【医師監修】体外受精で妊娠する確率は? 不妊治療にはどんな方法があるの?
【医師監修】体外受精で妊娠する確率は? 不妊治療にはどんな方法があるの?
公開日 2018/06/12
更新日 2021/04/23

【医師監修】体外受精で妊娠する確率は? 不妊治療にはどんな方法があるの?

近年では、不妊治療を受けるという選択はめずらしいものではなく、体外受精を選ぶ人もいます。
体外受精による妊娠の確率は年齢によっても異なるため、精子や卵子の状態、妊娠率などの情報もふまえて医師とよく相談し、情報収集をしておくことが大切です。
第15回国立社会保障・人口問題研究所の調査(2017年)によると、不妊の心配をしたことのあるカップルは35%にのぼるなど、決して珍しいことではありません1)
国が不妊治療医療費の費用の一部を助成する事業など、経済的な支援も始まっています。

この記事では、いつ頃から不妊治療を検討するのか、どんな方法があるのか、年齢別の体外受精成功率はどれくらいか、妊娠の可能性はどのくらいあるのかなどについて解説します。

監修:小川クリニック院長 小川隆吉先生
執筆:友永由紀(ライター)

人工授精・体外受精とは?

  • 一般的な不妊治療は、開始前に基礎体温やホルモンの量を測定する検査、卵管の検査、卵巣の中に卵子がどれくらい残っているかを知るAMH(アンチミューラー管ホルモン)検査などを行い、その人に合わせた治療計画を立てます。

  • 不妊治療開始時の年齢にもよりますが、通常は半年から1年かけて妊娠しやすいタイミングを指導したり、不妊の原因となっている障害を手術などで取り除いたり、排卵を促す薬を服用するなどして、自然妊娠をめざします。

  • しかし、それでも妊娠しなかった場合、精子を人工的に子宮の奥に注入する人工授精が行われます。

  • それでも、これまでの治療で効果がなかったり、卵管に閉塞があったり、人工授精では妊娠が期待できない場合に体外受精という選択肢があります。

  • 体外受精には、採取した卵子に精子をふりかける方法や、体外で受精させ細胞分裂をした受精卵(胚)を子宮内に移植する方法などがあります。

顕微授精とは?

  • 正常な精子の数が足りない、運動率が低い場合など、精子に問題があるときに適している体外受精の方法として、「顕微授精」があります。顕微鏡下で正常で元気な精子を1つ取り出し、卵細胞に直接注入して受精させる方法です(卵細胞質内精子注入法:ICSI)。

    ※ICSI:intracytoplasmic sperm injection

体外受精・顕微授精の成功率(妊娠率)

  • 日本産科婦人科学会の調査によれば、2017年に日本全国で行われた体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の実施件数は、年間約45万件(治療周期)で世界第1位の多さとなっています2)。しかし、妊娠率や出生数は海外に比べてそれほど高いとはいえません。

  • 妊娠率や子どもが生きて産まれる率(生産率)は、30歳代前半までは約20%ですが2)、高齢になるにつれて低下します。40歳を超えると、体外受精や顕微授精でも妊娠・出産ができる確率は非常に低くなります。

  • 流産率は37歳以降、急激に上昇し、39歳で30.6%、40歳では33.6%となっています2)。受精が成功しても、着床して妊娠に至り、無事に出産できるとは限らないことを理解したうえで、治療を開始しましょう。

体外受精の流れ

  • ●排卵を誘発する

    排卵を促すクロミフェン療法やhMG製剤を投与し、卵子を排出しやすくします

    ●採卵

    経膣超音波のモニタを見ながら、卵巣内の卵胞に針を刺し、卵胞液ごと卵子を吸引します

    ●受精

    取り出した卵子に夫の精子を振りかけたり(体外受精)、顕微鏡下で卵子に精子を注入したりします(顕微授精)

    ●胚培養

    受精卵を成長させる。子宮に戻す卵子の状態に応じて、卵管に精子と卵子を移植して卵管内で受精させる(GIFT法)、細胞分裂する前(ZIFT法)、受精から5~6日(胚盤法移植)、受精から4~8分割などの方法から選択します

    ●胚移植

    多胎を防ぐため、1回に戻す受精卵は数個以下です。使用しなかった受精卵は凍結保存して、必要であれば次回に使用します

体外受精のリスクと注意点

  • 不妊治療=体外受精(顕微授精)というイメージが先行し、年齢や検査結果にかかわらず、体外受精を希望する人もいます。

  • しかし、体外受精は自然妊娠とは違い、人の手が加わります。さまざまなリスクが伴うことを理解しておきましょう。

  • 疑問があれば通院している産科の主治医に聞き、納得したうえで治療を始めてください。

  • 精神的、心理的、経済的な負担が大きい

    不妊治療は助成金を利用しても、高額な支出になります。期限と費用を決めておくことをおすすめします。さらに、不妊治療は女性の心身に大きな負担をかけます。パートナーと意見が一致していないと、支えあいながら乗り越えることが難しくなります。

  • 妊娠率の低下と流産率上昇

    体外受精は、確実な妊娠方法ではありません。受精した場合でも妊娠に至らなかったり、着床しても流産したり、妊娠しても胎内で受精卵が育たない確率が自然妊娠に比べて高いことを理解しておきましょう。

  • 妊娠トラブルの確率が高い

    体外受精での妊娠では、自然妊娠に比べて多胎妊娠、妊娠高血圧症、切迫早産、前置胎盤などの確率が高くなるという報告があります3)

  • 顕微授精では遺伝子異常のリスク

    通常、顕微授精は精子に問題があるときに行われます。無精子症でも、睾丸から直接精子を取り出して受精させることはできますが、遺伝子はそのまま受け継がれます。そのため、男児が生まれた場合、染色体や遺伝子の異常が引き継がれる可能性があります。

体外受精以外の不妊治療の方法

  • 不妊治療では、医師に相談するだけでなく、自分でチャレンジできることがあります。「妊娠しやすい健康的な心身」を目指して生活習慣に取り入れてみましょう。

  • アロマテラピーなどのリラクゼーション

    ストレスがかかるとホルモンバランスが崩れて、妊娠しにくい身体になります。アロマテラピーやヨガなどを利用して、リラックスする時間を増やしましょう。

  • サプリメントや漢方薬

    不足しがちな栄養素をサプリメントで補うほか、冷えの改善などに漢方薬が効果的な場合があります。

  • 小川隆吉先生(小川クリニック 院長)

    執筆者プロフィール 小川隆吉先生(小川クリニック 院長)
    医学博士、日本産婦人科学会専門医。1975年日本医科大学を卒業後、医局を経て1995年4月まで都立築地産院産婦人科医長として勤務。元日本医科大学産婦人科講師、日本産科麻酔科学会会員、日本胎児心臓病学会員、日本不妊学会会員。『HAPPY妊娠・出産ガイドBOOK』(ベネッセコーポレーション)の総監修を務めるほか、著書に『いちばんためになる はじめての妊娠・出産』(成美堂出版)などがある。
    https://www.ogawaclinic.or.jp

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