【FP解説】無収入でも住民税を払う?退職後の税金と失業保険について
【FP解説】無収入でも住民税を払う?退職後の税金と失業保険について
公開日 2020/03/11
更新日 2020/03/11

【FP解説】無収入でも住民税を払う?退職後の税金と失業保険について

会社員の場合、収入に応じて支払うべき税金は、給料から天引きという形で会社が代わりに納めてくれるため、税金について無頓着になりがちです。退職して無収入の時期に、結構な金額の税金を払うことになって慌てないためにも、所得税、住民税について正しく理解をしておきましょう。また、退職後の生活を支えることになる失業保険についても、受給条件から申請方法まで、わかりやすく解説します。

退職を考えている人は、これを読んで、退職後のお金の不安を少しでも解消しておきましょう。

執筆:石倉 博子(ファイナンシャルプランナー)

所得税と住民税の仕組み

  • 所得税は、1月1日から12月31日までの1年間の収入を想定し、一定の税率で毎月の給料から天引きされます。そのため、年末に確定する実際の所得と概算で納めた税金を調整する必要があります。これが年末調整です。年末調整では、生命保険料控除や住宅ローン控除などが反映されるため、本来納めるべき税金より多く収めていた場合には還付が受けられます。

    つまり、所得税は先に概算で税金を払っておいて、後で調整する前払い方式の税金です。

  • 一方、住民税は後払い方式の税金です。

    前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対しての税金を、翌年の6月から翌々年の5月にわたって、住所地の自治体に納付します。会社員であれば、所得税と同様に毎月の給料から天引きされます。つまり、今月の給料から引かれている住民税は、前年の所得に対しての住民税というわけです。そのため、退職後に無収入となっても、前年には収入があったため、その分の住民税を退職後に自分で納付することになります。

退職後の住民税の納め方

  • 会社を退職すると住民税の納付方法が変わります。

    今までは、6月から翌年の5月までの12ヵ月間で分割し、毎月の給料から徴収されていました。これを特別徴収と言います。

    退職後は6月、8月、10月、翌年1月と4分割されて、自分で納付をする普通徴収となります。

    普通徴収の場合、自治体から送られてくる納付書を使って、金融機関の窓口やATM、コンビニなどで支払いをします。

  • 特別徴収から普通徴収への切り替え

    退職して、次の就職先が決まっている場合は、その旨を退職する企業に伝えておけば、引き続き転職先でも特別徴収を継続してもらえます。ただし、退職から転職までの期間が空く場合や、就職先が決まっていない場合などは、普通徴収で納める必要があります。通常、申し出がない場合は退職する企業は普通徴収への切り替え手続きを行うので、自治体から納付書が自動的に送られてきます。

  • 退職時期による納付方法

    普通徴収に切り替わる場合、退職時期によって納付方法が異なります。

  • ◇1月1日から5月31日に退職した場合

    原則として、退職月の給料から5月分までの住民税が一括で徴収されます。その後は6月頃に自治体から送られてくる納付書に従って分割払い、あるいは一括払いで納付します。

  • ◇6月1日から12月31日に退職した場合

    退職月の給料からその月の住民税が徴収され、残りの翌年5月分までの住民税は普通徴収に切り替わり、自治体から送られてくる納付書に従って納付します。希望すれば、残り5月分までの住民税を退職月に一括で徴収してもらうこともできます。6月1日から退職月までの所得(退職金含む)に対する住民税は翌年に納付することとなります。

  • 退職前の収入が多い人ほど、退職後に収入が減ると、住民税の負担が重くのし掛かってきます。退職前にこうした事態を想定しておくとよいですね。

失業保険のもらい方

  • ここからは失業保険(雇用保険)についてお話します。

    失業保険は、退職後の生活を支えてくれる有難い制度ですが、誰もが受けられるわけではありません。受給には以下の条件があります。

  • 失業保険の受給条件

    1.離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること。※

    2.働く意思と能力がある人が、求職活動を行っているにもかかわらず、仕事に就くことができない状態にあること。

  • ※特定受給資格者、または特定理由離職者については、離職日以前1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヵ月以上あれば支給されます。

  • 特定受給資格者とは、倒産、事業所の廃止、解雇、退職勧奨などにより離職した人を指し、特定理由離職者は、契約更新を希望したけれど更新されなかった有期契約労働者、その他やむを得ない理由により離職した人を指します。

  • 上記、「2.」の条件から、結婚して専業主婦になる場合には、失業保険は受けられないことになります。ただし、妊娠、出産が退職理由の場合は、受給期間を延長することで、子育てが一段落した頃、再就職を目指して求職活動を始めれば、失業保険を受給することができます。これについては次の項目で説明します。

  • 受給期間と給付日数

    受給期間は原則1年間です。受給期間を過ぎると、給付日数が残っていたとしても、それ以降の手当は支給されません。ただし、受給期間中に病気やケガ、出産などで30日以上就職できない期間がある場合は、ハローワークで受給期間の延長手続きを行うことで、所定の受給期間と働けなかった日数分を合わせて、最大で4年間、受給期間を延長することができます。

  • 給付日数については、下記の表をご覧ください。

  • 【自己都合や定年などによる離職】

    雇用保険の加入年数
    10年未満10年以上20年未満20年以上
    全年齢90日120日150日

  • 【解雇や倒産などによる離職】 ※特定受給資格者、および一部の特定理由離職者

    離職時の年齢雇用保険の加入年数
    1年未満1年以上
    5年未満
    5年以上
    10年未満
    10年以上
    20年未満
    20年以上
    30歳未満90日90日120日180日
    30歳~34歳120日180日210日240日
    35歳~44歳150日240日270日
    45歳~59歳180日240日270日330日
    60歳~64歳150日180日210日240日

    出典:ハローワーク(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html)を基に筆者が作表

失業保険の申請方法と受給までの流れ

  • 【ステップ1】

    会社を退職すると、雇用保険被保険者離職票が発行されます。

    この離職票とマイナンバーカード(あるいは通知カードと本人確認書類)、証明写真、印鑑、通帳を持って、管轄のハローワークに出向き、求職の申し込みをします。

    この日が「受給資格決定日」となります。

  • 【ステップ2】

    次に、雇用保険受給者初回説明会に参加します。ここで雇用保険受給資格者証と失業認定申告書をもらい、第1回失業認定日が決定します。

  • 【ステップ3】

    失業認定日にハローワークに行き、失業認定申告書を提出することで、失業が認定され、手当が支給されます。

    失業認定日は、4週間に1回設定されていて、この期間に2回以上の求職活動の実績が必要となります。

  • 待機期間と給付制限

    受給資格決定日から7日間はすべての受給資格者に課せられる待機期間となります。この期間は手当が支給されません。解雇などの会社都合による離職の場合は、この待機期間が終わると支給開始となります。自己都合による離職の場合は、さらに3ヵ月の給付制限があります。

  • 実際に、指定した口座に初回の手当として現金が振り込まれるのは、給付制限がない場合で1ヵ月後、給付制限ありの場合は4ヵ月後となるようです。

  • このように、退職後は失業保険をもらえるからと言って、安易に考えていると、4ヵ月間無収入という状況の中で、住民税と社会保険料を支払うことになるかもしれません。自己都合退職の場合は、こうした待機期間を想定して、退職する前から、退職後の生活が行き詰まらないように、お金の準備をしておきましょう。

  • 会社員であるうちは、毎月決まった日に、税金が引かれたあとの給料が振り込まれるため、税金についてあまり意識していない人は多いかもしれません。住民税は前年の所得に対して支払う後払い式の税金ということを知っていると、会社を退職して、自分で支払うようになっても慌てずに準備ができます。また、失業保険はすぐには支給されないことも知っておくと、失業期間に貯金がどのくらい必要か、資金計画が立てられます。次の就職先が決まるまでの間、上手に乗り切りましょう!

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年3月5日時点のものです

  • 石倉 博子

    執筆者プロフィール 石倉 博子
    FPwoman Money Writer's Bank 所属ライター
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
    “お金について無知であることはリスクとなる”という自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。

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