退職したら社会保険はどうなる?退職後に必要な手続きを確認しよう!
退職したら社会保険はどうなる?退職後に必要な手続きを確認しよう!
公開日 2020/03/05
更新日 2020/03/05

退職したら社会保険はどうなる?退職後に必要な手続きを確認しよう!

会社員でいるうちは、健康保険や厚生年金の保険料は給料から天引きされるため、特に気にしたことがないという人が多いのではないでしょうか。
しかし、会社を退職したら、自分で手続きをして、自分で納めなければなりません。
まずは、どの保険に加入したらいいのかを判断する必要があります。
退職後は生活が一変するため、ついつい忘れがちになってしまう社会保険の手続きですが、期限があるので要注意です。

これを読んで、やるべきことと手続きについて確認しておきましょう。

執筆:石倉 博子(ファイナンシャルプランナー)

社会保険の基礎知識

  • まずは、社会保険についておさらいしておきましょう。

    社会保険とは労働者が病気やケガ、加齢などで働けなくなった時に、給付を受けられる制度です。

    医療保険、介護保険、年金保険、雇用保険、労災保険がこれにあたります。ここでは、医療保険にあたる健康保険と、年金保険にあたる厚生年金保険をセットにして、社会保険と定義します(自営業者の場合は、健康保険は国民健康保険となり、年金は国民年金となります)。

  • 会社員であれば、保険料は労使折半(社員と会社が半分ずつ負担)で給料から引かれます。徴収の仕方は、前月の保険料を今月の給料から引くかたちとなるので、たとえば4月分の社会保険料は5月の給料から天引きされます。

  • 社会保険料の徴収と退職日の関係

  • 「月末に退職すると社会保険料を多く徴収されるので損」といった話を聞いたことはないでしょうか。

    これは、退職日と社会保険の資格喪失日の関係にあります。資格喪失日は退職日の翌日となるので、たとえば3月31日に退職した場合、資格喪失日は4月1日になります。

    社会保険料は資格喪失日の属する月の前月分まで徴収されます。つまりこのケースであれば、3月分まで徴収されます。しかし、仮に退職日を3月30日にした場合は、資格喪失日は3月31日なので、徴収は2月分までとなります。これが「月末に退職すると損」という理由です。

  • しかし、実際に損しているかと言うとそうではありません。国民皆保険、国民皆年金という言葉があるように、原則的にすべての国民は公的医療保険に加入しなければならない、原則として20歳以上60歳未満のすべての国民は公的年金に加入しなければならない、という制度が日本にはあります。これは、ひと月でも無保険ではいられない状態を指すので、先程の例で言えば、3月分の保険料が会社の天引きとして徴収されるか、新たに入る国民健康保険、国民年金で徴収されるかの違いしかないのです。そうであれば、労使折半で半分の負担で済む会社からの天引きの方が家計の負担が少ない、とも考えられそうですね。

退職後の社会保険の3つの選択肢

  • 退職後、すぐに次の会社に転職するのでなければ、次の3つの選択肢があります。

  • 1.国民健康保険、国民年金に加入する

    2.家族の扶養に入る

    3.健康保険の任意継続をする

  • 順番にそれぞれ確認していきましょう。

  • 1.国民健康保険、国民年金に加入する

  • 国民健康保険、国民年金は自営業者やフリーランス、無職の人などが加入する保険です。退職して、健康保険や厚生年金保険の被保険者の資格を失った場合、2と3の方法を選ばなければ、原則、国民健康保険、国民年金(第1号被保険者)に切り替えなければなりません。また、これらには扶養といった概念がないため、今まで被扶養者として、会社員や公務員の扶養に入っていた家族も、切り替えと同時に自身も国民健康保険、国民年金の加入者となって保、険料を払う必要があります。

  • ◇国民健康保険、国民年金への切り替え手続き

    国民健康保険

    退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区町村の窓口で手続きをします。

    <必要書類>

    ・退職日がわかる書類(離職票、健康保険被保険者資格喪失証明書など)

    ・個人番号確認書類(マイナンバーカード、個人番号通知カード)

    ・本人確認書類

  • 国民年金

    国民健康保険と同様に、お住まいの市区町村の窓口で手続きをします。お近くの年金事務所でも手続きができますが、国民健康保険と一緒に手続きをした方がスムーズです。

    <必要書類>

    ・年金手帳など、基礎年金番号がわかる書類

  • 2.家族の扶養に入る

    家族の中で、健康保険、厚生年金の被保険者がいる場合、加入要件に当てはまれば、その者の被扶養者となり、保険料の負担がありません。

  • (協会けんぽの場合)

    収入要件:扶養される人の年収が、60歳未満では130万円未満、60歳以上では180万円未満であること。

    さらに次の条件が加わります。

  • 同居の場合:年収が被保険者の年収の1/2未満であること。

    別居の場合:年収が被保険者からの仕送りより少ないこと。

  • たとえば被保険者と同居していて、被保険者の年収が250万円の場合、扶養される者の年収が125万円以上あると扶養に入れないことになります。また、別居の場合は、仕送りの金額が扶養されるものの年収より少ないと扶養には入れないことになります。

    こうした要件は各健康保険組合によって違いがあるので、早めに問い合わせて確認をしておきましょう。

  • ◇家族の扶養になる場合の手続き

    扶養者の勤務先に届け出を行います。

    <必要書類>

    ・収入を証明する書類

    ・住民票

    ※健康保険組合によって、必要となる書類は異なりますので、勤務先に確認をしておきましょう。

  • 3.健康保険の任意継続をする

  • 健康保険には任意継続制度があります。これは、退職して、健康保険の被保険者でなくなったとしても、本人が希望すれば、一定の条件のもと、継続して健康保険に加入できる制度です。ただし、今まで半分の保険料で済んだものが、全額負担となります。それでも、扶養人数が多い場合などは、任意継続をした期間は引き続き被扶養者は保険料を払う必要がないので、国民健康保険より保険料が下回る場合があります。

    ※国民健康保険は住んでいる自治体によって保険料が異なります。

  • ちなみに厚生年金には任意継続はありませんので、国民年金に切り替える必要があります。

  • 健康保険の任意継続の要件

  • ・退職前に継続して2ヵ月以上の被保険者期間があること

    ・資格喪失日から20日以内に申請すること

    ・加入期間は原則として2年間

  • 被扶養者がいた場合、引き続き被扶養者として継続できます。

    注意点としては、申請期限の20日を超えてしまうと任意継続ができなくなってしまうので、国民健康保険に加入するしかなくなります。任意継続を考えている人は早めの申請を心掛けましょう。

  • ◇健康保険の任意継続をするための手続き

    加入していた健康保険組合またはお住まいの社会保険事務所で手続きをします。退職日の翌日から20日以内に手続きをする必要があります。

    <必要書類>

    ・任意継続被保険者資格取得申出書

    ・住民票

    ・被扶養者の収入を証明する書類(扶養者がいる場合)

    ※各健康保険組合によって、手続きの場所や必要書類などが異なってきますので、保険証に記載の保険者の名称を確認し、問い合わせてから手続きをするとスムーズです。

  • 国民健康保険健康保険の任意継続
    手続きの期間資格喪失日から14日以内資格喪失日から20日以内
    手続きの場所居住地の市区町村役所窓口加入していた健康保険組合
    居住地の社会保険事務所
    必要書類・退職日がわかる書類
    (離職票、健康保険被保険者資格喪失証明書など)
    ・個人番号確認書類
    ・本人確認書類など
    ・任意継続被保険者資格取得申出書
    ・住民票
    ・被扶養者の収入を証明する書類(扶養者がいる場合)など

    筆者作成

退職後の保険料の負担を軽減するためには

  • 退職後は収入が途絶えるため、保険料を払っていけるのか不安になることと思います。

    退職の理由が倒産や解雇、あるいは雇い止めなどで、自らの意志に反して働き続けることができなくなった場合には、国の減額制度により、国民健康保険料が7割減額されます。これに当てはまらない場合でも、前年の所得が一定額以下の世帯は、保険料が、7割減、5割減、2割減と所得によって減額が受けられます。(この場合、確定申告をしていれば申請はいりません)

    また、お住まいの自治体に申請することで受けられる減免制度もあります。生活が困窮していることが認められると、国民健康保険料の一部あるいは全部が免除される制度です。

  • 国民年金については、保険料免除制度・納付猶予制度があります。

    申請して承認されると、免除制度の場合は、保険料が全額免除、あるいは一部が免除されます。納付猶予制度の場合は、認められた期間、保険料を納めなくても受給資格期間に含めてくれる制度です。免除制度の場合は、保険料が全額免除であっても、年金額は満額もらえる人の1/2支給されるのに対し、猶予制度は年金額に反映されません(年金が増えることはありません)。

    いずれにしても未納期間としないためにも、保険料の納付が難しいと思ったら必ず申請を行いましょう。

  • 退職後は何かとバタバタして、社会保険の切り替え手続きを忘れそうになる……なんてことはありそうですよね。意外と手続き可能な期間が短いことが、お分かりいただけたかと思います。また、社会保険料を払えそうもないと思ったら、そのままにしておかず、お住まいの市区町村の窓口に相談し、申請をしましょう。保険料の軽減や免除が受けられるかもしれません。

    私たちの、あたりまえの健康や生活を守るためにも、社会保険の手続きは忘れずに行いましょう。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年2月18日時点のものです

  • 石倉 博子

    執筆者プロフィール 石倉 博子
    FPwoman Money Writer's Bank 所属ライター
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
    “お金について無知であることはリスクとなる”という自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。
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