【FP監修】年収800万円世帯の生活を検証! 貯金はいくら?住宅ローンは?
【FP監修】年収800万円世帯の生活を検証! 貯金はいくら?住宅ローンは?
公開日 2020/02/28
更新日 2020/02/28

【FP監修】年収800万円世帯の生活を検証! 貯金はいくら?住宅ローンは?

年収800万円は、独身の場合と、既婚子どもありの世帯年収の場合では、生活実態は大きく異なります。年収800万円は手取りにするとおよそ600万円です。独身であれば、余裕のある生活を送ることができそうですが、子どもがいる家庭では、余裕があるとは言えないでしょう。

そこで、ここでは後者をターゲットに生活実態を検証し、住宅ローンの適正額や教育費の準備、老後の備えなど、年収800万円世帯のマネープランをお伝えします。

執筆:石倉 博子(ファイナンシャルプランナー)

年収800万円世帯の割合はどのくらい?

  • 厚生労働省の統計によると、800万円~900万円世帯は4.5%、800万円以上の世帯は20.9%となっています。全世帯のおよそ20%は800万円以上の世帯と言われると、お金持ちが多い印象がありますが、世帯年収の平均は551万6千円であり、平均以下の割合は62.4%になります。そのため、年収が低い世帯順に並べたときに丁度真ん中の世帯を表わす中央値がより実感に近いものとなります。中央値は423万円となっています。

    年収800万円世帯は世帯年収としては高めであり、割合も少ないことがわかります。

  • 所得金額階級別世帯数

    出典:国民生活基礎調査の概況(2018年)|厚生労働省

年収800万円世帯の貯蓄額は?

  • 年収800万円世帯はどのくらい貯蓄があるのでしょうか。

    金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯] (2018年)」によると、手取り収入が500万円~750万円未満の世帯の金融資産保有額の平均は1,536万円、中央値は827万円となっています。この数値は金融資産を保有していない世帯も含んでおり、その割合は12.6%になります。貯蓄がないという世帯が1割以上いるというのは意外な結果です。また、3,000万円以上保有している世帯の割合も12.6%あり、両極端な結果が見て取れます。全国平均は1,430万円、中央値は609万円となっています。

  • 同調査では、手取り収入からの貯蓄割合も調査しており、手取り収入が500万円~750万円未満の世帯では平均10%を貯蓄にまわしています。手取りを600万円としたら、年間の貯蓄額は60万円です。意外に少ないと感じますね。理想的な支出割合として、手取り20%の貯蓄と言われますが、年収800万円の独身者であれば、年間120万円~200万円は貯蓄ができるでしょう。二人以上の世帯の場合、支出も多くなり、なかなか貯蓄にまわせない実情が想像できます。

年収800万円世帯の住宅ローンは?

  • 年収800万円世帯が住宅ローンを組むなら、いくらまでがよいのでしょうか。一般的に年収の5倍までなら無理のない返済が可能と言われています。4,000万円までなら大丈夫ということですね。

    しかし、首都圏の住宅事情を考えると、このような適正値と実態がかけ離れていることがわかります。

  • <首都圏の住宅価格と年収倍率2018年>

    年収の平均802万円
    マンション価格5,871万円
    年収倍率約7.3倍
    床面積67.6㎡
    建売住宅価格5,168万円
    年収倍率約6.4倍
    敷地面積124.1㎡
    床面積99.2㎡

    2018年度 住宅経済関連データ|国土交通省を基に筆者が作成

  • 住宅ローンの借入額を決める際の指標として、返済比率というものがあります。

    これは、年収に対しての年間の返済額の割合を言います。金融機関の住宅ローン審査ではおよそ30%~35%が返済比率として借入れ可能としていますが、これはあくまでも「金融機関が貸してくれる上限」です。無理のない返済比率は20%以下と考えるとよいでしょう。

    年収800万円であれば、年間160万円以下です。

    現在【フラット35】の最頻金利(※)は1.21%となっています。

    ※取扱金融機関が提供する金利で最も多い金利

    この金利で35年ローンを返済比率20%で組むと借入可能額は約4,560万円となります。年収倍率は約5.7倍となりました。このあたりまでが無理のない住宅ローンの額と言えそうです。

  • 首都圏の住宅購入者の平均年収がおよそ800万円であり、年収の6倍から7倍の住宅を購入しているデータからは非常に無理をした購入の仕方をしていることが読み取れます。

  • 住宅を購入するタイミングで多いのが、子どもが小さい時期です。そのため、多くの住宅購入者は教育費と住宅ローンの返済が重なり、苦しい時期を迎えます。

    そこで重要となるのが、頭金の準備です。頭金を多く用意して購入をすれば、住宅ローンの月々の返済額を抑えることができます。頭金のために、貯蓄に励んだり、親に援助してもらうのも方法の一つです。その点を留意して、住宅購入を考えてほしいと思います。

年収800万円世帯の教育費

  • 子ども1人あたりの教育費は、ざっくりと1,000万円かかると言われていますが、これは幼稚園から大学まで公立の学校に通った場合の試算です。私立の場合は、公立の学費の3倍から4倍かかるケースが多く、子どもが2人以上いる家庭では、どのように教育費を捻出したらいいのか、頭を抱えてしまいますね。

    国はこうした問題に対処するために、幼児教育無償化や高校授業料無償化、大学無償化と、次々と学費の軽減策を打ち出しています。しかし、これらの制度の多くには所得制限が設けられています。年収800万円世帯は、高校授業料無償化(高等学校等就学支援金制度)のボーダーライン付近に位置しています。

  • 高等学校等就学支援金制度の所得制限

    私立高校生への授業料等支援制度

    出典:都道府県別私立高校生への授業料等支援制度|文部科学省

  • こちらは東京都の私立高校に通う学生への授業料支援のグラフです。年収に対しての支給額を表しています。東京都の私立高校の授業料の平均額44万9,000円を満額として、目安の年収が760万円までは満額の支給となっています。これを超えると国による就学支援金11万8,800円のみとなり、さらに910万円を超えると支給がなくなります。

  • 教育費に関しては、年収が高くなるほど教育に費やす金額が多くなるというデータがあります。ベネッセ教育総合研究所が行った学校外教育活動に関する調査(2017年)では、習い事などにかける費用を、年収800万円以上の世帯は400万円未満の世帯の3倍近くかけていることがわかっています。

    教育費の支出割合を多くするためには、他の支出を抑える必要があります。生活費を削ることができなければ、貯蓄額を減らすしかありません。年収800万円世帯の手取り収入からの貯蓄割合が10%と低いのにはこうした事情があるのかもしれません。

年収800万円世帯は老後にどう備える?

  • このまま、貯蓄が増えていかないとすると、老後は厳しいと言えるでしょう。

    そこで、年収800万円世帯の老後に向けてのマネープランを考えてみましょう。

  • iDeCoを活用する

    年収800万円世帯(既婚片働き)の場合、所得税、住民税で年間80万円ほど税金を支払っています。そこで、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入し、月額2万3,000円(※)を拠出すると、年間で8万4,000 円ほど税金が安くなります。

    ※勤務先に企業年金制度がない会社員の場合の掛金の上限

  • 現在35歳として、運用利回り1%で25年運用した場合、運用益と元本を合わせて約783万円となります。iDeCoは運用益に対して非課税となるので、税金が引かれることはありません。

    先程の節税となった分の8万円を貯蓄にまわせば、25年で200万円となるので、60歳の時点で1,000万円近い貯蓄ができます。

  • ライフプランに合わせて貯蓄額を増やす

    幼児教育無償化により、幼稚園、保育園の費用が大幅に減りました。この時期を含め、子どもが小学生までは比較的教育費の負担は軽いと言えるでしょう。この時期にしっかり貯蓄をしておきましょう。住宅ローンを組んでいる場合は、貯蓄の代わりに繰上げ返済をしてもよいでしょう。ただ、現在は住宅ローンの金利は低いので、貯蓄にまわした分をローンの金利以上で運用できれば、無理に繰り上げ返済をする必要はありません。

    重要なのは、ライフプランの中で、支出が最も多くなると考えられる、子どもの大学入学~卒業までの家計負担です。ここを乗り切るためにも、早いうちから教育資金を貯めておく必要があるわけです。

    子育て世代にとっては、この時期以降、つまり教育費から解放された老後までの期間は大事な貯め時です。生活費以外はすべて貯蓄にまわす勢いで老後資金を貯めてしまいましょう。

  • 投資は老後資金のため

    年収800万円世帯はどのように投資をしたらよいのでしょうか。そもそも年収に関係なく、投資は余剰資金で行うという原則があります。年収800万円世帯は、それより少ない世帯よりも余剰資金があると考えられますので、投資に積極的に取り組むことができるでしょう。

    投資は元本を大きく減らす可能性があります。そのため、近い将来の使い道が決まっているお金は元本保証のあるもので用意する必要があります。教育費は何年後にいくらとだいたい予測がつきます。このような資金は定期預金や元本保証のある保険、投資でもリスクの低い債券などで準備をするとよいでしょう。

  • 生活費は別途用意できていて、10年以上使う予定のないお金、つまり老後資金は投資で増やすことを考えましょう。株式や投資信託、不動産投資など、バランスよく持つことも大切です。

  • まずは、教育費などを安全性の高い商品で貯めてから、老後資金を株や投資信託などの運用益を期待できる長期投資で準備します。割合などの決まりはありませんが、無理のない範囲で行うことが大事です。なぜならiDeCoや個人年金保険で老後資金を貯める場合、途中で解約ができない、あるいは解約すると損をしてしまうからです。

    また、若いうちは多少リスクの高い商品で運用しても大丈夫ですが、年齢が上がるにしたがって、リスクを減らす方向にシフトしていくと良いと思います。いざ老後が来た時に、市場が大暴落していたといったリスクを回避できます。

  • 年収800万円世帯は、高所得のイメージがありますが、生活は決して楽ではないということを感じたのではないでしょうか。

    教育費も多くかける傾向があるため、最初からそうした選択をしない層と比べて、苦しさは一緒か、それ以上に苦しくなっていると言えるかもしれません。

    ただ、マネープランを考える上で、さまざまな選択肢を持てるメリットはあります。首都圏に住宅を持つこともできるし、子どもを私立の学校に行かせることもできるかもしれません。そうした選択をしなければ、余裕のある生活も望めます。工夫次第で老後資金を大きく貯めることも可能です。

    年収800万円世帯は可能性を多く持てる分、早めにマネープランを立てて、無理のない家計を心掛けてほしいと思います。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2020年2月25日時点のものです

  • 石倉 博子

    執筆者プロフィール 石倉 博子
    FPwoman Money Writer's Bank 所属ライター
    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
    “お金について無知であることはリスクとなる”という自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。

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