

ふるさと納税活用術!年収・家族構成別の控除上限金額や仕組みをわかりやすく解説
返礼品がもらえるうえに、節税ができるふるさと納税。とはいえ、そのメリットを最大限に活かすためには年収に合った活用をすることが大切です。2008年度に導入されて10年以上経つふるさと納税ですが、まだ充分に理解できていないという人も少なくありません。
そこで今回は、ふるさと納税の仕組みやメリットについて確認するとともに、年収や家族構成に応じた活用法を見ていきましょう。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、日本全国の地方自治体の中から自分が選んだ自治体に「寄附」をする制度です。寄附をすることで、「寄附金控除」が適用されて所得税と住民税を軽減できます。
また、多くの自治体では寄附してもらったお礼としてご当地グルメや地域の特産品などの返礼品を送ってくれます。
ふるさと納税のやり方は、
1.寄附したい自治体を選ぶ
2.寄附を申し込む・寄附金を支払う
3.証明書や返礼品が届く
4.確定申告をする
というステップで行います。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税には次のようなメリットがあります。
・地域の発展に貢献できる
保育・教育・子育て支援、医療・福祉サービス、高齢者の介護サービス、地域産業の発展など、行政サービスを行うための財源づくりに貢献できます。
・応援する(寄附する)目的を選べる
ふるさと納税を導入している自治体はホームページ等でふるさと納税に対する考え方や、集まった寄附金の使い道を公開しています。「自分は住んでいないけれども、この自治体の発展や行政サービスのために使って欲しい」と思えればふるさと納税でお金を送ることができます。
・寄附した金額に応じた返戻品をもらえる
返戻品の価値は「寄附金額の3割以下」というルールはありますが、寄附したお礼を送ってくれる自治体が多くあります。返礼品は地域の特産品なども多く、自分で選べます。
・所得税や住民税が節税できる
寄附金控除の額は、収入や家族構成等に応じて一定の上限がありますが、原則として寄附した金額から2,000円を引いた全額です。たとえばふるさと納税で3万円寄附すると、2万8,000円(3万円-2,000円)が所得税と住民税に分かれて戻ってくることになります。
「ふるさと納税」控除の上限金額はいくら?
寄附する金額はいくらからでも自分で自由に決めることができますが、寄附金控除として所得税および住民税から控除できる金額は、ふるさと納税をする人の年収および家族構成によって年間上限額が決められています。
年間上限額を超えた金額については「返ってこない寄附」となってしまいます。節税メリットを期待してふるさと納税を利用する場合には、年間上限額の範囲内で寄附をするのがいいでしょう。
ここでは300万円から1,000万円までの場合で、年収および家族構成ごとのふるさと納税の年間上限額をまとめました。
( 総務省「ふるさと納税ポータルサイト/ふるさと納税のしくみ」のサイトでも確認できます)
全額控除される「ふるさと納税額(年間上限)」の目安
ふるさと納税を行う
本人の給与収入ふるさと納税を行う人の家族構成 独身または
共働き(※1)夫婦
(※2)共働き+子1人
(高校生※3)共働き+子1人
(大学生※3)夫婦+子1人
(高校生)共働き+子2人
(大学生と高校生)夫婦+子2人
(大学生と高校生)300万円 28,000 19,000 19,000 15,000 11,000 7,000 - 325万円 31,000 23,000 23,000 18,000 14,000 10,000 3,000 350万円 34,000 26,000 26,000 22,000 18,000 13,000 5,000 375万円 38,000 29,000 29,000 25,000 21,000 17,000 8,000 400万円 42,000 33,000 33,000 29,000 25,000 21,000 12,000 425万円 45,000 37,000 37,000 33,000 29,000 24,000 16,000 450万円 52,000 41,000 41,000 37,000 33,000 28,000 20,000 475万円 56,000 45,000 45,000 40,000 36,000 32,000 24,000 500万円 61,000 49,000 49,000 44,000 40,000 36,000 28,000 525万円 65,000 56,000 56,000 49,000 44,000 40,000 31,000 550万円 69,000 60,000 60,000 57,000 48,000 44,000 35,000 575万円 73,000 64,000 64,000 61,000 56,000 48,000 39,000 600万円 77,000 69,000 69,000 66,000 60,000 57,000 43,000 625万円 81,000 73,000 73,000 70,000 64,000 61,000 48,000 650万円 97,000 77,000 77,000 74,000 68,000 65,000 53,000 675万円 102,000 81,000 81,000 78,000 73,000 70,000 62,000 700万円 108,000 86,000 86,000 83,000 78,000 75,000 66,000 725万円 113,000 104,000 104,000 88,000 82,000 79,000 71,000 750万円 118,000 109,000 109,000 106,000 87,000 84,000 76,000 775万円 124,000 114,000 114,000 111,000 105,000 89,000 80,000 800万円 129,000 120,000 120,000 116,000 110,000 107,000 85,000 825万円 135,000 125,000 125,000 122,000 116,000 112,000 90,000 850万円 140,000 131,000 131,000 127,000 121,000 118,000 108,000 875万円 145,000 136,000 136,000 132,000 126,000 123,000 113,000 900万円 151,000 141,000 141,000 138,000 132,000 128,000 119,000 925万円 157,000 148,000 148,000 144,000 138,000 135,000 125,000 950万円 163,000 154,000 154,000 150,000 144,000 141,000 131,000 975万円 170,000 160,000 160,000 157,000 151,000 147,000 138,000 1,000万円 176,000 166,000 166,000 163,000 157,000 153,000 144,000 出典:総務省「ふるさと納税ポータルサイト/ふるさと納税のしくみ」を基に筆者作表
※1:「共働き」は、ふるさと納税を行う人本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケース(配偶者の給与収入が201万円超の場合)。
※2:「夫婦」は、ふるさと納税を行う人の配偶者に収入がないケース。
※3:「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
生命保険料控除や医療費控除、住宅ローン控除など、その他の控除がある場合には上限額は表中の金額とは変わります。また、年金収入のみの人や自営業者の人なども上表の金額とは異なります。
自分の場合の上限額の目安を知るためには、総務省のサイト上で寄附金控除額を計算するシートが用意されていますので利用してみてください。
控除を受けるために必要な手続きは?
控除を受けるためには「ワンストップ特例申請」あるいは「確定申告」をすることが必要です。
・ワンストップ特例制度
会社員の人で、副業による収入や医療費控除がないなど、確定申告の必要がない場合には「ワンストップ特例申請」が楽でしょう。ただし、同年内にふるさと納税を行った自治体の数が5団体以内であることが条件です。
ワンストップ特例制度の手続きは次の流れで行います。
1.ふるさと納税を行う
2.「ワンストップ特例の適用に関する申請書」を入手する
3.申請書に本人確認書類の写しを添えて、ふるさと納税をした各自治体に郵送する
なお、申請書は次のいずれかの方法で入手することが可能です。
・寄附後に、寄附先の自治体から寄附金受領証明書と併せて申請書が送られてくる(申込時に「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の項目に「希望する」をチェック)
・寄附する自治体のホームページからダウンロードする
・ふるさと納税ポータルサイトからダウンロードする
・確定申告
もともと確定申告することが必要な人や、ふるさと納税先が6団体以上の場合は確定申告することが必要です。
確定申告の手続きは次の流れで行います。
1.ふるさと納税を行う
2.確定申告書を作成する
3.確定申告書に寄附先の自治体から送られてきた寄附金受領証明書を添付し、確定申告する
なお、寄附した額から2,000円を引いた額が、後日所得税と住民税に分かれて戻ってくることは前述しましたが、手続きの方法によって還付のされ方が異なります。
確定申告の場合には、所得税の還付分は口座に振り込まれ、住民税は翌年の住民税が安くなるという形で還元されるようになります。ワンストップ特例申請の場合には、控除額の全額が翌年度の住民税から控除される形で還元されます。
上限額や手続き方法をきちんと確認し、ふるさと納税を上手に活用してみてはいかがでしょうか。
※本ページに記載されている情報は2020年8月17日時点のものです
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執筆者プロフィール 續 恵美子(女性のためのお金の総合クリニック認定ライター。ファイナンシャルプランナー〈CFP(R)〉)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
エフピーウーマン(https://www.fpwoman.co.jp/)