

【2020年最新】年収1000万円の人はどれくらいいるの?手取りや生活の実態は?
「年収1000万円」と聞くと、使えるお金もたくさんあって余裕のある暮らしをしているイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。うらやましく思いつつ、実際はどのような生活をしているのか気になる人もいると思います。年収1000万円の人の手取り額や税金事情、家賃や貯蓄などの生活スタイルなどについて見ていきましょう。
執筆:續 恵美子(ファイナンシャルプランナー)年収1000万円の人数の割合
年収1000万円といえば高額所得者のイメージがありますが、日本で年収1000万円を稼ぐ人はどれぐらいいるのか気になりますね。
国税庁「民間給与実態統計調査(2018年)」によると、会社員で年収1000万円を超える人は、約5000万人の給与所得者数のうち5%でした。
当調査は給与収入の人を対象にしたもので、自営業者や企業経営者などを含めるともう少し割合は増えそうですが、年収1000万円のハードルは高いのかもしれません。
年収1000万円、手取りはいくら?
年収とは税金や社会保険料などが差し引かれる前の1年間の総支給額のこと。実際には年収から税金や社会保険料などが差し引かれるため、手取り額が1000万円あるわけではありません。
税金はいくら引かれる?
税金は扶養家族の有無のほか、生命保険への加入や住宅ローンの有無などにより控除を受けられる額が変わってきます。
ここでは専業主婦の妻と子ども2人(18歳、15歳)を扶養している会社員の例で見てみましょう。他に所得控除はないものとします。
・給与所得控除:195万円
・所得金額調整控除額:15万円
・所得控除:社会保険料控除150万円(※)、基礎控除48万円、配偶者控除38万円、扶養控除38万円(18歳の子のみ)
(※)社会保険料は年収の15%としています。
所得税の計算は次のようになります。
1,000万円-195万円-15万円-(150万円+48万円+38万円+38万円)=516万円
516万円×20%-42万7,500円=60万4,500円
所得金額調整控除額というのは2020年からの税制改正により創設されたもの。23歳未満の子どもを扶養している人など要件を満たした人に対し、一定の金額を給与所得の金額から控除するというものです。
次に住民税を計算してみましょう。
住民税は本来、前年の収入にもとづき計算する仕組みですから、税制改正があってもそれが住民税の計算に反映するのは翌年から。少しややこしいですが、ここでは税制改正後の控除額を用いて計算することにします。
・給与所得控除:195万円
・所得金額調整控除額:15万円
・所得控除:社会保険料控除150万円、基礎控除43万円、配偶者控除33万円、扶養控除33万円
住民税の計算は次のようになります。
1,000万円-195万円-15万円-(150万円+43万円+33万円+33万円)=531万円
531万円×10%=53万1,000円
所得税と住民税を合わせて年間113万5,500円支払うことになります。
月収手取り額はいくら?
実際に月収手取り額がいくらになるかは、ボーナスの有無や金額や給料からの控除額によるため人それぞれに異なります。
仮にボーナスが年2回、それぞれ額面給与の2カ月分支給されるとすれば、月々の額面給与は次のように計算できます。
1000万円÷16カ月(12カ月+ボーナス(2カ月分×2回)=62万5,000円
ここから法定控除として、次のような項目が給与から差し引かれます。
・所得税
・住民税
・健康保険料
・介護保険料 (40歳以上の場合)
・厚生年金保険料
・雇用保険料
ここではシンプルに社会保険料を額面給与の15%、雇用保険料は交通費などの手当がないものとして計算します。
・社会保険料:9万3,750円(62万5,000円×15%=9万3,750円)
・雇用保険料:1,875円(62万5,000円×3/1000=1,875円)
これに加えて税金が引かれます。上記でみた税額を16(12カ月+ボーナス分)で割った金額とすると約7万円。この場合の月収手取り額は、約45万9,000円となりました。
年収1000万円の家賃の相場
年収1000万円の人は居住している物件もレベルが高いイメージがありますね。
国土交通省の「住宅・土地統計調査(2018年)」によると、年収1000万円以上世帯が支払っている1カ月あたり家賃の全国平均額は10万629円です。
実際に支払っている家賃別に世帯数を見ると下の表のようになります。
1カ月当たり家賃 世帯数 0円 16,500 1~1万円未満 8,200 1万~2万円未満 21,400 2万~4万円未満 33,600 4万~6万円未満 62,300 6万~8万円未満 101,000 8万~10万円未満 76,100 10万~15万円未満 139,700 15万~20万円未満 58,000 20万円以上 38,500 不詳 5,300 出典:国土交通省「住宅・土地統計調査(2018年)」を基に筆者作表
「10万~15万円未満」および「6万~8万円未満」がボリュームゾーンとなっています。2分化されているのは地域により家賃相場の差があるためと考えられそうですね。
一般的に、家賃は手取り月収の25%~30%が望ましいと言われますが、年収1000万円の人の場合でも適正家賃の範囲内に納めている人が多いようです。
年収1000万円世帯の消費支出
年収1000万円の人の生活レベルについても見てみましょう。
総務省の家計調査をもとに年収1000万円~1250万円の世帯の1カ月の消費支出をまとめたのが下表です。
家計費目 金額 住居費 2万1,115円 食費 9万3,587円 水道・光熱費 2万3,691円 通信費 1万7,969円 家具・家事用品 1万5,364円 被服・履物代 1万8,481円 保健医療費 1万8,388円 理美容費 1万1,334円 交通・自動車関連費 4万8,245円 教育費 2万6,582円 教養娯楽費 4万9,048円 交際費 2万7,732円 その他消費支出 5万2,073円 合計 42万3,606円 注:元データの端数処理の関係上、参照元の「消費支出」と誤差があります。
出典:総務省「家計調査・家計収支編/2人以上世帯/2019年」を元に筆者編集・作表
あくまで平均であるため、先に見た家賃額に比べて住居費はかなり少なめ。これはローンを利用せずに住宅購入した人やローンを払い終えた人が多いことも想像できそうです。
この消費額を参考にすれば、これまで見てきた手取り月収と差し引いた残りは3万5,394円。年収1000万円と聞くと貯蓄もしっかりできていそうなイメージですが、自分の方がもっと貯蓄しているという人もいるかもしれません。
「余裕のある暮らし」が消費か貯蓄か、考え方は人それぞれですが、将来的にもずっと高額収入を得られるとは限らない世の中です。収入があるときにしっかり貯蓄をしておき、万一収入が低減しても余裕のある暮らしを続けられるようにしていきたいですね。
※本ページに記載されている情報は2020年10月10日時点のものです
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執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/)