

【FP監修】退職金がないうちの会社!私の老後、だいじょうぶ?
「どうやらわたしの会社は退職金がないらしい。中小企業だから仕方ないのかな?でも違法なのでは?…わたしの老後、大丈夫なの?どうしたらいいのだろう?」退職金制度がないととても不安になりますよね。残念ながら今の退職金制度は運用難になっていることから制度事態が企業にとって重荷になっていて、見直す企業が増えているのが現状です。子育ても終わり、自分の時間にも余裕ができる老後は楽しく過ごしたいものですよね。でも、大丈夫です。今からできる対策はありますよ。これを機に老後のお金の不安を解決しましょう。
執筆:かたやま りえ(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP)退職金がないのは違法なのでは?
労働基準法(第89条)によると「退職金の定めをする場合には就業規則に記載しなければならない」となっていて、退職金がないことは違法ではないのです。(「東京都 TOKYOはたらくネット」より)また、退職金がない企業を企業規模別で見ると従業員数が1,000名以上の企業では7.7%、100名未満の企業では22.4%が、退職金がないという結果になっています。(厚生労働省 平成30年就労条件総合調査より)この結果からも中小企業の方が、退職金が出ない企業が多いのが分かりますね。
年金はいくらもらえるの?
老後の生活費といえば、「年金」が思い浮かびますが、いくらくらいもらえるのでしょうか。国民年金は20歳~60歳まで満額支払い続けた場合、2019年1月現在で78万100円(月額約6万5,000円)受け取れます。厚生年金は65歳以上の女性の受給額平均は10万8,776円(月額約9,064円、「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況より」)となっています。残念ながら生活費をまかなえるほどは受け取れないのが現状です。
老後の生活費、どうやって作るの?
「退職金もなく、年金も少ないし、どうしたらいいの?コツコツ貯金するしかないの?」と思いませんか?公的年金以外にも「個人型確定拠出年金(以下iDeCo)」で自分年金を作ることができますよ。投資と聞くと難しい印象があるかもしれませんが、ただ銀行に預けるだけよりも大きなメリットがたくさんありますし、毎月自動で貯金される強制力の効果は絶大。どんなメリットがあるかご紹介します。
iDeCoとは?
「iDeCo」とは、自分の年金を自分で作るための制度です。毎月自分で決めた投資信託などを一定額積立てて運用し、60歳以降に受け取れます。従来の退職金制度に代わるものとして誕生しました。
iDeCoのメリットは4つ
1つ目は運用益が非課税になることです。例えば30歳のときから毎月現金2万円を普通預金に預けた場合は720万円ですが、投資信託を利用して毎月2万円積立て、年率3%で運用した場合、30年後の資産は約1,165.5万円になります。(金融庁資産運用シミュレーションより)通常は、運用益に対して約20%の税金がかかりますので手元に残る金額は約1,076万円ですが、iDeCoの場合非課税なので約1,165.5万円がそのまま受け取れることができます。差額は約90万円です。
2つ目は毎月の積立額が所得控除になるので税金が安くなることです。例えば30歳で年収300万円の人が月々2万円(年間24万円)を積立てした場合、1年間の所得税と住民税の合計は約3万6,000円抑えられるというイメージです(iDeCo公式サイトかんたん税制優遇シミュレーションより)。毎月だと3,000円ではありますが、10年間だと36万円です。こう考えると手取り収入だけでも何もしないのとは大きく差がつくのではないでしょうか。
3つ目は、60歳以降退職金として一時金または年金としてもらうことができ、控除が適用されることです。一時金としてもらえば退職所得控除が適用され、年金としてもらえば公的年金等控除が適用になります。
4つ目は、月々5,000円からと少額から始められることです。1,000円単位で掛け金を増やすことができます。最初は少額から始めてみて、慣れてきたら、子育てが終わったら積立額を増やしていくこともできますよ(1年に1回変更可能です)。
「投資はやっぱり難しそうだし怖い」はこれで解決!
「iDeCoのメリットはわかったけど、やっぱり投資は難しそうだし怖いなぁ」と感じてしまいませんか?筆者も投資を始める前は全く同じ気持ちでした。初めて投資をする人が感じる疑問や不安についてお答えします。
元本割れが怖い
投資と聞くと元本割れのリスクがあるので怖く感じるかもしれません。でも、iDeCoで扱っている投資信託とは、国内外の株や債券などといった投資対象がセットになっていて、プロが運用していくものです。ですからその中の1つがダメになっても全体への影響は小さいので元本割れしづらいと言えます。また、この表の通り毎月積立てることで、投資信託の値段が高いときは少なく、安いときには多く購入できます。結果、平均の購入額が安くなり、利益が出やすくなります。
投信の値段 ①毎月1万円分購入する場合 ②1回で購入する場合 購入額 口数(※) 購入額 口数 1ヶ月目 10,000 1万円 1口 5万円 5口 2ヶ月目 9,000 1万円 1.1口 3ヶ月目 7,000 1万円 1.4口 4ヶ月目 8,000 1万円 1.3口 5ヶ月目 10,000 1万円 1口 投信購入平均価格 ①8,800円、②10,000円
※口数とは投資信託の取引単位のことです。
値動きが怖い
「インデックスファンド」という言葉を聞いたことはありますか?日経平均(日本を代表する企業225社の平均株価)やアメリカのダウ平均(アメリカを代表する企業30社の平均株価)などの指数を目指して運用している投資信託です。指数と同じような値動きをするので分かりやすく安心です。まずはこのような商品で少額から始めて、値動きがどんなものか実感してみるといいですよ。
一度選べばあとはプロにお任せ
先ほどもお伝えしましたが、投資信託はプロが運用してくれます。株式投資のようにひとつの企業を研究したり、日々の値動きを見ていつ買おうか、いつ売ろうか…などと悩む必要がないところは子育てや仕事に忙しいあなたにとって安心なポイントですよ。
なお、運用中にかかる手数料(信託報酬)は0.5%程度以下のものを選ぶようにしましょう。これは運用中に毎日かかるコストです。このコストが高いと運用利益が目減りしてしまいますので、とても重要です。
投資というとハードルが高いと思いがちですが、iDeCoで運用するような投資信託であれば、一度商品を決めてしまえばそんなに手間はかかりません。
お勤めの会社に退職金制度がなかったとしても、自分年金を作る方法はたくさんあります。どんな方法があって、どんな準備をしていけばよいのか、まずは知ることからはじめましょう。
本ページに記載されている情報は2020年2月14日時点のものです
-
執筆者プロフィール かたやま りえ(ファイナンシャルプランナー)
FPを取得と三男出産をきっかけに始めた株式投資で
お金の教養の必要性を感じ、会社員からフリーに。
株式投資、お金の教養、子育て中の働き方などのブログを複数運営しています。
「お金の教養があればより豊かに楽しく暮らせる」という思いを広めたく活動しています。