将来、ママになりたいと望むなら!AMH検査で卵巣年齢を知って、「いつ産む?」を考えよう
将来、ママになりたいと望むなら!AMH検査で卵巣年齢を知って、「いつ産む?」を考えよう

2018/09/04

将来、ママになりたいと望むなら!AMH検査で卵巣年齢を知って、「いつ産む?」を考えよう

妊娠に大切な卵巣の機能がわかる「卵巣年齢(AMH)検査」って知っていますか?
採血だけでわかる気軽な検査で、最近では健康診断にこの項目を入れる企業もあるのだとか!
AMH検査と、妊娠適齢期を考えた妊活、疑問について、国立成育医療研究センター不妊診療科の齊藤英和先生にお話をお伺いしました。
「今すぐじゃないけれど、いつかは子どもが欲しい!」そんな女性も、必読です!

取材・文:伊藤律子(京田クリエーション)

あなたの「卵巣年齢」が血液検査でわかる!

  • 編集部(以下編):自分の卵巣の年齢がわかる、AMH検査というのを最近よく聞くのですが、どういったものなのですか?

  • 齊藤先生(以下齊):卵子の周りの細胞から出るホルモンを測ることで、「自分が貯蓄している卵の数」をある程度推測できる検査です。「卵巣に残っている卵子の数が、何歳相当であるか」がわかります。値が低い人は、早く卵がなくなってしまう−−つまり妊娠できる可能性が低くなる、というリスクを知ることができます。2000年を超えてから、臨床に応用できるようになった検査で、採血だけで簡単にわかります。

  • 編:自分の値がどうなのか、さっそく気になってきました。

  • 齊:年齢が若いほどAMH値は高く、年齢が上がると低くなりますが、気をつけたいのが「個人差がとても大きい」ということ。25歳の人でも、49歳と同じくらいの数しか卵を持っていない人もいます。一方、44歳でも、30歳半ば相当の卵を持っている人も。また、20代後半になると、15%くらいの人はかなり厳しい数値になっているという報告もあります。

  • 編:AMH検査を受けて、値が低かった場合はどんなことを意識すればいいのでしょうか?

  • 齊:将来子どもを持ちたいと考えていて、AMH値が低い場合は、やはり早めに妊活のアクションを起こしたほうがいいですね。AMHが低くても、きちんと排卵していればちゃんと妊娠できます。卵が排卵したあと妊娠する確率は、AMHが低くても高くても同じです。

  • 編:値が高ければ、ある程度は安心ということですか?

  • 齊:いいえ、高いから安心というわけでもないのです。あるとき急速にAMH値が下がるかもしれないからです。それについてはまだわかっておらず、なんとも言えません。高い場合は、少しは安心だけど、絶対安心!ではないということ。しかも、「AMH値は今と比べて3年後は必ず下がる」という臨床報告もあるので、急ぐに越したことはありません。

  • 編:AMH検査で卵の「質」もわかるのですか?

  • 齊:質は基本的には測れません。ちなみに質と数は関係がなく、「多いから質がいい、少ないから質が悪い」とは言えません。AMH値でわかるのは「妊娠できる力」ではなく、「卵巣予備能(卵巣機能の潜在的な能力)」です。将来、妊娠を考えるなら検査しておいて、損はありませんね。

卵子は排卵しなくても、自然にどんどん減っていく!

  • 編:そもそも卵子って、何個くらいあるのですか?

  • 齊:人の卵子は、お母さんのお腹の中にいる胎児期(20週頃)が1番多く、700万個くらいあります。その後どんどん減り、生まれるときには200万個程度、生理が始まる思春期の頃には20〜30万個に。そして、閉経時にはゼロに近づきます。卵子の数を考えると、女性としての体が成熟する20代に入る頃が、一番妊娠にいい時期ということになります。排卵は基本1つですが、1つを排卵するのに卵が1000個以上使われるんですよ。つまり、毎月生理が来るたび、大量の卵子が減っているというわけです。

  • 編:1回の排卵で1000個以上も!?てっきり、1個だけだと思っていました…。

妊娠適齢期は20代。女性は27歳から妊娠率が下がる

  • 編:妊娠に1番いい時期のお話がありましたが、妊娠適齢期はいつなのでしょうか?

  • 齊:19〜26歳までは、1番いいタイミングで性交をすれば5割近く妊娠しますが、27〜34歳だと4割、35〜39歳だと3割と、20代の後半になると妊娠率がどんどん下がっていきます。ちなみに男性は、40歳以上になると、妊娠させる能力が下がることがわかっています。そうすると女性は20代中頃までが一番妊娠しやすい、適齢期といえますね。

  • 編:とはいえ20代中頃って、まだまだ他のことに夢中の女性も多いと思いますが…。

  • 齊:そうですね。図は年齢別の出生率ですが、昔は20代の出生率が高いのに、1990年から出生率のピークの年齢が高齢の方に移ってきました。この背景に、1985年に施行された「男女雇用機会均等法」が大きく関係しています。働きにでる女性が増えたため、産む年齢が高くなったのです。でもこの法律では「仕事と家庭を両立するためには、どうすればよいか?」ということは考えられていませんでした。だから最近になってやっと、働き方改革が進められていますが…。

  • 編:2010年の出生率のピークは、30代前半になっていますね。

  • 齊:とはいえ、一番産みやすく育てやすいのは、20代前半〜中頃というのは変わりません。それなのに、社会的な背景により変わってしまったという状況です。政府の働き方改革でどこまで出生率の山が上がるかわかりませんが、せめて出生率のピークの年齢がもう少し若い年齢に戻らないとだめですね。それを実現するために、社会全体がどう動くかが求められていると思います。

母体の加齢は、産むのにも育てるのにもさまざまなリスクが!

  • 編:まわりに高齢出産も増えているので「私も大丈夫」とつい思ってしまうのですが…。

  • 齊:子どものダウン症や母体のがんリスクの現実を知ると、のほほんとしていられないですよ。染色体異常であるダウン症児が生まれる頻度は、母親が20歳なら1500人〜1600人に1人の割合ですが、30歳になると1000人に1人、40歳になると106人に1人。年齢の違いだけで15倍も増えます。45歳で産むと30人に1人という割合になります。

  • 齊:さらに、産んでからきちんと育て上げることも大切。つまり、お母さんが健康であることがとても重要です。一番わかりやすいのが、がん。生殖年齢である25〜40歳で増えるがんは、図からわかるように、乳がんと子宮がんです。がんを抱えながら、妊娠・出産をするというのはとても大変なことです。

  • 編:なんだか、とても焦ってきました…。

  • 齊:その気持ちが大切!遅く結婚して遅く産むと、リスクも上がります。これを理解して妊活しなくてはいけないのに、ちゃんとわかっていない人が多い。「体外受精すればいいから遅くても大丈夫」とは考えないこと。AMH検査を含め、手軽なものも出てきたことから、少しずつですが若い頃から妊活について相談にくる人も増えてきていますよ。

  • 編:将来子どもを産みたいと考えているのなら、まわりの情報に流されず、正しい妊娠適齢期と自分の体を意識することが大切ですね。ありがとうございました。

  • 医学博士  齊藤英和先生

    お話を伺ったのはこの方 医学博士 齊藤英和先生
    国立成育医療研究センター、周産期・母性診療センター、周産期・母性診療センター不妊治療科所属。日本産科婦人科学会認定・産婦人科専門医、日本生殖医学会認定・生殖医療専門医。専門は生殖医学、不妊治療。内閣府「選択する未来」委員会や、企業、大学などで、日本の晩婚・晩産化、不妊対策について提言している。著書に『妊活バイブルー晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(共著・講談社)、『「産む」と「働く」の教科書』(共著・講談社)など。

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