【FPが解説】忘れてない?今さら聞けない!年末調整の期限や確定申告との違い
【FPが解説】忘れてない?今さら聞けない!年末調整の期限や確定申告との違い
公開日 2020/03/31
更新日 2020/07/30

【FPが解説】忘れてない?今さら聞けない!年末調整の期限や確定申告との違い

会社員や公務員の人は、毎年11月頃になると勤務先で年末調整が行われます。でも、中には忙しさに紛れて年末調整の手続きを忘れてしまったという人もいるのではないでしょうか。
そのような人のために、年末調整を忘れた時の対処方法や今さら聞けない年末調整のポイントをお伝えします。

執筆:安部 智香(ファイナンシャルプランナー)

年末調整とは

  • 会社員や公務員の人で、昨年の12月の給与がいつもより多かったという人がいるのではないでしょうか。それは、年末調整をしたことで、払いすぎた税金が戻ってきたからなのです。

  • 年末調整の仕組み

    会社員や公務員などの給与所得者は、1年間働くと仮定した上で、毎月の給与から「1年間の所得税はこれくらいだろう」と予想したおよその額が引かれています。そして、1年間経過した年末に、実際の所得額をもとに計算し、所得税の過不足を確認します。

    実際に納める金額よりも多く所得税を納めていた場合は差額が戻ってきます。また少なかった場合は、追加で支払うことになります。

年末調整で受けることができる控除

  • 所得税は「所得」に対してかかります。

    まずは年収から、給与所得者の経費として「給与所得控除」を差し引きます。

  • 給与所得控除は2020年から一律10万円少なくなり、年収850万円を超える人は195万円になります。下記の表で、自分の年収を当てはめて計算してみてください。

  • 給与所得控除の速算表
    給与等の収入金額給与所得控除
    180万円以下収入金額×40%-10万円
    55万円に満たない場合には55万円
    180万円超
    360万円以下
    収入金額×30%+8万円
    360万円超
    660万円以下
    収入金額×20%+44万円
    660万円超
    850万円以下
    収入金額×10%+110万円
    850万円超195万円(上限)

    出典:国税庁HP

  • 年収から、それぞれの年収に応じて計算した給与所得控除を差し引いたものが「給与所得」となります。

  • そして、この「給与所得」から、人それぞれの事情に応じてさらに「所得控除」を差し引くことができます。そして「所得控除」を差し引いたものが「課税所得」で、いわゆる税金がかかるモトとなります。つまり、できるだけ多くの所得控除をすることで「課税所得」が少なくなるため、納める税金が少なくなるということです。

  • 所得控除は全部で14種類ありますが、その中で年末調整で控除できる所得控除は11種類です。

  • 人に対しての控除

    ・基礎控除(2020年からは48万円)

    ・配偶者控除(13万円~38万円)

    ・配偶者特別控除(1万円~38万円)

    ・扶養控除(一般……38万円、特定扶養親族……63万円、老人扶養親族……48万円・58万円)

    ・障害者控除(一般障害者……27万円、特別障害者……40万円、同居特別障害者……75万円)

    ・寡婦(寡夫)控除(27万円・35万円)

    ・勤労学生控除(27万円)

  • 物に対しての控除

    ・社会保険料控除(納めた金額)

    ・生命保険料控除(最大12万円)

    ・地震保険料控除(最大5万円)

    ・小規模企業共済等掛金控除(支払った金額)

  • これらの控除を受けるためには、年末調整で自分から申告しない限り勤務先側では把握できません。

    ですから、「当てはまるものがある」と言う人は、忘れずに年末調整で申告しておきたいですね。

忘れがちな年末調整申請時の注意点と期限

  • 日々の仕事が忙しくて、書類の提出期限に間に合わなかったり、届いているはずの控除証明書が見つからず年末調整で申告できなかったりすることがあるでしょう。

    面倒だからと、そのまま放置しておくと過分に税金を支払っている可能性があります。

  • 年末調整忘れがちなパターン

    自分は年末調整の書類を提出したから大丈夫、と思っていても、もしかしたら忘れているものがあるかもしれません。

  • (1)生命保険料控除

    一般の生命保険料、介護保険料、個人年金保険料の3つの保険料控除が利用できます。

    生命保険料控除はしたけれど、個人年金保険料の控除は忘れていた!というようなことはありませんか?

  • (2)地震保険料控除

    損害保険料や火災保険料は年末調整の対象になりませんが、地震保険料を払った場合は利用できます。

  • (3)社会保険料控除

    配偶者や子どもの社会保険料を支払っている人は対象になります。

    健康保険料や厚生年金保険料、国民年金保険料を払った人は全額が控除されるので、ぜひ控除の手続きをしておきたいですね。

  • (4)配偶者控除

    妻が正社員の場合は、基本的に夫の配偶者控除を受けることはできません。でも、妻が産前産後休業を取得したり、育児休業が明けて短時間勤務制度を利用したりした年は、夫の配偶者控除を利用できる可能性があります。

  • (5)小規模企業共済掛金控除

    勤務先に企業型確定拠出年金制度がない場合、個人でiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人もいるでしょう。掛金を給与天引きにしている場合は、勤務先が把握してくれていますが、自分で口座振替をしている人は国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきます。iDeCoの掛金は全額が控除となるので、忘れずに手続きしましょう。

  • 確定申告で対応ができる

    確定申告は、一般的には自営業や個人事業主などが年間の売り上げから経費などを差し引いた所得から、納める税金を計算する手続きです。

    会社員や公務員は、年末調整で計算ができるので、基本的には確定申告をする必要がありません。

    ただし、会社員や公務員のように給与収入を得ている場合でも、給与以外の所得が20万円を超える人や給与の年間収入が2,000万円を超える人は確定申告をして税金を納めなければなりません。

  • 会社員や公務員にとって、本来は年末調整で済む税金の計算ですが、もし勤務先で年末調整ができなかった場合は確定申告をすることで過納付分を還付してもらうことができます。

  • 先ほど、年末調整で処理できる控除を11種類お伝えしました。

    1月に勤務先から給与と一緒に源泉徴収票をもらっていると思いますが、その源泉徴収票に反映されなかった所得控除を、確定申告書に自分で記入していけばOKです。

  • また、年末調整では計算ができない「医療費控除」や「雑損控除」、「寄附金控除」がある人は一緒に確定申告で手続きをすることができます。

    確定申告は原則として毎年2月15日から3月15日です。

年末調整と確定申告の違い

  • 先ほど、「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」は年末調整では計算ができないとお伝えしました。また、住宅ローンを利用して家を購入したりリフォームしたりした人は、1年目だけ確定申告をする必要があります。

  • 年末調整が終わっている人も、

  • ・医療費を10万円以上支払った

    ・台風で外壁や屋根に損害を受けた

    ・寄附をした

    ・ふるさと納税を5ヵ所以上した

    ・住宅ローンを利用して家を購入した

  • というような人は、還付申告をすることでさらに税金が戻ってくる場合があります。

    これらの還付申告は5年間遡って申告することができます。過去5年以内にこれらに心当たりがある人は、ぜひ還付申告をしてみてくださいね。

  • 年末調整を忘れてしまったからといって諦める必要はありません。

    ただし、本来ならしなくてよい確定申告をすることで、面倒に思う場合もあるでしょう。また、12月の給与で戻ってくるはずの税金が、翌年の3月~4月まで待たなければなりません。

    今年の年末調整は、早めに準備をして忘れずに済ませておきたいですね。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年3月23日時点のものです

  • 安部 智香(ファイナンシャルプランナー)

    執筆者プロフィール 安部 智香(ファイナンシャルプランナー)
    女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
    安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表、
    ファイナンシャル・プランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)、一種外務員資格
    短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用のアドバイスを担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書は『幸せなお金持ちになるマネーレッスン♪』 (パブラボ)

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