【FP解説】給与明細の正しい見方は?正社員・パート・派遣社員での違いも
【FP解説】給与明細の正しい見方は?正社員・パート・派遣社員での違いも
公開日 2020/02/26
更新日 2020/02/26

【FP解説】給与明細の正しい見方は?正社員・パート・派遣社員での違いも

「給与明細にいろいろ書いてあるけれど、内容がよくわからなくて……。」確かに給与明細には控除など難しい言葉も書かれているので、内容を正しく理解している人は少ないかもしれませんね。でも大丈夫。見方のコツと内容を覚えておけば、あなたが受け取る給与の中身と、給与からどのようなお金が、どんな理由で差し引かれているのかがわかるようになります。

そこで今回は、給与明細の見方とチェックポイントをご紹介しましょう。

執筆:前佛 朋子(ファイナンシャルプランナー)

覚えておきたい給与明細の正しい見方

  • 毎月もらえる給与明細。最近では紙でなくPDFで受け取る会社も出てきているようですが、その中身を毎回確認していますか?給与明細には、あなたが働いた証となる大事な情報が満載です。毎月受け取ったら、必ず確認する習慣を付けておきましょうね。

    給与明細

    給与明細をよく見ると、大きく「勤怠」「支給」「控除」の3つに分かれています。勤怠の欄には、出勤日数や有給休暇日数など勤務の状況が記載されています。あなたの認識と相違はないか確認しましょう。支給の欄に記載されているのは、基本給をはじめ、時間外手当(残業代)、役職手当など、あなたに支払われるお金です。基本給はいわゆる給料と呼ばれるもので、勤務年数や年齢、あるいは能力や職種などにより決まるのですが、その基準は会社によって異なります。控除については後ほどくわしく解説しますが、これは各種保険料や税金など、給与から差し引かれるお金のことです。

  • ではここであなたに質問です。給与には「額面」と「手取り」がありますが、この違いをご存じですか?額面とは総支給額のことで、基本給と各種手当を足したもので、社会保険料や税金が引かれる前の金額です。1年分の総支給額にボーナスを足したものが、いわゆる年収になります。次に手取りとは、総支給額から社会保険料や税金などの控除額合計を差し引いたものです。給与明細では、「差引支給額」にあたります。

  • 差引支給額【手取り】 = 総支給額【額面】 - 控除額合計

  • この差引支給額が毎月、給与振込口座に振り込まれる金額ということですね。

給与明細の「控除」について教えて

  • 毎月の給与から差し引かれている「控除」は、少しわかりにくいかもしれません。「どうしてこれらが給与から引かれているの?」そんな疑問も聞こえてきます。そこで、控除の内訳について主なものをひとつずつ見ながら、給与から差し引かれる理由について確認してみましょう。

  • 健康保険料

    病気やケガをしたときに病院で治療を受けた際、医療費の支払いが全額ではなく3割負担で済んでいるのは、健康保険に加入しているからです。入社すると誰もが会社が加入する健康保険組合に入ります。そのため健康保険料を支払うのです。健康保険料は会社と折半となり、あなたが半額を負担します。

  • 厚生年金保険料

    会社員は全員、厚生年金に加入します。厚生年金保険料も会社と折半して、あなたが半額を負担します。毎月給与から差し引かれていきますが、このお金は今、年金を受給している人たちの年金給付に充てられています。日本の年金制度は保険料の積み立てではなく、現役世代の人が納める保険料を使うことで、高齢者の老齢年金や、障害を負ったときの障害年金、18歳未満の子どもがいる家庭の大黒柱となる人が亡くなったときの遺族年金を賄っているのです。そして、あなたも将来65歳になったときに老齢年金として受け取れるようになります。

  • 雇用保険料

    この雇用保険とは、労働者の生活や安定した雇用を守るため、また再就職を援助するために国が行う社会保険制度です。定められた条件を満たす会社は雇用保険に加入することが義務付けられていて、その会社で働く社員は必ず雇用保険に加入します。だから、雇用保険料が給与から差し引かれるのです。会社を辞めることになったとき、失業保険がもらえるのは、雇用保険に加入しているから。私たちの生活を守ってくれる大事なものなのですね。

  • 介護保険料

    日本には介護保険制度があり、誰もが40歳になると介護保険に加入します。つまり、40歳以上の人は、給与明細に介護保険料の額が記載されているということです。介護保険料も会社と折半となり、あなたは保険料の半分を負担します。

  • 所得税

    給与明細に記載される所得税の計算方法は次のとおりです。まず課税支給額(総支給額-非課税支給額)から給与所得控除と社会保険の合計額を引いて課税対象額を出します。そこから扶養家族がいれば扶養控除を差し引いたものに、該当する税率を掛けます。こうして所得税を出しますが、毎月計算される所得税は概算の金額で、毎年12月に年末調整によって過不足分を計算します。ちなみに、通勤手当は月15万円までは非課税支給額に含みます。

  • 住民税

    住民税は都道府県税と市区町村民税の2つを合わせたもので、毎年1月1日に住民票のある市区町村に納める税金です。所得税はその年の所得に基づいて計算されますが、住民税は前年の所得に基づいて計算され、6月から翌年の5月にかけて徴収されます。

  • その他の控除

    社会保険料や税金以外にも控除の欄に記載されるものがあります。たとえば、会社で財形貯蓄制度を利用している場合は、貯蓄額が控除欄に記載されます。社内預金をしている場合も同様です。また、労働組合費や共済費、社宅費が発生する場合も控除欄に記載されるので、確認しておきましょう。

働き方別・給与明細のチェックポイント

  • これまでに、給与明細の見方やおもな控除の内容について見てきました。控除の欄に記載されている内容ですが、実は働き方によって記載されない部分があります。そこで、ここでは働き方別に見た、給与明細を見るときのチェックポイントについてお伝えします。

  • 新入社員の給与明細は住民税に注意

    新入社員の場合、前年に所得がなければ住民税はゼロとなります。住民税は前年の所得に基づいて計算されるからです。はじめて住民税が給与明細に記載されるのは、2年目の6月。急に手取りが少なくなるので驚かれるかもしれません。2年目の6月から住民税の分だけ手取りが減ることを頭に入れておき、浪費を防いで、できる範囲でコンスタントに貯金ができるようなお金のやりくりを目指しましょう。

  • 初任給の平均はいくら?社会人なら押さえておきたい貯金や税金の話

  • パート社員の給与明細

    パート社員の場合、年収が100万円以内なら住民税はかかりません。また、年収が103万円以内なら所得税がかからないのです。さらに、年収が130万円以内(一部の場合は106万円)なら、社会保険への加入もありません。つまり、パート社員の場合は、働き方によっては控除欄に金額が入らないことがあるのです。

    ここで考えておきたいのは妻の働き方です。妻が年収103万円以内なら、夫の合計所得金額が1,000万円以下であれば夫は配偶者控除が受けられます。また、妻が年収130万円以上(一定規模以上の会社なら106万円以上)になれば、妻自身が社会保険を負担することになります。けれども妻の年収が103万円以上でも150万円以内であれば、夫の合計所得金額が1,000万円以下なら夫は配偶者特別控除を受けられるのです。考えたいのは、世帯年収を減らさないために妻の働き方を制限するか、もしくは制限なく妻が働くかという点。ご夫婦で働き方について話し合ってみるといいかもしれませんね。

  • 扶養の範囲で働く?「150万円の壁」って?知っておきたい配偶者控除

  • 派遣社員は住民税が引かれない!?

    派遣社員は、一般的に住民税は個人で納付することになっています。給与から天引きされないので、給与明細には住民税が載らないのです。給与天引きにならないので、お住まいの市区町村から住民税の納税通知書が届きます。納税通知書が届いたら、納付期限に遅れることのないよう、忘れずに住民税を納付しましょう。今ではコンビニエンスストアからでも納付できるようになっているので便利です。

  • 今回は給与明細の見方について解説しました。特に内容が難しい控除をピックアップしてご紹介しましたが、これであなたの給与の内訳や、何が差し引かれているのかがおわかりいただけたと思います。給与明細は、あなたの給与がどのような内容で支払われているのかを知る大事な資料です。これからは毎月しっかりチェックする習慣を付けておきましょうね。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2019年2月17日のものです

  • 前佛朋子(ファイナンシャルプランナー)

    執筆者プロフィール 前佛朋子(ファイナンシャルプランナー)
    10年超ライターとして活躍。節約に関する執筆を行うなか、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。お金と暮らしの整え方を伝授して不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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