【FP監修】退職金って運用するもの?今から考える老後資金
【FP監修】退職金って運用するもの?今から考える老後資金
公開日 2020/01/17
更新日 2020/01/17

【FP監修】退職金って運用するもの?今から考える老後資金

2019年6月にニュースとなった「老後2,000万円問題」をきっかけに、老後の暮らしに不安を感じる人が増えています。
老後資金はどうやって貯めていけばいい?退職金はあてになるの?
運用したほうがいいのかな、でも失敗するのが怖いetc……悩みはさまざまです。
でも、老後を迎えるまでに時間のある現役世代だからこそ、できる準備があります。

老後資金についての考え方、そして退職金の扱い方について、一緒に考えていきましょう。

執筆者名:山本美紀(ファイナンシャルプランナー、家計整理アドバイザー認定トレーナー)

今から始める老後資金準備とは?

  • 今の時代、さまざまな働き方の選択肢があります。大学や専門学校を卒業後、ひとつの企業にずっと勤めるというかつての働き方をする人も、少しずつ減っています。特に女性はライフイベントにより、働き方が変わりやすいものです。ですから、その人が歩んできた道のりによって、生活も違えば、もらえる年金額、そして退職金などもバラバラです。さまざまな場所で目にする「平均値」は多くの人にあてはまらず、先ほどの「老後2,000万円問題」もしかり。

  • まずは「じぶんごと」として、老後の暮らし、そして具体的なお金と向き合っていくことが、老後資金準備の初めの一歩となります。

自分に必要な老後資金を計算してみましょう

  • 1.自分の老後の暮らしについて考える

    老後と一言でいっても、これまでの人生、そして今の生活が個々人で違うように、目指す老後の暮らしも千差万別です。そして目指す暮らしが違えば、老後に必要となる金額もそれぞれ違うのは当然です。

  • 「わたしの老後」とはどういう暮らしのことなのか、考えてみましょう。遠い未来のことをなかなか想像できないかもしれませんが、

  • 「年に1回は旅行できる老後がいいなぁ」

    「こんな趣味を続けたい」

    「こんなところに住んでいたいな」

  • ……などからでOKです。

      

    このように、自分の老後の暮らしを具体的にしていくことから始めてみましょう。やりたいことが具体的になってくると、準備しておきたい費用も徐々に具体的になっていきます。手書きでも、表計算ソフトでもいいので簡単に年表を作って、自分の年齢と、やりたいこと&かかる費用、それから想定される生活費を書き込んでみましょう。これが「老後のライフプラン」につながります。

  • もちろん、今後ライフプランが大きく変わる可能性もあります。でも、ある程度老後に必要な資金の目安がないことには、いくら貯金をしても足りているのかわからず、不安は解消されませんし、具体的な貯蓄計画も立てられません。ざっくりでも良いので、自分の老後について、具体的に計算してみるという行動自体が、とても大切な老後資金準備となります。

  • 2.老後にもらえるお金を把握しておく

    老齢年金額を確認するには

    年金は、定年後に収入がなくなる、あるいは働き続けたとしても大幅ダウンするという時に、生活の支えとなる大事な財源となります。あくまでも現段階での試算ではありますが、目安になりますので、自分が年金をいくらもらえるのか調べてみましょう。

  • 毎年、皆さんの誕生月にお手元に届く「ねんきん定期便」には、これまでの加入状況と、「加入実績に応じた年金額」が記載されています。それらを見て、「少ない!!」とびっくりしないでくださいね。あくまでも今までの加入分に対する年金額ですので、今後加入し続けることで、年金額は増額されていきます。

  • 65歳からの年金額は、「ねんきんネット」でシミュレーションすることができます。

  • 基礎年金番号(年金手帳に記載されています)とねんきん定期便を用意したら、「ねんきんネット」の「年金見込み額試算」ページ

    https://www.nenkin.go.jp/n_net/n_net/estimatedamount.html

    で、65歳からの老齢年金額を試算してみましょう。現在の働き方を続けた場合でも、会社員からフリーランスなどのように働き方を変えるなど、収入や年金種類が変化した場合のシミュレーションもできます。

  • 退職金を確認するには

    退職金についての規定は、会社によってそれぞれ違います。まずは就業規則や賃金規則などに退職金についての記載がないか確認しましょう。

  • 退職金制度のある企業の多くが、「退職金の規定」を設けていますので、そこにある退職金の算定方法から、自分の退職金の目安を計算することができるはずです。

  • 退職金を使って「住宅ローンを完済したい」「繰り上げ返済したい」など、使い道が決まっている場合は、あらかじめ引いて、「老後に回せるお金はいくらなのか」を計算しておきましょう。

  • 3. 今から自分で準備する必要金額を計算する

    1.で老後にかかる支出額を出し、2でもらえる金額を計算すると、1から2を引いた金額が、今から定年までの期間に準備しておきたい金額の目安となります。

  • 例えば、準備が必要な額が1,500万円だった場合、65歳までに金利0.01%で毎月貯金すると、

  • 現在25歳の場合 約3.1万円

    現在35歳の場合 約4.2万円

    現在45歳の場合 約6.3万円

  • が必要となります。

  • 当たり前のことですが、年齢が高くなるほど、積み立てに必要な金額は大きくなります。

    子育て中であれば、40代から50代にかけて教育費のピークとも重なってきますから、これだけの金額を捻出するのは、とても大変です。なるべく早くから「老後用の資金」を確保しておくという意識が大切ですね。

必要金額がわかったら……準備はどうする?

  • まずは、計算した毎月の積立金額を確実に残していくことが大前提ですが、老後までかなり時間もあります。

  • ・銀行の積立貯金

    ・財形貯蓄

  • などで強制的に貯めていく方法にプラスして、一部を運用して資金を殖やしながら貯めていく方法も検討されると良いでしょう。

  • 運用をまだやったことのない人にとっては、「損をするかも、失敗したらどうしよう」という、不安もあるかもしれませんが、リスクの小さな商品を選び、運用期間を長くすることで、長期的には資産を殖やしていくことは十分可能です。

  • 老後資金を運用しながら貯めていくのにぜひ活用したいのが、確定拠出年金制度です。企業型と個人型のものがあり、個人型のものはiDeCo(イデコ)と呼ばれています。60歳まで(65歳まで延長の可能性あり)毎月掛け金を拠出、運用していきます。

  • 上限額がありますが、毎月の掛け金が、所得控除されることで、<税金が軽減される>というメリットもありますし、60歳まで資金の引き出しができないので、老後資金以外の貯金と区別して貯めておけるのが大きなポイントです。

  • また、運用して得た利益に税金がかからない、引き出し時に退職所得控除や公的年金控除が使えるなどの、税制の優遇も受けられます。

  • 上限額を使ってもまだ余力が出てきた場合には、iDeCo同様、国による税の優遇制度があるNISAやつみたてNISA制度もぜひ活用して、老後資金を殖やしていきましょう。

そもそも退職金って?運用はした方がいいの?

  • 退職金は金額が大きいので、老後生活の資金源として非常に重要です。とはいっても、しばらく年金と貯蓄で暮らしていけるのであれば、「退職金を投資に回して、少しでも老後資金を殖やす」というのも1つの方法です。

  • 運用することで「老後資金も長生き」させたいですよね。ですが、ここで気を付けたいのは、今使わないからと言って、退職金をすべて運用に回したり、安易に銀行などから提案される退職金プランの勧誘にのらないこと。

  • 現役時代は、多少損したり、失敗したと思っても、「また働いて取り戻す」ことや、「値上がりするまで待つ」という選択肢がありますが、老後はもう「取り崩して使っていく」ステージですから、運用は慎重にしなくてはなりません。

  • その対策として、もらう予定の退職金を、予め使うタイミングにより、金額を振り分けておきましょう。

  • (1) 1年以内に必要となる生活費および緊急時対応資金

  • (2) 1年以上5年以内に使う用途が決まっている準備資金

  • (3) 5年以上先まで必要がない資金

  • そして、(3)の部分を運用に回すようにします。先ほど出てきたNISA制度なども活用して、リスクがあまり高くない投資信託などを選んで運用していきましょう。

  • 運用しながら必要な額を取り崩していくことも可能です。

今から考えはじめることが老後資金対策の第一歩

  • 実際に老後資金を計算してみると、準備する金額の大きさに驚いた人も少なくないと思いますが、それに気づいたこと自体が大きな前進です。

  • 気づくと「何かしなくては」という気持ちが動き、実際の行動につながるからです。今から、少額からでも老後に向けての貯蓄をスタートしましょう。そして退職金でいきなり投資をして失敗するのを避けるためにも、貯蓄の一部をiDeCoやNISAなどの国の制度を上手く活用しながら、運用により資金を殖やし、不安を少しでも軽くしながら老後に備えていきましょう。

  • ※ 本ページに記載されている情報は2019年12月19日時点のものです

  • 山本美紀(ファイナンシャルプランナー<CFP®>、家計整理アドバイザー認定トレーナー)

    執筆者プロフィール 山本美紀(ファイナンシャルプランナー<CFP®>、家計整理アドバイザー認定トレーナー)
    家計相談やライフプランシミュレーションの作成を中心とした個人相談や、家計整理アドバイザー講座の講師、女性向けマネーセミナー、執筆活動を行っている。ご相談者の大半が30代~40代の子育て世代であり、同じ母親として気軽に相談できるママFPとして活動中。

campaign注目のキャンペーン

related article関連記事