【FP解説】会社員の確定申告は必要?わかりやすく教えます
【FP解説】会社員の確定申告は必要?わかりやすく教えます
公開日 2020/03/10
更新日 2020/03/10

【FP解説】会社員の確定申告は必要?わかりやすく教えます

会社員や公務員などの給与所得者は、基本的に確定申告をする必要はありません。
でも、確定申告をした方が、適正な課税価格になる、また確定申告をしなければならない人がいるのは知っていますか?自分にとって当てはまることがあるか、見ていきましょう。

執筆:安部 智香(ファイナンシャルプランナー)

なぜ会社員は確定申告をしなくていいの?

  • 会社員の皆さんは、昨年末に勤務先で年末調整が終了しているはずです。その結果、昨年の12月の給与はいつもより多かったという人も多いのではないでしょうか。それは、年末調整をしたことで払いすぎた税金が戻ってきたからなのです。

  • そもそも年末調整って?

    会社員の人は毎月の給与から所得税が天引きされています。

    所得税は、1年間働くことを仮定して、その人の所得に応じておよその額を毎月天引きし、1年経過した時に、実際の所得額をもとに計算して過不足を確認します。

    そして、実際に納める金額より多く納めていた場合は差額分が戻ってきます。

  • 所得税の仕組みは?

    所得税は「所得」に対してかかります。まず年収から給与所得者の経費として「給与所得控除」を差し引いたものが「給与所得」となります。

    そしてその「給与所得」から、その人それぞれの事情に応じて「所得控除」を差し引くことができます。例えば、生命保険料控除や扶養控除など、人や物に対して14種類の控除があります。これらの「所得控除」を差し引いたものが「課税所得」と呼ばれ、税金がかかるモトになります。

    控除の手続きを多くすれば、その分、課税所得は少なくなり、かかる税金の金額も下がります。

    この手続きをするのが年末調整です。

年末調整で還付されないのは?

  • このように、会社員は年末調整で税金の計算が終了しますが、実は年末調整では還付してもらえない控除が4つあります。そして、これらは会社では把握してもらえないので、自分で確定申告をする必要があるのです。

    今から1つずつお伝えしていきますので、昨年の行動や生活を思い出してみてください。1つでも当てはまる!という人は確定申告をすることで税金が戻ってくることがあります。

  • 医療費控除

    昨年1年間の医療費の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を超えた場合、実際に支払った医療費から高額療養費や保険金などで補填された金額と10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を差し引いた金額が医療費控除の対象になります。

    通院の交通費も対象となるので、電車やバスの運賃のメモやタクシーの領収書も残しておいてください。

    また、健康保険が利用できない不妊治療や治療としての歯列矯正、レーシックの費用も対象になります。

  • 「10万円も医療費を使っていない」という人は、セルフメディケーション税制を利用することができる場合があります。健康診断や予防接種を受けた人が、昨年1年間でOTC医薬品を1万2,000円以上購入した場合に対象になります。

  • 医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかしか利用できないので、自分にとって良い方を選んでください。

  • 雑損控除

    2019年は、台風や大雨の被害を受けた人もいるのではないでしょうか。

    自然災害や盗難、横領などで個人の資産について損害を受けた人は(1)か(2)の多い方の金額を雑損控除として差し引くことができます。

  • (1)差引損失額(※1)-総所得金額×10%

    (2)差引損失額のうち災害関連支出の金額(※2)-5万円

  • ※1:差引損失額=損害金額の合計+関連したやむを得ない支出の金額-保険金等により補填される金額

    ※2:災害関連支出の金額=災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額

  • 損害額が小さいことに越したことはありませんが、その年に控除しきれない場合は翌年以降3年を限度に繰り越して控除することができます。

  • 寄附金控除

    国や地方公共団体などに寄附をした人は、寄附金控除を受けることができます。控除が受けられる金額は、その年に支出した特定寄附金の額の合計額またはその年の総所得金額の40%相当額のいずれか低い金額から2,000円を差し引いた額になります。

  • ふるさと納税をすると2,000円で返礼品がもらえるというのはこの仕組みを利用したものです。

    ただし、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用した人は確定申告は不要です。

  • 住宅借入金等特別控除

    昨年、住宅ローンを利用してマンションや家を購入したり増改築したりした人は、住宅借入金等特別控除を利用することができる場合があります。

    1年目だけ確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除できます。

確定申告をしないといけない場合は?

  • ここまでお伝えしてきたのは、確定申告をすることで税金が返ってくる場合でした。

    でも、会社員でも確定申告をしなければならない人がいます。これは「した方が良い」ではなく「する義務がある」ということです。

  • 他の所得が20万円を超える人

    最近では、副業を認める会社も増えてきつつあります。

    会社員の人が副業などで給与所得以外に20万円を超える所得があった場合は確定申告をする必要があります。

  • 例えば、フリマアプリを利用してハンドメイドの商品を販売した場合、売り上げから送料や材料費などの経費を引いた所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要です。

    経費として認めてもらうためには、仕入れた時の領収書や送料などのメモを残しておいてくださいね。

  • また、仮想通貨の売買で利益が出た人も確定申告が必要です。「儲かった」と、全額使ってしまって税金が払えないということにならないよう、気をつけてください。

  • 2,000万円を超える年収の人

    会社員で給与の年間収入が2,000万円を超える人は、そもそも年末調整が行われないので自分で確定申告をして税金を納める必要があります。

確定申告のやり方

  • 自分に該当するものはありましたか?

    では、確定申告はどのようにすればいいのでしょうか。ここでは効率よく確定申告ができるように、順序だててお伝えしていきます。

  • (1)必要な書類を準備する

    申告書を作成する前に、必要な書類が揃っているか確認しましょう。

  • 必要な書類は下記の通りです。

    ・確定申告書

    ・源泉徴収票

    ・寄附金受領書や医療費控除明細書など控除を受けるための書類

    ・マイナンバーカードまたは通知カード+身元確認書類(免許証など)

    ・銀行口座

    ・印鑑

  • (2)申告書を作成する

    必要な書類が揃ったら、申告書を作成していきましょう。

  • 申告書を作成するにはいくつかの方法があります。

    税務署や市区役所などで担当の人に教えてもらいながら記入していくこともできますが、会社員の人はなかなか平日にそのような時間が取れませんね。

    自宅にいながらでも、国税庁のHPの「確定申告書等作成コーナー」( https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl )から作成して提出することができます。

    提出方法は、e-Taxを利用してその場で提出する方法もありますが、ICカードリーダライタが必要だったり、税務署で発行されたID・パスワード方式の届出完了通知が必要だったりと、事前準備が必要です。

    また、印刷して郵送して提出することもできます。郵送する場合は、ギリギリにならないよう余裕を持って送るようにしてくださいね。

  • 2020年の確定申告は2月17日から3月16日までですが(※)、払いすぎた税金を取り戻す還付申告は5年間行うことができます。もし、過去に申告していなかったという人はこの機会にぜひ行ってください。

  • (※2月27日に、2020年の所得税・消費税(個人)・贈与税の申請期間が4月16日まで延期になることが発表されました)

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020002-130.pdf

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年3月5日時点のものです

  • 安部 智香(ファイナンシャルプランナー)

    執筆者プロフィール 安部 智香(ファイナンシャルプランナー)
    女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
    安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表、
    ファイナンシャル・プランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)、一種外務員資格
    短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用のアドバイスを担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書は『幸せなお金持ちになるマネーレッスン♪』 (パブラボ)

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