不妊の原因の半数は男性にあり!? 意外に知らない「男性不妊」
不妊の原因の半数は男性にあり!? 意外に知らない「男性不妊」

2017/07/26

不妊の原因の半数は男性にあり!? 意外に知らない「男性不妊」

「いざ子どもが欲しいと思っても、なかなかできない……」。そんなとき、原因は女性にあると思われがち。けれども実は、男性側に原因がある場合も多いのです。男性不妊の専門家に、最新情報を伺いました。

監修 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科主任教授 リプロダクションセンター長 岡田 弘先生

そもそも、男性不妊って何?

  • 日本における不妊とは、「健康な夫婦が避妊をしないで夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のことだと考えていいでしょう。結婚・出産年齢が上昇している現代日本では、以前にくらべてさらに妊娠しにくい状況だと言えます」(岡田弘先生、以下同)。

    ただし、子どものいないカップルの数は統計がありますが、あえて作らないというカップルもいるため、実際にどのくらいのカップルが不妊に悩んでいるかは明言できないそう。なかには、6~7組に1カップルが不妊に悩んでいると推定する研究者も存在するとか。

  • 男不妊の原因について(WHO調べ)不妊の原因について(WHO調べ)

    「今や、不妊は珍しい悩みではないのです。WHO(世界保健機関)の報告によると、不妊の原因は41%が女性のみ、24%が男性のみ、24%が男女となっています。つまり男性のみ、男女ともを合わせると48%。不妊に悩むカップルの約半数が、男性側に原因があることになります」。

男性不妊の原因は、現代の医学では解明できない!?

  • 男性不妊外来での原因別患者数の割合(ED・射精障害・性交障害を除く)男性不妊外来での原因別患者数の割合(ED・射精障害・性交障害を除く)

    では、なぜ男性不妊が起こるのでしょう?「男性不妊外来を訪れた患者さんの75%が『特発性造精機能障害』と言われています。これはつまり、元気な精子が作れない原因が、明らかでないということ。精液中の精子の濃度が薄かったり、精子の運動率が低かったり、精子がまったくなかったりする原因は、現時点ではまだ解明されていません。というのも、精子形成にかかわるすべての遺伝子の解析ができるわけではないからです」。

    この特発性造精機能障害に続いて多いのが、「精索静脈瘤」。これは精巣(睾丸)から心臓へ血液を返す血管である静脈の逆流防止弁の働きが十分でないために、血液が逆流し、精巣の温度が上がったり精巣に酸化ストレスが加わったりするもの。その結果、精子に悪影響が及ぶと言います。「自分の精子の状態は、精液検査をしないとわからない。男性不妊の原因は、この2つで93.6%を占めます。ですから『なかなか妊娠しない』と思っているなら、できるだけ早く受診して不妊の男性因子がないかを調べてもらう必要があります。男性が検査を先送りすると、それだけ女性の年齢が高くなり、さらに妊娠しにくくなってしまうんです」。

    こうした精子の問題だけでなく、セックスがうまくできない男性も増えているそう。「不妊治療の最初のステップに『タイミング法』があります。これは女性の排卵日にあわせてセックスするというものですが、排卵日を意識するあまりに男性がプレッシャーを感じ、EDや射精障害になること。こうした『タイミングED』のほか、女性に性的関心が向かなかったりセックスでは射精できなかったりする『膣内射精障害』も目立ちます。このような男性不妊患者には、セックスに対する正しい知識をつけたり、薬を服用したりして治療を行っていくのです」。

今すぐできる男性不妊対策は?

  • 原因がわかっていないものが多いとはいえ、確実に精子の質を下げる生活習慣があるとか。「ズバリ、喫煙と肥満です。たばこを吸うと血管が収縮して血流が悪くなり、ペニスにも血液が流れにくくなってEDにつながるのです。また精子の数や運動率も下がり、酸化ストレスで精子のDNAが損傷することもわかっています。また、いわゆるメタボリックシンドロームの人も、精子数量が少ないことが多い。生活を見直して適正な体重に戻すことも、男性不妊の解消を目指すうえで大切です」。

    さらに、温度を上昇させる「熱」も精子の大敵なのだとか。「精子を作る精巣は熱に弱く、股間を高熱にさらすと造精機能に悪影響を及ぼすのです。ですから、熱がこもりがちなタイトな下着やサウナ、長風呂は避けたいところ。膝の上に熱をもったパソコンをのせて作業するのも、同じくオススメしません」。さらに長時間のサイクリングを頻繁にしていると、精子の通り道付近に炎症が起こり、精子が通過しにくくなる危険性があるとか! 子どもが欲しいなら、ぜひ頭においておきましょう。

    女性の不妊が、加齢と密接な関係を持っているのはよく知られています。女性ほどではないものの、男性も年齢が上がると精子の機能が低下していくと岡田先生。「35歳ころから精子の濃度や運動率は下がりますし、精子の質も悪化していきますが、女性とは違ってその低下率はかなりゆるやかなんです。けれども女性は38~39歳ころから確実に妊娠しにくくなる。早ければ早いほどお子さんが授かる割合は上がりますから、1年間妊娠しなかったら、カップルでぜひ受診をしてください」。

  • 今すぐできる男性不妊対策!

    禁煙する

    暴飲暴食をやめる

    規則正しい生活を心がける

    禁欲しない

    タイトな下着は避ける

    サウナ・長風呂は控える

    自転車に長時間乗らない

    ヒザ上でのパソコン作業は控える

  • 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科主任教授 リプロダクションセンター長 岡田 弘先生

    お話を伺ったのはこの方 獨協医科大学越谷病院 泌尿器科主任教授 リプロダクションセンター長 岡田 弘先生
    30年にわたり、男性不妊の治療にあたってきた第一人者。とくに、無精子症に対する最先端治療MD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)では、国内有数の症例数を誇る。
    http://maleinfertility.jp/

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