元本保証の「個人向け国債」って?マイナス金利で注目度UP!
元本保証の「個人向け国債」って?マイナス金利で注目度UP!
公開日 2020/04/27
更新日 2020/04/27

元本保証の「個人向け国債」って?マイナス金利で注目度UP!

日本では長いあいだ低金利が続いています。2016年2月にはマイナス金利が導入されていちだんと金利が下がり、それを受けて一般的な銀行の定期預金の金利は0.01%にまで低下しました。その中で注目されているのが「個人向け国債」です。といっても、あまりなじみがないかもしれませんね。個人向け国債とはいったいどんな金融商品なのでしょう。そして、なぜ注目されているのでしょうか。

執筆:馬養雅子(ファイナンシャルプランナー)

国が元利の支払いを約束している金融商品

  • ・個人向け国債は1万円単位で買える

    個人向け国債はその名前のとおり、“個人向け”の“国債”で、国債とは国が発行する“債券”です。債券というのは、国や地方公共団体、政府関係機関、金融機関、事業会社などがお金を集めるために発行する金融商品です。債券を発行し、それを投資家に買ってもらうことでお金を借り、期限が来たらお金を返し、それまでの期間は利子を払う、というのが債券の仕組みです。期限が来て債券の元本を返すことを「償還」といいます。

  • 昔は、金額や利率などが書かれた紙の債券そのものが発行されていたので、債券は一種の“借用書”だったのですが、今は国債を始めとするほとんどの債券はペーパーレス化されていて、購入・保有の情報はすべてデータで管理されています。

  • 実は日本の国債は毎月大量に発行されていて、多くの投資家にそれを買ってもらうことで、国が資金を調達しています。つまり、国債は国が資金を集めるためのもので、国債を買うということは、国にお金を貸すことになります。

    国債も、返済期限とそれまでの間に支払う利子の割合、つまり利率を決めて発行され、国債を買った投資家は半年ごとに利子を受け取り、期限が来たら元本を返してもらいます。

  • 国債はおもに、年金などを運用する機関や金融機関など、機関投資家と呼ばれるプロの投資家が“億円”という単位で購入しています。それを、個人でも買いやすくしたのが個人向け国債で、2003年に登場しました。購入単位は1万円で、銀行や証券会社で誰でも買うことができます。

  • ・最低でも0.05%が保障されている

    個人向け国債は償還までの期間によって3年、5年、10年の3タイプがあり、3年ものと5年ものは、発行時に決められた利率が償還まで変わらない固定金利、10年ものは、半年ごとに利率を見直す変動金利となっています。

  • 3年ものと5年ものの利率、10年ものの初回の利子の利率は、それぞれが発行されるときの一般の国債の金利に応じて決まりますが、どんなに低くても0.05%は保証されています。低金利が続く中、3年ものと5年ものは2015年ごろからずっと、10年ものは2016年3月以降のほとんどの期間、最低金利の0.05%で発行されていますが、マイナス金利が導入されて銀行の定期預金が0.01%に下がったため、それよりは利率が高いということで、注目されるようになりました。

    この先も金利の状況が変わらなければ、定期預金より個人向け国債のほうが有利な状態が続くと見込まれます。

減らしたくないお金の運用に向いている

  • ・目的に合わせて3年、5年、10年を使い分け

    国債は、国が元本の返済と利息の支払いを約束している元本保証の金融商品です。安全性が高く預金より金利が高いので、「減らしたくないお金を少しでも有利に運用したい」という場合に利用できます。

  • たとえば、3年後にマイホーム購入の頭金に充てるお金を3年ものの個人向け国債にする、10年後に必要な子どもの大学入学資金のために10年ものの国債を利用するというように、資金の使い道に合わせて3年、5年、10年の個人向け国債を利用することが考えられます。使い道は特に決まっていないけれど減らしたくない、というお金は、10年ものの個人向け国債にするとよいかもしれません。10年ものは変動金利なので、将来の金利が上がれば、受け取る利子が増えることになり、金利上昇に対応できます。

    10年ものを買い、償還時にはそれでまた10年ものを購入するというように、個人向け国債をつないでいって、老後資金のベースにしてもよいでしょう。

  • ・1年たったら中途解約できる

    個人向け国債のもう一つの特徴は、購入してから1年たてば、いつでも中途換金することができ、元本が戻ってくるという点です(ただし、直近2回分の利子相当額が差し引かれます)。償還より前にお金が必要になって換金したとしても、大きなデメリットはありません。中途換金は1万円単位でできるので、積み立て感覚で毎月購入していって、まとまったお金が必要になったときに必要な額だけ換金するといった使い方もできます。

お金を増やす目的には向いていない

  • 元本保証で預金より有利な個人向け国債ですが、注意点もあります。それは、「個人向け国債はお金を増やすのには向かない」ということです。

  • ・定期預金なら利息を元本に組み入れられる

    銀行の定期預金の場合、満期時の取り扱いを“元利継続”にしておけば、満期のとき、受け取った利息が元本に組み入れられて新しい定期預金になります。それを自動継続にして繰り返していけば、現状の金利ではほとんどわずかではあるものの、お金は少しずつ増えていくことになります。

  • ・個人向け国債は利子を別途運用する必要がある

    一方、個人向け国債は償還のときに元金と最後の利子を受け取ることになります。それまで半年ごとに利子が支払われますが、個人向け国債を銀行で購入した場合、利子は普通預金口座に、証券会社で購入した場合は証券総合口座に入金されるので、お金を増やすためには受け取った利子を何か別の方法で運用しなければなりません。

    とはいえ、現状の金利では受け取れる利子はごくわずかで、そこから約10パーセントの税金も差し引かれます。例えば、個人向け国債の利率が0.05%で10万円購入したとすると、1年間に受け取れる利子は税引き後で約40円。利子の受取は半年ごとなので、1回の受取額は約20円となります。この金額だと運用するのは難しく、口座に入ってきてもいつのまにか使ってなくなってしまうということもあり得ます。ですから、個人向け国債はお金を増やすのには向いていないといえるでしょう。

  • お金を増やすには、預金や個人向け国債以外の金融商品、例えば投資信託のように値上がり期待でき、分配金が再投資されるものを利用するのがおすすめです。資産づくりは、元本保証の預金・個人向け国債と投資信託などを上手に組み合わせることが大切です。

多くの金融機関が扱っている

  • 個人向け国債は毎月15日に発行されており、購入するには発行される前の月の募集期間内に金融機関に申し込みます。銀行、証券会社、信用金庫、信用組合など多くの金融機関が個人向け国債を扱っていて、窓口や電話で購入の申し込みができるほか、ネットやATMで申し込める金融機関もあります。

    証券会社の中には、50万円以上、あるいは100万円以上購入すると、購入額に応じてキャッシュバックするキャンペーンなどを行うことがあるので、今ある貯蓄や、ボーナスなどまとまった額で購入するときにはチェックしてみるとよいかもしれません。

  • 個人向け国債については、財務省のサイトでとても詳しくわかりやすく解説されています。(https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.html)個人向け国債を扱っている金融機関が調べられるほか、初心者向けのマンガや動画、受取利子や中途換金額のシミュレーションなどもあります。興味があればぜひ見てみてください。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年4月21日時点のものです。

  • 馬養雅子 (ファイナンシャルプランナー(CFP)

    執筆者プロフィール 馬養雅子 (ファイナンシャルプランナー(CFP)
    ファイナンシャルプランナーとして、金融商品や資産運用、家計管理など関する記事を新聞・雑誌に多数執筆しているほか、資産運用やリタイアメントプランをテーマにした講演を行っている。『だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方』(ナツメ社)など著書多数。
    監修:株式会社プラチナ・コンシェルジュ

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事