝王切開が検討されることになります。破水が起こったら、陣痛の有無にかかわらず速やかに病院を受診してください。

  • お腹の痛みや張りが治まらない

    陣痛は定期的な間隔で訪れるものです。しかし、お腹の痛みや張りがずっと続く場合は注意が必要です。常位胎盤早期剥離や絨毛膜羊膜炎などを発症している可能性があります。特に、お腹全体が板のように硬くなって痛む場合は非常に危険なサインなので、救急車を呼ぶことも視野に入れてください。

  • コラム

    墜落産にご注意を!

    墜落産とは、急速にお産が進行して病院へ着く前に赤ちゃんが生まれてしまうことです。母子ともに非常に危険な状態になるため可能な限り避けたいものですが、妊娠中から墜落産のリスクを確実に予測することは困難とされています。ただし、次の項目に当てはまる人はリスクが高いので2)、この記事で紹介した目安より早めに病院へ連絡しましょう。

    ・前回のお産が早かった

    ・多くのお産経験がある

    ・妊婦健診で子宮口がすでに開いている

    ・急激に痛みが強くなり、間隔の短い陣痛が生じた

    ・陣痛に伴って「いきみたい!」という感覚がある

  • 成田亜希子

    監修者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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