雇用保険ってなに?パートでも入れるの?わかりやすく説明します
雇用保険ってなに?パートでも入れるの?わかりやすく説明します
公開日 2020/03/26
更新日 2020/06/25

雇用保険ってなに?パートでも入れるの?わかりやすく説明します

雇用保険について、「失業した時に受け取る失業保険のこと」と大まかな理解をしている人が多いと思いますが、具体的にどんな人がどのくらいの金額を受給できるのか、また、パートやアルバイトでも失業保険を受給できるのか気になるところです。

そこで、失業保険についての“あれこれ”をわかりやすくお伝えしたいと思います。また、新型コロナウイルスによって、休業した人に対する支援制度についてもお伝えします。

執筆:石倉博子(ファイナンシャルプランナー)

雇用保険とは

  • 雇用保険とは、労働者が失業した場合や雇用の継続が困難となった場合に、必要な給付を行う国の制度です。また、失業の予防、労働者の能力開発及び向上をはかる事業も行っています。

    原則として、労働者を1人でも雇用する事業所に、強制的に適用されます。

  • アルバイトやパートにも適用されるの?

    アルバイトやパート、派遣労働者については、以下の条件の両方が当てはまる場合に適用されます。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上

    31日以上の雇用見込みがある

  • つまり、1日4時間、週3日のパート勤務や、1ヵ月だけの仕事などには適用されません。

  • 雇用保険の加入の手続きは、通常、会社が行います。中にはこの要件に当てはまっているのに、会社が手続きを怠って、雇用保険に加入していないケースもあります。

    いざ、失業した時に、失業保険をもらえるはずがもらえなかったということがないように、在職中に確認をしておきましょう。

  • 雇用保険に入っているか確認する方法

    会社が雇用保険の加入手続きを済ますと、会社から「雇用保険被保険者証」が本人に渡されます。これによって加入したことが分かります。

  • もっと簡単に確認できる方法としては、給与明細を見る方法があります。給与明細には支給額から差し引かれる税金や保険料などが書かれていますが、その中に「雇用保険料」の記載があれば、雇用保険に加入していることになります。

  • もう一つ、ハローワークで照会する方法もあります。「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」をハローワークに提出することで確認ができます。いつから加入しているかなど詳細を知りたい場合に利用できます。

  • 保険料はどのくらい払うの?

    雇用保険の保険料は、失業等給付分は労使折半、その他は全額事業主負担となっています。

  • 保険料の計算は、税金および社会保険料を引く前の給与または賞与に保険料率をかけて求めます。労働者が負担する保険料率は一般の事業の場合、3/1000となります。

  • たとえば、給与を30万円(税金・社会保険料控除前)もらっている人であれば、

    30万円×3/1000=900円となります。

  • 雇用保険の給付いろいろ

    雇用保険と言うと、求職者給付の失業保険(基本手当)がすぐに思い浮かぶと思いますが、それだけではありません。

  • ●就職促進給付・・・就業手当や再就職手当

    ●教育訓練給付・・・教育訓練給付金

    ●雇用継続給付・・・育児休業給付や介護休業給付

  • これらも雇用保険からの給付となります。

    意外にも、雇用保険に加入していれば、育児休業給付が受けられるということはあまり知られていないかもしれません。こちらについては、後ほど詳しく説明します。

  • 育児休業は大企業の福利厚生、つまり育児休業給付金は企業が支給していると勘違いしている人も多いようです。育児休業給付金は雇用保険の給付の一つで、国が支給するものです。

雇用保険の基本手当

  • 一般的に失業保険と言われているものが雇用保険の基本手当です。

    基本手当を受給するには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • <受給要件>

    離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上あること。※

    働く意思があり、求職活動を行っているにもかかわらず、仕事に就くことができない状態にあること。

  • ※特定受給資格者及び特定理由離職者(後ほど説明)は、離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヵ月以上あれば受給できる。

  • 基本手当はあくまでも、仕事を探していて見つからない期間の生活を支える目的として給付されるため、退職をして、しばらく就職せず羽を伸ばそうという意図では受給は受けられません。

  • 基本手当日額ってなに?

    雇用保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」と言います。

    原則として、離職した日の直前の6ヵ月間に支払われた賃金の総額(賞与は除く)を180で割った金額(賃金日額)のおよそ50%~80%が基本手当日額となり、賃金が低い人ほど高い率となります。

    ※60歳以上65歳未満は45%~80%

  • また、基本手当日額には上限が決められています。令和2年3月1日から変更となった基本手当日額は以下の表のとおりです。

  • <基本手当日額の計算方法>
    賃金日額(w円)

    給付率

    基本手当日額(y円)

    離職時の年齢が 29 歳以下
    2,500円以上5,010円未満80%2,000円~4,007円
    5,010円以上12,330円以下80%~50%4,008円~6,165円(※1)
    12,330円超13,630円以下50%6,165円~6,815円
    13,630円(上限額)超6,815円(上限額)
    離職時の年齢が 30~44 歳
    2,500円以上5,010円未満80%2,000円~4,007円
    5,010円以上12,330円以下80%~50%4,008円~6,165円(※1)
    12,330円超15,140円以下50%6,165円~7,570円
    15,140円(上限額)超7,570円(上限額)
    離職時の年齢が 45~59 歳
    2,500円以上5,010円未満80%2,000円~4,007円
    5,010円以上12,330円以下80%~50%4,008円~6,165円(※1)
    12,330円超16,660円以下50%6,165円~8,330円
    16,660円(上限額)超8,330円(上限額)
    離職時の年齢が 60~64 歳
    2,500円以上5,010円未満80%2,000円~4,007円
    5,010円以上11,090円以下80%~45%4,008円~4,990円(※2)
    11,090円超15,890円以下45%4,990円~7,150円
    15,890円(上限額)超7,150円(上限額)

    ※1 y=0.8w-0.3{(w-5,010)/7,320}w

    ※2 y=0.8w-0.35{(w-5,010)/6,080}w、y=0.05w+4,436のいずれか低い方の額

    出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当を受給される皆さまへ」を元に筆者作成

  • 所定給付日数ってなに?

    所定給付日数とは、基本手当が支給される上限の日数のことです。

    この日数は、雇用保険に加入していた年数、離職の理由、離職時の年齢によって異なります。

  • 自己都合で離職した場合よりも、解雇や倒産、その他のやむを得ない理由で離職した場合の方が給付は手厚くなります。

    雇用保険では自己都合以外で離職した者を以下の2つに分類します。

  • <特定受給資格者>

    倒産、事業所の廃止、解雇、雇い止めなどによって離職した者

    事業主から退職勧奨を受けたことにより離職した者

  • <特定理由離職者>

    有期契約労働者が契約更新を希望したにもかかわらず、更新されなかったために離職した者

    病気やけが、体力の不足、心身の障害などによって離職した者

    その他、正当な理由のある自己都合によって離職した者

  • 参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワークインターネットサービス)

  • 所定給付日数は、自己都合等による通常の受給資格者と特定受給資格者および一部の特定理由離職者では次のように給付日数が変わります。

  • <自己都合による離職者>
    雇用保険の加入年数
    10年未満10年以上20年未満20年以上
    全年齢90日120日150日

  • <解雇や倒産などによる離職者> ※特定受給資格者、および一部の特定理由離職者
    離職時の年齢雇用保険の加入年数
    1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
    30歳未満90日90日120日180日
    30歳~34歳120日180日210日240日
    35歳~44歳150日240日270日
    45歳~59歳180日240日270日330日
    60歳~64歳150日180日210日240日

    出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」を元に筆者作成

  • 雇用保険の受給期間は原則、離職した翌日から1年間となっています。そのため、たとえ、所定給付日数が残っていたとしても、受給期間を過ぎると給付は受けられません。ただし、病気やけが、出産などで、30日以上仕事に就くことができない場合、所定の手続きをすることで、最長4年まで延長することができます。

  • ※基本手当の給付日数については、新型コロナウイルスの影響による求職活動の長期化に対応するため、給付日数を60日(一部30日)延長できる法律案が国会に提出されました。

    新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案|厚生労働省(令和2年6月8日提出)

  • いくら受け取れるか計算してみよう

    Aさんを例にして、基本手当の給付総額を計算してみたいと思います。

  • <Aさん>

    離職時の年齢:30歳

    勤務年数:5年

    離職直前の6ヵ月間の賃金の総額:180万円

    離職理由:自己都合

  • 離職直前の6ヵ月間の賃金の総額を180で割った金額が賃金日額となるので、Aさんの賃金日額は1万円となります。

  • 「基本手当日額の計算方法」の表から、Aさんの給付率は80%~50%であることがわかりました。計算式を使って、基本手当日額を計算すると、5,954円となります。

  • 「所定給付日数」の表から、Aさんは自己都合による離職、雇用保険加入年数10年未満なので90日支給されることがわかります。

  • 5,954円×90日=53万5,860円

    Aさんの基本手当の給付総額は53万5,860円となりました。

  • 支給開始はいつ?

    基本手当はハローワークに行って求職の申込みをした後、すぐに支給されるわけではありません。

    離職の理由を問わず、すべての求職者に7日間の待機期間が設けてあります。解雇や倒産などの会社都合による離職(特定受給資格者、特定理由離職者など)の場合は、その待機期間後すぐに支給が開始されますが、自己都合の場合はさらに3ヵ月の給付制限があります。つまり、自己都合退職の場合、求職の申込みをした日から3ヵ月と1週間後にようやく支給開始となります。

新型コロナ対応休業支援金

  • 新型コロナウイルスの自粛要請により、休業を余儀なくされた者に対しての休業手当が支払われるように、政府は雇用主に対して休業手当の助成を行う「雇用調整助成金制度」の活用を促しています。

  • しかし、手続きの煩雑さや支給までの期間の長さなどが問題となって、申請に至らず、休業手当が支払われないケースが多々あります。また、最初から休業手当の支給対象外とされてしまう労働者も数多くいます。

  • そうした人たちに対する救済として、労働者に直接給付できる新制度が「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(仮称)」です。これは、実際には失業していないけれども、失業状態と見なして失業給付を行う「みなし失業」を土台としたものです。

  • この「みなし失業」は2011年の東日本大震災の時に導入されましたが、雇用保険に加入していることが条件となっており、対象者が限られます。新しい休業支援金制度は、雇用保険に加入していないアルバイトなどの非正規従業員も対象となる見込みです。

    給付額は休業前の賃金の80%(上限月33万円)を休業実績に応じて支給するとしています。

  • 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案|厚生労働省

  • 申請方法は、会社から休業証明を受け取って、ハローワークに申請することで、1週間程度で本人に直接給付金が支払われる仕組みとなるようです。

    休業者に賃金の8割直接給付 厚労省方針、支援迅速に|日本経済新聞(2020/5/14)

  • 企業まかせの「雇用調整助成金」に比べて、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」は企業を通さず、本人に直接支給される点、また、休業手当の支給から除外されていた人にも支援が届く可能性がある点、この二つが大きなメリットとなります。

  • 今回、雇用保険について述べてきましたが、この新しい休業支援金制度は雇用保険法の特例となるものであり、新型コロナウイルス感染症が雇用に及ぼす影響を考えて、ここでご紹介しました。記事執筆時はまだ法案の段階ですので、最新情報に注目していただきたいと思います。

  • 正社員だけではなく、パートや非正規雇用者であっても、加入要件を満たせば、雇用保険の被保険者となれます。生活の安定のために、雇用保険制度を上手に利用してほしいと思います。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年6月10日時点のものです

  • 石倉 博子

    執筆者プロフィール 石倉 博子
    FPwoman Money Writer's Bank 所属ライター
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)
    “お金について無知であることはリスクとなる”という自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。
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