【医師監修】はじめての妊活、必ず知っておきたい基本の知識
【医師監修】はじめての妊活、必ず知っておきたい基本の知識
公開日 2018/09/10
更新日 2019/10/18

【医師監修】はじめての妊活、必ず知っておきたい基本の知識

健康な男女による避妊をしない性行為1回で、妊娠する確率は3割ほどだといわれています。しかも、自然に妊娠できる確率は年齢を重ねるごとに低下します。晩婚化が進む昨今、なかなか赤ちゃんができずに悩んでいるご夫婦もたくさんいます。そうした背景から、妊娠へ向けての様々な活動を意味する「妊活」という言葉も生まれました。

ここでは、妊活を始める前に知っておいてほしい知識や基本的な妊活法、始めるまえにしておきたい準備などを詳しく解説します。

執筆・監修 成田亜希子(内科医)

妊娠をかなえるためにはタイミングが大切!

  • 卵子と精子が出会って受精し、無事子宮内に着床すると妊娠が成立します。避妊しないで性行為をすれば簡単に妊娠すると思っている方もいるかもしれませんが、それは大きな誤りです。卵子と精子が受精するにはタイミングが重要。そのタイミングは1か月の中で2~3日ほどしかありません。なぜ、ここまでタイミングがシビアなのか、身体のメカニズムの観点からみていきましょう。

  • 排卵はいつ起こる?

    生理のある女性の身体の中では「性周期」と呼ばれるサイクルが繰り返されています。具体的には、生理が始まった日から次の生理が始まるまでの期間のことで、25~38日のサイクルが正常とされています。この間、女性の身体はエストロゲンとプロゲステロンと呼ばれる2種類の女性ホルモンの働きにより大きな変化を起こしています。

  • 生理は妊娠に向けて成熟した子宮内膜がはがれ落ちるもので、生理が始まると子宮内膜は薄くなっていきます。子宮内膜は受精卵が着床する重要な場所であり、無事に着床が行われるためには子宮内膜が厚く成熟していなければなりません。そのため、生理が始まると妊娠に備えて子宮内膜の増殖を促すエストロゲンが盛んに分泌されるようになります。また、エストロゲンには卵巣内の卵胞を成熟させる作用もあり、成熟した卵胞からは卵子が排出されます。この現象こそが排卵です。生理が始まってから排卵が生じるまでの期間は約14日間とされています。

  • 卵子の寿命は短い!

    卵子の寿命は排卵後の約24時間です。つまり、この間に受精できなければ妊娠することはないのです。しかも、排卵後24時間以内であっても徐々に受精できる能力は落ちていくとされています。妊娠するためには、できるだけ排卵したてのフレッシュな卵子と精子が出会うことが望ましいのです。そう考えれば、1サイクルの性周期の中で妊娠できるチャンスはごく限られていることが分かりますね。

  • 妊娠しやすいタイミングは?

    卵子は寿命が短い一方、精子は射精されてから3日間ほどは受精能力を維持するとされています。つまり、射精して子宮内に入り込んだ精子は3日間ほど生き続け、なんと卵子の「出待ち」をすることができるのです。そのため、妊娠しやすいタイミングは排卵日の2~3日前から排卵日当日にかけての期間とされています。

排卵日の予測が妊娠への第一歩!

  • 限られた妊娠のチャンスを逃さないために必要なのは排卵日の予測です。性周期のサイクルから「何となくこの日かな?」と大ざっぱに考えている方も多いと思いますが、妊娠率をアップさせたいのであれば、身体のメカニズムを利用した次のような方法を実行してみてください。

  • 基礎体温の測定方法

    基礎体温は安静時の体温のことで、朝起きたときにそのまま布団の中で計測します。通常の体温計ではなく、小数2位まで計測できる専用の婦人体温計を使って測るようにしてくだださい。

  • 女性の基礎体温は性周期により変化します。これは女性ホルモンの分泌バランスによるものです。エストロゲンが多く分泌される生理開始~排卵までの期間は36℃台前半の「低温期」、プロゲステロンが多く分泌される排卵後~次の生理開始前までは低温期より0.3~0.5℃上昇する「高温期」となります。排卵はちょうど低温期と高温期の境目に起こりますが、排卵日の直前や排卵日当日は一気に基礎体温が低下する特徴があります。このような変化がみられたら妊娠しやすいタイミングと考えましょう。

  • 排卵検査薬の活用方法

    排卵検査薬は尿中の黄体形成ホルモン(LH)を検出する検査キットです。形態は妊娠検査薬とほぼ同じで、尿をかけると陰性/陽性の判定が表示されます。

  • LHは排卵日直前に急上昇する性質があり、この現象を「LHサージ」と呼びます。排卵検査薬は、このLHサージを敏感に検出するように作られています。排卵検査薬の陽性は「LHサージが起こっていること」=「排卵日が極めて近いこと」を意味するので、妊娠しやすいタイミングをかなり正確に知ることができるのです。通常、排卵検査薬は複数本がセットになって販売されています。性周期が28日の方の場合、高温期が10日ほど続いたら使用を開始し、毎日検査を続けることでLHサージを見逃さずにキャッチできます。

妊娠しやすい身体を作る日常生活の送り方

  • 妊娠をかなえるためにはタイミングが重要ですが、妊娠しやすい身体に整えていくことも欠かせません。妊娠が成立するためには、卵子や精子の質、子宮内膜の状態などが妊娠に適したものでなければならないからです。生理のたびに「なかなか妊娠しないな……」と肩を落としている方も、日常生活の送り方に注意すれば妊娠率をアップさせることができるかもしれません。

  • ホルモンバランスを整えるには?

    排卵や子宮内膜の増殖・成熟を促すのは女性ホルモンです。女性ホルモンの分泌が乱れると性周期も乱れがちになるため、妊娠のタイミングを計りにくくなります。そればかりでなく、排卵が起こらなくなるなど妊娠に重大な影響を及ぼす生殖機能の異常を引き起こすことも少なくありません。

  • 女性のホルモンバランスは非常にデリケート。ストレスや疲れ、睡眠不足などの影響で簡単に乱れてしまうものです。また、極端な食事制限によるダイエットや肥満もホルモンバランスの乱れを引き起こします。日ごろから規則正しい生活を心がけ、ストレスがたまりにくい環境を整えることが大切です。

  • 精子の量や質を改善するには?

    「妊活は女性だけが行うもの」と考えているのであれば、それは間違いです。妊娠するためには元気な精子が十分量、子宮内に入り込むことが必要ですから、精子の量や質も重要なファクターになります。精子の量や質を改善するため、男性も積極的に妊活に参加しましょう。

  • 精子の量や質を改善するには、やはりストレスや疲れをためないことが大切です。また、タバコは精子に含まれるDNAにダメージを与えることがあるので、喫煙している方は今すぐ禁煙を目指してください。また、亜鉛の摂取もお勧めできます。亜鉛は精子の生成を促す男性ホルモンの原料となり、亜鉛を摂取することで精子の量や運動率が向上するとの報告が多数あるからです。亜鉛は牡蠣やホタテなどの貝類、海藻、レバー、卵黄などに多く含まれているので、積極的に食事に取り入れてみましょう。

  • 卵巣や子宮の血行を良くするには?

    卵巣の機能や子宮の状態を良くするためには、骨盤内の血行を良くすることが大切です。冷えは血行の悪化につながるので、運動や浴槽に浸かることを習慣化したり、冷たい飲食物は避けて生姜や玉ねぎなど身体を温める食材を摂ったりしてください。また、空調による冷えに注意し、生足を避けたり、羽織る衣類を持ち歩いたりすることもお勧めです。

  • 関連記事:妊活中なら知っておきたい妊娠力を高める4つのポイント

  • コラム

    不妊が続くようならパートナーと治療の検討を

    日本産婦人科学会は、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものを不妊と定義しています。また、この「一定期間」については「1年というのが一般的である」としています。不妊には様々な原因があり、治療をしなければ妊娠できないケースも少なくありません。不妊治療も年齢が若いほど成功率がアップします。妊娠しやすいタイミングに注意し、日常生活を改善した上でもなかなか妊娠しない場合は、臆することなく病院で相談することをお勧めします。

妊活前にこれだけはやっておきたい準備

  • 妊活は長い道のりになることも少なくありません。いざ妊活を始めようと思ったご夫婦も決して焦らず、しっかりと準備をしてから臨むようにしましょう。これから妊活を始める方に、ぜひ前もってやっておいてほしいのは風疹の予防接種と性感染症の検査・治療です。

  • 風疹の予防接種

    妊娠初期に風疹にかかると、お腹の赤ちゃんにも感染して深刻な先天性障害を引き起こすことはよく知られていると思います。今の20代、30代の方は、幼児期の麻疹・風疹予防接種が1回しか定期化されていなかった世代なので、抗体を持っていない方が多いとされています。

  • 妊娠すると予防接種を受けることができないので、妊活を始める前に抗体の有無を調べ、必要な場合は予防接種を受けておくことをお勧めします。また、風疹は感染力が高く家庭内でうつってしまうこともあるため、女性だけでなくパートナーの男性も予防接種を受けておくと安心です。

  • 性感染症の検査・治療

    クラミジアや淋病などの性感染症は症状がないことも多く、知らず知らずのうちに感染していることがあります。妊活を始めると避妊せずに性交渉を持つ機会が多くなるため、パートナーに性感染症をうつしやすくなります。これらの性感染症は卵管の癒着などを引き起こして不妊症の原因になることもあるので、本格的な妊活を開始する前に、男性も女性も性感染症の検査・治療を受けておくようにしましょう。

  • 成田亜希子

    監修者プロフィール 成田亜希子
    2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事