130万円、103万円の壁って何?扶養内で働くなら知っておきたい社会保険の仕組み
130万円、103万円の壁って何?扶養内で働くなら知っておきたい社会保険の仕組み
公開日 2020/09/30
更新日 2020/09/30

130万円、103万円の壁って何?扶養内で働くなら知っておきたい社会保険の仕組み

時間の融通が利きやすいパートタイムで130万円の壁を意識しながら扶養の範囲内で働きたい……そう思う人は少なくないようです。しかし、いわゆる年収の壁は、100万円、103万円、106万円、130万円、150万円……とさまざまです。また、所得税や社会保険の扶養では、年収の計算方法も異なることをご存じでしょうか。今回は、それぞれどんな壁で、自分はどの壁を意識するべきか、交通費は含まれるのかなどについて見ていきましょう。

執筆:續 恵美子(ファイナンシャルプランナー)

「扶養内で働く」とはどういうこと?「扶養控除」とは?

  • よく「扶養の範囲内」と言いますが、扶養には「税制上の扶養」「社会保険の扶養」の2つの扶養があります。

  • 昨今では扶養の形もさまざまですが、イメージしやすいように、「パートで働く妻または夫=扶養に入る方」「会社員の夫または妻=扶養する方」として説明していきます。

  • 税制上の扶養とは、納税者が配偶者である妻または夫を扶養家族として申告することで、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の適用を受けることを言います。その分、配偶者の税金を少なくすることができます。

  • なお、税制では「扶養控除」という所得制限もあります。これは、生計を一にする「配偶者以外」の「16歳以上の親族(子どもや親など)」を扶養する場合に申告できるものです。配偶者控除と混同しないように知っておきましょう。

  • 社会保険の扶養は、パートで働く妻または夫が社会保険料を払わず、会社員(または公務員)の配偶者の扶養に入ることを言います。保険料を払わないで扶養に入るとは、健康保険も公的年金にも加入できることを意味します。

  • 扶養に入ることで、配偶者の会社から自分(被扶養者)の健康保険証をもらうことができ、もしも自分が医療機関にかかってもそれを提出することで3割の自己負担で済むようになります。また、公的年金の第3号被保険者として年金制度に加入していることになります。

年収「●●●万円の壁」って何?

  • 「税制上の扶養」と「社会保険の扶養」には、どちらも年収の壁があります。まずは「103万円の壁」と「130万円の壁」の2つの壁をきちんと理解しておきましょう。

  • ・103万円の壁

    「配偶者控除」を受けるためには、扶養に入る妻または夫の年間所得が48万円以下でなければなりません。パート収入だけの場合は年収103万円以下となります。

  • ちなみに所得というのは年収から所得控除を差し引いたものです。所得税の計算上、給与所得者は最低55万円の給与所得控除が適用されます。103万円(年収)から55万円(給与所得控除)を差し引くと48万円(年間所得)となり、配偶者控除が適用される仕組みです。

  • ただし、妻または夫の年収が103万円でも配偶者の年間所得が1,000万円(給与収入だけの場合、年収1,220万円が目安)を超えると配偶者控除は適用されなくなります。

  • ・130万円の壁

    130万円の壁は社会保険の扶養に入るための壁です。健康保険も公的年金も扶養に入るための要件は年間収入が130万円未満(障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)。加えて、扶養に入る妻または夫の年収は配偶者の年収の2分の1未満であることが条件です。

  • ・その他の年収の壁

    他にも100万円、106万円、150万円、201.6万円……と年収の壁はいくつかあります。表にまとめましたので参考にしてください。

  • 扶養に入る方の
    年収の壁
    家計への影響
    100万円扶養に入る妻(または夫)に住民税がかからない。
    103万円扶養に入る妻(または夫)に所得税がかからない。
    配偶者が「配偶者控除」を受けられる。

    106万円妻(または夫)のパート先が大企業の場合、就労状況が次の4つすべてを満たすと配偶者の社会保険(健康保険・年金)の扶養に入ることができる。
    ・労働時間が週20時間未満
    ・年収106万円以上未満
    ・勤務期間1年未満
    ・従業員501人未満の企業

    130万円妻(または夫)が配偶者の社会保険(健康保険・年金)の扶養に入ることができる。
    150万円会社員で働く夫(または妻)が「配偶者特別控除」の満額(38万円)を受けられる。
    ただし、配偶者の年収によっては「配偶者特別控除」の額が26万円、13万円の場合も。

    201.6万円配偶者が「配偶者特別控除」を受けられる(夫婦それぞれの収入により1万円~36万円)。

    筆者作表

年収の計算方法・年収に含むもの

  • 実は年収の考え方は「税制上の扶養」と「社会保険の扶養」で異なります。

  • 「税制上の扶養」では、交通費や通勤手当は年収に含まれません。ただし、1ヵ月あたりの交通費(通勤手当)の額が税制上の非課税限度額の範囲内であることが条件です。

  • 1ヵ月あたりの非課税限度額は通勤手段によって異なりますが、たとえば公共交通機関(電車やバス)による通勤なら15万円。多くの場合は非課税限度額に収まりそうです。

  • なお年収とは「暦年の1年間」の収入です。具体的にはその年の12月31日時点で、その年分(1月1日~12月31日)の収入により判定します。

  • 一方、「社会保険の扶養」では、金額にかかわらず交通費(通勤手当)も年収に含まれます。そのほか残業代や家族手当など、事業主から労務の対価として受けるものがあれば全て含めます。

  • また、社会保険の扶養では、扶養に入ろうとする時点からの「今後1年間の収入見込み額」が基準となります。

  • 具体的な「今後1年間の収入見込み額」の決め方は、「直近3ヵ月の収入」をもとに計算したり、前年の年収を参考にするなど健康保険組合によってさまざまです。詳しくは、配偶者の会社に確認するようにしてください。

扶養内で働くことのメリット・デメリット

  • 税金が少なくなったり、社会保険料を払わずに社会保険に加入できるのは扶養内で働くメリットと言えるでしょう。就業時間も短い分、パート労働は年収が少ない場合もありますから税金や保険料の支出を低減できるのは家計にとっては助かりますね。

  • しかし、扶養内で働くことはデメリットもあります。主なデメリットとして次のものが挙げられます。

    ・年収が制限される

    ・健康保険の傷病手当金、出産手当金が受けられない

    ・老齢年金は国民年金のみ

  • 税金や社会保険料はかかりますが、130万円以上の収入を得て自分自身で社会保険に加入すれば、傷病手当金や出産手当金の権利が発生します。

  • パートで働いているうちに2人目、3人目の子どもを出産する可能性を考えると、これらの手当は家計面での強い味方です。また、老後のためには年金が少しでも多いに越したことはありません。

  • 家庭の事情もありますが、目先の収支にとらわれず、家族の長いライフプランを考えながら扶養に入るか入らないかを決められるといいですね。

  • ※本ページに記載されている情報は2020年8月21日時点のものです

  • 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)

    執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)
    生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
    エフピーウーマン( https://www.fpwoman.co.jp/

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