「二人目不妊」の原因と対策――きょうだいって絶対必要?
「二人目不妊」の原因と対策――きょうだいって絶対必要?
公開日 2019/03/25
更新日 2019/09/26

「二人目不妊」の原因と対策――きょうだいって絶対必要?

晩婚・晩産化にともない、最近悩む人も多いと言われる「二人目不妊」。一人目は自然に授かっている場合はどうなのか?など、今回は、二人目不妊の原因と、可能な対策を産婦人科医の堀量博先生に伺いました。
また、不妊治療は精神的・肉体的にも、金銭的にも困難を伴います。二人目不妊治療の道のりの中で、「兄弟って絶対に必要?」と迷ったご夫婦は、「ひとりっ子」という選択肢にも目を向けてみてください。

執筆:伊藤律子(京田クリエーション)・成田亜希子(内科医) ※

1.「二人目不妊」原因と対策

  • 「二人目不妊」の背景にあるのは晩婚化・晩産化

    最近、「二人目不妊」という言葉を耳にしますが、まずはその背景について、産婦人科医の堀量博先生に伺ってみると「初婚年齢が上がってきており、やはり二人目の不妊はそれに関係しているでしょう。やっと一人目を産んで終わり、という現状もあると思います」とのこと。実際に初婚年齢と初産年齢について調べてみると、ともに上昇が続いており、晩婚化・晩産化は進行しています。

  • 【平均初婚年齢】

    2016年(平成28年)男性:31.1歳 女性:29.4歳

    1985年(昭和60年)と比較すると、男性は2.9歳、女性は3.9歳上昇

    (平成30年度版 内閣府 少子化社会対策白書より)

  • 【出産時の母親の平均年齢】

    2016年(平成28年)

    第1子:30.7歳  第2子:32.6歳  第3子:33.6歳

    1985年(昭和60年)と比較すると、第1子は4歳、第2子では3.5歳、第3子では2.2歳それぞれ上昇しており、いまや「30歳を超えての初産がスタンダード」になってきています。(平成30年度版 内閣府 少子化社会対策白書より)

  • 2015年(平成27年)、夫婦に「理想的な子どもの数」をたずねた内閣府のデータ( ※1)では2.32人、「夫婦が実際に持つつもりの子どもの数」は2.01人と、過去最低となっています。

  • さらに、妻の年齢別に「理想の子どもの人数を持たない理由(2015年)」を聞いている調査(※2)では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が56.3%ともっとも多い理由ではあるものの、この理由は2010年(平成22年)の調査に比べると減少。一方で、「高齢出産で産むのはいやだから」(39.8%)、「欲しいけれどもできないから」(23.5%)の2つは、前回調査より上昇しています。世の中的にも、「理想の人数は2人だけれど、自分の体を考えると諦めてしまう」という人が増えていると考えられそうです。

  • ※1 資料:国立社会保障・人口問題研究所「第 15 回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2015 年) 注:対象は妻の年齢 50 歳未満の初婚どうしの夫婦。

  • ※2 資料:国立社会保障・人口問題研究所「第 15 回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2015 年)  注:対象は予定子ども数が理想子ども数を下回る初婚どうしの夫婦。予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦の割合は 30.3%。

  • 「二人目不妊」は加齢による卵子の質の低下、数の減少が要因

    「二人目が欲しいけれどできない」、その要因で一番大きいのは、加齢による卵子の質や数の低下です。

    「人の卵子は、生まれるときには200万個程度、生理が始まる思春期の頃には20~30万個。そして、1000個を切ると閉経すると言われています。毎月生理のたびにたくさんの卵子が減り続けます。そして、35歳を過ぎると抗ミュラー菅ホルモン(AMH)が、がくんと減るのがひとつの目安。35歳を境に妊娠率は大きく落ち、体外受精の場合でも確率が減ります」。(堀先生・以下同)

  • 男性側の精索静脈瘤なども原因に

    「一方、男性サイドでは、精子があまりできない精索静脈瘤が悪化して、二人目不妊に、ということもあります。精巣のとなりに静脈瘤というものがありますが、温まると精子の数が少なくなり、年を経て精子の状態が下がってしまう。一人目は偶然、自然妊娠できるレベルだったけれど、二人目は難しいというケースです。ただ、これは調べてみないとわからず、個人差も大きいです」。

  • 「二人目不妊」の対策…治療開始は「年齢に合わせて考える」

    とくに女性は加齢が大きく影響していますが、二人目不妊をどのタイミングで相談すればよいのか迷います。

    「不妊症というのは、子作りを1年間努力していてもできない場合を言いますが、20代の1年と40歳の1年は違います。40歳近いなら、もちろん、早めに調べたほうがいいですね。一方、一人目を自然に授かった人、1回のタイミングでできた人などは、二人目を作ろうと努力して半年くらいできないと『二人目不妊!?』と思い込んでしまう。20代なら、あまりに焦りすぎて不妊治療のステップをどんどん進めてしまうのも、個人的にはどうかと思います。つまり、年齢に応じて相談が必要ということです」。

  • 一人目が自然妊娠だった人こそ、意識を

    一人目が自然妊娠だった場合、なんとなく「私は大丈夫」と思いがち。でも、二人目不妊を意識しておいたほうがよいのは、どちらかというと一人目で不妊治療をした人よりも、自然妊娠だった人なのだとか。

    「一人目で不妊治療をしていると、二人目も早くしようと意識する。一度、不妊治療を経験していると、時間のかかり方などもわかっているので、『ここまでに欲しかったら、そろそろかな…』と意識して病院に行きます。でも、一人目が自然だと、なかなか通院のタイミングがわからない。でも、一人目が自然妊娠だったからといっても、35歳を過ぎたら妊娠しにくくなるのは同じですから。『二人目不妊』という言葉に踊らされすぎるのもよくないですが、気にするのはよいこと。年齢に応じて、早めにクリニックにいってチェックしましょう」。

2.「二人目不妊」治療の道のり

  • 「二人目不妊」に悩んで治療を続けていくのは、夫婦二人だけのときに行う不妊治療よりもはるかにハードルが高くなります。なぜなら、不妊治療は精神的にも身体的にも大きな負担がかかり、通院に必要な時間や費用も莫大になるから。夫婦二人だけのときには治療に専念することができても、そこに子どもが加わると治療のことだけを考えていればいいというわけにはいきません。

  • 子どもの急な発熱やぐずりで、通院したいタイミングで通院できないということもしばしばでしょう。また、子どもにとってもママやパパがうまくいかない不妊治療にイライラしているのは悲しいことです。不妊治療のための時間やお金を目の前にいるわが子のために費やしてあげたほうがよいのではないか、という考えが浮かぶこともあると思います。そうした中、ただでさえ厳しい不妊治療を続けていくのは、とても大きな覚悟がいることです。

  • 「一人っ子」という選択肢も?

    わが子にきょうだいを作ってあげたい、男の子の次は女の子を育ててみたい、跡取りが欲しい……。「二人目」を希望する理由は夫婦によって様々です。希望する程度もそれぞれで、ハードルが高い「二人目不妊」治療を続けても欲しいと思う夫婦もいれば、自然に任せて妊娠に至らなければ早い段階であきらめるという夫婦もいます。

  • もちろん、いつまで治療を続けるか、どのステップまで治療をするか、自然に任せるか、こうした選択に正解はありません。一人目にも十分な愛情を注ぎながら不妊治療を経て二人目を授かる夫婦、二人目をあきらめて一人目にすべての愛情を注ぐという選択をする夫婦、どちらも間違いではありません。正解がないからこそ、「二人目不妊」に悩む夫婦は結論が見出せずに様々な考えが頭に浮かぶものです。妊娠できる期間に限りがあることは確かですから、夫婦でしっかり話し合って後悔のない道を決めるようにしましょう。

  • 「一人っ子」のメリットは?

    少子化が進む昨今、一人っ子の家庭は少なくありません。内閣府が2015年に実施した「第15回出生動向基本調査」によれば、子どものいる家庭の中で一人っ子は全体の18.6%とされており、その割合は増加傾向にあることが分かりました。決して珍しくはない一人っ子には次のようなメリットがあります。

  • ・一人の子どもにたっぷりの愛情を注ぐことができる。

    ・教育やしつけに集中できる。

    ・育児期間が短く、仕事復帰しやすい。

    ・学費を捻出しやすく、子どもの希望する進路を後押しできる。

    ・教育にお金をかけることができ、子どもの可能性を伸ばすことができる。

    ・老後の蓄えをしやすい。

  • 必ずしもきょうだいが必要とは限らない

    思い描く家族のかたちは家庭によって異なります。「二人目不妊」の治療をするか、一人っ子を選択するか、正しい答えがないからこそ悩むものです。しかし、大切なのは夫婦が共に納得した結論を出すことです。あのとき違う決断をしていたら……という後悔がないよう、夫婦で心行くまで話し合って結論を出すようにしましょう。必ずしもきょうだいがいなければならないわけではありません。一人っ子という選択をした場合は、一人っ子ならではのメリットを享受して、前向きに育児生活を楽しみましょう。


  • 1.「二人目不妊」原因と対策
    お話を伺ったのはこの方 堀産婦人科 院長 堀 量博先生
    日本産婦人科学会認定医、日本臨床細胞学会指導医、母体保護法指定医
    かかりつけ医としての役割を担いながら、先端医療施設と連携して高度な医療を提供している。
    ※ 取材・文:伊藤律子(京田クリエーション)


    2. 「二人目不妊」治療の道のりと、「ひとりっ子」という選択
    ※ 執筆・監修:成田亜希子(内科医)
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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