【FP解説】「基礎控除」2020年税制改革で何が変わる?
【FP解説】「基礎控除」2020年税制改革で何が変わる?
公開日 2020/04/28
更新日 2020/04/28

【FP解説】「基礎控除」2020年税制改革で何が変わる?

2020年(令和2年)1月から、税金などについて改正が行われ、「基礎控除」など、税金を計算する上で、最初に差し引かれるものの金額に変更がありました。その結果、私たちの給与や収入が、つまりどう変わるのでしょうか。手取り額が増えるのかそれとも減るのか……?そんな疑問について、わかりやすく解説します。

執筆:森田 直子(保険ジャーナリスト)

基礎控除とはなにか?

  • そもそも「控除」ってどういう意味?

    私たちが働いて収入を得ると、それに対して納税をする必要があります。サラリーマンや公務員などの給与所得者の場合は、あらかじめ所得税や住民税が差し引かれた給与が支払われます。また年末には年末調整という方法で、多く支払った分の税金があれば還付されたり、あるいは不足していれば追徴されたりする調整が行われます。一方、個人事業主などの場合は確定申告によって、収入から経費分を差し引いた「所得」を算出し、そこから各種の控除等を計算して、納税額が決まることになります。

  • こうした、それぞれの所得税や住民税を計算するに当たり、一部にあらかじめ差し引かれるものがあり、一定の額に対しては税金がかからないようになっています。その差し引かれる一定額を「控除」といいます。

  • 基礎控除とは?

    所得控除されるものには複数の種類がありますが、その中でも、収入がある人に対して誰でも一律で控除されるものがあり、それを「基礎控除」といいます。

  • なお、所得に対して受けられる「控除」には、基礎控除以外にも複数の種類があり、参考までに次のようなものがあります。

  • 雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、

    生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、

    障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除

    扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除

基礎控除額の改正内容

  • 基礎控除は、働いて収入を得ている人全員に適用されるもので、これまでは一律で38万円が控除されていました。しかし今回の改正によって、基礎控除の額が最大48万円に引き上げられることになりました。また一律ではなく、所得額に応じて次のような要件が設定されました。

  • 基礎控除の控除額
    個人の合計所得金額控除額
    2,400万円以下48万円
    2,400万円超2,450万円以下32万円
    2,450万円超2,500万円以下16万円
    2,500万円超0円

    ※国税庁ホームページより

  • これによると、合計所得金額が2,400万円より多い場合には基礎控除の金額が下がり、所得が2,500万円超になると基礎控除はなくなる、ということになります。

実際の税金はどうなる?サラリーマン編

  • 年収850万円超の人は増税!

  • 基礎控除額がこれまでよりも10万円引き上げられたことで、その分、所得税が少なくなる……?と思えますが、実はそうではありません。

  • サラリーマンや公務員などの給与所得者には、基礎控除の他にも、「給与所得控除」というものがあります。そして、この「給与所得控除」は、税制改正により10万円引き下げられました。

  • 給与所得控除の改定内容
    給与等の収入金額(給与所得の
    源泉徴収票の支払金額)
    給与所得控除額
    2017年~2019年分
    (平成29年~令和元年分)
    給与所得控除額
    2020年
    (令和2年)分以降
    180万円以下収入金額×40%
    65万円に満たない場合65万円

    収入金額×40%-10万円
    55万円に満たない場合55万円

    180万円超~360万円以下収入金額×30%+18万円収入金額×30%+8万円
    360万円超~660万円以下収入金額×20%+54万円収入金額×20%+44万円
    660万円超~850万円以下収入金額×10%+120万円収入金額×10%+110万円
    850万円超~1000万円以下195万円(上限)
    1000万円超220万円(上限)

    ※国税庁ホームページより抜粋し筆者作表

  • つまり、年収850万円以下の人はプラスマイナスゼロです。そして年収850万円超の収入がある場合は、給与所得控除額がこれまでよりも更に引き下げとなるので、その分が増税ということになります。また、年収2,400万円超の人は基礎控除の要件も含めて更に増税になります。

  • ただし、基礎控除と給与所得控除以外にも改正された点があり、例えば年収850万円超の人について、23歳未満の扶養家族のいる人や特別障害者などには「所得金額調整控除」が新設されており、子育て世代や介護人に配慮しています。

  • その他、配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得額が、10万円引き上げられ共稼ぎ夫婦にも配慮があります。また勤労学生控除についても、合計所得金額の条件が10万円引き上げとなります。

実際の税金はどうなる?個人事業主編

  • 個人事業主については、基礎控除のほかに「青色申告特別控除」というものがあります。これは、開業届と青色申告承認申請書の提出をしており、期限を守って確定申告をしているなど、各種の条件がありますが、これまでも青色申告をしたことがある人でしたら、ご存じかと思います。

  • 「青色申告控除」は各種の条件を満たせばこれまで65万円でしたが、今回の改正により55万円に引き下げられます。ただし、電子帳簿を保存しe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して期限までに電子申告をしている等の条件を満たす人は65万円が適用されます。つまり今回の税制改正により減税となるのは、青色申告でe-Taxによって申告をしている人、ということになります。

    なお、白色申告の場合の控除額は現行通りの10万円で変更はありません。

  • いかがでしたか?ご自身が該当する項目があれば、ぜひしっかり理解しておいてくださいね。

  • ※本ページに記載されている情報は2020年4月21日時点のものです

  • 森田 直子(保険ジャーナリスト)

    執筆者プロフィール 森田 直子(保険ジャーナリスト)
    保険・金融分野専門の執筆家で、庶民感覚のわかりやすい文体に定評がある。保険WEBサイト、保険会社ご契約のしおり、業界紙連載、書籍など執筆実績多数。大学講師や業界内外での講演など幅広く活動。保険業界メールマガジン『inswatch』発行人。書籍『保険営業で成長するための~無知の知のススメ』、『就業不能リスクとGLTD』、『あなたの保険は大丈夫?』など。

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事